CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
英語で「日本国憲法」を読んでみる―The Constitution of Japan
英語で「日本国憲法」を読んでみる―The Constitution of Japan (JUGEMレビュー »)
別冊宝島編集部
英語で憲法を読んでみれば、戦勝国アメリカから押し付けられたことが手に取るように分かります。50年以上、修正されていない憲法。時代にそぐわない内容。それでも、憲法改正、不要ですか?
★★★★★
RECOMMEND
駅 STATION [DVD]
駅 STATION [DVD] (JUGEMレビュー »)

高倉健を知りたければ、まずこの一本。「渋さ」の意味が分かります。★★★★★
<< 『E.T.』の米盤4K UHD BDを買ってしまった | main | 日本未公開『Jolene』は、米盤BDで観るしかない >>
十二月大歌舞伎 第三部『瞼の母』

 

歌舞伎座 一幕見席 B-43 2000円
2017年12月20日(火)6:30‐8:12
公式サイト:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/548

 

ゴウ先生総合評価: A++

 

昨日、歌舞伎座へ行ってきました。坂東玉三郎と市川中車(香川照之の歌舞伎名です)が共演する『瞼の母』を見物するためです。結論から申し上げますと、期待以上のすばらしい舞台でした。最後は「大当たり!」と掛け声をかけたほどです。

 

歌舞伎座へ着いたのは、6時5分。その時点で入場番号は56番。意外と人気がないようです。長谷川伸の新歌舞伎というのでは、集客力は上がらない時代なのでしょうか。残念ではありますが、混雑した劇場が苦手な貧乏英語塾長には勿怪の幸いです。大好きな上手通路側の席を押さえられたうえに、周囲も空席だらけ。幸運としかいいようがありません。

 

☆上演記録

 

長谷川伸が昭和5(1930)年に手掛けた新歌舞伎。翌昭和6(1931)年、東京明治座において初演。

 

戦後21回目の本興行上演。

 

忠太郎をもっとも多く演じたのは、4回の十七世中村勘三郎。次いで、3回の当代市川猿翁、初世中村錦之助、十八世中村勘三郎。中車は、初役。

 

おはまは、二世中村鴈治郎の3回が最多。次いで2回の初世喜多村緑郎、淡島千景、玉三郎。

 

☆配役

 

      番場の忠太郎
 金町の半次郎
  板前善三郎
   娘お登世
半次郎妹おぬい
  夜鷹おとら
  鳥羽田要助
 素盲の金五郎
半次郎母おむら
 水熊のおはま
 中車
 彦三郎
 坂東亀蔵
 梅枝
 児太郎
 歌女之丞
 市蔵
 権十郎
 萬次郎
 玉三郎

 

☆あらすじ


時は、江戸時代末期の寛永年間のある春の日。

序幕 金町瓦焼の家

博徒である江州阪田郡番場(現在の滋賀県坂田郡米原町)の出身の忠太郎(市川中車)が、武蔵国金町(現在の東京都葛飾区金町)にある瓦焼き職人の惣兵衛の家に訪ねてきます。弟分の半次郎(坂東彦三郎)に会うためです。

ところが、応対に出た妹のおぬい(中村児太郎)も母のおむら(市村萬次郎)も半次郎はいないと言い張ります。親分笹川繁蔵の仇飯岡助五郎に手傷を負わせた半次郎を子分ふたりが探して実家を訪ねてきたために、忠太郎もその一味だと思いこんでいるのです。

5歳の時に母親と生き別れになった忠太郎は、30になる今日まで母恋いしさに旅から旅への股旅暮らしを続けています。息子をかばおうとする母親の愛に忠太郎は、心を打たれてしまいました。半次郎に堅気になるようにと言伝をして、その場を立ち去ろうとします。

ところが、そこへ半次郎を狙ったふたりがやってきたため、忠太郎はふたりを斬り倒してしまいます。しかし、そのまま立ち去れば、半次郎に疑いがかかります。そこで、字が書けない忠太郎は、おむらの手を借りて、自分がふたりを殺したという内容の書状をしたためます。

おむらを見て母親への想いが募った忠太郎は、母親がいると噂に聞いた江戸へ向かうのでした。

大詰 第一場 夏の夜の街

江戸に出た忠太郎は、母親を探しますが、見つかりません。年老いた三味線弾きの女(坂東玉朗)がそうではないかと思いましたが、人違いでした。

大詰 第二場 柳橋水熊横丁

それから一年以上が経った秋のこと。忠太郎は、柳橋の料理茶屋水熊の台所口で追い払われた夜鷹のおとら(中村歌女之丞)を助けます。もしやおとらが母親かと思ったのですが、そうではありませんでした。

