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秀山祭九月大歌舞伎『逆櫓』

 

歌舞伎座 一幕見席 立見 2000円
2017年9月25日(月)4:30‐6:15
公式サイト:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/536
ゴウ先生総合評価: A++

 

中村吉右衛門の大ファンである貧乏英語塾長、「秀山祭九月大歌舞伎」を見逃したくなくて、千穐楽の歌舞伎座に出かけてきました。

 

お目当ては、もちろん、昼の部の幕切れの『極付幡随長兵衛』と『夜の部の幕開けのひらかな盛衰記 逆櫓』です。今日は、後者の感想を述べさせていただきます。

 

買うのは、いつもどおり、一幕見席。『長兵衛』がはねたあと(感想は、また今度)、すぐにカウンターに行って、チケットを購入します(入場番号は67番)。それから、『逆櫓』の集合時間まで50分ほどあったので、いったん外へ出て腹ごしらえです。

 

向かったのは、ゆで太郎銀座5丁目店。新橋演舞場で歌舞伎公演が行われていた時には、しょっちゅう行っていたところですが、いまはさっぱり。何年ぶりかわかりません。がっつり食べたかったので、二枚もり(470円)の注文です。でも、昔より味が落ちたよう。不満を覚えながら、店を出て、そのあたりをぶらりぶらりと歩いて時間をつぶします。

 

4時ごろ歌舞伎座4階に上がり、整列をして4時10分過ぎに入場。好きな席がすべて押さえられていて、しかも、かなり混んでいるので何だか嫌になり、立見を選びます。1時間40分以上の長丁場ですし、『長兵衛』も立見だったので、座りたいとおもっていたのも事実ですが、好きな場所で観たいのと他人と接したくない気分だったので、立見をえらんでしまいました。

 

まあ、座りっぱなしは死出の一里塚ですから、立見のほうがよいのかもしれません。実際、同じようにおもう同好の士が6名ほどいて、空席を無視して立っていました。歌舞伎ファンなら、こういう道もあります。

 

☆作品の成立


原作は、元文4(1739)年4月大坂竹本座で初演された全五段の人形浄瑠璃。文耕堂・三好松洛・浅田可啓・竹田小出雲(二世竹田出雲)・千前軒(初世竹田出雲)の合作。今回上演される『逆櫓』は、その三段目の切り。文耕堂の作と伝えられています。

本作についた形容詞「ひらかな」は、『源平盛衰記』をやさしく描いたものだということ。ですが、現代人にとっては決して平易ではありません。まずは、源平合戦を背景に、義経が木曽義仲を討ち、一ノ谷の合戦に至るまでを描いた作品と理解しておけばよいのでしょう。

 

☆戦後の上演歴

『逆櫓』は、今回で戦後31回目の上演。

 

高麗屋・播磨屋のお家の芸と呼ばれているように、主役の樋口次郎兼光をもっとも多く演じているのは、8回の松本白鸚(八世幸四郎)と当代松本幸四郎。実弟の吉右衛門は、それに続く4回目の樋口です。

ちなみに、それに続くのは十七世中村勘三郎の2回。あとは、初代吉右衛門・十一世市川團十郎・二世尾上松緑・五世中村富十郎・片岡仁左衛門・十二世團十郎・十世坂東三津五郎・当代中村芝翫が、各1回演じただけです。

 

☆主な配役

 

 ひらかな盛衰記(ひらかなせいすいき)
 逆櫓

    船頭松右衛門実は樋口次郎兼光
             漁師権四郎
                お筆
           船頭明神丸富蔵
           同 灘吉九郎作
           同 日吉丸又六
         松右衛門女房およし
              畠山重忠
 吉右衛門
 歌
 雀右衛門
 又五郎
 錦之助
 松
 東
 左團次

 

☆あらすじ


舞台は、摂津国の福嶋。時は、木曽義仲が討死した直後。

第一場 福嶋船頭松右衛門内の場

福嶋の港の近くで漁師をしている権四郎(中村歌六)の娘およし(中村東蔵)は、3年前に夫を亡くしたため、1年前に船頭の松右衛門(中村吉右衛門)を入り婿に迎えました。およしと前夫の間には槌松という男の子がいます。

ところが、先月、権四郎がおよしと槌松を連れて、西国巡礼に出かけた際、大津の宿で夜中に捕り物に巻き込まれてしまいました。危うく難を逃れたものの、そのときに槌松だと思って抱いて逃げたのが、他人の子供。仕方なく、家に連れてきて、槌松として面倒を見ながら、その子の親からの連絡を待っている状態です。

前夫の三回忌を行った日のこと。松右衛門が仕事から帰ってきて、槌松とともに奥で昼寝をしていました。そうすると、お筆(中村雀右衛門)という女性が訪ねてきて、子供を取り違えた者だといいます。やっと本物の槌松が帰ってきたと、権四郎とおよしは大喜び。ところが、騒動の中で槌松は首を刎ねられたとお筆が告げます。

その話を聞いておよしは泣き崩れ、それでも預けた子供を返してくれというお筆に権四郎は怒りまくり、子供を首打ちにして返してやると息巻きます。

そこへ、槌松を抱きかかえた松右衛門が奥から現れます。権四郎は松右衛門に槌松の首を刎ねて恨みを晴らせと言いますが、松右衛門はいきなり権四郎に向かって「頭が高い!」と言い放ちます。

