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六月大歌舞伎 昼の部『弁慶上使』

 

歌舞伎座 一幕見席 2列44番 1500円
2017年6月26日(月)2:03‐3:18

公式サイト:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/527

 

ゴウ先生総合評価: A

 

昨年10月以来8か月ぶりに、昨日、歌舞伎座に行ってきました。国立劇場へは3月に出かけていますが、今年の芝居見物はそれだけ。あれこれあって、ゆっくりと歌舞伎を楽しめる気分ではなかったのです。

 

しかし、吉右衛門・仁左衛門・雀右衛門ファンとしては、今月の大歌舞伎だけは観ておかねばという焦燥感にせっつかれ、千穐楽に駆けつけてしまいました。ゆえに、お目当ては、次の3本です。

 

 弁慶上使
 鎌倉三代記
 御所五郎蔵

 

すべてに雀右衛門が出ているうえ、上から吉右衛門・幸四郎・仁左衛門との共演を観られるのですから、すごいラインナップです。

 

ただし、昼の部と夜の部でわかれていますので、ここは一幕見席を利用するのがお得。昨日は千秋楽ですから、混む可能性が高いので、最悪『弁慶上使』だけ、席や体力に余裕があれば3つともというスタンスで地下鉄で木挽町をめざしたのでした。

 

歌舞伎座に到着したのは、1時01分。1時35分発売の『弁慶上使』のチケットを求めて、すでに先客が81名います。それでも、98席ある一幕見席ですから、十分座れるはず。ただし、好みの席が空いているかどうかは、神のみぞ知るですが。

 

入場して、いつも通り、花道上の役者の顔がよく見える上手の席を探すと、通路脇の席が空いていません。仕方なく、通路からひとつ入った席で妥協することにしたのでした。

 

☆作品の成立

 

文耕堂・三好松洛の合作による前後段の時代物浄瑠璃『御所桜堀川夜討』が原作。元文2(1737)年、大坂竹本座初演。その後、宝暦5(1755)年、京都沢村座で歌舞伎化。『弁慶上使』は、その三段目の切りにあたる部分。

 

☆戦後の上演歴

 

戦後25回目の本興行上演。

 

弁慶をもっとも多く演じたのは、5回の二世市川猿之助、二世尾上松緑。次いで、4回の十七世市村羽左衛門、2回の十二世市川團十郎、当代中村芝翫。中村吉右衛門は、3回目。

 

おわさの場合は、三世中村時蔵、七世中村芝翫の7回が最高。次いで、六世中村歌右衛門、四世中村雀右衛門、当代坂田藤十郎の2回。当代雀右衛門は、初役。

 

☆主な配役

 

 御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)
 弁慶上使

      武蔵坊弁慶 吉右衛門
       侍従太郎 又五郎
  卿の君/腰元しのぶ 米吉
        花の井 高麗蔵
        おわさ 雀右衛門
 

☆あらすじ

 

舞台は、源義経の正室・卿の君に乳人(めのと)として使える侍従太郎の館。

 

卿の君(中村米吉)は、義経の子を妊娠したため、侍従太郎(中村股五郎)の館で静養中です。そこへ、武蔵坊弁慶(中村吉右衛門)が義経の上使として訪れることになり、卿の君、侍従太郎とその妻・花の井(市川高麗蔵)が出迎えます。

 

卿の君へのお見舞いとして来訪したかのように見えて、弁慶には秘密の使命がありました。それは、卿の君に死んでもらうことです。というのも、君は平時忠の娘だったために、平家を滅ぼした後も、義経は兄の頼朝から謀反の疑いをかけられており、忠誠を示すなら、卿の君の首を討てという鎌倉方の催促がたび重なっていたのです。

 

4人が相談のために奥へ入ると、館で腰元として働くしのぶ(米吉二役)が、母のおわさ(中村雀右衛門)を出迎えます。久々の対面を喜ぶふたりでしたが、奥から出てきた侍従太郎と花の井がいきなりしのぶに死んでくれといいだします。つまり、卿の君の身替りになってほしいというわけです。

 

しのぶはそれでよいといいますが、おわさは当時の稚児との一度きりの契りでできたしのぶを父親と会わせていないから、それまでは死なせるわけにはいかないと反対します。そして、その契りの証拠に、稚児の振袖を下着に縫い付けているとそれを見せます。

