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怪物はささやく(UK BD / Region B)

 

原題:A Monster Calls (2016)
上映時間:1:48:22
2017年6月9日 国内劇場初公開
公式サイト:http://gaga.ne.jp/kaibutsu/

ゴウ先生総合評価: A
  画質(2.39:1): A/A-
  音質(DTS-HD Master Audio 7.1): A+
  英語学習用教材度: A+/A

 

永遠のこどもたち』(2007)『インポッシブル』(2012)のJ・A・バヨナが、パトリック・ネス(脚本も担当)の同名ベストセラー児童小説を映画化したダーク・ファンタジー。

 

怪物はささやく (創元推理文庫 F ネ 2-1)
東京創元社

 

A Monster Calls
Walker Books Ltd

 

主演は、『PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜』(2015)に出ていた子役のルイス・マクドゥーガル

 

CGIで描かれる怪物の声とそのモーションキャプチャーを担当したのは、『シンドラーのリスト』(1993)でアカデミー主演男優賞にノミネートされ『沈黙 -サイレンス-』(2016)に至るまで様々な名作に出続けている名優リーアム・ニーソン

 

その他、『エイリアン2』(1986)『愛は霧のかなたに』(1988)でアカデミー主演女優賞に、『ワーキング・ガール』(1988)で同助演女優賞にノミネートされたシガーニー・ウィーヴァー、『博士と彼女のセオリー』(2014)で同主演女優賞にノミネートされた『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)のフェリシティ・ジョーンズ、『ベン・ハー』(2016)『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)のトビー・ケベルが共演。

 

☆英盤BDで観る

 

このキャストとスタッフを知って以来、ずっと観たいとおもっていた本作であり、劇場まで足を運ぶつもりでいました。ところが、なかなか都合がつかなかったら、あっという間に上映終了してしまうではないですか。ガッカリです。

 

そんな7月の末、英盤Blu-ray Discが英アマゾンで7.49ポンドの最安値をつけ(今日は、9.99ポンド)、送料込みでも1300円もしないで買えることがわかり、すぐに注文しました。

 

本作の配給会社はギャガですから、たとえ日本でBDが出ても、それには英語字幕がつかなくて、バカ高いはず。ならば、英語字幕がついている英盤BDのほうが安くてはるかにましという判断です。

 

そのBDが届く間に原作を読んだのですが、これがまたいいんです。とても児童ファンタジー小説として書かれたとはおもえないほど、奥の深い、よくできた哲学的小説で、ぐっと引き込まれました。

 

そのBDが先週届き、すぐに観たら、これがいいじゃないですか。劇場公開も終了し、BD/DVDの発売も決まっていないいまは、タイミングが悪いのはわかっているのですが、その素晴らしさにレビューせざるを得なくなったのでした。

 

☆あらすじ

 

舞台は、イギリスの小さな田舎町。

 

13歳の少年コナー・オマリー(ルイス・マクドゥーガル)は、大きなイチイ(yew)の木と教会の墓地が見える家で離婚した母親エリザベス・“リジー”・クレイトン(フェリシティ・ジョーンズ)とふたりで暮らしています。

 

しかし、母親は末期がんで余命わずか。コナーはしつけに厳しい母方の祖母チャンドラー夫人(シガーニー・ウィーヴァー)とはソリが合わず、再婚した父親リアム・オマリー(トビー・ケベル)はロサンゼルスに住んでいて、ずっと会っていません。おまけに、学校でも孤立しているうえに、毎日いじめに遭い、毎夜悪夢にうなされる日々を送っています。

 

そんなある日、イチイの大木の怪物(リーアム・ニーソン)が現われ、「お前に3つの物語を話す。4つめはお前がお前の真実の物語を話せ」とコナーに迫ります。こうして怪物は毎夜コナーのもとにやって来ては、不思議な物語を語り始めるのでした……。

 

☆原作を上回る感動作(ネタバレ注意!)

