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光をくれた人(UK BD / Region B)

 

原題:The Light Between Oceans (2016) 
上映時間:2:12:40
2017年5月26日 国内劇場初公開
公式サイト:http://hikariwokuretahito.com/

ゴウ先生総合評価: A-/B+
  画質(2.40:1): A
  音質(DTS-HD Master Audio 5.1): A+/A
  英語学習用教材度: A

 

マイケル・ファスベンダーアリシア・ヴィカンダー主演によりM・L・ステッドマンのベストセラー小説『海を照らす光』を映画化した人間ドラマ。

 

海を照らす光 (上) (ハヤカワepi文庫)
早川書房

 

海を照らす光 (下) (ハヤカワepi文庫)
早川書房

 

The Light Between Oceans
Black Swan

 

共演は、レイチェル・ワイズブライアン・ブラウンジャック・トンプソン

 

監督・脚本は、『ブルーバレンタイン』(2010)『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(2012)のデレク・シアンフランス

 

☆UK盤BDで観る

 

いまが旬のマイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィカンダーが共演し夫婦の情愛を描く作品ができるというニュースを聞き、そのときは原作をまだ読んでいませんでしたが、ぜひとも観たいとおもっていました。

 

ところが、評論家からの評価が、イマイチだったのです。Rotten Tomatoesでは、支持率59%で、10点満点中6.2点。Metacriticでは、100点満点中60点という具合です。奇才デレク・シアンフランシスがファスベンダーとヴィカンダーと組んだのに、意外におもえました。

 

とはいえ、観てみたい。しかし、劇場へ行く都合がなかなかつかず、イライラが募ります。そこで、原作を読むことにしたのでした。すると、これがものすごくよいのです。そんな折り、英盤Blu-ray Discが英アマゾンで9.99ポンドの最安値をつけたので、取り寄せることにしたのでした。

 

それが3日前に届いたので、レビューをアップロードすることにしたという次第です。

 

☆あらすじ

 

舞台は、第一次世界大戦後の1918年から1950年にかけてのオーストラリア西部。

 

西部戦線から命からがら戻ってきた帰還兵のトム・シェアボーン(マイケル・ファスベンダー)は、1918年末、心の深い傷を癒すために無人のヤヌス島の灯台守になります。ほどなく、近くの町で出会った美しい女性イザベル(アリシア・ヴィカンダー)と結婚し、ヤヌス島で寂しいけれどもふたりきりの熱い新婚生活を始めます。

 

ふたりの望みは、子供を授かること。ですが、イザベルは2回流産してしまいます。その悲しみに浸っていたときに、突然、女の赤ちゃんがボートに乗って流れつきます。イザベルは、反対するトムを説得して、赤ちゃんを自分の子として育てることにするのでした……。

 

☆原作の感動には及ばないが、良作

 

原作は、非常に優れた小説です。登場人物の心の機微を丁寧に描き、邦訳で450頁もある大部なのにすんなりと読み進められます。加えて、古屋美登里の翻訳がすばらしく、感動が素直に伝わってきます。多くの人に読んでもらいたい格調高い文芸作品だと評します。貧乏英語塾長の評価では、「A」です。

 

それから比べると、映画は端折りすぎ。もっと描いてほしいとものたりなく感じる部分が多々あります。原作を読んでしまった罪といえばそれまでですが、トムとイザベルの心の葛藤をもっと丁寧に描く脚本・演出もあったはず。その意味で、ベストセラーとなった原作を読んでいたであろう評論家からの評価が低いのは、納得できます。

 

とはいえ、映画の質が低いわけではありません。何よりも、架空のヤヌス島をニュージーランドのケープ・キャンベルに設定し、実在の灯台を使って見せてくれたことには、原作ファンも感謝するしかありません。

 

あの絶海の孤島の灯台を映像として見せられると、原作の読者はそれだけで感慨に耽られます。本作のテーマは、第一次世界大戦の欧州西部戦線でむごたらしい死を数多く見てきたトムのPTSDが、灯台によって癒されるところにあります。そして、それは「ヤヌス」という言葉が使われているように、闇と光の対比によって明らかになり、「光」を放つ灯台が、トムの心の「闇」を癒していくのです。

 

同時に、精神的な「光」を与えてくれるイザベルにトムがのめりこむのも自然な成り行きだと受け取れます。そして、トムの闇を覆いつくすためには、さらなる「光」が必要だと感じ、子作りに燃えるイザベルの気持ちもよくわかりますし、流産続きで苦しみ続けるイザベルの心情もよくわかります。

 

