2006.10.31 Tuesday
ワールド・トレード・センター

ワールド・トレード・センター
原題: World Trade Center (2006)
2006年10月7日 日本初公開
公式サイト: http://www.wtc-movie.jp/top.html
ゴウ先生総合ランキング: C
画質(ビスタ): C-
音質(ドルビーデジタル?): B+
英語学習用教材度: B+
前売券まで買っていたのになかなか見に行けず、ようやく公開3週間が過ぎて昨日見ることができました。
今月オープンしたユナイテッド・シネマ豊洲に行ったことがなかったのでそちらに見に行こうかと思ったら、上映されているのが122名定員のスクリーン4。同じユナイテッド・シネマ系列の豊島園はどうだと思ったら、こちらも185名定員のスクリーン9。どちらも画面が小さそうなので、もともとの方針通り、歩いて行ける、スクリーンが大きいだけがとりえ(?)の新宿プラザに決定です。
月曜の朝一番の10時15分だしガラガラだろうと思っていたら、やっぱり驚くほどのガラガラぶり(!?)。1000名以上入る小屋なのに20人もいたのかどうか・・・。不吉な予感に襲われます。
そして、その予感は当たりました。『ダ・ヴィンチ・コード』(レビューは、こちら!)の教訓を忘れるべきではありませんでした。ゴウ先生、見始めてすぐ豊洲か豊島園に行っておけばよかったと後悔した次第です。
まずもって、映像がいけません。2001年9月11日の未明の暗闇の再現からスタートする本作なのに、プラザでは最後部につけっ放しの非常灯があるために、その明かりがスクリーンに反射され、クリアな映像が楽しめないのです。
しかも、映画の後半は瓦礫に閉じ込められた暗闇のシーンが映画の大半を占めますので、なおのこと悲惨です。だれがどこにいるのか判然としません。
予告編で流れた『どろろ』の画面は見事だったのに・・・。プラザも悪いのでしょうが、もともとのフィルムの画質もそれほどよくはなさそうです。
さらに、先が読めるストーリー展開が眠気を誘います。大方の観客は、たった5年前のことですから、9/11テロのことならかなり詳しいことまで知っています。そういう観客に感動を与える映画的仕掛けがほとんどありません。これならば、既存のフィルムを再編集してドキュメンタリー映画を作ってくれた方がまだましでした。
その意味で、わが敬愛するニコラス・ケイジがあまりにも無策な警官役だったことに唖然。こう言っては何ですが、実話から離れたとしても、ひとりでも助けてそれで生き埋めになったという話にするのかと思ったら、さにあらず。ただ、言葉は悪いですが、何もできずビルの崩壊により下敷きになっただけ。
これならば、ケイジを救出隊の隊員にして映画を作るべきだったのではないでしょうか。意図がよく分かりません。
おそらくアメリカ人ならばこれでも感動できるのでしょう。しかし、9/11以後アメリカがアフガニスタンやイラクでしてきたことを見ている、外国人であるわれわれは、こうしたアメリカ・サイドに偏った映画を見てもなかなか感情移入できません。
最後、ケイジたちを発見するのが、義憤に駆られボランティアとして勝手に現場に入り込んだ海兵隊員であったということには、その唐突な登場の仕方とサイコのような顔つきに怯えさせられます。そして、その海兵隊の軍曹が、イラク戦争に出征したというテロップに、ゾッとしました。
この部分こそオリバー・ストーンがもっとしつこく描くべきだったのではないでしょうか。たとえ正義の御旗を掲げても、無辜のアフガニスタン人やイラク人が大量に死傷しているのは事実。ワールド・トレード・センターで人を助けた海兵隊員が、イラクでは人を殺しているのです。
往年のストーンならば、こうした暴力の連鎖を痛烈に批判し、たとえ自国民の感情に反するものであろうが、正しいと思ったことは正しいと信じた映画を作る反骨の映画人だったはず。それが警官の救出劇を再現するだけでよかったのでしょうか。理解に苦しみます。
ともあれ、5年経っても、ストーンをしても、映画的快感を与える作品が作れない9/11という事件。かえってそこに9/11の恐ろしさを感じたのでした。
++++++++++
画質(ビスタ): C-
上記したように、新宿プラザにおいて本作を見るべきではありません。しかもビスタ・サイズのスクリーンですから、プラザをしても大きく感じず、本当にガッカリしました。絵自体も小ぢんまりとした構図が多いので、小さなスクリーンでも映画の評価は本質的に変わらないと思います。
音質(ドルビーデジタル?): B+
思ったよりも地味なサウンド・デザインでした。ワールド・トレード・センターの崩落シーンではもっと凄まじい重低音にKOされるかと期待していたいのですが、残念でした。(プラザのせい?)