 

ひと言、秀作。

 

原作者と脚本家が同じですから、基本設定や流れは原作と変わりません。ゆえに、漂う暗い雰囲気は驚くほど似ています。しかし、監督と徹底的に話し合って作り出されたという脚本では、かなりの追加が含まれ、原作よりも深い感動を与える作品に仕上がっています。パトリック・ネスには申し訳ないですが、J・A・バヨナ、恐るべしです。

 

実際、父親に去られ、母親が死にそうになり、学校でも孤立する13歳の少年の喪失の恐怖とそこからの復活を描いた本作は、ファンタジーという言葉では括れない人間の切ない寂しさを描き、深い感動を与えます。

 

その寂しさを救うのが、樹齢数百年とおもわれるイチイの木の怪物であるところに、本作の冴えがあります。つまり、人間は離合集散と移動を繰り返し、いつの間にか死んでいくのに、イチイの木はどっしりと同じ場所に構えて、短命の人間と時代の変化を嘲笑っているのです。

 

しかも、原作と違い、映画のすばらしいところは、その怪物をリーアム・ニーソンに演じさせている点にあります。

 

楽屋落ち的な見方ではありますが、コナーの母とおもわれる幼い少女をニーソンにしか見えない男性が抱っこしている写真が、母と祖母の家にそれぞれあり、映画では3度登場します。どうやらこのニーソンは、コナーの祖父なのでしょう。事実、その祖父がイチイの木の怪物としてコナーを助けに来ていると解釈すると、本作の構造がよく見えてきます。

 

コナーの唯一の理解者である母が亡くなろうとするいま、そのコナーを助けるのが、コナーと馬が合わない祖母が深く愛した(おそらくいまは死んでいない)祖父であると考えると、コナーの未来に光が差します。

 

祖父である怪物が祖母の大切にしている高価な時計・陶磁器・家具を打ち壊すことをコナーに指示したのも、コナーを受け入れようとしない祖母に反省を求めるためだと考えられるからです。こうした解釈は、原作より映画のほうがよりくっきりと可能でなり、そのつじつまを合わせたことに映画の価値があります。

 

第四の物語で、母を亡くす悲しみと恐ろしさを素直に怪物に語ったコナーが疲れ果て、イチイの木の根元で眠り込むことになります。そこへ現れたのは、だれあろう、祖母でした。何時間も探してのことではありますが、愛する亡き夫であるイチイの木が呼んだ、もしくはその木に魅かれたと考えると、物語の深みが増します。

 

追加された原作では存在しないエンディングでコナーを自宅に温かく迎えるように変わった祖母が、娘リジーが死んだ翌朝、3階の部屋をコナーに渡すシーンも重要です。

 

この部屋は、コナーが祖母の大切にしていたものを破壊したあとに泣いていた部屋でもあり、おそらくそこは、結婚するまで母親が使っていた部屋です(部屋の壁には、母親の身長の伸びを示す跡が残っています)。その部屋に母の家から持ち込まれて、かつてのコナーの部屋のままに再現された部屋の机の上には、コナーと同じく絵を描くことが好きで美術学校進学志望だった母親が子供のころに書いたスケッチブックが乗せられています。それを開くと、最初のふたつの物語が描かれていたのです。

 

つまりは、母親が描いた物語をコナーは怪物を通して聴いたことになります。ですが、もしその怪物が祖父だとしたら、祖父から聞いた話を母親が聞いて絵にまとめ、そのことをもとに、3番目の物語をコナー自身が祖父とともに描いて、いじめっ子を叩きのめしたとすれば、母を介して祖父母との深い絆を感じ取り、たとえ死んだとしても、その想いは次の世代に伝えられ、まるでイチイの木のように絶えることなく存続すると訴えているようです

 

つまり、母親は、コナーと同じく、怪物の存在を知っていたのです。その証拠に、息を引き取る真夜中0時7分直前(!)、怪物のほうを見て安心した表情を浮かべます。実父がコナーを守ってくれると知ったからでしょう。バヨナのこの演出、しびれました。

 

祖父(ならびに祖母)・母親・自分と続く目に見えない絆を感じ取ったからこそ、最後の場面で、コナーはそのスケッチブックから目を離し、窓の外へと目を向けながら、そこにいまや見えなくなったイチイの木と母に感謝して、穏やかな顔で涙を浮かべていたのでしょう。

 

こう解釈すると、本作が人間の儚さと、同時に、その儚い人間同士の結びつきを緻密に描いた作品であることに気づかされ、唖然とするとともに本作の完成度の高さに脱帽してしまいます。

 

