2006.11.05 Sunday
地下鉄(メトロ)に乗って


地下鉄(メトロ)に乗って (出演 堤真一)
2006年10月21日 劇場初公開
公式サイト: http://www.metro-movie.jp/
ユナイテッド・シネマとしまえんスクリーン7 D-6
2006年11月1日 12時15分の回
ゴウ先生総合評価: C
画質(スコープ): B
音質(SR-D): B
いつも通りの予習なし。地下鉄東西線の駅で見かけたポスターに惹かれてしまい、映画の日ならば見てみたいと思っていたのでした。
そんなゴウ先生の心を見透かしたように、11月1日のユナイテッド・シネマとしまえんでは、『父親たちの星条旗』(レビューは、こちら!)を9時45分から見ると12時7分に終了するので、12時15分から始まる本作を待ち時間ゼロで見られるようになっているのです。
大作の感動さめやらぬ中、見始めた本作、いきなり邦画の画質にへこみます。さっきの美しい絵と比べようもありません。地下鉄永田町駅に立つ主人公長谷部真次(堤真一)が荒い粒子の中でアップアップしている感じです。もう少し滑らかで艶やかな絵が撮れないものでしょうか・・・。
そして始まる物語も、ゴウ先生にはよく理解できません。
まず、最初のタイムスリップ。地下鉄で中学校の恩師野平啓吾(田中泯)と偶然(?)出会ったことがきっかけで、現代の永田町駅の出口を出ると昭和39年の丸の内線新中野駅という設定です。どうしてこのようなタイムスリップが可能なのでしょう。野平に不思議なパワーがあるのでしょうか。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも『サマータイムマシン・ブルース』でもよいですが、タイムマシンらしきものが使われていたならば理解もしやすいのです。それが、ただ単に駅の出口を出ると昭和39年というのでは、ちょっとついていけません。何か説明がほしいところです。
しかも、昭和39年の新中野駅前の公衆電話から電話をかけているのに現代の実在人物にかかることができるシーンが現れて、なおのこと混乱します。こういうことがどうして可能なのでしょう。
タイム・パラドックスがどうのこうのではなく、映画の前提が見えなくて困ってしまったのです。
同じく、途中からは「地下鉄に乗って」行く必要がなくなり、地下鉄がない満州へでもどこへでも行けるようになるというストーリー展開になってしまっては、口あんぐりです。
ファンタジーだから何でも許せといわれても、一定のルールがないと切迫感も緊張感も生まれません。
実際、満州でソ連軍に追われる真次とその愛人軽部みち子(岡本綾)は、あっけなく現代に戻れるのです。もう少しハラハラさせる演出でもよいと思うのですが、それがありません。しかも、満州だと思えといわれてもチャチなセット撮影ですので、全然満州っぽくないのです。
ストーリーの縦糸がこんな風ですから、重要な横糸である父と息子の和解や母と娘の情愛に共感が持ちにくい結果となったのでした。
しかも、タイム・パラドックスがいい加減に使われて、父小沼佐吉(大沢たかお)の大成功のきっかけが戦後すぐの東京に現れた息子の真次にあるとしたり、母お時(常盤貴子)の妊娠に現れ流産させることで自分の存在を消してしまったみち子の話など、申し訳ないけれども、ご都合主義的なものにしか映りません。
第一、戦後パンパンをやっていたお時が昭和39年の時点で妊娠しているということは、お時は40歳前後かそれ以上になっており、そこで初産というのは何とも現実感に乏しい感じがします。第一、みち子自身が昭和40年生まれだとすれば、現在41歳。岡本綾ではちょっと無理があります。
というわけで、本作、ゴウ先生には説明不足過ぎる映画に思えました。原作を読めば分かると言われても、それでは困ります。期待していただけに、残念でした。
++++++++++
画質(スコープ): B