このあたりのイザベルの葛藤が、映画ではほとんど描かれないのが残念です。原作では、2回の流産と1回の死産を経て、イザベルが絶望に叩きのめされたことが丁寧に描かれ、そんなときにルーシーが流れ着くので、イザベルがルーシーを自分の子供として育てたいとおもう気持ちに共感がもてるのです。しかし、映画は2回の流産だけですから、まだ子供が産めるのではないかとイザベルの決断に首を傾げてしまいます。

 

さらに、映画のみならず、原作もそうですが、死ぬことさえありうる流産と死産を、医学的知識の乏しいトムだけで処置して、その後もイザベルは何の支障もなく、すぐに元気になっているのも、いかがなものかとおもうのえす。いくら1920年代だからといって、医者も産婆もいない孤島での妊娠・出産は大変だったはずですから。

 

こうした脚本の問題が映画への没入を妨げますが、それを救っているのは、マイケル・ファスベンダーの抑制された演技です。心の傷を抱えた男が、生涯に一度の恋をしたことで、復活しようとする姿がよくわかります。そして、本当はルーシーを自分の子供として育てたいのに、実の母親ハナ・レンフェルド(レイチェル・ワイズ)がいると知れば、それはいけないことだとおもう潔癖さもファスベンダーからは見えます。ファスベンダーの充実ぶりがわかる作品です。

 

他方、割りを食ったのは、アリシア・ヴィカンダーです。脚本がイザベルの内面を丁寧に描いていないために、単にエキセントリックな寂しい主婦に見えてしまいます。本当は、『喜びも悲しみも幾歳月』(1957)の高峰秀子のように、灯台守の夫を支えて生きる賢夫人であったのに、そう見えないのはかわいそうです。

 

それでも、ヤヌス島の自然の雄大さを描く映像とそれを盛り上げるアレクサンドル・デスプラの音楽、さらに見事な音響効果によって、夫婦にとって子供とは何かを考えさせる良作に仕上がっているのは、さすがデレク・シアンフランスだと感心せざるを得ません。

 

内容: A-/B+

 

++++++++++

 

画質(2.40:1): A

 

Gump TheatreにてOppo BDP-93から1080・24p信号を直接HDMIケーブルによってソニーVPL-HW30ESに送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映しています。1層25GB。コーデックは、MPEG-4 AVC。伝送レートは、1 Mbpsから44 Mbps。

 

撮影は、アニマル・キングダム』(2010)『さよなら、アドルフ』(2012)『マクベス』(2015)『アサシン クリード』(2016)のアダム・アーカポー

機材は、アリ・アレクサ・XT HDカメラ。マスターフォーマットは、DI(バイト数は不明)。オリジナル・アスペクト比は、2.39:1。

 

音声解説で、フィルムで撮影して柔らかな映像にしたかったが現像所が近くになかったためにデジタル撮影にしたとシアンフランスが語っているように、どこかフィルムルックなマイルドさをもった画調です。シアンフランスがライトを使わず、できるだけナチュラルな光量で撮影したことによるようです。

 

そのため、解像度が低いように感じられますが、実際はそうではありません。細部がスポイルされることはなく、かなりの明晰さです。彫りは深いし、奥行き感も出ています。ただし、輪郭を強調しないようにしているためか、ややにじみがちです。まあ、そこがフィルムルックである所以でもあるのですが。ともあれ、くっきりすっきりのHi-Def画調とは一線を画します。

 

色温度は、やや高め。さらに、色数を減らしているようで、淡い水彩画のような色調になっています。このために、ヤヌス島の荒涼感は高まりますが、美しい夕陽の赤が否定されるほどではありません。肌の質感に、ややナチュラルさを欠ける場面がありますが、違和感は、それほどでもありません。ただし、アリシア・ヴィカンダーの肌が、黒く見えてインド人ぽくなっているのは、いかがなものか。もう少し美しく撮影してもらいたいものでした。

 

暗部情報量は、かなりのもの。ライトを使わなくても、最新アレクサですから、しっかりと闇の中を描き、「光」の重要性を理解させてくれます。BDも、黒がよく沈んでおり、陰影が彫りをより深くし、見づらいシーンはまったくありません。

 

大画面の近接視聴も、問題なしです。

 

音質(DTS-HD Master Audio 5.1): A+/A

 

Oppo BDP-93からソニーVZ-555ESに、サラウンドバック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネル分をラインアウト接続して再生。伝送レートは、不明。音量は、マイナス30デシベル。

 