この難しいコナーを見事に演じきったルイス・マクドゥーガルは、立派でした。これだけ深い演技ができる子役は、そうそういるものではありません。このまま成長してもらいたいものです。

 

リーアム・ニーソンの、深々とした低音の声にはしびれました。そりゃ、あの声で呼びかけられたら、頑ななコナーも、祖母も、変わります。

 

シガーニー・ウィーヴァーの疲れ切った祖母の顔、そして最後にコナーに見せる温かい笑顔、ファンとしてはそれだけで本作を観た甲斐があったとおもったものです。(この直後、何回観たかわからない『デーヴ』[1993]を見直してしまったのでした。)

 

フェリシティ・ジョーンズも、母親役が似合うようになったのかと感慨に耽ります。

 

特筆すべきは、フェルナンド・ベラスケスの音楽です。特にテーマ音楽は、哀切さが甘美な音でくるまれて、何ともいえない感動を引き起こします。

 

冗長さのない編集(ベルナ・ビラプラーナジャウマ・マルティ)も、本作の完成度を高めてくれています。

 

内容: A

 

++++++++++

 

画質(2.391): A/A-

 

Gump TheatreにてOppo BDP-93から1080i信号を直接HDMIケーブルによってソニーVPL-HW30ESに送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映しています。2層50GB。コーデックは、MPEG-4 AVC。伝送レートは、0.2 Mbpsから47 Mbps。平均29.94 Mbps。

 

撮影は、『永遠のこどもたち』(2007)『インポッシブル』(2012)でバヨナと組んだ、『記憶探偵と鍵のかかった少女 (2013)『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)オスカル・ファウラ

 

機材は、アリ・アレクサ・XT HDカメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(2K)。オリジナル・アスペクト比も、2.39:1。

 

解像度は低くはないのですが、現代の平均的BD画質からすると、細部がやや甘くなっているように感じます。彫りが浅い場面があって、くっきり感が足りません。

 

色温度は、高め。そのうえ、色数を減らしているので、くすんだ印象を与えます。映画の性根を配慮した色調なのでしょうが、くすんで見えるのは、損です。肌の質感は、なかなか。疲れ果てたスッピンのシガーニー・ウィーヴァーの肌の雰囲気がリアルです。

 

救いなのは、暗部情報量が多いこと。夜のシーンが重要な働きをする映画ですから、これはすばらしいことです。コントラストはそれほど高いものの、黒が沈んでくれるので、見づらいシーンはありません。

 

大画面の近接視聴は、問題なしです

 

音質(DTS-HD Master Audio 7.1​): A+

 

Oppo BDP-93からソニーVZ-555ESに、サラウンドバック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネル分をラインアウト接続して再生。伝送レートは、不明。音量は、マイナス30デシベル。

 

劇場ではドルビーデジタル5.1で、米盤BDもDTS-HD Master Audio 5.1なのですが、英盤はDTS-HD Master Audio 7.1がおごられています。Blu-ray.comの当該レビューでは米盤BDの音質に5点満点を与えていますから、それよりも上の仕様である英盤BDには大いに期待していました。そして、その期待が裏切られることはなかったのです。

 

本作の特長は、ダイナミック・レンジの広さにあります。つまり、動かないイチイの木の静けさとそれが怪物に変わった時の怒涛のような大音量の烈しさの差が大きいのに驚かされます。静かな場面で下手に音量を上げておくと、怪物登場シーンでは腰を抜かすでありましょう。この落差の大きさこそ、コナーの心情変化を表しているわけですから、すばらしいシネソニックです。

 

左右前後に音を定位させ、サラウンド・スピーカー、サラウンドバック・スピーカーに活躍の機会を与え、各スピーカーのリンケージを高めた音響設計は、大音量場面ではこれ以上ない高密度の包囲感と鮮やかな移動感を堪能できます。特に、第四の物語の教会倒壊場面の凄さは、格別です。音の出どころも、スクリーンと完全に一致しています。

 

ノイズフロアは、最低レベル。マイナス30デシベルの大音量でも、まったく雑味を感じません。そのため、ダイナミック・レンジの広さを素直に楽しめます。不快なメタリック成分も絡まず、安心して映画に没頭できます。雑味が乗らないので、鳥の鳴き声、風音、室内の反響音などの細かい環境音もよく聞こえてきて、リアリティを高めます。

 