実は、松右衛門は木曽義仲の家臣の武将樋口次郎兼光で、槌松は義仲の遺児の駒若丸だったのです。樋口が義仲の命で出陣 している間に、義仲は討死。源義経に仇を討つために、名前を変えて入り婿になり、逆櫓の技を身につけたという次第です。

 

そのおかげで、義経の船の船頭に選ばれ、これから義経を討ちに行くから、槌丸が駒若丸の身代わりで殺されたことには腹が立つだろうが、ここは我慢して欲しいと樋口は権四郎に頼みます。

やがて日が暮れる頃、船頭仲間の3人(中村又五郎・中村錦之助・中村松江)が現れ、逆櫓の稽古に樋口を誘い、樋口は一緒に出かけるのでした……。

第二場 裏手船中の場

 

樋口と3人の船頭が船に乗って、逆櫓の稽古をつけ始めると、3人がいきなり樋口を襲ってきます。しかし、剛力無双の樋口にとって、3人は敵ではありません。3人を海の中へと投げ込むのでした……。

 

第三場 逆櫓の松の場


船場につくと、樋口をその3人とその配下の大勢の船頭たちが襲ってきます。実は、その3人は義経の配下梶原景時の家来であり、樋口の素性をすでに知っており、景時の命で大勢の船頭を連れて樋口を捕まえに来たのです。しかし、樋口は、その軍勢をバッタバッタとなぎ倒します。

そこへ、畠山重忠(市川左團次)が権四郎と駒若丸を連れて現れます。そして、権四郎の知恵により駒若丸は殺されずにすむことに。それを見て樋口は大義を果 たしたと切腹しようとしますが、重忠が樋口の忠臣ぶりを惜しみ、縄にかかり命を惜しめと諭すと、樋口はおとなしく縄をかけられるのでした……。

 

☆大当たり

いやあ、面白かった。『逆櫓』がこんなに面白いとはおもいませんでした。さすが吉右衛門というしかありません。

 

花道から最初に登場して百姓たちと交わす会話の滋味深い愛嬌から、帰宅して義経の船を漕ぐことを命じられたと話す場面の喜び具合まで、若々しさが充満していて、30そこそこの船頭・松右衛門の無邪気さが出ています。長台詞が続く場面も、いつもの滑舌のよい巧みないい回しですから、聴き惚れてしまいます。

 

槌松こと駒若丸を抱いて障子から出てくる2度目の出は、一転してその大きさで舞台を圧倒してしまいます。ただ黙って座っているのに、迫力が伝わってくるのです。これほどの樋口は、他にいないでしょう。

 

そして、第三場での3度目の出(第二場は、遠目のため、子役が演技)。73歳とはおもえない軽やかな身のこなしで大立ち回りを演じ、数多い見得を力強く決めていき、場内のボルテージをどんどん高めていきます。

 

それでいて、クライマックスの捕縛から畠山と権四郎の絡み、そしておよし・槌松との別れにいたる情のこもった演技が最高でした。

 

吉右衛門、凄いです。

 

W主演といいたくなるほど重い役である権四郎を、この役2度目の歌六が好演しています。この狂言は長台詞が多すぎてだれてしまう場面が多いのですが、そのだれ場の退屈度を最小限ですませているのは、歌六の功績です。特に、第一場で槌松の首が落とされたことが明らかになる場面では、権四郎、およし、お筆が座ったまま長台詞をやりとりするので眠たくなりますし、今回も睡魔に襲われたのですが、それでも何とか持ちこたえられたのは歌六のおかげといえます。

 

およしは、東蔵ですから、おばあちゃんに見えるのが難点ですが、姉さん女房と考えると、これもありかとおもってしまいます。途中、権四郎の「がんばって新しい槌松を産め」というセリフも、東蔵だとリアルです。しかも、松右衛門をおもう気持ちが可愛らしく表現されているのも悪くありません。

 

お筆は、原作がよくないのかなあ、だれがやってもいまひとつ。いまを盛りの雀右衛門も満足させてくれませんでした。そもそも、お筆が駒若丸の居場所を知っていたくせに、1か月もたってやっとやってくるという設定がおかしくて、お筆に対する共感度が低くなるのです。しかも、槌松が死んだと告げるときの台詞も、いまひとつピンときません。このあたり、新しいお筆解釈が必要なのではとおもってしまいます。

 

左團次の畠山はひと通り。とはいえ、重々しさと優しさが同居しているところに左團次の真骨頂があります。

 

3人の船頭を、又五郎錦之助松江が演じるのは、豪華な話。糸に乗った台詞渡しが、見事に決まっていました。

 

第二場で、遠目のために松右衛門と3人の船頭を演じた子供たちも達者な限り。初めて見た遠目でしたが、これならば、第一場と第三場をつなぐよい緩衝材になると、その演出に感心したのでありました。

竹本葵太夫のすばらしさには触れておかねばなりますまい。第一場の途中から出てくるのですが、歌六とともにこの人のおかげでだれ場がだれ場でなくなり、情感豊かな舞台ができあがったといえましょう。

 

個人的には、『長兵衛』よりも『逆櫓』のほうがよい出来だったとおもいます。それまでの24日間の上演がすべて千穐楽に活きたという感じです。

 

よいものを観させてもらいました。

 

 

| 歌舞伎 | 08:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
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