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スリー・ビルボード

 

原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri (2017)
上映時間:116分
2018年2月1日 国内劇場初公開
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/


TOHOシネマズシャンテ スクリーン1 B-9
2018年2月19日(月)19時40分の回

ゴウ先生総合評価: A+
  画質(2.39:1/Digital): A/A-
  音質(Linea PCM): A/A-
  英語学習用教材度: D-

 

ヒットマンズ・レクイエム』(2008)と本作でアカデミー脚本賞にノミネートされている、『ザ・ガード 〜西部の相棒〜』(2011)『セブン・サイコパス』(2012)のマーティン・マクドナー監督・製作・脚本によるブラック・コメディ的サスペンス・ドラマ。

 

主演は、『ファーゴ』でアカデミー主演女優賞を受賞し、『ミシシッピー・バーニング』(1988)『あの頃ペニー・レインと』(2000)『スタンドアップ』(2005)で同助演女優賞にノミネートされ、『スリー・ビルボード』(2017)で今回のアカデミー主演女優賞最有力候補といわれているフランシス・マクドーマンド

 

準主演は、『ラリー・フリント』(1996)でアカデミー主演男優賞、『メッセンジャー』(2009)と本作で同助演男優賞にノミネートされたウディ・ハレルソン、本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされている、『セブン・サイコパス』(2012)でもマーティン・マクドナーと組んだ、『月に囚われた男』(2009)『プールサイド・デイズ』(2013)『バッド・バディ!私とカレの暗殺デート』(2016)のサム・ロックウェル

 

その他、アビー・コーニッシュピーター・ディンクレイジケイレブ・ランドリー・ジョーンズルーカス・ヘッジズジョン・ホークスが共演。

 

アカデミー賞では、作品賞・主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)・助演男優賞(ウディ・ハレルソンサム・ロックウェル)・脚本賞・作曲賞・編集賞にノミネート。

 

☆絶対に観たかった1本

 

今年の映画賞を席巻している作品です。その受賞歴から、アカデミー賞でも作品賞・主演女優賞・助演男優賞(サム・ロックウェル)・脚本賞は本作が獲ると予想しています。

 

とはいえ、未見ですから、実際に観なければとずっとおもっていました。ところが、なかなか都合がつきません。理由のひとつは、近場で4Kプロジェクター上映館が少ないことにあります。頼みのTOHOシネマズ新宿と同日本橋が4K上映していないのです。いちばん近いところで、TOHOシネマズ・シャンテのみ。仕方ないので、シャンテに行く算段をしていたら、昨日やっと時間が取れたので、最終回に潜り込むことができたのでした。

 

予約なしで開始8分前に劇場へ到着してみると、前3列はだれも座っていません。となれば、大好きな2列目中央通路脇の席を確保します。かぶりつき派の貧乏英語塾長、シネスコもビスタも、どんとこいです。

 

あとから3列目にふたり座ってきましたが、真後ろに座る人はだれもおらず、他の観客の干渉ゼロで楽しむことができたのでした。

 

☆あらすじ

 

舞台は、米ミズーリ州の田舎町エビング。

 

ある日、道路脇に立つ3枚の立て看板(three billboards)に、地元警察への辛辣な抗議メッセージが現れます。それは、娘アンジェラ・ヘイズ(キャスリン・ニュートン)を殺されたミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)によるものでした。7ヵ月たっても、捜査一向に進展しないことに業を煮やしてのことです。

 

名指しされた署長のウィリアム・“ビル”・ウィロビー(ウディ・ハレルソン)は困惑しながらも冷静にミルドレッドの理解を得ようとしますが、部下のジェイソン・ディクソン巡査(サム・ロックウェル)はミルドレッドへの怒りを露わにします。

 

さらに、膵臓がん末期で余命いくばくもない署長を敬愛する町の人々、ミルドレッドの息子ロビー(ルーカス・ヘッジズ)、元夫のチャーリー(ジョン・ホークス)も広告に憤慨し、立て看板を取り除くようにミルドレッドに忠告するのでしたが、ミルドレッドは聞き入れません。そのため、ミルドレッドへの嫌がらせがより激しくなっていくのでした……。

 

☆至極の脚本を手練れの役者たちが魅せる

 

圧巻の脚本です。とにかく、先が読めません。マーティン・マクドナーの、というよりここ数年の映画の中でもっとも優れた脚本といえます。ひたすら感心しながら、観てしまいました。

 