フェルナンド・ベラスケスが書いたオーケストラ音楽も、その弦楽器の響きが美しく、金管の響きも華やかで、分離感もよく、聴きごたえ十分です。

 

セリフの抜けも、文句なし。サ行はきつくならず、発音も明瞭です。

 

超低音成分は、怪物が歩く時などに、ドーンと出ます。そのときは、部屋が揺れます。垂れ流しにはなりませんが、部屋によっては調整が必要でしょう。

 

英語学習用教材度: A+/A

 

英語字幕つき。日本語字幕・日本語吹替えつきは、残念ながら、つきません。

 

セリフは、かなりの量。それでいて、俗語・卑語は、F-wordを含め、皆無です。アメリカでPG-13に指定されたのは、母親の死やいじめを取り扱い、恐ろしい場面があるからです。安心してテクストに使用できます。

 

しかも、英語はわかりやすく、重要な表現を含んでいるうえ、英語字幕が完璧にセリフをフォローしていて、非常に勉強になる素材です。

 

しかも、映像特典の量はそれほどでもありませんが、音声解説がつくのはポイントです。これで、英語字幕がすべてについていたら、A++にしていました。

 

++++++++++

 

気になるところを、アト・ランダムに。

 

☆原題は、A Monster Calls。直訳で「怪物が呼ぶ」のほうがよかったとおもうのですが、どうでしょう。何せ怪物がコナーを呼んだのですから。

 

原作とはかなりの違いがあります。最大の違いは、上述したように、エンディングです。小説のエンディングは母親が死ぬ場面ですが、そこから重要な追加が行われています。さらに、原作では重要な役割を果たすコナーの幼馴染であるリリーが映画では登場しません。ただし、原作に近い形で撮影されてはいました。それは、映像特典の「削除されたシーン」で確認できます。リリー役の女の子が可哀そうですが、これはカットして正解でした。

 

☆『キング・コング』(1933)を祖父がもっていた16丱侫ルム(?)映写機で母子が観るという原作にないシーンがあります。ここも怪物と祖父をつなぐ示唆となっていると考えるべきでしょう。

 

キング・コング THE RKO COLLECTION [Blu-ray]
IVC,Ltd.(VC)(D)

 

☆4300万ドルの製作費で、全米374万ドル、世界4645万ドルの売り上げ。残念ながら、実質的には黒字にならなかったようです。

 

英盤BDの特典は、米盤のそれから「監督による音声解説」が省かれた内容です。まずは、音声特典。

 

 Audio Commentary with Writer Patrick Ness

 

音声は、ドルビーデジタル・ステレオ。英語字幕はつきません。

 

次に、映像特典。

 

 Deleted Scenes (6:31): 
   Conor and Dad
   Conor and Grandma
   Conor and Mom
   Lily Forgives Conor
   We Used to Be Friends.
 The Making of A Monster Calls (20:40): 
   Introduction (1:22)
   Building the Story (5:39)
   Bringing the Monster to Life (6:41)
   The Perfect Cast (4:54)
   Working with J.A. Bayona (2:02)
 Making of the Tales (8:13)

 

映像: 
  A
 ◆Aを基本に、Bが挿入
  Aだが、一回り小さいシネスコとビスタが併存
 A ビスタ・サイズ(1.78:1)のHD画質(AVC/1080・24p)
 B シネスコ・サイズ(2.39:1?)のHD画質(AVC/1080・24p)
音声:ドルビーデジタル・ステレオ
残念ながら、英語字幕はつきません。

 

☆映像特典の▲瓮ぅングは、一般的なそれです。もう少し突っ込んだものが観たかったところです。

 

☆原作・脚本のパトリック・ネスによる音声解説は、当然ながら、内容についての発言がほとんどです。

 

☆音声解説によれば、イチイの大木を選んだのは、イチイを表す英単語が“yew”で発音が“you”と同じであったからとか。なるほどと感心したのでした。

 

米盤BDは、米アマゾンで17.51ドルで販売されています。

 

 

++++++++++

 

映画ファン、出演俳優、特にリーアム・ニーソンとシガーニー・ウィーヴァーのファンの皆さん、必見。英語・視聴環境に問題なければ、英盤BDは悪くありません。強くオススメします!

 

| 外国映画(カ行) | 09:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
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