2007.10.03 Wednesday
幸せのレシピ

原題: No Reservations (2007)
2007年9月29日 日本初公開
公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/noreservations/
ユナイテッド・シネマ豊洲 スクリーン9 B-8
2007年10月2日(火)13時15分の回
ゴウ先生総合評価: A-/B+
画質(スコープ): A/A-
音質(SRD): A
英語学習用教材度: A
超一流の女優が出る映画は、ゴウ先生の行動力を増します。何としても映画館で見らねばという気にさせるのです。
そんなわけで、レニー・ゼルウィッガーの『ミス・ポター』(レビューは、こちら!)、小林聡美の『めがね』(レビューは、こちら!)、マリオン・コティヤールの『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(レビューは、こちら!)とここ最近劇場で見てきました。こうなると、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが主演する本作を見逃すわけにはいきません。
『エディット・ピアフ』を見終えた足で、チケット・カウンターに戻り、UC豊洲のスクリーン9の闇に身も心も委ねたのでありました。
予告編以外の予習はなし。ゆえに、本作が2001年のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』をリメイクしたものだとは知りませんでした。知って、現在のハリウッドの企画力の乏しさに大いに幻滅したのは事実ですが、それは後のこと。まずは、スクリーンに集中です。
見ている間は大人の魅力をふりまくゼタ=ジョーンズの存在にうっとり。妙な感想ですが、アメリカでだけ出されている『シカゴ』のブルーレイ・ディスク(BD)を今日にも注文しようと固く誓わされたのでした。
ニューヨークの高級フランス・レストランのマスター・シェフを務めるケイト・アームストロング(ゼタ=ジョーンズ)。生活のすべてをいまの仕事に捧げ、恋人もおらず、時には客とのトラブルも厭わない正確のために店主ポーラ(パトリシア・クラークソン)からは疎まれ、部下との関係もギクシャクしがちな日々。
そこへ不幸な事件が。ふたり姉妹の姉が娘ゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)を残して交通事故死。ゾーイを引き取ったものの、子供のあしらいがまったくだめ。作った高級フランス料理(!)も食べてくれません。
そこへ、スー・シェフとして店主が雇ったのが、イタリア料理が専門家のニック・パーマー(アーロン・エッカート)。ケイトとは違って、明るく人付き合いがうまいニックを店主も部下も好ましく思い、同時に客たちもニックの腕前に舌鼓を打つ状態に。
そういう自分外しの状態に、ニックと恋に落ちかけたケイトは、ニックと別れてしまうのでした・・・。
いやはや、本作、キャスティングが絶妙。クール・ビューティーのゼタ=ジョーンズを主役に据えることで、アーロン・エッカートのぼんやりとした温かさが際立ち、そこへ若干神経質な、まさしくケイトの姪らしいゾーイを『リトル・ミス・サンシャイン』(レビューは、こちら!)のアビゲイル・ブレスリンに演じさせることで、活き活きとストーリーを展開させています。
惜しむらくは、脚本があまりにご都合主義なこと。特に、ゾーイの行動はあまりに、母を亡くした孤児にありがちなステレオタイプ的観点から描かれすぎ。もう少し心の機微を映し出す脚本ならもっと素晴らしいラブ・コメディになっただろうにと惜しまれます。
さらに、ケイトの生い立ちについてももう少し突っ込んでもよかったのではないでしょうか。彼女がマスター・シェフを志すキッカケとなった母の死、そして父親との関係。知りたいものでした。
それでも、エッカートに素直に嫉妬したくなるゼタ=ジョーンズの存在には、最後までやるせない気分にさせられ通しです。作品の出来を度外視すれば、今年劇場で見た作品の中でいちばんの満足度を得た作品かもしれません。
++++++++++
画質(スコープ): A/A-
ワーナー作品に、映像で文句をつけることはまずありません。本作も例外ではありませんでした。フィルム撮影の作品としては、極めて端正かつ滑らか。グレイン・ノイズは乗るものの、全体的な解像度も高く、BD化されたらさぞや格調高い絵となるであろうと思われます。
しかも、嬉しいシネスコ・サイズ。室内シーンが多いにもかかわらず、横長の画面を正確な構図と固定カメラによってきっちりと描くスチュアート・ドライバーグ撮影監督の腕前は一流です。安心して見られます。
音質(SRD): A
UC豊洲の音には、常に感心させられます。本作はイタリアン・オペラがBGMに多用されていますが、その音の透明度の高さにウットリ。パバロッティはやっぱりいい声だったと思わされます。
ゼタ=ジョーンズの低めの声もしっとりしたもの。派手な音響設計は施されていませんが、魅かれる音質です。
英語学習用教材度: A
俗語・卑語は、まったくといってよいほど、出てきません。実に上品。舞台がニューヨークであることを忘れてしまうほど。BDないしはDVDが英語字幕つきで出たら、絶対に買いたくなる代物です。
