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クリント・イーストウッド,ジョン・ベレント,アニータ・ズーカマン

原題: Midnight in the Garden of Good and Evil (1997)
上映時間: 2:35:05
1998年6月 国内劇場初公開

ゴウ先生総合評価: A-
  画質(1.78 : 1): B+
  音質(ドルビーデジタル5.1ch): A-/B+
  英語学習用教材度: A-
クリント・イーストウッドが出演をせずに監督だけに特化した法廷サスペンス。時期的には、『目撃』と『トゥルー・クライム』の間の作品。主演は、ジョン・キューザック、ケヴィン・スペイシー。共演は、 ジャック・トンプソン、イルマ・P・ホール。アリソン・イーストウッド。若き日のジュード・ロウが殺され役で登場します。

ジョージア州サバナで実際に起きた殺人事件をもとに書かれた原作ノンフィクションを映画化したもの。興行的には成功していませんが、個人的にはイーストウッドらしさにあふれており気に入っている作品です。

『タウン&カントリー』誌の仕事でジョージア州サバナの名士ジム・ウィリアムズ(ケヴィン・スペイシー)が開くクリスマス・パーティーを取材に訪れたジョン・ケルソー(ジョン・キューザック)は、ウィリアムズ邸で起きたウィリアムズによる使用人ビリー・ハンソン(ジュード・ロウ)の射殺事件に遭遇します。

第一級殺人罪で訴追されたジムは、粗暴なビリーの攻撃からの正当防衛だと主張します。関心をもったジョンは予定を変更してこの裁判を追及することにしたのでした・・・。

まずもって「善悪の庭の真夜中」という原題そのものが、単純に善悪に線引きしないイーストウッド好み。

実際にウィリアムズの正当防衛なのか、それとも悪意をもった殺人なのか、その真相は最後で明らかになります。しかし、その判決内容は、アメリカの裁判制度の不備をついたもの。何が正義なのか、観客は考えざるを得ません。そして、映画の結末に関しても。

さらに、実在の場所であるのに、イーストウッドの描くサバナという町は実に奇妙で魅力的。『荒野のストレンジャー』で描かれた西部の町のように、閉鎖的で独特の文化を形成されています。

事実、本作に登場するサバナ在住の人物はジムとビリー以外にも興味深い人物が次々と登場します。

まずもって、冒頭から映画全体の非現実的世界を具現している不思議な祈祷師ミネルヴァ(イルマ・P・ホール)が不気味。しかも、このミネルヴァ、ジムの裁判を傍聴したりしていますから、驚かされます。

それに地元のショーガールとして働く、キンキー・ゲイのレディー・シャブリ(本人)。ビりーのすんでいたアパートの大家という設定ですが、絶対に出さねばならない存在でもないのに、登場させ、本作全体の空気をかき乱させます。

そして、アブを頭の上に糸で結びつけている変人ルーサー・ドリッガーズ(ジェフリー・ルイス)が、裁判の陪審員のリーダーを勤めているのですから、イーストウッドがこの裁判を茶番化しようとしているのではないかと思うほど。

というわけで、この一風変わった裁判映画は、まさしくイーストウッドの本流にある作品。その上に、サバナがジャズの数々の名曲を作ったジョニー・マーサーの故郷であることから、全編ジャズが流れっぱなし(一部モーツァルトも流れますが)。

興行的には、ジョン・キューザックが演じたジョンをイーストウッド本人が演じればもっとヒットしたはず(そうすると、実の娘とのラブシーンを演じなければならなくなりますが)。そのせいか、次の『トゥルー・クライム』ではイーストウッドが新聞記者として死刑囚を救います。

しかし、本作には本作としての魅力がぷんぷん。再評価が待たれます。

内容: A

++++++++++

画質(1.78 : 1): B+  

Gump Theatreにて、480pのDVD信号をPS3において1080p信号にアップスケールしてDLA-HD1に送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映しています。伝送レートは、2.8 Mbpsから7.2 Mbps。

輪郭は太り、細部は甘く、全体的にノイジー。暗部情報はDVDの水準以下。発色は素直で鮮やかなのに、惜しまれます。Blu-ray Discとして丁寧にトランスファーされれば鮮明な絵になるだろうと思わせる素性のよさはありますが、現状では大画面視聴を楽しむためには5メートル以上離れることをお勧めします。

