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六月大歌舞伎 夜の部『御所五郎蔵』

 

歌舞伎座 一幕見席 2列1番 1300円
2017年6月26日(月)6:18‐7:35
公式サイト:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/527

 

ゴウ先生総合評価: A+

 

一昨日の歌舞伎座での芝居見物の続きです。

 

『弁慶上使』『鎌倉三代記』と観て、本作にいたったのですが、久々の芝居見物、楽しくはあるのですが、疲れました。通常の見取り上演だと、時代物、所作物、世話物という構成で息を抜く軽い一幕があるのですが、このアラカルトだと、すべて重量級狂言となってしまったからです。

 

しかも、座席は一幕見席の狭い椅子。ふくらはぎには着圧ソックスをはき、幕間に歩き回ってエコノミークラス症候群にならないように気をつけてはいたのですが、本作が始まる頃には、腰は痛いは、肩は凝るは、往生しました。

 

とはいえ、チケットは買ってありますし、大好きな片岡仁左衛門の座頭狂言です。ここで悲鳴をあげるわけにはいきません。がんばって見通すことにしました。

 

本作のために1階1等席の座席をつぶして仮花道が作られています。仮花道に立つ仁左衛門の顔を見られるようにするために、席を上手から一転して最下手に移動します。そして、狙いは的中し、ひとり静かにガッツポーズを取ったのでした。

 

☆作品の成立

 

河竹黙阿弥作の世話物狂言。文久4(1864)年2月、江戸市村座で初演。原作は、6幕構成。『御所五郎蔵』は、5幕目。

 

☆戦後の上演歴

 

戦後55回目の本興行上演。

 

五郎蔵をもっとも多く演じたのは、8回の十一世市川團十郎。次いで、7回の当代尾上菊五郎、6回の十七世中村勘三郎、5回の三世市川壽海、十二世團十郎。当代片岡仁左衛門は、7回目。

 

土右衛門は、当代市川左團次の12回が最高。次いで、十七世市村羽左衛門の6回、十三世仁左衛門の5回、二世尾上松緑の4回。

 

皐月の最多登板者は、9回の七世尾上梅幸。次いで、5回の四世中村富十郎、七世中村芝翫、4回の当代菊五郎。当代中村雀右衛門は、先代雀右衛門、当代中村福助と並ぶ3回目。

 

☆主な配役

 

 河竹黙阿弥 作
 曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)

 御所五郎蔵  

      御所五郎蔵 仁左衛門
       傾城皐月 雀右衛門
    子分 梶原平平 男女蔵
    同  新貝荒蔵 歌昇
    同  秩父重助 巳之助
    同 二宮太郎次 種之助
    同 畠山次郎三 吉之丞
      花形屋吾助 松之助
       傾城逢州 米吉
      甲屋与五郎 歌六
     星影土右衛門 左團次

 

☆あらすじ

 

<これまでの経緯>

 

御所五郎蔵(片岡仁左衛門)は、元は陸奥国の大名浅間家家臣須崎角弥。腰元の皐月(中村雀右衛門)と恋仲になったことを、皐月に片思いする剣術指南役の星影土右衛門(ほしかげどえもん:市川左團次)に知られてしまい、死罪になるところを何とか追放で収まります。そこで須崎は、武士の身分を捨てて町人となって御所五郎蔵を名乗り、皐月と夫婦になり、京都で生活をしています。

 

序幕 五条坂仲の町の場

 

皐月をあきらめきれない土右衛門が大勢の門弟を連れて京都に行くと、茶屋が並ぶ仲之町の廓で宿敵五郎蔵とその子分たちと出会います。そこで、一触即発の状態になりますが、茶屋のひとつである甲屋主人与五郎(中村歌六)がそれを仲裁します。

 

二幕目 第一場 甲屋奥座敷の場

 

皐月は、いまは傾城の身。そんな皐月に五郎蔵は200両の用立てを頼みます。ですが、うまくいきません。それを見た土右衛門が、五郎蔵と別れたら200両を出すと言います。

 

皐月からいきなり別れを告げられた五郎蔵は逆上しますが、それを傾城逢州(中村米吉)が間に入り、その場は収まります。

 

二幕目 第二場 郭内夜更けの場

 

それでも、皐月の本心を知らない五郎蔵は、土右衛門と皐月を殺そうと夜道で待ち伏せをします。土右衛門は妖術で逃げますが、皐月を殺すことには成功します。ところが、皐月だと思って殺した相手は恩のある逢州だったのでした。そして、五郎蔵は、再び現れた土右衛門と死闘を繰り広げるのでした……。