英語学習用教材度: B+
ヒスパニックの警官があれほどニューヨークの港湾警察PAPD(Port Authority Police Department)に多いとは思いませんでした。様々な土地の英語のアクセントが聞けて、さすがニューヨークを舞台にした映画だと感心したほどです。ただし、聞き取りにくいのは事実だし、会話量が少ないのも確か。映画館で本作から英語を勉強できる人は相当な実力の持ち主です。
++++++++++
気になるところを、アト・ランダムに。
☆宣伝文句に家族愛を描いたとありますが、ジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)の家族もウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)の家族もただうろたえて帰りを待ちわびているだけという設定では、たとえ途中回想シーンを挿んだとしても、涙を流すほど心打たれるというわけには行きませんでした。哀切さは十分に伝わってきましたが。
☆セリフも印象的なものがありません。せいぜいマクローリンが病院で妻のドナに向かって言う“You kept me alive”くらいでしょうか。確か「君のおかげで、生き延びられた」という字幕が出ていたと思いますが。
☆瓦礫の下で意識朦朧となるマクローリンとヒメノが見るのが、顔がないイエス・キリストの幻だというのにも、事実そうだったのかもしれませんが、キリスト教原理主義の香りを見つけ、少し冷めてしまいました。
☆ケイジは、マクローリン本人に似せたのでしょうが、いつものキレがなく、見ていてイマイチでした。この演技で評価されても嬉しくないでしょう。『ウェザーマン』(レビューは、こちら!)の方がはっきり上です。
☆『クラッシュ』(レビューは、こちら!)出演で注目を浴びたマイケル・ペーニャ。どこか小狡そうな感じがして、同情できませんでした。脚本をもっと工夫してもらわないと。
☆ジョンの妻ドナ・マクローリン役のマリア・ベロ。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(レビューは、こちら!)でも『シークレット・ウィンドウ』(レビューは、こちら!)でもピンときませんでしたが、本作もそう。夫のことを心配する辛さはわかるのですが、それ以上が伝わってきません。彼女の演技力というよりも、脚本のせいだとは思うのですが・・・。
☆期待していたアリソン・ヒメノ役のマギー・ギレンホールにも、肩透かしを喰らってしまいました。『ハッピー・エンディング』(レビューは、こちら!)の彼女の方により感情移入できました。
☆パニック映画として見ても、高層ビルの大火災を描いた『タワーリング・インフェルノ』の方がもっと感動的な映画に仕上がっていました。負けています。

タワーリング・インフェルノ
☆本作、脚本の弱さにつきると思います。調べてみると、脚本担当のアンドレア・バーロフはこれ以前に一本も映画の脚本を書いていない様子。荷が重すぎたのではないでしょうか。
++++++++++
ともあれ、特撮も大したことなく、監督の主張もハッキリせず、映画として見ると大いに期待はずれでした。
本作の前に、アメリカ礼賛の『ミラクル』を見ていたせいもあって、相当複雑な気分になったのでした。
今月オープンしたユナイテッド・シネマ豊洲に行ったことがなかったのでそちらに見に行こうかと思ったら、上映されているのが122名定員のスクリーン4。同じユナイテッド・シネマ系列の豊島園はどうだと思ったら、こちらも185名定員のスクリーン9。どちらも画面が小さそうなので、もともとの方針通り、歩いて行ける、スクリーンが大きいだけがとりえ(?)の新宿プラザに決定です。
月曜の朝一番の10時15分だしガラガラだろうと思っていたら、やっぱり驚くほどのガラガラぶり(!?)。1000名以上入る小屋なのに20人もいたのかどうか・・・。不吉な予感に襲われます。
そして、その予感は当たりました。『ダ・ヴィンチ・コード』(レビューは、こちら!)の教訓を忘れるべきではありませんでした。ゴウ先生、見始めてすぐ豊洲か豊島園に行っておけばよかったと後悔した次第です。
まずもって、映像がいけません。2001年9月11日の未明の暗闇の再現からスタートする本作なのに、プラザでは最後部につけっ放しの非常灯があるために、その明かりがスクリーンに反射され、クリアな映像が楽しめないのです。
しかも、映画の後半は瓦礫に閉じ込められた暗闇のシーンが映画の大半を占めますので、なおのこと悲惨です。だれがどこにいるのか判然としません。
予告編で流れた『どろろ』の画面は見事だったのに・・・。プラザも悪いのでしょうが、もともとのフィルムの画質もそれほどよくはなさそうです。
さらに、先が読めるストーリー展開が眠気を誘います。大方の観客は、たった5年前のことですから、9/11テロのことならかなり詳しいことまで知っています。そういう観客に感動を与える映画的仕掛けがほとんどありません。これならば、既存のフィルムを再編集してドキュメンタリー映画を作ってくれた方がまだましでした。
その意味で、わが敬愛するニコラス・ケイジがあまりにも無策な警官役だったことに唖然。こう言っては何ですが、実話から離れたとしても、ひとりでも助けてそれで生き埋めになったという話にするのかと思ったら、さにあらず。ただ、言葉は悪いですが、何もできずビルの崩壊により下敷きになっただけ。
