2006.08.22 Tuesday
ビヨンドtheシー 〜夢見るように歌えば (DVD)


ビヨンドtheシー ~ 夢見るように歌えば ~
原題: Beyond the Sea (2004)
2005年2月26日 日本初公開
公式サイト: http://www.gaga.ne.jp/beyondthesea/
ゴウ先生総合ランキング: A
映像(ビスタ): A-
音質(ドルビーデジタル5.1ch): A-
英語学習用教材度: A-
伝記映画に見はまるゴウ先生、往年のアメリカのスター歌手兼俳優のボビー・ダーリン(1936−1973)の生涯を描いた本作に注目しました。
ここ最近、『レイ』や『ウォーク・ザ・ライン』などアメリカの歌手の伝記映画が流行ですが、個人的には本作が一番ではないかと思います。
まずもって、製作・監督・脚本・主演をやったケヴィン・スペイシーの執念が違います。歌も踊りも吹き替えなし。なのに、見事のひと言。オスカー俳優の底力を見せてくれるのでした。
しかも、仕掛けが面白い。ボビー・ダーリンは早死にしているので、撮影当時45歳のスペイシーが20歳のデビュー当時のダーリンを演じるのには無理がある部分があります。(下は本物のダーリンの写真。)

そこで、そういう批判をかわすためか、始まってすぐのところでダーリンが自伝映画を作っているという設定にし、その中で新聞記者に「老けたあなたが若き日のあなた自身を演じるのは変だ」となじらせるシーンを作るのです。こうすることで、年上で老けて見えるスペイシーの欠点を自ら補おうとしています。なかなかの手です。(それでも、35歳前後の男性とは思えない老け方をスペイシーはしていますが。)
ただし、その自伝映画が全編を覆うかといえば、そうでもなく、子供時代のダーリンが出てきてスペイシーとやりあう手法とあわせて混乱を引き起こしやすいのは事実。それでも、個人的には、違和感はないことはないまでも、スペイシーの卓越した演技力の方が見ごたえがあるために、許せる範囲でした。
ともあれ、リウマチ熱のために、15歳までしか生きないだろうといわれたダーリンが、母親の影響を受けて音楽の世界にのめり込み、フランク・シナトラを目指して一歩一歩スターダムの道を究めていく姿は、わくわくするものがあります。
面白いのが、人生の試練に対する本作の描き方です。ダーリンを試練が襲う度に、本作ではその部分が劇中劇であるという設定をうまく利用して、瞬時にそのどん底から抜け出せるようになっているのです。何と前向きな発想なのでしょう!
たとえば、大好きだった母親の死を知り、葬式で悲しみにくれているダーリンが映ると、このまま彼はしばらく悲嘆にくれてうつ状態になるのではないかと思っていたら、それは劇中劇であり、そこから出るとそこはCBSのスタジオという設定になっているのです。
こんな映画ですから、辛いことがあったら、いきなり歌を唄い、踊りだして、それを払拭するようになったミュージカル仕立てを取っているのです。唐突で変というのではなく、ダーリンの人生はすべて音楽によって救われたというスペイシーの考えの表われだと考えるべきなのです。
ハッピーエンドで終わる映画ではありませんが、スペイシーが愛したように、見終わるとボビー・ダーリンがいとおしく思えるようになりました。しみじみします。いいです、これ。
++++++++++
画質(ビスタ): A-
Gump Theatreの120インチ・スクリーンにおいても、メリハリのある絵でドラマを盛り上げてくれます。衣装の原色が実に鮮やかです。
音質(ドルビーデジタル5.1ch): A-
音楽の部分が実にすばらしい。スペイシーのバリトン・ボイスが心に響きます。日本語吹き替えでセリフの部分を聞いている人には、歌になるとそのギャップに驚かれることでしょう。
英語学習用教材度: A-
会話量も多く、多少下品な英語もあるもののそれほどの問題でもなく、本来ならAでもおかしくないのですが、残念なことに英語字幕がついていません。この評価もやむなしです。
++++++++++
気になるところを、アト・ランダムに。
☆ゴウ先生、ジャズの女性ボーカルは好きなものの、男性ボーカルをフランク・シナトラを含めてまず聞きません。ゆえに、ボビー・ダーリンのこともよく知りませんでした。そのために、冒頭スペイシーが「マック・ザ・ナイフ」を唄いだすときには、それはシナトラの十八番だろうと思った次第です。
☆成功していく背景で、「名前を変えると運が開ける」と信じて、ボビー・ダーリンという芸名にし、「人は見かけで聴くPeople hear what they see.」と信じて、カツラをつける。天賦の才能と努力があったのでしょうが、それだけでは成功しないとスペイシー自身が思っているゆえの演出でしょう。実に説得力があります。
☆原題は、スタンダード・ナンバーの「ビヨンド・ザ・シー」から採られています。本作では、サンドラ・ディー(ケイト・ボスワース)にプロポーズする場面で、踊りつきで歌われます。どう見ても父娘にしか見えない恨みが残るのは事実ですが、これだけの歌と踊りで迫られたら、ディーの心も傾くと納得できるわけです。(下は、本物の二人の写真。)