シネマ・スコープの画面にワクワクしたのですが(何せ昭和30年代後半の映画はほとんどシネスコですから)、それも絵が出る前まで。上記の通り、標準的な邦画の画質になってしまい、興を削がれてしまいました。CGも『ALWAYS 三丁目の夕日』(レビューは、こちら!)の上を行っていません。
音質(SR-D): B
画質同様、絵も現代水準からいえば、ほめられません。セリフが割れ気味で聞こえづらい場面が多々ありました。最後の雨のシーンでは、雨の包囲感がSR-Dらしく十分にありましたが、雨の音がうるさくてセリフが聞き取りにくいのには閉口しました。
++++++++++
気になるところを、アト・ランダムに。
☆真次とみち子の不倫関係。同じ会社の同僚で行っているのですが、そのことに少なくとも真次は悩んでいる風もなく、みち子もその中途半端な関係を改善したいようにも見えず、最後のみち子の消滅が実に分かりにくいものになりました。
☆大沢たかおを老け役で使ったのはいかがなものだったでしょうか。昭和39年でも東京の大会社の社長があのようなみすぼらしい格好をしていたとは思えません。そういう役と衣装を与えられた大沢が哀れに見えました。
☆3人の子供の父親としてみると、常盤貴子の妊婦の演技も大げさすぎて、違和感がありました。あの膨らみ方だと妊娠5ヶ月前後でしょうから、安定期に入っていて、あれほど鈍重に動かなくてもよいでしょうし、ひょっとするとあの程度の転倒だと流産しないかもしれません。
☆堤真一が出る映画は、『フライ・ダディ・フライ』、『ローレライ』(レビューは、こちら!)、『ALWAYS 三丁目の夕日』などよく見ていると思うのですが、本作が一番輝いていなかった印象があります。お茶目な堤が、ゴウ先生は好きなのです。
☆NHKの朝の連ドラ『オードリー』以来注目している岡本綾ですが、もう一歩弾けてくれません。愛人役だったというところで、ギクッとしてしまったゴウ先生がいけないのでしょうが。
☆昭和39年の新中野駅前は、本当に上のポスターのようになっていたのでしょうか?
++++++++++
期待していたのに、混乱されっぱなしで、楽しめませんでした。きっと原作を読んでいる方には問題なかったのでしょう。
レンタルDVDを待ってもよいのではというのがゴウ先生の率直な感想です。
そんなゴウ先生の心を見透かしたように、11月1日のユナイテッド・シネマとしまえんでは、『父親たちの星条旗』(レビューは、こちら!)を9時45分から見ると12時7分に終了するので、12時15分から始まる本作を待ち時間ゼロで見られるようになっているのです。
大作の感動さめやらぬ中、見始めた本作、いきなり邦画の画質にへこみます。さっきの美しい絵と比べようもありません。地下鉄永田町駅に立つ主人公長谷部真次(堤真一)が荒い粒子の中でアップアップしている感じです。もう少し滑らかで艶やかな絵が撮れないものでしょうか・・・。
そして始まる物語も、ゴウ先生にはよく理解できません。
まず、最初のタイムスリップ。地下鉄で中学校の恩師野平啓吾(田中泯)と偶然(?)出会ったことがきっかけで、現代の永田町駅の出口を出ると昭和39年の丸の内線新中野駅という設定です。どうしてこのようなタイムスリップが可能なのでしょう。野平に不思議なパワーがあるのでしょうか。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも『サマータイムマシン・ブルース』でもよいですが、タイムマシンらしきものが使われていたならば理解もしやすいのです。それが、ただ単に駅の出口を出ると昭和39年というのでは、ちょっとついていけません。何か説明がほしいところです。
しかも、昭和39年の新中野駅前の公衆電話から電話をかけているのに現代の実在人物にかかることができるシーンが現れて、なおのこと混乱します。こういうことがどうして可能なのでしょう。
タイム・パラドックスがどうのこうのではなく、映画の前提が見えなくて困ってしまったのです。
同じく、途中からは「地下鉄に乗って」行く必要がなくなり、地下鉄がない満州へでもどこへでも行けるようになるというストーリー展開になってしまっては、口あんぐりです。
