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芸術祭十月大歌舞伎 夜の部『助六曲輪初花桜』

 

歌舞伎座 一幕見席 立見(2200円) 
2018年10月16日(火)6:36−8:32
公式サイト:https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/586

 

演目: 助六曲輪初花桜

 

ゴウ先生総合評価: A-

 

昨日、歌舞伎座へ行ってきました。夜の部の『助六』を観るためです。

 

今回は、成田屋のものではない松嶋屋のものなので、『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』ではなく、『助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら)』と外題が変わります。

 

片岡仁左衛門が助六を演じます。ですが、現在74歳(19944年3月14日生まれ)ということを考えると、これが最後の助六になりそうです。一世一代は謳っていませんが、インタビューでは「集大成」といっています。いま観ておかないと、次はないかもしれず、後悔しそうです。というわけで、何とか時間が作れた昨日、出かけてきました。

 

歌舞伎座に着いたのは、5時50分。チケットは買っていません。貧乏英語塾長が利用するのは、一幕見席です。

 

4階に上がって、チケットを買おうとしたら、カウンターの女性係員の背後に再開場以来顔なじみとなっている女性係員がいて、笑顔で挨拶してくれているではないですか。おもわず、こちらも笑顔がこぼれます。手を振って返しました。ある意味、この人がいるから、4階通いがやめられません。下では味わえない温かい人間づきあいです。

 

入場番号は、110番。席は96席しかありませんから、当然、立見です。想定の範囲内なので、準備はしてきました。モンベルのトレッキングパンツの下にスキンズのコンプレッション・タイツを履き、足元はアシックスのジョギングシューズできています。2時間の立見ぐらい、何の何のの態勢です。

 

チケットと筋書き(1300円)を買うと、いったん外へ出て、歌舞伎座隣の富士そばで腹ごしらえです。天ぷらそば(410円)に「賢者の食卓」を一包入れて、完食。これを入れると、血糖値の上昇が抑えられ、シュガークラッシュが起きないので、食後眠たくならないのです。観劇前の糖質が多い食事には、いまや欠かせません。

 

4階に戻ります。集合時刻は、6時10分。直前の『吉野山』から残る人が大量にいるらしく、行列の長さは、いつもの半分以下です。みんな仁左衛門の助六と中村兄弟を見たいのです。

 

入場すると、いつもの場所である、上手の通路前に向かいます。幸い、だれもそこにいません。バックパックを置いて、陣取ります。あとは時間までベンチに座って休みます。何せ2時間の長丁場ですから。

 

☆成立の経緯

 

原型は、正徳3(1713)年3月江戸山村座で二世市川團十郎によって初演された『花館愛護桜(はなやかたあいごのさくら)』。その後、曽我兄弟の伝説と結びついて現在のような形に。七世團十郎が「歌舞伎十八番」に選定。

 

☆戦後の上演歴

 

今回で、戦後70回目の本興行公演。

助六を最も演じたのは、19回の十二世團十郎。続いて、11回の十一世團十郎、8回の当代市川海老蔵、7回目の当代片岡仁左衛門、6回の十七世勘三郎。

揚巻は、13回の六世中村歌右衛門が最高。次いで、12回の七世尾上梅幸、11回の四世中村雀右衛門、9回の坂東玉三郎、4回の中村福助。中村七之助は、初役。

意休は、当代市川左團次の16回が、断然トップ。2位は、8回の八世坂東三津五郎、17世市村羽左衛門。中村歌六は、2回目。

 

白酒売りは、12回の当代尾上菊五郎、8回の十三世仁左衛門、7回の当代坂田藤十郎。中村勘九郎は、初役。

 

☆主な配役

助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら)

三浦屋格子先の場
             花川戸助六
             三浦屋揚巻
            白酒売新兵衛
              通人里暁
             若衆艶之丞
              朝顔仙平
             三浦屋白玉
             福山かつぎ
               男伊達
               男伊達
               男伊達
               男伊達
           文使い番新白菊
             傾城八重衣
              遣手お辰
          くわんぺら門兵衛
              髭の意休
             三浦屋女房
               母満江

                後見
 仁左衛門
 七之助
 勘九郎
 彌十郎
 片岡亀蔵
 巳之助
 児太郎
 千之助
 竹 松
 廣太郎
 玉太郎
 吉之丞
 歌女之丞
 宗之助
 竹三郎
 又五郎
 歌 六
 秀太郎
 玉三郎

