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黒澤明,小国英雄,久板栄二郎,菊島隆三,橋本忍

上映時間: 2:30:55
1960年9月15日 劇場初公開

ゴウ先生総合評価: A/A-
  画質(2.40:1): A-/B+
  音質(ドルビーTrueHD 5.1ch): B
『黒澤明監督作品 AKIRA KUROSAWA THE MASTERWORKS Blu-ray Collection I(7枚組)』に所収されているBDをそれぞれレビューしています。本作が5本目に当たります。

黒澤明監督作品 AKIRA KUROSAWA THE MASTERWORKS Blu-ray CollectionI(7枚組)
黒澤明監督作品 AKIRA KUROSAWA THE MASTERWORKS Blu-ray CollectionI(7枚組)
東宝

『隠し砦の三悪人』 (1958)から丸3年、黒澤プロダクション設立第1作。選んだのは、汚職事件をテーマにした社会派サスペンス。金儲けの娯楽作品で自らのプロダクションを始めたくないという黒澤本人の意向。主演は、三船敏郎。共演は、森雅之、香川京子など錚々たる東宝の主力俳優陣。

20歳代で本作を初めて見たときには、本作の良さはよく分かりませんでした。特に、評判のよい冒頭の結婚式シーンは作りこみすぎるように思えましたし、三船にメガネをかけさせたことも反対ですし、カタルシスを与えることを拒否した映画の終わり方にも不満が残りました。

しかし、久方ぶりに見直して、それが若気の過ちだとよく分かりました。黒澤の他に、小国英雄、久板栄二郎、菊島隆三、橋本忍という超一流の脚本家をそろえて練りに練った脚本に一分の隙もありません。大人のための極上サスペンスを作り上げています。脱帽です。

昭和35年2月吉日、日本未利用土地開発公団の岩淵副総裁(森雅之)の娘佳子(香川京子)の結婚式が行われています。相手は、いま現在岩淵の秘書を務めている西幸一(三船敏郎)。そして、そこには多数の新聞記者が押しかけています。公団に対する大竜建設の贈収賄事件の取り調べを東京地検が始めたからです。

しかし、逮捕された大竜建設経理担当重役の三浦(清水元)が黙秘を通して拘置期限満了のあと釈放されると自殺したこともあって、検察も身動きが取れません。

そんな中、公団の「汚職のクリーンナップトリオ」と呼ばれる岩淵、守山公団管理部長(志村喬)、白井公団契約課長(西村晃)を西がつけ狙います。5年前に実の父親をこの3人のせいで自殺に追い込まれた恨みを果たそうとしているのです。そして、一度は岩淵たちを追い詰め疑惑のすべてを明るみに出せるところまでこぎつけたのですが・・・。

20年前には不満に感じた3点も見直すうちに解消されていきます。

冒頭の結婚披露宴の設定のシュールさには、いまや拍手です。本来であるならば、披露宴に新聞記者が臨席できるものではないでしょうが、記者たちはぞろりと披露宴を見ています。まるで会場の壁が外れたよう。その設定のおかしさが本作の主題のねじれ具合を語っています。

しかも、記者たちが語る言葉により、映画の複雑な設定や人間関係が手際よく説明される仕掛けには唸らされます。後年、『ゴッドファーザー』(レビューは、こちら!)においてフランシス・フォード・コッポラがこのアイデアを丸々拝借したのもむべなるかなの鮮やかさ。

作り込んではありますが、このくらい強烈なオープニングでないと、初めて見る汚職摘発映画における黒澤の主張を当時の観客は分かることはなかったでしょう。実にクレバーです。

三船にメガネをかけさせたことも、いまは納得。秘書の役だから目立たない黒縁メガネをかけさせるという単純な判断ではありません。能ある鷹に爪を隠させようという判断。

三船のカッコよさを全面に出した方が興行的にはよいのでしょうが、そうせずに高い評価を取ろうという野心の現れだと理解します。そして、メガネをかけても、オフホワイトのトレンチコートを着こなす三船のダンディぶりは一目瞭然。十分に魅力的です。

最後に西が殺されることに関しても、リアリティのある終わらせ方だといまは思えます。裏側で岩淵を操る「よく眠る」悪い奴を最後まで一度も登場させることもなく、岩淵に西を闇に葬らせる。これこそが汚職事件で見られる巨悪の手口。

正義が常に勝たず、巨悪がのさばれるからこそ、汚職事件はなくならないのです。その真実を道徳家の黒澤は国民に知らしめたかったのでしょう。きれい事で終わらせない手法は、いまや大賛成できる手法です。

緻密な脚本と見事なモノクロ映像。それを支える巧妙な音楽。そして黒澤のしごきに耐えてすばらしい演技を見せる俳優たち。本作の面白さが社会派サスペンス映画の隆盛をもたらす第一歩となったのも理解できる、完成度の高い傑作です。

内容: A

++++++++++

画質(2.40:1): A-/B+  

Gump TheatreにてPS-3から1080/24p信号をHDMIケーブルによってTA-DA3200ES経由でDLA-HD1に送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映しています。2層50GB。コーデックは、MPEG-4 AVC。伝送レートは、28 Mbpsから39 Mbps。

これまでレビューしてきた中で、DVDと比べて最も画質が改善されたBDと言ってよいでしょう。

細部が完全につぶれ輪郭が太るDVDの絵と比べて、BDにはそういう曖昧さは一切なく、ここまで50年前のカメラは捉えていたのかと驚かされる高解像度。事実、途中使われる新聞記事の本文もスクリーンに近づくとはっきり読めるほど。