冒頭、髪をひっつめて粗末なつなぎに身を包んだフランシス・マクドーマンドが車を運転する場面と、使われていない3つの立て看板が映っただけで、ぞくっとします。余計な前置きも何もなし。観客を、この異常だけれども、十分にありえる現実世界に叩き込むのです。脚本と、地味ではありますが、ジョン・グレゴリーの編集の妙味といえます。貧乏英語塾長は、ここだけを観て、ただものではない映画だと恐れおののいた次第です。

 

そのあと、ミルドレッドがとんでもない女性・ゲイ・小人・人種差別主義的警察とその支持者(特に、太った歯科医)を相手に戦い続けるその凄さ。つなぎを着ていることもあって、まるでマクドーマンドが『エイリアン2』(1986)のリプリー(シガーニー・ウィーヴァー)に、ディクソンを始めとする警官たちがエイリアンに見えてきます。このあたりのプアホワイトがもつ差別意識は本当に不気味で、時代錯誤のように見えて、いまのアメリカを象徴しているのだと確信してしまいます。

 

この差別意識は、小人俳優のスーパースター、ピーター・ディンクレイジをミルドレッドに片想いを寄せる中古車ディーラーに仕立て、ディクソンのみならず、ミルドレッドからも差別を受けるように描く当たり、マクドナーの冴えであるとともに、一筋縄ではいかないアメリカ社会の本質を見せてくれます。

 

少しホッとさせられるのが、ウィロビー署長の存在なのですが、それすらも、映画は末期膵臓がん患者にしてしまい、自死の道を選ばせます。何たることぞと唖然としていたら、秀逸な脚本は、遺した手紙で署長を復活させるのです。何とすばらしいたくらみなのでしょう。

 

最後の“Not much”(あんまり)で突然終わるエンディングも、秀逸。やっと微笑むミルドレッドを観て、最後の最後までやられてしまったとニンマリしてしまいます。

 

繰り返します。もの凄い脚本です。アカデミー脚本賞受賞、決定です。

 

その脚本を見事に再現した役者たちも、絶品です。

 

つなぎを着て、足元はトレッキングブーツで固めて、化粧もしないミルドレッドは、男のようにふるまいます。まるで女であることを捨てているように見えますが、そんなことはありません。内面は優しい母性をもっており、その崩壊を食い止めて戦い続けるために男のような恰好をしているのです。そのことは、徐々にわかっていきます。

 

この振幅の烈しいミルドレッドを、フランシス・マクドーマンドがまさしくこれこそがミルドレッドなのだとおもわせる卓越した演技を見せてくれるのです。ミルドレッドの泥臭い迫力を演じられる女優を、シャーリーズ・セロンなど何人か頭に描きはしたものの、やはりマクドーマンドでなければとおもってしまいました。『ファーゴ』を超えています。アカデミー主演女優賞受賞、決定です。

 

サム・ロックウェルは、いつものサム・ロックウェル。何でもこなせる人ですから、このくらいの演技は当たり前だとファンですからおもってしまいます。ですが、それでもこれまた余人に代えがたいディクソンであることも間違いありません。しびれました。特に、人種差別主義者からめざめるあたりの転換の巧さ。拍手を送ります。アカデミー助演男優賞受賞、決定です。

 

ウディ・ハレルソンにも、アカデミー助演男優賞をあげたいのですが、ロックウェルにもっていかれるのでしょう。ファンとしては、心裂かれる想いです。それくらい、本作の恩情あふれるウィロビー署長をハレルソンは自分のものにしていました。

 

その他、ミルドレッドの元夫ジョン・ホークス、息子のルーカス・ヘッジズ、立て看板を出した広告会社社長のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、そしてディクソンの母役のサンディ・マーティン、この4人がいるだけで、本作には深みが加わりました。脇役こそが重要なのです、すばらしい映画には。

 

他の候補作を観ていない段階でのフライング審査ですが、アカデミー作品賞も本作がもっていくと確信します。わからないのは編集賞だけですが、これもひょっとしたら、ひょっとします。それくらい116分があっという間に過ぎ去ってしまいました。

 

手ごろな価格になったら、海外盤BDを取り寄せて、再見します。それに耐えうる映画であることは間違いありませんから。

 

++++++++++

 

画質(2.39:1/デジタル): A/A-

 

撮影は、『セブン・サイコパス』(2012)でマーティン・マクドナーと組んでいる、『レイヤー・ケーキ』(2004)『ハンニバル・ライジング』(2007)『スターダスト』(2007)『ブローン・アパート 』(2008)『キック・アス』(2010)『ペイド・バック』(2010)『ザ・ライト -エクソシストの真実-』(2011)『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(2011)『タイタンの逆襲』(2012)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)『リピーテッド』(2014)『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』(2015)『ドクター・ストレンジ』(2016)ベン・デイヴィス

