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Mute/ミュート(Netflix)

 

原題:Mute (2018)
上映時間:2:06:38
2018年2月23日Netflix配信開始:国内劇場未公開・国内BD/DVD未発売
公式サイト:https://www.netflix.com/title/80119233

ゴウ先生総合評価: A-/B+
  画質(2.00:1): A-/B+
  音質(Dolby Digital Plus 5.1): A/A-
  英語学習用教材度: B+

 

月に囚われた男』(2009)『ミッション:8ミニッツ』(2011)『ウォークラフト』(2016)のダンカン・ジョーンズ監督・原案・脚本による英独製SF・サスペンス。

 

共同脚本は、『シャーロック・ホームズ』(2009)『ポンペイ』(2014)のマイケル・ロバート・ジョンソン

 

主演は、アレキサンダー・スカルスガルド

 

準主演は、ポール・ラッドジャスティン・セロー

 

その他、セイネブ・サレーロバート・シーアンギルバート・オーアヤニス・ニーヴーナーロブ・カジンスキーノエル・クラークドミニク・モナハン

 

サム・ロックウェルが、『月に囚われた男』(2009)のサム・ベル役でカメオ出演。

 

☆酷評された映画ではあるが……

 

これだけのすばらしい製作陣と俳優たちです。さぞ評価も高かろうとおもっていたら、とんでもなく低いものでした。Rotten Tomatoesでは、支持率16%で、10点満点中4.1点。Metacriticでは、100点満点中35点という惨状です。ヴィジュアル的には洗練されているが、内容はわかりにくく混乱しているというのが多くの批評家の意見です。

 

しかし、アレキサンダー・スカルスガルドもポール・ラッドも大好き。ダンカン・ジョーンズの才能にも惚れています。というわけで、観てみることにしたのでした。

 

☆あらすじ

 

舞台は、未来のクリスマス・シーズンの独ベルリン。

 

レオ・ビーラー(アレキサンダー・スカルスガルド)は、アメリカで生まれたアーミッシュです。子供のころに、首に大怪我を負い、アーミッシュの伝統にしたがって、母親が手術を拒んだために、口が利けなくなりました。伝統回帰運動の中、レオはアーミッシュの故郷であるドイツに戻ってきていました。それから30年、いまはベルリンの怪しいストリップ・クラブでバーテンダーをしています。

 

レオには、同じクラブでウェイトレスとして働くナディーラ(セイネブ・サレー)という恋人がいました。しかし、ナディーラの過去をレオは何も知りません。

 

そんなある日、レオの部屋でふたりが愛を交わした翌朝、ナディーラが消えてしまいました。調べていくと、ストリップ・クラブを経営するギャングのボスであるマクシム(ギルバート・オーア)が絡んでいたのです。

 

さらに、カンダハルから逃げ出した米脱走兵(AWOL)で闇医者であるカクタス・ビル(ポール・ラッド)の関与が浮かび上がってきました。同じ元米看護兵で正規の医者として働くダック(ジャスティン・セロー)とともに、マクシムとつながりがあったのです。

 

カクタスにはジョージー(ミア=ソフィー&リー=マリー・バスティン)という幼い娘がいるのですが、ナディーラと関係がありそうです。レオは、カクタスをさらに調べることにしたのでした……。

 

☆おもったよりも、面白い

 

雰囲気は、『ブレードランナー』(1982)。舞台は、ロサンゼルスからベルリンに変わっていますが、退廃的で救いのない状態は、共通しています。そこで、そのSF映画の傑作と比べられてしまって低評価になっているのでしょうが、切り離して観ると、なかなかのものです。

 

まずもって、アメリカを出て故郷ドイツへ帰ったレオ、カンダハルから逃げ出して帰りたいのに脱走兵であるがゆえに帰れないカクタス、そこに謎のナディーラが絡むことで、ベルリン自体がそうであるように、登場人物の間に底の見えない閉塞感が漂います。3人ともベルリンから抜け出して自分の希望をかなえたいとおもっているのですが、『月に囚われた男』(2009)が月から逃げ出せなかったように、3人ともそこから抜け出せないのです。