☆ケヴィン・スペイシー。やっぱり老けすぎです。もう少し首の辺りのたるみを取っていればよかったのにと惜しまれます。
☆ケイト・ボスワース。この間見た『綴り字のシーズン』の時とは別人のようです。『スーパーマン・リターンズ』のロイス・レイン役ではまた違う側面を見せてくれるのでしょうか。期待が募ります。見に行かなきゃ。
☆久々に見たジョン・グッドマン。容姿も声も好きなのですが、やはりあれだけ太っていると主役はなかなか与えられないかもしれません。しかし、活躍してほしい俳優さんです。
☆ボビー・ダーリン本人。心臓が悪いというのに、タバコを吸ったり、酒を飲んだり、夜更かしをしたり。ショー・ビジネスの世界で生きる以上仕方なかったのかもしれませんが、もったいない話です。
☆やっぱり、スタンドード・ナンバーはよいものです。本作のサントラが欲しくなりました。

ビヨンドtheシー~夢見るように歌えば~
サントラ, ケヴィン・スペイシー
++++++++++
ポリーとニーナを含めた親子関係の問題など少し軽く扱っていて、人間ドラマとして見ると物足りなさを感じるところもありますが、音楽ドラマとして見ると楽しくなります。やりたいことをすべてやりきったスペイシーに脱帽する映画です。
ここ最近、『レイ』や『ウォーク・ザ・ライン』などアメリカの歌手の伝記映画が流行ですが、個人的には本作が一番ではないかと思います。
まずもって、製作・監督・脚本・主演をやったケヴィン・スペイシーの執念が違います。歌も踊りも吹き替えなし。なのに、見事のひと言。オスカー俳優の底力を見せてくれるのでした。
しかも、仕掛けが面白い。ボビー・ダーリンは早死にしているので、撮影当時45歳のスペイシーが20歳のデビュー当時のダーリンを演じるのには無理がある部分があります。(下は本物のダーリンの写真。)