++++++++++
気になるところを、アト・ランダムに。
☆原題は、No Reservations。ニヤッとさせられるタイトルです。というのも、訳が二通りできるからです。ひとつはもちろんレストランにかけた「予約なし」。そしてもうひとつは、ケイトの性格にかけた「遠慮なし」。この意味深な原題からすると、『幸せのレシピ』という邦題はあまりに類型的に思えて、好きになれません。第一、そういうレシピが本作で登場するわけでもありませんし。
☆若干脚本が弱い中、まとめきったスコット・ヒックス監督の手腕は、見事。さすが『シャイン』(1995)の監督です。
☆キャサリン・ゼタ=ジョーンズは、小林聡美とは違って、普段まったく料理をしない女性だとか。しかも、イギリス出身らしくフィッシュ・アンド・チップスがあれば最高なのだといいう哀しさ。それがここまでマスター・シェフらしくふるまえるのですから、“女優”です。

☆『サンキュー・スモーキング』(レビューは、こちら!)以来、気になって仕方がないアーロン・エッカート。本作はまさにはまり役。ファンキー・パンツと今年流行のサンダルを履いて、幸せをふりまきます。『エリン・ブロコビッチ』 (2000) といい、女性を支える男をやらせたら、天下一品です。『ブラック・ダリア』(レビューは、こちら!)のズレをいっぺんで修正してくれました。
☆個人的に嬉しくてたまらなかったパトリシア・クラークソンの起用。彼女の声が大好きでたまらないのです。彼女主演の映画をだれか撮ってくれないものでしょうか。ちなみに、彼女の出演作でレビューしているものは、以下の通りです。
グッドナイト&グッドラック (2005)
ミラクル (2004) <未>
エデンより彼方に (2002)
☆いまや売れっ子になってしまったオスカー・ノミニー、アビゲイル・ブレスリン。決して陽性ではない雰囲気がアメリカの演劇人好みなのでしょう。でも、想定範囲内の配役。使い捨てにされないことを祈ります。
☆すごい存在感だったのが、ケイトのセラピーをする医師役のボブ・バラバン。いかにもニューヨークで開業するユダヤ系セラピストという雰囲気を醸しだしていました。
☆この手のラブコメとしては、まずまずの興行収益。2800万ドルの予算で作られ、2007年7月29日に全米2,425スクリーンで公開された本作、4200万ドルを売り上げています。これならゼタ=ジョーンズのプライドは守られたことでしょう。
++++++++++
メグ・ライアンの最盛期が過ぎたいま、ニューヨーク舞台のラブコメをだれが演じられるかと期待していたら、この超大物女優が名乗りを上げてくれました。ゴウ先生、もう少し軽めのラブコメに次回挑戦して、興行的に大ヒットを飛ばして欲しいと願います。
UC豊洲は、5日まで全作品1000円で見られます。
オススメします!
★追記
マリオン・コティヤールの別の顔を見たくて、今日は『プロヴァンスの贈りもの』をこれから見てきます。明日以降のレビューをお楽しみに。やっぱり、映画は女優です!
そんなわけで、レニー・ゼルウィッガーの『ミス・ポター』(レビューは、こちら!)、小林聡美の『めがね』(レビューは、こちら!)、マリオン・コティヤールの『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(レビューは、こちら!)とここ最近劇場で見てきました。こうなると、キャサリン・ゼタ=ジョーンズが主演する本作を見逃すわけにはいきません。
『エディット・ピアフ』を見終えた足で、チケット・カウンターに戻り、UC豊洲のスクリーン9の闇に身も心も委ねたのでありました。
予告編以外の予習はなし。ゆえに、本作が2001年のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』をリメイクしたものだとは知りませんでした。知って、現在のハリウッドの企画力の乏しさに大いに幻滅したのは事実ですが、それは後のこと。まずは、スクリーンに集中です。
見ている間は大人の魅力をふりまくゼタ=ジョーンズの存在にうっとり。妙な感想ですが、アメリカでだけ出されている『シカゴ』のブルーレイ・ディスク(BD)を今日にも注文しようと固く誓わされたのでした。
ニューヨークの高級フランス・レストランのマスター・シェフを務めるケイト・アームストロング(ゼタ=ジョーンズ)。生活のすべてをいまの仕事に捧げ、恋人もおらず、時には客とのトラブルも厭わない正確のために店主ポーラ(パトリシア・クラークソン)からは疎まれ、部下との関係もギクシャクしがちな日々。
そこへ不幸な事件が。ふたり姉妹の姉が娘ゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)を残して交通事故死。ゾーイを引き取ったものの、子供のあしらいがまったくだめ。作った高級フランス料理(!)も食べてくれません。
そこへ、スー・シェフとして店主が雇ったのが、イタリア料理が専門家のニック・パーマー(アーロン・エッカート)。ケイトとは違って、明るく人付き合いがうまいニックを店主も部下も好ましく思い、同時に客たちもニックの腕前に舌鼓を打つ状態に。
そういう自分外しの状態に、ニックと恋に落ちかけたケイトは、ニックと別れてしまうのでした・・・。