 

このシチュエーションをいったん受け入れ、レオの過酷な半生を想像すると、「愛」の渇望と本物の愛を手に入れるためには何でもしてしまうレオの行動に共感を覚えるようになります。

 

謎が残るのは、冒頭、子供時代のレオ(レヴィ・エイゼンブレッター)が首を切って病院へ運ばれるときに付き添ったアーミッシュの少女(ロージー・ショー)の存在です。

 

カメラがふたりだけの写真がレオの部屋の壁に飾ってあるところを映すところを見ると、特別な存在です。そして、そのあとでアーミッシュがドイツに帰国したことを報じる新聞の切り抜きも壁に掛けてあるのもカメラがとらえ、そのあとでナディーラの写真が映し出されます。

 

少女とナディーラが同一人物であるかどうかはわかりません。ですが、ドイツ訛りが一切ないアメリカ英語をナディーラが話すところを見ると、ナディーラがアメリカで育ったことがうかがえます。その少女と同じか、もしくはレオにとって初恋の相手であろう少女をおもわせるものをナディーラがもっていたことが推測できるのです。

 

このように想像すると、ドイツに戻っても、まだ「心の故郷」をレオが探していたのだと納得いきます。それだからこそ、想いを自由に口に出せないレオの苦しさがより理解できるのです。決してわかりにくい話ではありません。

 

このレオの苦悩を的確に表現するアレキサンダー・ステラスガルドには、圧倒されます。194僂猟洪箸より際立つような配役とカメラワークのせいで、実身長よりも大きく見えるからです。しかも、ギャングたちを相手に激しく戦う場面も、レオが格闘技の専門訓練を受けていないことがわかる素朴で乱暴な戦い方で敵を制圧していきます。まるで野獣です。そのくせ、繊細な絵や彫刻をものにするのですから、そのギャップがたまりません。そして、ステラスガルドには野獣性と知的さが同居しており、レオを生身の人間に仕立て上げています。

 

レオが水泳、ことに潜水泳に熱中するのも、クライマックス場面につながる仕掛けではあるのですが、水の中では口を利く必要がなく、話したくとも口が利けないがゆえのことでしょう。ベルリンの巨大なプールを巨大なステラスガルドが泳ぐと、この世界はレオのものだとおもえます。ダンカン・ジョーンズの巧い演出です。

 

ポール・ラッドが、悪役を演じるのには、参りました。しかも、他人の気持ちを理解しようとしないわがままで凶暴な男。他人はもちろん、妻であろうが、友人であろうが、親しい人物にさえ激しい言葉を投げかけ暴力をふるうのですから、たまりません。アントマンが、これだけのクズ男を演じたのは初めてのはず。しかし、それがピッタリなのです。カクタスに対して同情のかけらももたずにすむほど、憎々しいのです。ラッドの演技の引き出しの多さに感心してしまうとともに、この意外な配役と演出実現させたダンカン・ジョーンズにも脱帽するしかありません。

 

ドイツ人女優のセイネブ・サレーのナディーラも、感動的でした。本作で存在を知りましたが、その美しさがたまりません。ドイツの映画・TVで活躍して、本作が海外英語映画初出演なのですから、当然のことですが、もっと英米の映画に出てもらいたいものです。アメリカ英語も完璧に話せますし、それだけの魅力がある人です。

 

ジャスティン・セローも、なかなか。あまり好きな俳優ではなかったのですが、本作の演技はしっかりと記憶に残り続けることでしょう。

 

オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)『モーガン プロトタイプ L-9』(2016)のローラ・ジェニングズによる編集も、かなりのキレ味。セリフではなく、映像でストーリーをつなぐというダンカン・ジョーンズの意図が、しっかりと反映されています。

 

内容: A-/B+

 

++++++++++

 

画質(2.00:1): A-/B+

 

Gump TheatreにてOppo UDP-203から2K契約の1080・60i信号を直接HDMIケーブルによってソニーVPL-HW30ESに送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映しています。コーデックは、不明。伝送レートも、不明。