 松之助 

 

☆あらすじ

 

舞台は、桜満開の吉原仲之町三浦屋前。

三浦屋最高の人気太夫揚巻(中村七之助)が、酔っ払って、松葉谷女房(片岡秀太郎)などを引き連れ三浦屋に戻ってきます。すると、店先で三浦屋の上客であり揚巻にご執心な髭の意休(中村歌六)がやってきて、揚巻に迫ります。

しかし、揚巻には意中の恋人花川戸助六(片岡仁左衛門)がいて、意休を相手にしません。そこで、意休は助六の悪口をいいだします。すると、怒った揚巻が、意休をなじり(悪態の初音)、三浦屋の中に入ります。

助六がやってきました。花魁や新造に大人気の助六は、大量の吸い付け煙草をもらいます。意休も吸い付け煙草を欲しがりますが、すべて助六に取られていて、もらうことができません。その姿を見た助六は、意休をからかいます。

そんな折り、店の中から意休の子分であるくわんぺら門兵衛(中村又五郎)とその弟分である朝顔仙平(坂東巳之助)が登場し、女郎にもてないことを意休に愚痴ります。

イライラしている門兵衛の前を福山のかつぎ(片岡千之助)がうどんの出前に通りかかります。ぶつかられた門兵衛は、福山かつぎにいちゃもんをつけます。しかし、助六が間に入り、門兵衛と仙平を打ちのめします。それどころか、意休の頭に下駄を載せて意休を挑発します。門兵衛たちは地回りの連中とともに助六に討ちかかろうとしますが、助六の相手ではありません。

そこに現れたのが、白酒売りの新兵衛(中村勘九郎)です。助六は驚きます。新兵衛の本名は曽我十郎祐成。本名が曽我五郎時致である助六の兄だったからです。

どうしてこんなに喧嘩ばかりしているのかとなじる新兵衛に対して、助六は敵討ちに必要な源氏の重宝・友切丸を探すためだと説明します。

それを聞いて納得した新兵衛は、助六の手伝いをしたいと申し出て、助六から喧嘩の仕方を教わります。助六も、その教えを実践の中で伝えようと、通りかかった若衆艶之丞(片岡亀蔵)、通人里暁(坂東彌十郎)に股くぐりをさせて、刀を検分します。

そこへ、揚巻が編笠姿の侍を伴って現れます。助六は、先ほどと同様に侍に喧嘩を売りますが、編笠の下の顔を見て、引き下がります。新兵衛が代わりに喧嘩を売りますが、やはり顔を見て隠れてしまいます。その侍に見えたのは、実はふたりの母親曽我満江(坂東玉三郎)だったのです。

満江は、喧嘩ばかりしている助六が心配で、揚巻に連絡を取っていました。しかし、助六から友切丸を探すために喧嘩をしているのだと聞かされると、安心します。喧嘩で怪我などしないようにと紙衣を助六に与え、新兵衛とふたり去って行きます。

助六が紙衣に着替えた時、意休が再び現れます。助六は、揚巻の打ち掛けの下に隠れます。それを知らない意休は、相変わらず揚巻に向って助六の悪口を言い続けます。がまんできなくなった助六が姿を表しますが、母の言いつけを守って意休に手を出しません。意休は、そんな助六を親不孝者と扇でぶちます。そして、親兄弟が力を合わせないと、このようになるといって、刀で香炉台を真っ二つに斬り、三浦屋の中に入って行きます。

その刀を見た助六は、それが友切丸であることに気づき、意休のあとを追おうとします。しかし、ここで騒いでは人目があってよろしくないと揚巻が止め、意休を誘い出す手順を助六にささやきます。その言葉に従う助六は、いったんその場から去っていくのでした……。

 

☆勘九郎が救う

 

期待していた芝居ですが、結論からいえば、裏切られてしまいました。仁左衛門、七之助、歌六、児太郎、彌十郎が、深い感動を与えてくれなかったのです。救いは、勘九郎と巳之助でした。このふたりがいなかったら、とおもうとゾッとします。

 