米盤BDは、DTS-HD Master 7.1。その音質は、Blu-ray.comのレビューでは、5点満点を獲得し、「リファレンス・クオリティ」と高く評価されています。ゆえに、DTS-HD Master 5.1では、ものたりなさを覚えるかとおもったのですが、うれしい意味で裏切られました。非常にすばらしいシネソニックなのです。

 

左右前後に音を定位させる音響設計。音の出所は、ほとんどスクリーンとマッチしていますし、サラウンドバック・スピーカーは働かないものの、サラウンドスピーカーからの音数も多く、立体音場の密度はかなりのものです。おかげで、包囲感は極めて高く、ヤヌス島の風・波が吹くと、自分がそこにいるようです。移動感も、それを活かす場面がないので、判然としませんが、かなり鮮やかに決まりそうな各スピーカーのリンケージぶりです。

 

ノイズ感は、ゼロ。マイナス30デシベルで聴いても、まったくうるさく感じません。かすかな風・波・鳥の鳴き声・灯台の中の反響音といった細かい環境音も聞こえてきて、迫真そのものです。波に至っては、その重さが伝わる迫力で、トムとイザベルの孤独感が伝わってきます。不快なメタリック成分も、一切なしです。アレクサンドル・デスプラの抒情的で壮大な音楽は、オーケストラも、ピアノも、団子になることはなく、分離感に優れ、爽やかに響きます。

 

セリフは、海辺のシーンなどでやや抜けが悪く感じる場合もありますが、大きな問題とはなっていません。サ行も滑らか。発音も明瞭です。

 

超低音成分は、波の音に通奏低音のように使われていますが、部屋を揺らすほどではありません。節度をわきまえた使われかたです。

 

英語学習用教材度: A

 

英語字幕つき。日本語字幕・日本語吹替えは、残念ながら、つきません

 

セリフ量は、多め。しかも、俗語・卑語はゼロといってよく、F-wordも使われません。PG-13なのは、主題の内容とセックス・シーン、それも非常に穏やかなものがあるからです。安心して教材に使えます。

 

しかも、時代的背景もあって、きちんとした英語が使われ、非常に勉強になります。英語字幕も、セリフを完璧にフォローしており、非常に勉強しやすい教材であることもポイントを高めています。

 

これで、特典に英語字幕がついていれば、最強だったのですが、それがないのが残念でなりません。

 

++++++++++

 

気になるところを、アト・ランダムに。

 

☆原題は、The Light Between Oceans。直訳すれば、「複数の海の間の光」となります。具体的には、ヤヌス島の灯台の光がインド洋とオーストラリア南洋を照らすことによるものです。原作小説の邦題『海を照らす光』は巧みなタイトルです。映画の邦題『光をくれた人』は、トムにとってのルーシーもしくはイザベルを念頭に置いたもので、なかなか頑張っています。

 

☆2000万ドルの製作費で、全米1255万ドル、海外1282万ドル、世界2537万ドルの売り上げ。実質的に黒字になったかは、微妙なところです。

 

特典は、米盤BDと同じものです。まずは、音声特典。

 

 Audio Commentary with Director Derek Cianfrance and 
  Film Studies Professor Phil Solomon, Cianfrance's 
  real-life professor

 

音声は、ドルビーデジタル・ステレオ。残念ながら、英語字幕はつきません。ふたりとも、ほぼ話しっぱなし。情報量の多いコメンタリーです。

 

次に、映像特典。


 Bringing The Light to Life (1080p, 16:47)
 Lighthouse Keeper (1080p, 5:40)

 

映像: 
  銑 Aを基本に、Bが適宜挿入
 ぁA

 A ビスタ・サイズ(1.78:1)のHD画質(AVC/1080・24p)
 B シネスコ・サイズ(2.40:1?)のHD画質(AVC/1080・24p)

音声:ドルビーデジタル・ステレオ

残念ながら、英語字幕はつきません。

 

☆音声解説のフィル・ソロモンは、シアンフランスの大学時代の恩師で、週2回のオフィフアウワーには、シアンフランスはいつも映画の構想について相談に行っていたとか。すばらしい師弟愛です。

 

☆‟Bringing The Light to Life”はメイキングなのですが、最大の見どころは削除されたシーンが大量に観られることです。

 

☆‟Lighthouse Keeper”は、架空のヤヌス島を撮影するために、選んだのがニュージーランドのケープ・キャンベルの実在の灯台を選んだことが描かれます。

 

++++++++++

 

文芸映画ファン、マイケル・ファスベンダー・ファン、必見。劇場上映終了が迫っています。関心のある方は急ぎましょう。英盤BDは、英語と視聴環境に問題なければ、悪くありません。オススメします!

 

| 外国映画(ハ行) | 08:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
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