 

すると、突然、何者かが襖越しにしのぶを刺します。刺したのは、先ごろから4人の様子を見ていた弁慶でした。そして、弁慶は自分もその振袖を下着に縫い付けているとそれを見せます。何と、弁慶がその稚児であり、しのぶの父親だったのです。主君・義経のため、心を鬼にして、悲しみをこらえて、しのぶを殺したと心情を吐露します。

 

卿の君の首を持ち帰る期限が来ると、いきなり侍従太郎が腹に刀を突き刺します。猜疑心の強い頼朝をだまして、しのぶの首を卿の君のそれだとおもいこませるためには、自分の首も一緒にもっていってもらったほうがよいという深謀遠慮です。

 

弁慶は、その首を打つと、娘の首とともに、悲しみをこらえながら、館を後にするのでした……。

 

☆狂言は面白いが、泣かせる舞台ではない

 

初見です。詳しいストーリー展開を知らなかったのですが、面白い狂言だと感じました。丸本歌舞伎のエッセンスがぎっしりと詰まっているのが、こちらの好みにピッタリなのです。

 

まずもって、頼朝・義経の骨肉の争いというバックグラウンドが泣かせます。どれだけ頼朝を悪人にすればすむのだといいたくなるくらいに歌舞伎では頻繁に使われる素材だからです。

 

さらに、義経が配下に無理難題を押し付けるのも、頼朝も頼朝なら、義経も義経ではないかと愚痴りたくなるのも、歌舞伎の常道です。

 

そのうえで、天下の宝刀ともいうべき「子供の身替り殺人」が行われ、弁慶が松王丸に見えてくるという次第です。

 

つまりは、他の狂言のよいところ取りをしているだけにも見えますが、それでいてどことなくユニークさを感じるこの脚本に感心してしまいます。

 

他方、舞台は、悪くはないものの、手放しで感動作とほめちぎらせるほどのパワーがないのが、残念なところです。

 

吉右衛門は、格別。大いがぐり頭に鳥居隈のせいで、いつもの端正な顔を拝むことはできないのですが、舞台を圧する大きさと躍動感で、30代半ばの弁慶を若々しく演じています。セリフの口跡も、いつも通り、明瞭そのもの。見物をいらだたせることは、決してありません。

 

しかし、周りが、その吉右衛門をフルサポートできていません。雀右衛門と米吉は、やや問題ありと評します。

 

初役でおわさを演じた雀右衛門ですが、しのぶを殺させまいとして、侍従太郎夫婦に必死に懇願する部分は、事の重大さに慌てふためいているというのは伝わるのですが、相手に心変わりを要求するほどの情感がないのです。そのために、見物はおわさに共感できずに、第三者の冷静な目でおわさを見てしまい、涙が出てこないのです。つまり、巧いとはおもうものの、それが「感動」レベルまで押し上げられません。雀右衛門の見物のハートを鷲掴みにする技術は、こんなものではないはず。ファンとしては、ちょっとガッカリした次第です。

 

米吉は、卿の君としのぶのときの差がよくわかりません。卿の君が妊娠しているというのも、予備知識とセリフの後押しがないと理解しづらく、こんなに元気なら、義経のために自分が犠牲になりますといいだせるのではないかとおもってしまうほどです。心身ともに疲れているがゆえに、弁慶の言葉に反応できずに狼狽する卿の君でないと、君への同情も向かわないのではないでしょうか。可愛らしい顔立ちと美しい声をもつ米吉です。もう一段上の精進を願います。

 

よかったのは、又五郎です。貫禄十分で、どっしりとしています。そうであるがゆえに、最後、しのぶだけ死なせるわけにはいかないという侍従太郎の心意気の重たさが見物に伝わり、芝居を引き締めていました。

 

竹本は、葵太夫(三味線は鶴澤宏太郎)。まさに、絶品でした。

 

見物の涙を搾り取ることはありませんでしたが、ハイレベルの舞台であったことは、間違いないところ。次回も同じメンバーで演じたら、滂沱の涙を流さねばならないものと期待しています。

 

| 歌舞伎 | 11:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
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