これならば、ケイジを救出隊の隊員にして映画を作るべきだったのではないでしょうか。意図がよく分かりません。
おそらくアメリカ人ならばこれでも感動できるのでしょう。しかし、9/11以後アメリカがアフガニスタンやイラクでしてきたことを見ている、外国人であるわれわれは、こうしたアメリカ・サイドに偏った映画を見てもなかなか感情移入できません。
最後、ケイジたちを発見するのが、義憤に駆られボランティアとして勝手に現場に入り込んだ海兵隊員であったということには、その唐突な登場の仕方とサイコのような顔つきに怯えさせられます。そして、その海兵隊の軍曹が、イラク戦争に出征したというテロップに、ゾッとしました。
この部分こそオリバー・ストーンがもっとしつこく描くべきだったのではないでしょうか。たとえ正義の御旗を掲げても、無辜のアフガニスタン人やイラク人が大量に死傷しているのは事実。ワールド・トレード・センターで人を助けた海兵隊員が、イラクでは人を殺しているのです。
往年のストーンならば、こうした暴力の連鎖を痛烈に批判し、たとえ自国民の感情に反するものであろうが、正しいと思ったことは正しいと信じた映画を作る反骨の映画人だったはず。それが警官の救出劇を再現するだけでよかったのでしょうか。理解に苦しみます。
ともあれ、5年経っても、ストーンをしても、映画的快感を与える作品が作れない9/11という事件。かえってそこに9/11の恐ろしさを感じたのでした。
++++++++++
画質(ビスタ): C-
上記したように、新宿プラザにおいて本作を見るべきではありません。しかもビスタ・サイズのスクリーンですから、プラザをしても大きく感じず、本当にガッカリしました。絵自体も小ぢんまりとした構図が多いので、小さなスクリーンでも映画の評価は本質的に変わらないと思います。
音質(ドルビーデジタル?): B+
思ったよりも地味なサウンド・デザインでした。ワールド・トレード・センターの崩落シーンではもっと凄まじい重低音にKOされるかと期待していたいのですが、残念でした。(プラザのせい?)
英語学習用教材度: B+
ヒスパニックの警官があれほどニューヨークの港湾警察PAPD(Port Authority Police Department)に多いとは思いませんでした。様々な土地の英語のアクセントが聞けて、さすがニューヨークを舞台にした映画だと感心したほどです。ただし、聞き取りにくいのは事実だし、会話量が少ないのも確か。映画館で本作から英語を勉強できる人は相当な実力の持ち主です。
++++++++++
気になるところを、アト・ランダムに。
☆宣伝文句に家族愛を描いたとありますが、ジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)の家族もウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)の家族もただうろたえて帰りを待ちわびているだけという設定では、たとえ途中回想シーンを挿んだとしても、涙を流すほど心打たれるというわけには行きませんでした。哀切さは十分に伝わってきましたが。
☆セリフも印象的なものがありません。せいぜいマクローリンが病院で妻のドナに向かって言う“You kept me alive”くらいでしょうか。確か「君のおかげで、生き延びられた」という字幕が出ていたと思いますが。
☆瓦礫の下で意識朦朧となるマクローリンとヒメノが見るのが、顔がないイエス・キリストの幻だというのにも、事実そうだったのかもしれませんが、キリスト教原理主義の香りを見つけ、少し冷めてしまいました。
☆ケイジは、マクローリン本人に似せたのでしょうが、いつものキレがなく、見ていてイマイチでした。この演技で評価されても嬉しくないでしょう。『ウェザーマン』(レビューは、こちら!)の方がはっきり上です。
☆『クラッシュ』(レビューは、こちら!)出演で注目を浴びたマイケル・ペーニャ。どこか小狡そうな感じがして、同情できませんでした。脚本をもっと工夫してもらわないと。
☆ジョンの妻ドナ・マクローリン役のマリア・ベロ。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(レビューは、こちら!)でも『シークレット・ウィンドウ』(レビューは、こちら!)でもピンときませんでしたが、本作もそう。夫のことを心配する辛さはわかるのですが、それ以上が伝わってきません。彼女の演技力というよりも、脚本のせいだとは思うのですが・・・。
☆期待していたアリソン・ヒメノ役のマギー・ギレンホールにも、肩透かしを喰らってしまいました。『ハッピー・エンディング』(レビューは、こちら!)の彼女の方により感情移入できました。
☆パニック映画として見ても、高層ビルの大火災を描いた『タワーリング・インフェルノ』の方がもっと感動的な映画に仕上がっていました。負けています。

タワーリング・インフェルノ
☆本作、脚本の弱さにつきると思います。調べてみると、脚本担当のアンドレア・バーロフはこれ以前に一本も映画の脚本を書いていない様子。荷が重すぎたのではないでしょうか。
++++++++++
ともあれ、特撮も大したことなく、監督の主張もハッキリせず、映画として見ると大いに期待はずれでした。
本作の前に、アメリカ礼賛の『ミラクル』を見ていたせいもあって、相当複雑な気分になったのでした。
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