高い解像度に支えられた暗部階調の滑らかさは、極上のモノクロームの絵を楽しませてくれます。フィルム起因のノイズもほとんどなく、『椿三十郎』のBD(レビューは、こちら!)と比べるとやや負けている感もなきにしもあらずですが、大画面の近接視聴も十分にこなせる立派なHi-Def画質です。

音質(ドルビーTrueHD 5.1ch): B  

TA-DA3200ESからサラウンド・バック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネル再生。伝送レートは、0.7 Mbpsから1.8 Mbps。

音声仕様は、DVDと同じく次の3種類。

   .リジナルモノラル(リニアPCM)
  ◆3chパースペクタ・ステレオフォニック・サウンド(リニアPCM)
   5.1chリミックス(ドルビーTrueHD)

,鉢△療疏レートは、それぞれ1.5 Mbps、3.1 Mbpsに固定されています。は、上述どおり、0.7 Mbpsから1.8 Mbpsの可変レート。

,鉢△蓮当時の劇場上映で使われた黒澤本人が認めた音響設計ですが、音圧が強すぎて、金管や拍手の音がうるさく聞こえます。明晰さでは、△いちばんだと思いますが、この音を2時間30分を聞き続けるのは、大変。

そこで、を選択。DVDにおいても、の伝送レートが,鉢△稜椶△辰董448 kbps)、もっとも聞きやすい音でした。その快感を残しつつ、鮮度が高まったせいで細部の見通しもよくなっています。ゆえに、を推奨させてもらいます。

の音響設計も、それほど不快なものではありません。主に音楽とアンビエント成分がリアに回される設計ですが、映画の雰囲気を盛り上げてくれています。これでノイズがなくなれば、最新映画といわれても疑うことはないでしょう。それだけ――『続姿三四郎』(レビューは、こちら!)と比すれば問題はまったくありませんが――ノイズが多いということではありますが。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

☆上述したように、BDになって新聞記事が容易に読めるようになって分かったのは、あれだけ凝り性の黒澤が新聞をきちんと作っていなかったということ。贈収賄事件の記事が途中から野球の記事になっているのです。似たことは、『天国と地獄』(1963)でも見られます。新聞まで観客は読めないと思ったのでしょうか。黒澤の完璧主義の限界がここにあります。まあ、BDなどというものが存在して虫眼鏡でアラを探すファンが登場するようになるとは思わなかったでしょうが。

佐藤勝の音楽が、最高!ドラムをつかってビートを利かした上に金管を載せてフリージャズっぽく不協和音を重ねるおどろおどろしいオープニングのテーマを作るかと思えば、「三船に何度も口笛を吹かせる可愛らしいメロディはテネシーワルツ」を思い出させるすぐに覚えられるものだし、三船と香川のラブシーンに流れるピアノ曲もキュート。佐藤の脂が乗り切っています。

☆空襲を受けたまま放置されている軍需工場の跡地は、愛知県豊川市にあったものだとか。戦後15年経ってもああいう場所が残されていることを知ると、何ともいえない気分にさせられます。そしてまた、それをフォトジェニックに画面に納める黒澤の手腕にも唸らされます。

☆三船と香川の防空壕の中でのキスシーンの切なさは、他に類のない胸を衝かれるもの。たまりません。

森雅之と志村喬の悪役ぶりは、後塵を寄せつけません。名優として何でもできることを証明してくれているのに、驚かされます。特に、志村を『七人の侍』(1954)や『生きる』(1952)でしか知らない人には驚きの演技でしょう。

☆冒頭部の主役は、新聞記者役の三井弘次。抜け目なく事件を掘り出すブンヤの姿を好演しています。

☆ほんのチョイ役ですが、次のような名優の登場に心を揺さぶられます。
  笠智衆
  宮口精二
  中村伸郎
  藤田進
  南原宏治
  田中邦衛

BDの特典映像は、次のふたつです。

  特報 (1:35)
  予告編 (3:02)

両方とも、シネスコ・サイズ(2.40:1)のHi-Def画質(AVC/1080p)。音声は、リニアPCMモノラル(1.5 Mbps)。特報の方に、少しだけ撮影風景が収録されています。

DVDには本作を解説した32分34秒にも及ぶ特典映像「黒澤明 巨悪に挑む」と50ページ以上に及ぶ豪華なブックレットがつきます。やっぱり手放せません。

悪い奴ほどよく眠る [DVD]
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東宝ビデオ

++++++++++

これだけ生々しい汚職摘発の映画を50年前に作った黒澤には驚かされます。映画好きならば、必見。特に、このBDの絵はすばらしいのひと言。強くオススメします!
| 日本映画(わ行) | 10:03 | comments(1) | trackbacks(0) |
コメント
確かアンジェイ・ワイダだったか、「悪い奴」は黒澤の「ハムレット」だ、って言ったらしいですね。
日本人だと連想しないですが、欧米の人間があの映画を見るとすぐピンとくるらしいです。
考えてみると復讐物語という点でプロット的にも「ハムレット」にソックリだし、キャラクターの設定も良く似てますね。

西=ハムレット
岩淵=クローディアス
佳子=オフィーリア
板倉=ホレーショ

・・・と考えると、ハムレットが最後に殺されるのもオフィーリアが発狂するのも必然かもしれません。
この映画若い時(初めてLD化された頃買ったんですが高かった!)は前半は面白かったんですが、後半のプロットがあまりに荒唐無稽な気がしたんですが、今見るとむしろリアリティを感じますね。
汚職事件が起こると政治家の秘書が「自殺」したり関係者が不可解な死に方をする事が多いじゃないですか。
ただ黒澤は汚職事件の裏に潜む政治家を徹底的に追及したかったらしいですが、東宝の上層部からクレームが来て脚本に難航したそうです。
そこら辺もハッピーエンドにならなかった原因かもしれません。
| m | 2009/11/14 2:51 AM |
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