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芸術祭十月大歌舞伎 夜の部『漢人韓文手管始』

 

歌舞伎座 一幕見席 B-7 1600円
2017年10月24日(火)6:10‐7:48
公式サイト:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/543

 

ゴウ先生総合評価: A+

 

夜の部の歌舞伎座へ行ってきました。滅多にかからない『唐人殺し』を観るためです。結果から申し上げますと、大変すばらしいお芝居で、大いに満足しました。

 

人ごみが苦手な貧乏英語塾長、とても夜の部すべてを窮屈な席で観るのは耐えられません。滅多に上演されない本作を、一幕見席で観ることにしました。

 

立見でも構わないとおもい、歌舞伎座に到着したのが5時51分。チケットを購入すると、入場番号が51番。楽々座れるうえに、貧乏英語塾長のラッキーナンバーではないですか(イチロー選手の背番号が機縁ではありません)。気分よく4階に上がります。

 

すでに、幕見席の入場は終わっており、空いた席を探すと、下手の席は全部空いていて、これはしめたと通路側の席を押さえます。下手からだと花道の役者の顔が見られないのですが、左右前後だれもいないのは最高です(劇中、無粋な人間が目の前に座ってきましたが)。

 

しかも、筋書きを求めにカウンターに行くと、懐かしい女性係員の方が戻ってきているではないですか。髪型が変わっていて最初は気づかなかったのですが、領収書を頼んで、その方の顔を見たら、「〇〇さん?」となって、うれしくなりました。この人は歌舞伎座再開場から3年、一幕見席の担当で、とても明るくて親切で、4階に上がって、この人の笑顔を見たら、それだけで面白くない芝居も楽しめたものでした。

 

ところが、1年半前に異動になり、1階の受付に回るようになって、貧乏英語塾長はたいへん寂しいおもいをしました。折りしも、そのころ広場恐怖症になってしまったために、銀座・歌舞伎座とは縁遠くなったのです。この人の一幕見席での不在は、貧乏英語塾長にとって大きな損失だったのです。

 

その〇〇さんが、4階に帰ってきてくれて、再会できたのですから、こんなにうれしいことはありません。入場番号51番のラッキーナンバーが効きました。松竹、たまにはよいことをやります。

 

☆作品の成立

 

初演は、寛政元(1789)年7月大坂角の芝居。作者は、並木五瓶。その後、改作が重ねられ、今回の脚本は、昭和27年8月大阪歌舞伎座で上演された際の木村錦花による改訂本をもとにした平成6年10月東京歌舞伎座で上演されたときの台本をベースにして上演。

 

☆戦後の上演歴

 

今回で、4回目。前3回は、昭和27年8月大阪歌舞伎座、昭和43年12月国立劇場、平成6年10月東京歌舞伎座。

 

すべての俳優が、初役。

 

☆主な配役

 

漢人韓文手管始(かんじんかんもんてくだのはじまり)
 唐人話 二幕五場

 

    十木伝七
    傾城高尾
     奴光平
    傾城名山
   太鼓持長八
   同  善六
    須藤丹平
     珍花慶
     呉才官
  相良和泉之助
 千歳屋女房お才
    幸才典蔵
 鴈治郎
 七之助
 松也
 米吉
 竹松
 廣太郎
 福之助
 橘太郎
 片岡亀蔵
 高麗蔵
 友右衛門
 芝翫

 

☆あらすじ

 

舞台は、長崎。

 

花街の妓楼・千歳屋に唐からの使者として正使の呉才官(片岡亀蔵)と副使の珍花慶(市村橘太郎)が滞在し、その大通辞として幸才典蔵(中村芝翫)が付き添っています。

 

呉才官は、千歳屋抱えの傾城・名山(中村米吉)にご執心。しかし、名山は唐使の饗応役を務める大名・相良家の若殿和泉之助(市川高麗蔵)と相思相愛の仲です。ゆえに、呉才官の相手をするのが嫌でなりません。

 

そういう名山を先輩の傾城・高尾(中村七之助)は心配しています。その高尾も、和泉之助の配下の十木伝七(中村鴈治郎)と人目を忍んだ恋を育んでいます。

 

