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マダム・フローレンス! 夢見るふたり
マダム・フローレンス! 夢見るふたり [Blu-ray]
ギャガ

 

原題:Florence Foster Jenkins (2016)
上映時間:111分
2016年12月1日 国内劇場初公開
公式サイト:http://gaga.ne.jp/florence/

TOHOシネマズ新宿 スクリーン11 A-6
2016年12月1日(木)9時20分の回

ゴウ先生総合評価: A
  画質(2.39:1/Digital): A+/A
  音質(Linea PCM): A
  英語学習用教材度: C+

現代最高の名女優メリル・ストリープ主演により、実在の「音痴の歌姫」フローレンス・フォスター・ジェンキンス(1868719- 19441126日)の最晩年を描いた伝記ドラマ。

 

準主演は、ヒュー・グラント

 

共演は、サイモン・ヘルバーグ、レベッカ・ファーガソン、ニナ・アリアンダ。

 

監督は、『グリフターズ/詐欺師たち』(1990)『クィーン』(2006)でアカデミー監督賞にノミネートされた、『ヘンダーソン夫人の贈り物』(2005)『あなたを抱きしめる日まで』(2013)『疑惑のチャンピオン』(2015)など実録ドラマを得意とするスティーヴン・フリアーズ

 

脚本は、TVで活躍してきたニコラス・マーティン

 

一日も早く観たかった作品

 

メリル・ストリープの大ファンです。ヒュー・グラントも、大好きです。そのふたりが、クラシック音楽ファンの間ではすこぶる有名な フローレンス・フォスター・ジェンキンスを主役にする映画で夫婦役を務めるのです。聞いただけで面白そうです。映画製作のニュースが飛び込んできて以来、絶対に観らねばと思っていました。

 

しかし、121日という国内劇場公開の遅さが気に入りません。そのため95日に発売された英盤Blu-ray Discを取り寄せようかと思ったのですが、14.99ポンドからなかなか下がらず、あえなく断念。貧乏英語塾長は仕方なく劇場公開を待つことにしたのでした。

 

考えてみれば、公開初日は映画の日。1000円か1100円で映画が観られます。これを利用しない手はありません。調べてみると、あれだけ混んでいるTOHOシネマズ新宿も、朝一番の920分の回なら大好きな2列目中央の席が空いているではありませんか。

 

ところが、朝の仕事が片付いたのが、855分。チケットを買わずにいたら、インターネットでのチケット購入が締め切られているではありませんか。仕方ありません。劇場で購入することにしました。

 

急いで準備して外へ飛び出したのが、97分。歩いていくと、間に合いません。こんなときは、伝家の宝刀スロージョギングです。トコトコよちよち走って劇場についたのが、925分。あわててチケットを購入します。

 

入りは、4割強。前2列にはだれも座っていません。3列目にはふたり先客がいますが、そのふたりは幸い中央の席に座っておらず、気分よく、2列目中央の席を押さえます。シネスコ作品ですが、かぶりつき派には2列目がいちばんなのです。

 

トイレで用をすませ、館内に入ったのが、930分。何とか間に合ったかと大量の汗をぬぐって本編開始を待っていたら、予告編が延々と続きます。何と本編開始は937分過ぎ。これなら、走ることはなかったかと一瞬ムッとしたのですが、一息入れる余裕があったことを喜ぶことにして怒りをどこかへ放り出したのでした。

 

あらすじ

 

舞台は、1944年のニューヨーク・シティ(NYC)。


76歳になるフローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)は、父親から遺贈された莫大な資産を抱えた社交界の大物です。18歳の時に最初の夫から移された梅毒に苦しみながらも、音楽を愛し、資産を音楽家のために惜しみなく使ってきました。

 

そんなフローレンスが、ソプラノ歌手になるというかつての夢を再び取り戻し、レッスンを再開することにします。ところが、彼女は自分では気づいていませんが、歌唱力に致命的な欠陥を抱えていました。ひどい音痴だったのです。

 

それでも愛する妻から夢を奪いたくないと、事実婚の夫シンクレア・ベイフィールド(ヒュー・グラント)がすぐにレッスンの手配を進めます。しかし伴奏者として雇われたピアニストのコズメ・マクムーン(サイモン・ヘルバーグ)は、フローレンスの歌声に呆然としてしまいます。

 

シンクレアは、そんな周囲の否定的な反応を懸命に封じ込め、フローレンスが気持ちよく歌える環境を整えるべく奔走します。おかげでますます自信を深めていくフローレンスは、自分が作った「ヴェルディ・クラブ」での限られた会員相手のリサイタルで満足せず、一般客にも開放したカーネギーホールでコンサートを開くことにするのでした……。

 

脚本と配役の妙に唸る

 

面白い!笑って、泣いて、気分よく劇場を後にできました。それもこれも、すばらしい脚本とそれに合った絶妙なキャスティングのおかげです。派手な演出はないのに、心底楽しめます。