まず、冒頭花道から出てくる七之助。揚巻は酔っ払っていなければならないのですが、七之助には酔っ払い特有のとろりとした目がありません。マジできつい目なのです。吉原一の花魁が酔っ払って隙を見せているところが本作の面白さなのに、真面目くさった七之助の顔では見物は酔えません。このあたり、玉三郎はもちろん、福助もすばらしかったところでした。その後も、肩に力の入った雰囲気で、七之助の揚巻には満足できませんでした。

 

次いで登場する歌六の意休も、古怪さと重厚さに欠けます。もっとどっしりとしたモンスターでないと、助六や揚巻が映えません。この人らしからぬ軽々さで、ファンとしては期待外れに終わりました。

 

児太郎の白玉も、イマイチ。渡辺保先生が書かれているように、白玉は揚巻と同格の花魁。つまりは、いつでも揚巻と立場が換われる技量と美しさを問われます。2010年の前歌舞伎座のお名残講演では、玉三郎の揚巻に児太郎の実父・福助の白玉で、場内を盛り上げました。その覚悟が4階席からは児太郎に見えません。いつでも七之助の座を取ってやるという気迫と華麗さに欠けていたのは、残念です。

 

期待の仁左衛門も、あれだけ朗々としたセリフ回しと口跡がよい人が、なぜかいまひとつ音量が足りず、キレがよくありません。舞台から遠く離れた4階席でもいつもは楽に聴き取れるセリフが、今回は耳をとがらせなければならず、驚きでした。

 

さらに、花道からの出も、4階から見ると、重心が高く、しっとりとした美しさが出ていません。名手のこの人らしからぬ無造作さです。コミカルな部分も、いささか笑いのツボを外し気味。意休に対する吸い付け煙管への働きかけも、どこか嫌味になっています。もっとカラッとしているのが仁左衛門らしさであり、助六のはず。仁左衛門大丈夫かと心配してしまったのでした。

 

彌十郎の通人も、笑いが足りません。お名残公演の十八世勘三郎、新歌舞伎座杮落し公演の十世三津五郎の通人は、大笑いの連続でした。特に、三津五郎は、勘三郎を亡くした直後であったのに、『あまちゃん』ネタでじぇじぇとおもわせたり、海老蔵のブログをからかい場内を大爆笑に導きました。それが、彌十郎は勘三郎が天国から勘九郎と七之助を見守っているだろうと辛気臭いことをいうのです。こんな通人はいりません。

 

以上、不満たらたらの『助六』だったのですが、救いは勘九郎と巳之助です。

 

まず、巳之助の朝顔利平が、明快なセリフ回しと軽妙な身体の動きで、無邪気に笑えます。この人の十一代目三津五郎襲名が、いまから楽しみです。

 

圧巻は、勘九郎の白酒売りです。この人のおかしさは、格別。真面目な顔をして、徹底的におかしいのです。当代随一の菊五郎の白酒売りに追いつくどころか、追い越さんばかりの巧みさには、感心しました。

 

弟助六にケンカを習う場面、うまくできないオネエな白酒売りの頑張りが、肩の力が抜けた自然さで、見物としては嫌みなく笑えます。仁左衛門とのケミストリーも、見事。立派な白酒売りであり、将来は勘九郎の助六を観たくなります。

 

というわけで、過去に観た團十郎と海老蔵の豪華版『助六』と比べると、小粒であり、感動もそれなりなのが残念でした。ですが、玉三郎が定位置の揚巻ではなく、助六の母役を演じたり、秀太郎がちょい役で登場したりするなど、贅沢な部分もあり、しかも、勘九郎と巳之助という次代を担う役者がしっかりと期待以上の働きをし、最後にはそれなりの満足を得ることができたのでした。

 

助六は、何があろうと、だれが死のうと、豪華絢爛でなければならないのです。

 

 

| 歌舞伎 | 11:51 | comments(1) | trackbacks(0) |
コメント
大同感!です。私は10月24日水曜日観劇したのですが、あまりに期待が度外れてまいりましたので、、仁左衛門さん、お疲れ様です、、な感慨こそあれ、感激にはいたれず、でした。やはり助六役は実年齢も体力、気力、度外れた常識はずれ感が伴う年代の人がしてこそのものなのかなあ&#12316;と、ご自身をいたわりながらの舞台をつとめられている仁左衛門さんにおやりいただきもうしわけないような気持ちでした。次の機会を待ちたいです。自分が生きておれたら、ほろ酔いの七之助さん、で拝見したいものです。
| 石毛教子 | 2018/11/08 11:22 AM |
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