機材は、アリ・アレクサ・XT・プラスHDカメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(2K)。

 

4Kプロジェクター上映。

 

アレクサで撮影された絵を4Kプロジェクターで上映されているのですから、もっと先鋭的な絵だとおもっていたのですが、かなり期待外れです。軟調といってよいほど、細部が甘く感じられます。それでも、彫りはかなり深く、奥行きも出ているのが救いです。

発色は、ニュートラル。色数は多いのですが、どこか白茶けたように見えて、鮮明さに欠けます。色乗りも、もう少しパワフルであったらとおもうところです。スキントーンは、ナチュラル。疲れ切ったフランシス・マクドーマンドの肌がリアルです。


暗部情報は、相当。黒がよく沈み、コントラストはそれほど高くないものの、階調も滑らかで、見づらいシーンはありません。

 

2列目で見上げましたが、シネスコとはいえ、固定されたカメラワークがほとんどですから、何の不都合もなく楽しめました。

 

音質(Linear PCM): A/A-

 

一応、左右前後に音を定位させた音響設計ではありますが、後方からの音数は少なく、フロント重視になっています。後方からの音数が増えるのは、音楽がなったときだけです。包囲感も移動感も、十分とはいえません。

 

ノイズフロアは、最低レベル。音量も、適切。メタリック成分も混入せず、不快にさせられることはありません。ただし、セリフをしっかりと聞いて欲しかったのか、環境音はあまり入っていないか、音量レベルが低くなっていました。

 

音楽は、どれもこれも、分解能が高くて、爽やか。冒頭、ルネ・フレミングが唄う『夏の名残のばら(The Last Rose of Summer)』(日本でいう『庭の千草』)の響きにうっとりし、アバの『チキチータ』の純度の高さにしびれました。

 

セリフの抜けは、まったく文句なし。サ行がきつくならず、発音も明瞭です。音像も膨らまず、口元に寄り添います。

 

超低音成分は、控えめ。ほとんど入っていないのではないでしょうか。

 

英語学習用教材度: D-

 

字幕翻訳は、伊藤美和子。

 

セリフは、大量。無数のF-wordを始め、大量の俗語・卑語が登場し、圧倒されます(R指定)。テクストとして使うのは、スラングを研究する場合に限られます。一般の英語勉強家は、これで英語を勉強してはなりません。しかも、早口でまくし立てる場面が多く、癖のある発音をする俳優が多いですから、本作を字幕なしで正確に理解するのは至難の業です。

 

翻訳は、これだけ難しいテクストに対して、健闘していました。なるほどとおもわされる工夫が方々にあり、感心した次第です。これだけ難しいテクストですから、頼りがいのある日本語字幕を利用しましょう。

 

++++++++++

 

気になるところを、アト・ランダムに。

 

☆原題は、Three Billboards Outside Ebbing, Missouri。直訳すれば、「ミズーリ州エビングの外にある3枚の立て看板」となります。なお「エビング」という町は、実在しません。撮影は、ノースカロライナ州で行われています。それにしても、やっぱり「3枚の立て看板」という邦題ではだめだったのでしょうか。カタカナじゃあねえ……。

 

☆本作を観たら、マーティン・マクドナーに対するコーエン兄弟の影響の大きさがわかります。主役にジョエル・コーエン夫人のフランシス・マクドーマンドや音楽にカーター・バーウェルを起用したことも含めて、この脚本・演出にもそれを感じます。今度、じっくりと両者を比較してみたいものです。

 

☆1500万ドルの製作費で、これまでのところ、全米4837万ドル、海外で6382万ドル、世界で1億1219万ドルのメガヒット。凄い収益率です。

 

米盤Blu-ray Discは、4K UHD BDとともに、2018年2月27日に発売されます。

 

 

 

映像仕様は、はっきりしませんが、音声と字幕はつぎのようになります。

 

 音声:DTS-HD Master Audio 5.1(英語)
    DTS 5.1(西・仏語)
 字幕:英・西・仏語

 

特典は、次の映像特典です。

 

 Featurette: "Crucify 'Em: The Making of Three Billboards"
 Six Shooter (Short Film)

 

米アマゾンは、BDが19.96ドル、4K UHD BDが24.96ドルで予約販売しています。いますぐほしくなりました。

 

++++++++++

 

映画ファン、絶対必見。ぜひ画質のよい劇場でどうぞ。非常に強くオススメします!

 

| 外国映画(サ行) | 08:09 | comments(1) | trackbacks(0) |
コメント
凄み、という点で、おそらく他の作品を圧倒する出来でしたね!
| onscreen | 2018/02/20 8:00 PM |
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