がっかりしたところに、おとらが水熊の女将であるおはまが江州に置いてきた息子のことを思っているという話を聞いて、忠太郎はおはまに会う決意をするのでした。

大詰 第三場 おはまの居間

夫が死んだあと、おはま(坂東玉三郎)は娘のお登世(中村梅枝)を育てることを楽しみに生きてきました。そこへ、自分に会いたいとやってきた男がいると知って、追い返すつもりで会うことにします。

現れた忠太郎は、間違いなくおはまの息子でした。しかし、忠太郎がヤクザ者であることから、お登世に迷惑をかけてはいけないと、「息子は9歳の時に流行病で死んだと聞いている」と言い張って、追い返します。忠太郎も、幸せなおはまの生活をこれ以上乱すのはよくないと考え、その場を立ち去ります。

忠太郎が来たことを聞いたお登世は、兄の苦労を察して、追い返した母親を非難します。しかも、この話を聞いた無頼漢の金五郎(河原崎権十郎)が忠太郎を追っていると聞くと、おはまは母親としての情愛にめざめ、自分のしたことを公開し、お登世とともに忠太郎を探しに出て行くのでした。

大詰 第四場 荒川堤

金五郎は、雇った浪人の鳥羽田要助(片岡市蔵)とともに、荒川の土手で忠太郎を待ち構え、忠太郎が来ると、鳥羽田が襲ってきます。ですが、忠太郎は簡単に鳥羽田を返り討ちにしてしまいます。

そこへ、おはまとお登世が忠太郎を探しにきます。しかし、忠太郎は物陰に隠れてしまいます。ふたりが去ったあと、襲ってきた金五郎も忠太郎は叩き斬り、母の面影を胸に抱いて、その場を立ち去るのでした……。


☆中車に泣かされてしまった

 

よくできた台本です。だれが番場の忠太郎をやっても、そこそこの感動は与えられます。しかし、中車の忠太郎は格別です。中村獅童の忠太郎もよかったですが、中車は獅童を上回ります。歌舞伎座の大舞台に負けない品格の高さがあり、涙なしでは観られません。

 

何よりも、そのセリフ回しのすばらしさに驚嘆します。滑舌はこれ以上ないハイレベルで、音量も的確。すべての言葉が4階席までしっかりと届きます。ことにサ行の艶っぽさには、ゾクゾクしました。しかも、これが大切なところですが、歌舞伎らしくセリフを謳いあげるのがたまらないのです。

 

この舞台には、坂東彦三郎と坂東亀蔵という明瞭なセリフ回しで魅了する音羽屋兄弟がいますから、セリフ劇の本作を心底楽しむことができます。

 

その点、玉三郎の滑舌が悪いのが、惜しまれます。歯の具合が悪いのかとおもうほど。残念でした。ただ、おはまは、忠太郎を息子と認めつつも、水熊の女将としてヤクザ者を家に入れられないジレンマに陥っているので、もごもごとした発声でも、それが役に沿ったもののように感じられるので、それが救いになっていますが、できれば明晰な滑舌で玉三郎節を聴きたいものでした。

 

話を中車に戻すと、セリフだけでなく、身体のキレも、見事。刀を使った殺陣も、力強くこなし、忠太郎のもつ迫力を十分に再現しています。正座でおはまに向き合う姿勢も、立派。決して大柄な人ではありませんが、中車の一挙手一投足に目を奪われるために、舞台を覆いつくさんばかりの大きさに感じられます。

 

はっきり申し上げて、他の歌舞伎役者は、この中車にはなかなか勝てません。悔しいでしょうが、素直に中車から学ぶべきです。

 

その他、すばらしかったのは、歌女之丞。当代随一のおとらです。

 

梅枝、児太郎も、なかなか。ふたりとも美声で、発声がよいので、本作にピッタリです。

 

市蔵と権十郎がほんの端役ですから、歌舞伎座だなと感じ入ります。超贅沢な起用法です。

 

萬次郎も、期待通り。

 

というわけで、玉三郎以外は、すべて満点以上。最初から最後まで泣ける、すばらしさ。中車の持ち役ができました。

 

歌舞伎ファン、必見の舞台といえましょう。

 

| 歌舞伎 | 09:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.indec.jp/trackback/1063718
トラックバック