ファンタジーだから何でも許せといわれても、一定のルールがないと切迫感も緊張感も生まれません。
実際、満州でソ連軍に追われる真次とその愛人軽部みち子(岡本綾)は、あっけなく現代に戻れるのです。もう少しハラハラさせる演出でもよいと思うのですが、それがありません。しかも、満州だと思えといわれてもチャチなセット撮影ですので、全然満州っぽくないのです。
ストーリーの縦糸がこんな風ですから、重要な横糸である父と息子の和解や母と娘の情愛に共感が持ちにくい結果となったのでした。
しかも、タイム・パラドックスがいい加減に使われて、父小沼佐吉(大沢たかお)の大成功のきっかけが戦後すぐの東京に現れた息子の真次にあるとしたり、母お時(常盤貴子)の妊娠に現れ流産させることで自分の存在を消してしまったみち子の話など、申し訳ないけれども、ご都合主義的なものにしか映りません。
第一、戦後パンパンをやっていたお時が昭和39年の時点で妊娠しているということは、お時は40歳前後かそれ以上になっており、そこで初産というのは何とも現実感に乏しい感じがします。第一、みち子自身が昭和40年生まれだとすれば、現在41歳。岡本綾ではちょっと無理があります。
というわけで、本作、ゴウ先生には説明不足過ぎる映画に思えました。原作を読めば分かると言われても、それでは困ります。期待していただけに、残念でした。
++++++++++
画質(スコープ): B
シネマ・スコープの画面にワクワクしたのですが(何せ昭和30年代後半の映画はほとんどシネスコですから)、それも絵が出る前まで。上記の通り、標準的な邦画の画質になってしまい、興を削がれてしまいました。CGも『ALWAYS 三丁目の夕日』(レビューは、こちら!)の上を行っていません。
音質(SR-D): B
画質同様、絵も現代水準からいえば、ほめられません。セリフが割れ気味で聞こえづらい場面が多々ありました。最後の雨のシーンでは、雨の包囲感がSR-Dらしく十分にありましたが、雨の音がうるさくてセリフが聞き取りにくいのには閉口しました。
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気になるところを、アト・ランダムに。
☆真次とみち子の不倫関係。同じ会社の同僚で行っているのですが、そのことに少なくとも真次は悩んでいる風もなく、みち子もその中途半端な関係を改善したいようにも見えず、最後のみち子の消滅が実に分かりにくいものになりました。
☆大沢たかおを老け役で使ったのはいかがなものだったでしょうか。昭和39年でも東京の大会社の社長があのようなみすぼらしい格好をしていたとは思えません。そういう役と衣装を与えられた大沢が哀れに見えました。
☆3人の子供の父親としてみると、常盤貴子の妊婦の演技も大げさすぎて、違和感がありました。あの膨らみ方だと妊娠5ヶ月前後でしょうから、安定期に入っていて、あれほど鈍重に動かなくてもよいでしょうし、ひょっとするとあの程度の転倒だと流産しないかもしれません。
☆堤真一が出る映画は、『フライ・ダディ・フライ』、『ローレライ』(レビューは、こちら!)、『ALWAYS 三丁目の夕日』などよく見ていると思うのですが、本作が一番輝いていなかった印象があります。お茶目な堤が、ゴウ先生は好きなのです。
☆NHKの朝の連ドラ『オードリー』以来注目している岡本綾ですが、もう一歩弾けてくれません。愛人役だったというところで、ギクッとしてしまったゴウ先生がいけないのでしょうが。
☆昭和39年の新中野駅前は、本当に上のポスターのようになっていたのでしょうか?
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期待していたのに、混乱されっぱなしで、楽しめませんでした。きっと原作を読んでいる方には問題なかったのでしょう。
レンタルDVDを待ってもよいのではというのがゴウ先生の率直な感想です。