 

まずもって、フローレンス・フォスター・ジェンキンスが亡くなる1944年に焦点を当てた脚本の秀逸さを評価しなければいけません。

 

このとき、フローレンスは76歳の高齢。 しかも、18歳で結婚した時に、夫から梅毒を移されているのです。ボケていてもおかしくありません。この設定があるがゆえに、元ピアノ教師としてすばらしい音感をもっていたはずのフローレンスが、なぜ並外れた自分の音痴ぶりに気づかないでいたかが理解できます。

 

もちろん、極度の音痴であることを必死に隠そうとするシンクレアへの気遣いから、音痴であることを知っていながら、それを無視しているという解釈の映画なのかと考えもしました。しかし、どうやらそうではありません。献身的なシンクレアと美しい音楽への深い盲目的な愛を素直に信じられる童女のような老婆であったと映画は描くのです。

 

このフローレンスを、名優メリル・ストリープが飄々と演じます。いつものことながら、どこにも力みはありません。本当に自分の歌が最高の音楽を創り出していると信じ切っている音痴のように見えます。おかげで、調子っぱずれの下手くそな歌を唄うストリープを心の底から大笑いでき、そして最後には涙を流して感激してしまうのです。

 

過去に演じた料理研究家ジュリア・チャイルドや英首相マーガレット・サッチャーに続く実在の有名人ですが、その抑制ぶりはいちばん。おかげで、本来なら脇役であるヒュー・グラントとサイモン・ヘルバーグが光り輝き、映画の面白みが増しています。

 

事実、フローレンスを描くのに、夫とピアノ伴奏者を前面に出した配慮は、見事に成功しています。

 

シンクレアがどうしてフローレンスと同居せずに、別にアパートを借りているのか、キャサリン・ウェザリー(レベッカ・ファーガソン)と同棲しているのか、開始早々、謎が生まれます。ヒュー・グラントが演じているために、シンクレアが実はとんでもない女たらしで、フローレンスをだましているのではないかという映画なのではないかと勘繰るのです。

 

しかも、その疑いをすぐに消すのではなく、昼間のフローレンスに尽くすシンクレアを描くことで徐々に解消しようとする脚本・演出にしびれます。つまり、シンクレアに対する疑念が、映画にサスペンスを与え、まるでアルフレッド・ヒッチコックの映画を観ているかのような緊張感を与えられるのです。

 

こうしてテンションを高めつつ、フローレンスを敬愛するシンクレアを、いつもの臭みをスパイスとして多少ふりまきながら演じたヒュー・グラントは偉大でした。

 

この人のメリル・ストリープを見つめるまなざしを見ただけで、その愛が本物だと感じてしまうのです。だからこそ、梅毒のために、最初から夫婦生活がなく、それを気遣ったフローレンスが、外で女性を作ることをシンクレアに許していたという事実が明らかになったときに、シンクレアの人知れない悩みを観客は共有することになり、より深いシンパシーをヒュー・グラントに感じるようになります。

 

巧い!とひざを叩きたくなる展開であり、それを具現化したグラントには、アカデミー主演男優賞を授与したくなりました。

 

伴奏者を演じたサイモン・ヘルバーグも、光り輝いていました。初めて知った俳優ですが、この人の笑っているのか、泣いているのかわからない優し気な表情が、常に主導権を握るフローレンスに振り回されるのがおかしくてなりません。本人が弾いているピアノも見事。ヒュー・グラントがアカデミー主演男優賞なら、ヘルバーグにアカデミー助演男優賞を与えたいくらいです。


最後、フローレンスが上手い歌を披露するという脚本・演出も、憎い限りです。メリル・ストリープの歌のうまさは、『マンマ・ミーア!』(2008)『イントゥ・ザ・ウッズ』(2014)『幸せをつかむ歌』(2015)で実証ずみ。フローレンスがめざしていたオペラのコロラトゥーラ・ソプラノのような歌唱法ではありませんが、ファンとしては溜飲が下がる思いで、映画の企みに拍手を送りたくなります。


とはいえ、映画としては、その前のモーツァルトのオペラ『魔笛』の有名アリア「夜の女王」がクライマックス。貧乏英語塾長、図らずも大粒の涙を落してしまったのでした。


伝記映画全盛の時代ですが、本作は頭ひとつ抜けています。

 

++++++++++

 

画質(2.391/デジタル): A/A

 

撮影は、『英国王のスピーチ』(2010)でアカデミー撮影賞にノミネートされた、『パイレーツ・ロック』(2009)『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』(2011)『レ・ミゼラブル』(2012)リリーのすべて』(2015)『ルーム』(2015)『疑惑のチャンピオン』(2015)のダニー・コーエン

 

機材は、アリ・アレクサXT HDカメラを使用。マスター・フォーマットは、不明。

 

4Kプロジェクター上映。

 