☆若くていなせでおバカな仁左衛門が最高

 

冒頭、仮花道に仁左衛門が登場するだけで、場内は「松嶋屋!」の掛け声が飛び交います。貧乏英語塾長もかけようとおもったのですが、肩・腰だけでなく、のどまで痛くなり(それほど声をかけていなかったのですが、銀座そして歌舞伎座内は空気が悪いです)、もってきていたマスクをずっとかけていました。

 

その不調を吹き飛ばしてくれるような白塗りのカッコいい仁左衛門の顔が、仮花道から目に飛び込んできます。双眼鏡でその顔を確認すると、とても73歳(1944年3月14日生まれ)とはおもえない若々しさです。この人、どんな節制をしているのでしょう。

 

ともあれ、仮花道から五郎蔵一家が、本花道から土右衛門一味がやってきて、セリフの掛け合いとなります。いいですねえ、この劇場全体を使った劇効果。1階の人たちはさぞその壮観な眺めに満足できたことでしょう。一幕見席からは五郎蔵と土右衛門しか見えません。

 

舞台に上がってからも、セリフのやり取りが続きます。凝りに凝ってさまざまなものが洒落のめされている黙阿弥のセリフですから、耳だけでは細かい意味はわかりません。しかし、仁左衛門がセリフをアリアのように歌い上げるわけではなく、リアルに伝えてくれるので、戸惑いはなしです。

 

ただし、あの七五調の美しい調べを仁左衛門流で聴きたかったという恨みは残ります。左團次も、それに応じて、歌い上げません。このあたり、菊五郎版とはずいぶん違います。

 

そのリアリティ追求の仁左衛門美学が出たのが、仮花道上での最初の一声でした。本作の舞台は、京都仲之町となっていますが、実際は江戸新吉原。ゆえに、菊五郎がやれば、すべて江戸弁で通します。しかし、関西出身の仁左衛門としては京都らしさを出したかったのでしょう。出だしを関西弁(京都弁?)のイントネーションで始め、それから江戸弁のそれに移行したのです。常に工夫を忘れない仁左衛門らしい、面白い試みです。

 

ともあれ、このセリフすべてがきちんとわかれば、相当面白いだろうとおもいながら、150年前の吉原の風景を眺めていた次第です。

 

それにしても、五郎蔵というのはひどいやくざ者で、皐月をたらしこんで結婚すると、今度は生計を立てられずに、皐月を郭に売り飛ばし、そのヒモ生活に入ります。『忠臣蔵』の勘平と同じくらい、バカで甲斐性なしです。

 

しかし、そのスケコマシのヒモを、由良乃介役者の仁左衛門が演じると、不思議なもので、こちらは五郎蔵をバカにできなくなり、それもありかもとおもわせられてしまうのです。角々が決まり、所作・見得がとても美しいことも、影響しています。むしろ、皐月に未練を残す土右衛門のほうが、気持ち悪いストーカーに見えるのですから、善と悪の二元構造を叩き壊した黙阿弥の意図をきちんと表しています。仁左衛門・左團次には、拍手です。

 

皐月役の雀右衛門。この日、『弁慶上使』で石持姿の女房、『鎌倉三代記』で赤姫と見てきましたが、本作の花魁姿がいちばん綺麗でした。これなら五郎蔵・土右衛門の両方から愛され続けても仕方ありません。ここにきて、雀右衛門ファンの胸はすーっとしました。

 

『弁慶上使』では、イマイチだとおもわれた米吉でしたし、本作の米吉にも渡辺保先生が厳しいコメントを出しておられたので心配していたら、こちらの逢州には違和感はありませんでした。25日間で成長したのか、こちらの見方が間違っているのかはわかりませんが、大名が惚れ、五郎蔵がかばうだけの格がある傾城に見えます。俎板帯をまとった美しい米吉が、客席に背を向けて五郎蔵を止めようとするあたり、何とも愛らしく、この人も、雀右衛門同様、花魁役がはまっている人なのかもと考えた次第です。

 

渡辺先生絶賛の松之助も、笑いの少ない本作で立派なコミックリリーフをしていて、さすがです。

 

個人的には、番頭新造・千代菊役の京妙を見られてうれしい限りでした。雀右衛門ががんばってくれるおかげで、大好きな京妙とも会えます。京屋、がんばれ!

 

久々の芝居見物で、疲れ果てましたが、気分は爽快。またちょっと歌舞伎を勉強しようかという気になりました。やっぱり名人の舞台は、観ないといけません。

 

| 歌舞伎 | 10:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
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