音質(ドルビーデジタル5.1ch): A-/B+  

TA-DA3200ESからサラウンド・バック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネル再生。伝送レートは、384 kbps。

冒頭のヴィブラートの効いたk.d.ラングが唄う「スカイラーク」に象徴されるようにサラウンド感は十分にありますが、全体的にノイジーな印象は拭えません。セリフの抜けは悪くありませんが、やや厚みに欠ける印象も。B+評価に落とすかどうか、悩みました。

英語学習用教材度: A-

日本語・英語字幕ならびに日本語吹替え付き。セリフ量は多め。俗語・卑語もそれほど多くなく、法廷英語も飛び出しますし、テクストとして十分に使えます。惜しむらくは、特典に英語字幕がつかないこと。非常に興味深い特典なのに、残念です。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

☆イーストウッド本人が書いたのではないかと思うセリフがこれ。2度本作で使われます。

  To understand the living, you got to commune with the dead.
   (生きている者を理解したければ、死者と語らねばならない。)

☆それにしても、冒頭ジョン・マーサーの墓を映し出すところにイーストウッドの遊び心があふれています。すごいメンバーがマーサーの歌を演奏しているサントラCDが欲しくなりました。

真夜中のサヴァナ
ジョシュア・レッドマン,ブラッド・メルドー

ケヴィン・スペイシーをジムに配役したのが正解だと分かるのは、最後の25分。スペイシーしかできない二面性がはっきりとここに現れています。

☆いまや映画監督にもなったイーストウッドの娘アリソン・イーストウッドが、子役時代から時を経て美しくなってスクリーンに戻ってきています。本作では、マンディ・ニコルズというシンガーの役を演じます。そのため「カム・シャイン・カム・レイン」を唄うサービスまでつきます。

☆個人的に苦手だったジョン・キューザックが本作では水を得た魚のよう。『2012』も見に行くとしますか。

☆裁判で検事のファインリー・ラージェントを演じるのが、『ショーシャンクの空に』(レビューは、こちら!)で冷酷な刑務所長を演じたボブ・ガントン。映画をきちんと支えています。

☆看護婦のサラ・ウォーレン役に『ザ・シークレット・サービス』でジョン・マルコヴィッチに殺される銀行員役を演じたパトリカ・ダーボが出てきて嬉しくなりました。

☆3500万ドルの製作費で、アメリカで2500万ドルの売り上げ。海外での売り上げは分かりませんが、イーストウッドの映画としては物足らない結果ではあります。

DVDには特典が文字情報によって大量に納められているひと昔前のDVD使用。ですが、丹念に見ていくと、面白いサバナに関する情報が映像で納められています。特典の内容はつぎのようなものです。

  ドキュメンタリー(21分)
  オリジナル劇場予告収録
  オリジナル・サントラCM収録

++++++++++

見て損はない一本。BDでの再発を強く望みます。オススメします!

+++++付記: レビューしているイーストウッド作品+++++

続 夕陽のガンマン The Good, the Bad and the Ugly(1966)
奴らを高く吊るせ! Hang 'Em High (1968)
マンハッタン無宿 Coogan's Bluff (1968)
真昼の死闘 Two Mules for Sister Sara (1970)
恐怖のメロディ Play Misty for Me (1971)  - 兼監督
ダーティハリー Dirty Harry (1971)
シノーラ Joe Kidd (1972)
荒野のストレンジャー High Plains Drifter (1973) - 兼監督
ダーティハリー2 Magnum Force (1973)
サンダーボルト Thunderbolt and Lightfoot (1974)
アイガー・サンクション The Eiger Sanction  (1975)
アウトロー The Outlaw Josey Wales (1976) - 兼監督
ダーティハリー3 The Enforcer (1976)
ガントレット The Gauntlet (1977) - 兼監督
ダーティファイター Every Which Way But Loose (1978)
アルカトラズからの脱出 Escape from Alcatraz (1979)
ブロンコ・ビリー Bronco Billy (1980)  - 兼監督
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シティヒート City Heat (1984)
タイトロープ Tightrope (1984)
ペイルライダー Pale Rider (1985) - 兼監督
ダーティハリー5 The Dead Pool (1988)
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ザ・シークレット・サービス In the Line on Fire (1993)
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目撃 Absolute power (1997) - 兼監督
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| 外国映画(マ行) | 10:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
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