そこで、そういう批判をかわすためか、始まってすぐのところでダーリンが自伝映画を作っているという設定にし、その中で新聞記者に「老けたあなたが若き日のあなた自身を演じるのは変だ」となじらせるシーンを作るのです。こうすることで、年上で老けて見えるスペイシーの欠点を自ら補おうとしています。なかなかの手です。(それでも、35歳前後の男性とは思えない老け方をスペイシーはしていますが。)
ただし、その自伝映画が全編を覆うかといえば、そうでもなく、子供時代のダーリンが出てきてスペイシーとやりあう手法とあわせて混乱を引き起こしやすいのは事実。それでも、個人的には、違和感はないことはないまでも、スペイシーの卓越した演技力の方が見ごたえがあるために、許せる範囲でした。
ともあれ、リウマチ熱のために、15歳までしか生きないだろうといわれたダーリンが、母親の影響を受けて音楽の世界にのめり込み、フランク・シナトラを目指して一歩一歩スターダムの道を究めていく姿は、わくわくするものがあります。
面白いのが、人生の試練に対する本作の描き方です。ダーリンを試練が襲う度に、本作ではその部分が劇中劇であるという設定をうまく利用して、瞬時にそのどん底から抜け出せるようになっているのです。何と前向きな発想なのでしょう!
たとえば、大好きだった母親の死を知り、葬式で悲しみにくれているダーリンが映ると、このまま彼はしばらく悲嘆にくれてうつ状態になるのではないかと思っていたら、それは劇中劇であり、そこから出るとそこはCBSのスタジオという設定になっているのです。
こんな映画ですから、辛いことがあったら、いきなり歌を唄い、踊りだして、それを払拭するようになったミュージカル仕立てを取っているのです。唐突で変というのではなく、ダーリンの人生はすべて音楽によって救われたというスペイシーの考えの表われだと考えるべきなのです。
ハッピーエンドで終わる映画ではありませんが、スペイシーが愛したように、見終わるとボビー・ダーリンがいとおしく思えるようになりました。しみじみします。いいです、これ。
++++++++++
画質(ビスタ): A-
Gump Theatreの120インチ・スクリーンにおいても、メリハリのある絵でドラマを盛り上げてくれます。衣装の原色が実に鮮やかです。
音質(ドルビーデジタル5.1ch): A-
音楽の部分が実にすばらしい。スペイシーのバリトン・ボイスが心に響きます。日本語吹き替えでセリフの部分を聞いている人には、歌になるとそのギャップに驚かれることでしょう。
英語学習用教材度: A-
会話量も多く、多少下品な英語もあるもののそれほどの問題でもなく、本来ならAでもおかしくないのですが、残念なことに英語字幕がついていません。この評価もやむなしです。
++++++++++
気になるところを、アト・ランダムに。
☆ゴウ先生、ジャズの女性ボーカルは好きなものの、男性ボーカルをフランク・シナトラを含めてまず聞きません。ゆえに、ボビー・ダーリンのこともよく知りませんでした。そのために、冒頭スペイシーが「マック・ザ・ナイフ」を唄いだすときには、それはシナトラの十八番だろうと思った次第です。
☆成功していく背景で、「名前を変えると運が開ける」と信じて、ボビー・ダーリンという芸名にし、「人は見かけで聴くPeople hear what they see.」と信じて、カツラをつける。天賦の才能と努力があったのでしょうが、それだけでは成功しないとスペイシー自身が思っているゆえの演出でしょう。実に説得力があります。
☆原題は、スタンダード・ナンバーの「ビヨンド・ザ・シー」から採られています。本作では、サンドラ・ディー(ケイト・ボスワース)にプロポーズする場面で、踊りつきで歌われます。どう見ても父娘にしか見えない恨みが残るのは事実ですが、これだけの歌と踊りで迫られたら、ディーの心も傾くと納得できるわけです。(下は、本物の二人の写真。)

☆ケヴィン・スペイシー。やっぱり老けすぎです。もう少し首の辺りのたるみを取っていればよかったのにと惜しまれます。
☆ケイト・ボスワース。この間見た『綴り字のシーズン』の時とは別人のようです。『スーパーマン・リターンズ』のロイス・レイン役ではまた違う側面を見せてくれるのでしょうか。期待が募ります。見に行かなきゃ。
☆久々に見たジョン・グッドマン。容姿も声も好きなのですが、やはりあれだけ太っていると主役はなかなか与えられないかもしれません。しかし、活躍してほしい俳優さんです。
☆ボビー・ダーリン本人。心臓が悪いというのに、タバコを吸ったり、酒を飲んだり、夜更かしをしたり。ショー・ビジネスの世界で生きる以上仕方なかったのかもしれませんが、もったいない話です。
☆やっぱり、スタンドード・ナンバーはよいものです。本作のサントラが欲しくなりました。

ビヨンドtheシー~夢見るように歌えば~
サントラ, ケヴィン・スペイシー
++++++++++
ポリーとニーナを含めた親子関係の問題など少し軽く扱っていて、人間ドラマとして見ると物足りなさを感じるところもありますが、音楽ドラマとして見ると楽しくなります。やりたいことをすべてやりきったスペイシーに脱帽する映画です。
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