ところが、この高尾に典蔵がぞっこんなのでした。それにもかかわらず、高尾が伝七との仲を典蔵に話したために、話がこじれます。

 

国分寺(こくぶじ)の客殿において、参集した大名たちが、唐使への献上品を披露する場で、病に倒れた珍花慶の代理として唐人の格好をした典蔵がその献上品を吟味します。そこへ和泉之助が菊一文字の槍の穂先を差し出すと、典蔵がいきなり「真っ赤な偽物」と言い放ちます。事前の伝七との話し合いで、その穂先を認めてくれるとなっていたのに、高尾が伝七と相思相愛であることを知り、嫉妬して嫌がらせに出たのです。

 

しかし、和泉之助と伝七は訳がわかりません。そこで、客殿の外の奥庭で伝七が典蔵にその理由を尋ねます。しかし、あれほどいい人だった和泉之助が、まるで別人です。けんもほろろに伝七を罵り続けます。切れた伝七は、典蔵をその穂先で刺し殺します。

 

その責任を取って自害しようとした伝七ですが、そこへ和泉之助と奴光兵(みつへい:尾上松也)が現れ、自害を止められ、伝七は本物の菊一文字の槍があるという妙見山へと向かうことにしたのでした……。

 

☆大当たり!

 

戦後4回目で、23年ぶりの上演ということで、次がいつ観られるかわからない作品です。ゆえに、勉強のつもりでたいして期待せずに出かけたのですが、これが大当たりでした。

 

渡辺保先生がほめておられるのも、むべなるかな。しかも、24日目ということで、すべての役者がそれぞれの役をしっかりと自分のものにしていて、安定感抜群です。キズはほとんどありません。素直に楽しむことができました。

 

何をおいても、芝翫の善人のときの愛嬌と可愛らしさ、それが嫉妬に駆られて悪人になってしまう鮮やかな切り替えが見ものです。序幕第二場の後半で、高尾とふたりきりで話す場面。高尾は伝七のことを語っているのですが、典蔵は自分のことを話されていると勘違いし、にやついて辺りを見回すシーンの面白さたるや、絶品そのもの。芝翫のセリフ回しのうまさと役の性根をとらえた演技にしっかりと酔えました。

 

その後、高尾が伝七に惚れていることを知って、がらりと人が変わり、唐人の姿をして伝七に向かって「見知らぬわい!」と怒鳴りつける憎たらしさにビビります。日本人が唐人の格好をするように、善人が悪人になったその歪さが、この芝居に深みを与えているのです。その転換と憎々し気な大敵を見事に表現した芝翫は、さすがとしかいいようがありません。次代を背負う時代物役者です。

 

鴈治郎の伝七も、つっころばしの柔らかみがあって、高尾から惚れられるのも当然という風情。味があります。いいです、この人。

 

とはいえ、舞台をさらったのは、個人的にMIP(Most Impressive Player)をあげることにした高麗蔵でした。ぴんとこなの和泉之助を下品に堕することなく、面白可笑しく演じ切った高麗蔵は、格別です。これまでずいぶん高麗蔵を観てきましたが、今回の和泉之助役がベストでしょう。この人がいたおかげで、伝七の苦労や典蔵の悪役ぶりにさらに輝きが増したといえます。

 

渡辺先生からは批判されることが多い米吉ですが、時分の花の輝きを見せて、悪くありません。24日目ということで、ずいぶん名山役も手中に入れていたようにおもいます。むしろ、高尾役の七之助がいまひとつ魅力に欠けていたようでした。

 

それにしても、「唐人殺し」と呼ばれていた狂言が、いつの間にか「唐人話」という外題になっているのはどういうことでしょう。唐人の格好をした典蔵が殺されることを表した通称外題ですから、こちらのほうが絶対によいはず。こういう改悪はいただけません。

 

ともあれ、こんな面白い狂言は、23年に1回ということではなく、せめて5、6年に1回は上演してもらいたいものです。再演を楽しみにしています。

 

| 歌舞伎 | 06:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
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