 

撮影は、『月に囚われた男』(2009)でダンカン・ジョーンズと組んだ、『ヴィジット 消された過去』(2015)のゲイリー・ショウ

 

機材は、レッド・エピック・ドラゴンHDカメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(4K)。

 

Netflixの通常画質です。最新BDにははるかに及ばず、DVDよりやや上の画質となっています。本作の真価を味わうには、4K契約をするしかないのでしょうか。本当は、4K UHD BDを4Kディスプレイ/プロジェクターで見るのがいちばんであるに違いありません。ですが、その発売予定は、英米独でもありません。

 

解像度は、甘め。最新HDカメラを使って、4KのDIファイルから配信される作品ですから、高い解像度を期待していたのですが、大きく裏切られてしまいました。ただし、それなりの彫りの深さと奥行き感は出ていますが、特筆するほどのものではありません。

 

場面によって色温度が変更されています。ベルリンの市街地・レオの部屋・クラブを描くときは、色温度が高くなり、ブルーが支配し、冷涼とした空気感を伝えます。それに対して、カクタスの家や娼館内部では色温度が低くなり、オレンジが支配的です。色パレットは少なくないものの、全体的にくすんでいます。肌の質感にも、やや違和感を覚えます。

 

暗部情報量は、まずまず。黒が結構沈み、コントラストはそれほど高くなく、暗い場面が多いにもかかわらず、見づらいシーンはほとんどありません。

 

120インチの大画面の視聴では、5m以上離れるべきでしょう。

 

音質(Dolby Digital Plus 5.1): A/A-

 

Oppo UDP-203からソニーVZ-555ESに、サラウンドバック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネル分をラインアウト接続して再生。伝送レートは、不明。音量は、マイナス30デシベル。

 

絵と比べて、音はかなりの好印象です。

 

左右前後に音を定位させる音響設計。後方に回る音数も、かなりの量です。左右の広がりは十分で、立体音場の密度感も高く、包囲感も移動感もかなりのものになっています。音の出所とスクリーンとのマッチ度もほぼ正確です。

 

ノイズフロアは低く、マイナス30デシベルという大音量でも、うるさくはありません。音の角が丸まることはなく、くっきりしています。ポップミュージックが多用される音楽の分離感も悪くありません。

 

セリフの抜けが、やや問題。くぐもるように聞こえます。それでも、発音は聴き取りやすく、レンジも広く、高音も伸びます。

 

超低音成分の量は、まあまあ。控えめですが、時おり感じられます。もっとズッシリとしたLFEを味わいたいものです。

 

英語学習用教材度: B+ 

 

日本語・英語字幕ならびに日本語吹き替えつき。

 

セリフは、多め。ですが、俗語・卑語が、F-wordがのべつ幕なしで登場するなど、多用されますので、テクストに使うには細心の注意が必要です。そのうえ、ドイツ語もかなり使われます。

 

ただし、英語字幕は、確認した限り、ほぼ完璧にセリフをフォローしていますし、挿入歌の歌詞も出ます。勉強しやすくはあります。

 

とはいえ、特典が予告編しかないNetflixですから、これ以上の評価は無理です。

 

++++++++++

 

☆原題も、Mute。「口のきけない人」「唖(おし)」という意味です。

 

サム・ロックウェルがサム・ベルとして登場するのは、開始25分過ぎの議会の公聴会で尋問されている場面です。

 

☆エンド・クレジットで、本作が実父デヴィッド・ボウイ(デヴィッド・ジョーンズ)と乳母マリオン・スキーンに捧げられたものだとわかります。

 

☆アメリカでも、BD・DVDはリリースされていません。

 

+++++++++++

 

アレキサンダー・スカルスガルド、ポール・ラッド、ダンカン・ジョーンズのファンの方、必見。わかりにくい本作ですが、その分あれこれ考える楽しみを観客に与えてくれる映画でもあります。画質は、平凡。音質は、まずまず。ファンの方限定で、オススメします!

 

| 外国映画(マ行) | 11:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
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