いやはや、本作、キャスティングが絶妙。クール・ビューティーのゼタ=ジョーンズを主役に据えることで、アーロン・エッカートのぼんやりとした温かさが際立ち、そこへ若干神経質な、まさしくケイトの姪らしいゾーイを『リトル・ミス・サンシャイン』(レビューは、こちら!)のアビゲイル・ブレスリンに演じさせることで、活き活きとストーリーを展開させています。
惜しむらくは、脚本があまりにご都合主義なこと。特に、ゾーイの行動はあまりに、母を亡くした孤児にありがちなステレオタイプ的観点から描かれすぎ。もう少し心の機微を映し出す脚本ならもっと素晴らしいラブ・コメディになっただろうにと惜しまれます。
さらに、ケイトの生い立ちについてももう少し突っ込んでもよかったのではないでしょうか。彼女がマスター・シェフを志すキッカケとなった母の死、そして父親との関係。知りたいものでした。
それでも、エッカートに素直に嫉妬したくなるゼタ=ジョーンズの存在には、最後までやるせない気分にさせられ通しです。作品の出来を度外視すれば、今年劇場で見た作品の中でいちばんの満足度を得た作品かもしれません。
++++++++++
画質(スコープ): A/A-
ワーナー作品に、映像で文句をつけることはまずありません。本作も例外ではありませんでした。フィルム撮影の作品としては、極めて端正かつ滑らか。グレイン・ノイズは乗るものの、全体的な解像度も高く、BD化されたらさぞや格調高い絵となるであろうと思われます。
しかも、嬉しいシネスコ・サイズ。室内シーンが多いにもかかわらず、横長の画面を正確な構図と固定カメラによってきっちりと描くスチュアート・ドライバーグ撮影監督の腕前は一流です。安心して見られます。
音質(SRD): A
UC豊洲の音には、常に感心させられます。本作はイタリアン・オペラがBGMに多用されていますが、その音の透明度の高さにウットリ。パバロッティはやっぱりいい声だったと思わされます。
ゼタ=ジョーンズの低めの声もしっとりしたもの。派手な音響設計は施されていませんが、魅かれる音質です。
英語学習用教材度: A
俗語・卑語は、まったくといってよいほど、出てきません。実に上品。舞台がニューヨークであることを忘れてしまうほど。BDないしはDVDが英語字幕つきで出たら、絶対に買いたくなる代物です。
++++++++++
気になるところを、アト・ランダムに。
☆原題は、No Reservations。ニヤッとさせられるタイトルです。というのも、訳が二通りできるからです。ひとつはもちろんレストランにかけた「予約なし」。そしてもうひとつは、ケイトの性格にかけた「遠慮なし」。この意味深な原題からすると、『幸せのレシピ』という邦題はあまりに類型的に思えて、好きになれません。第一、そういうレシピが本作で登場するわけでもありませんし。
☆若干脚本が弱い中、まとめきったスコット・ヒックス監督の手腕は、見事。さすが『シャイン』(1995)の監督です。
☆キャサリン・ゼタ=ジョーンズは、小林聡美とは違って、普段まったく料理をしない女性だとか。しかも、イギリス出身らしくフィッシュ・アンド・チップスがあれば最高なのだといいう哀しさ。それがここまでマスター・シェフらしくふるまえるのですから、“女優”です。

☆『サンキュー・スモーキング』(レビューは、こちら!)以来、気になって仕方がないアーロン・エッカート。本作はまさにはまり役。ファンキー・パンツと今年流行のサンダルを履いて、幸せをふりまきます。『エリン・ブロコビッチ』 (2000) といい、女性を支える男をやらせたら、天下一品です。『ブラック・ダリア』(レビューは、こちら!)のズレをいっぺんで修正してくれました。
☆個人的に嬉しくてたまらなかったパトリシア・クラークソンの起用。彼女の声が大好きでたまらないのです。彼女主演の映画をだれか撮ってくれないものでしょうか。ちなみに、彼女の出演作でレビューしているものは、以下の通りです。
グッドナイト&グッドラック (2005)
ミラクル (2004) <未>
エデンより彼方に (2002)
☆いまや売れっ子になってしまったオスカー・ノミニー、アビゲイル・ブレスリン。決して陽性ではない雰囲気がアメリカの演劇人好みなのでしょう。でも、想定範囲内の配役。使い捨てにされないことを祈ります。
☆すごい存在感だったのが、ケイトのセラピーをする医師役のボブ・バラバン。いかにもニューヨークで開業するユダヤ系セラピストという雰囲気を醸しだしていました。
☆この手のラブコメとしては、まずまずの興行収益。2800万ドルの予算で作られ、2007年7月29日に全米2,425スクリーンで公開された本作、4200万ドルを売り上げています。これならゼタ=ジョーンズのプライドは守られたことでしょう。
++++++++++
メグ・ライアンの最盛期が過ぎたいま、ニューヨーク舞台のラブコメをだれが演じられるかと期待していたら、この超大物女優が名乗りを上げてくれました。ゴウ先生、もう少し軽めのラブコメに次回挑戦して、興行的に大ヒットを飛ばして欲しいと願います。
UC豊洲は、5日まで全作品1000円で見られます。
オススメします!
★追記
マリオン・コティヤールの別の顔を見たくて、今日は『プロヴァンスの贈りもの』をこれから見てきます。明日以降のレビューをお楽しみに。やっぱり、映画は女優です!
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