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『壽 初春大歌舞伎』夜の部「絵本太功記」

 

歌舞伎座 一幕見席 立見(1600円) 
2019年1月13日(日)4:29−5:48
公式サイト:https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/597

 

演目: 絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場

 

ゴウ先生総合評価: A+

 

ひょっこりと時間ができたため、昨日、歌舞伎座へ行ってきました。今年の初芝居です。理由は、いうまでもなく、大ファンである中村吉右衛門の『絵本太功記』を観るためです。

 

いつも通り、一幕見席を利用します。地下鉄を使って4時15分に歌舞伎座に着いて、チケットを買うと、入場番号は103番。立見です。とはいえ、80分もない本作、狭い椅子に座るよりも、立見のほうが、肉体的にも精神的にも楽です。

 

すぐに4階に上がったのですが、残念ながら、顔なじみの係員さんがいません。ちょっと寂しいおもいをしながら、大好きな上手の場所に向かうと、そこにはだれも立っておらず、気分よく見物できたのでした。

 

☆作品の成立

 

原作は、寛政11(1799)年大坂・豊竹座で初演された、近松柳、近松湖水軒、近松千葉軒による全13段の時代物人形浄瑠璃。その翌年、歌舞伎化。歌舞伎では、その10段目の「尼ヶ崎閑居の場」だけが義太夫狂言として上演されることがほとんど。

 

☆戦後の上演歴

 

戦後60回目の本興行上演。

 

武智光秀をもっとも演じたのは、9回の十三世片岡仁左衛門。続いて、7回の二世尾上松緑、6回の十二世市川團十郎、5回の初世松本白鸚。吉右衛門は、4回目。初世吉右衛門は、3回。

 

☆配役

 

           武智光秀
              操
          武智十次郎
             初菊
           佐藤正清
           真柴久吉
             皐月
 吉右衛門
 雀右衛門
 幸四郎
 米吉
 又五郎
 歌六
 東蔵

 

☆あらすじ

 

舞台は、本能寺の変から10日経った尼崎の庵室。

 

息子の武智光秀(中村吉右衛門)が主君の小田春永を討ち取ったために、母の皐月(中村東蔵)は憤り、自分の屋敷を出て庵室に引きこもっています。

これを心配した光秀の妻・操(中村雀右衛門)が、息子の武智十次郎(松本幸四郎)とその許嫁の初菊(中村米吉)を連れて、庵室に訪ねました。

18歳になる十次郎は、光秀と春永の家臣真柴久吉(中村歌六)との間で合戦が始まったために、その初陣に出る許可を皐月からもらおうとします。しかし、気がかりは初菊のこと。戦死する覚悟でいる十次郎、結婚してしまえば、初菊は未亡人になるのは必至。このまま別れたほうがよいと十次郎は考えます。

しかし、初菊は十次郎が大好き。十次郎が出陣するのを止めますが、十次郎は聞きません。鎧を身につけ、出陣する覚悟。祖母の皐月と母の操は、十次郎と初菊に祝言の盃を交わさせますが、それが別れの盃になることは重々承知の上です。

そこへ旅の僧のなりをした久吉が皐月に風呂を勧めますが、皐月はお先にどうぞと言い、操と初菊とともに仏間に入ります。

やがて夜も更けたころ、庵室の裏の竹やぶから光秀が現れます。久吉が庵室に入るのを見て、久吉を討とうとやってきたのです。竹やぶから取った竹でやりを作ると、庵室の中にそっと入っていきます。すると中に人の気配がするので、竹やりで刺すと、それは何と母親の皐月でした。呆然とする光秀の周りに騒ぎを聞きつけた操と初菊がやってきます。

瀕死の皐月は、息子が主君を討った謀反人だからこのような状態になっても仕方ないと嘆き、息子を「人非人」と罵ります。操も、改心を諭します。ですが、光秀はそれを受け入れません。春永は主君ではないと言い切るのです。

そこへ、重傷を負った十次郎が現れ、久吉の家臣佐藤正清(中村又五郎)の軍勢に武智軍がやられてしまったと報告した後、皐月と相前後して十次郎も死んでしまいます。

光秀が庭先の松の木に上って見渡すと、久吉の軍勢が押し寄せてくるのが見えます。光秀が敵陣に攻め入ろうとすると、庵室の中から久吉が現れます。庭先には、佐藤正清も駆けつけます。庵室の中で光秀の動向を探っていたのでした。

久吉に斬りかかろうとする光秀を制して、久吉は山崎にて戦をしようと言って、別れるのでした……。

 

☆義太夫狂言の傑作

 

本作の主演は、だれが何といおうが、竹本葵太夫です。何せ俳優のセリフが切り詰められ、3分の2は葵太夫が語るのですから。

 

その葵太夫を支える三味線方の鶴澤寿治郎も、すばらしい限り。目で生の人間俳優を追い、耳で葵太夫の名調子の語りを聴くことで、伝統歌舞伎の深淵を旅することができ、これぞ歌舞伎の醍醐味と得心してしまったのでした。

 

葵太夫のあの若干ハスキーな声が、貧乏英語塾長にはセクシーでたまりません。正確な音程はもちろん、三味線とのハーモニーが絶妙なため、聴き惚れてしまうのです。
 

前半の主役である十次郎を演じる幸四郎は、4回目。ニンそのものです。弁慶よりも熊谷直実よりも、この十次郎がピッタリだといえます。しかも、悲劇のヒーロー。こういっては何ですが、初めて幸四郎の舞台に心から感心した次第です。

 

米吉は、それなり。もう少し十次郎へのひたむきな愛が観て取れればとおもうのですが、ややもの足りません。

 

東蔵は、隠れたMVP。この人の重厚な存在感があるからこそ、十次郎も、光秀も輝きます。皐月役は、当代では、東蔵と片岡秀太郎のものといえましょう。

 

歌六又五郎は、ほんのわずかな登場ですが、さすがといえる存在感。絵面を支える美しさに、惚れ惚れします。

 

そして、真打・吉右衛門の登場に、心が高鳴りました。古怪な青隈で顔を拵えた姿が、光秀の苦悩を表します。よりによって、実母を竹やりで刺して殺してしまうという、何から何までついていないアンチヒーローぶりも悪くありません。実母と実子を死なせてしまう悲哀が全身から匂いたち、人の世の無常を感じさせるのが、たまらないのです。

 

光秀は、決して派手な動きがある役ではありません。ですが、それだからこそ光秀俳優の器量が問われる役でもあります。十二世団十郎亡きいま、吉右衛門を当代屈指の光秀役者と呼んでも間違いはありません。

 

葵太夫の語りに酔いしれ、吉右衛門の存在感にしびれた79分。義太夫狂言は、やっぱり素敵です。

 

| 歌舞伎 | 10:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
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