9.5m×3.9m のシネスコ・スクリーンを2列目で見るのですが、全部は視野に入らなくても、被写体が中央に位置するカメラワークのために、何のストレスもなく、楽しむことができました。

 

アレクサで撮影された作品なのに、グレインこそありませんが、全体的にフィルムルックな画調です。全体的に軟調ではありますが、解像度は決して低くなく、フィルム画質が好きな人間としては、非常に好ましく感じます。

 

色温度は、やや低め。ほんのりとオレンジがかっており、おかげで茶色が美しく映えます。このあたりもフィルムっぽくて、気に入りました。色数は多く、原色も中間色も鮮やか。派手なフローレンスの舞台衣装も、艶やかに目に飛び込みます。

 

肌の質感もナチュラルそのもの。特にヒュー・グラントの顔にシミまで浮かべた老け顔の大写しにまったく違和感を覚えなかったのは、メーキャップの巧さとマッチした高度な撮影術(ならびにポスプロの視覚効果)のおかげ。舌を巻きます。


暗部情報も、十分。黒はどこまでも沈み(とはいえ、そういう暗いシーンは少ないのですが)、コントラストも高く、滑らかな階調を誇り、見えづらいシーンはまったくありません。


音質(Linear PCM): A

 

左右前後に音を定位させ、音の出所もスクリーンとマッチしていて、派手さはありませんが、立派な音響設計です。

 

基本的にはフロント重視ですが、後方に回される音数も多く、特に音楽が鳴り出すと包囲感は最高潮に達します。移動感も、発揮される場面は少ないのですが、車の走行などで決めてくれます。

 

肝心の音楽は、フローレンスが音痴ということもありますし、物語上大編成のオーケストラを聞かせてくれるわけではないので、地味です。ピアノの音も、ベヒシュタインやスタインウェイが弾かれるのですが、しびれるほど美しくはなく、普通の鳴りで終わっています。

 

純度は、最高レベル。あくまで穏やかな音遣いで、金属的な不快さは一切ありません。音量も、うるさすぎず、低すぎず、ちょうどよい按配でした。

 

セリフの抜けは、文句なし。音像が膨らむこともなく、役者の口元に寄り添います。サ行も滑らかで、発音も明瞭です。

 

超低音成分は、控えめ。ピアノとコントラバスの最低音が記憶に残る程度です。

 

TOHOシネマズ新宿の場合、スクリーン10IMAXデジタルシアターから漏れてくる重低音がスクリーン11でも映画の興趣を殺ぐことがあるのですが、この日は何も聞こえてきませんでした。対策が講じられたのか、それとも運がよかっただけなのか。ともあれ、ゆったりと映画を楽しむことができたのは幸いです。

 

英語学習用教材度: C

 

字幕翻訳は、古田由紀子。

 

セリフ量は、やや多め。歌はイタリア語やドイツ語の場合もありますが、英語に訳された歌詞を唄うことが多く、勉強になります。俗語・卑語はほとんど使われません。F-wordにいたっては、ゼロです(PG-13指定)。安心してテクストに使用できます。

 

英語自体も、それほど難しい言い回しが多くなく、TOEIC860点ホルダーだと、日本語字幕を頼りにすれば、原文のセリフの8割以上は再現できるのではないでしょうか。

 

字幕翻訳も滑らか。ほとんど違和感を覚えずにすみました。

 

++++++++++

 

気になるところを、アト・ランダムに。

 

原題は、Florence Foster Jenkins。欧米の映画によくある、味もそっけもない主役の名前です。邦題は、ここまで凝らないとまずいのでしょうか。副題は、西川美和監督・脚本、松たか子・阿部サダヲ主演『夢売るふたり』(2012)をパクったものとしか思えません。いささか品がない態度です

 

シンクレアとマクムーンの生没は次のようになっています。

 

 シンクレア:1875年8月2日 - 1967年5月19日
 マクムーン:1901年2月22日 – 1980年8月22日

 

したがって、1944年当時、シンクレアは70歳、マクムーンは43歳。55歳のヒュー・グラント(196099日生まれ)が演じたシンクレアはもう少し若く見えますが、まあ許せる範囲です。

 

ちなみに、メリル・ストリープ(1949622日生まれ)は66歳で、サイモン・ヘルバーグ(1980129日生まれ)は35歳でそれぞれの役を演じています。

 

☆簡単な英語の名セリフをふたつ。両方とも、フローレンスのものです。

 

 Music matters.

 

「音楽は、重要です」という意味ですが、‟m”が頭韻を踏んでいるところが憎いところです。

 

 I am blessed.

 

「私は、恵まれているわ」フローレンスの前向きで謙虚な性格が出ています。

 

シンクレアの最後のセリフです。

 

 Bravo, my love.

 

ちなみに、シンクレアはフローレンスを直接呼ぶときには‟My bunny”もしくは‟My rabbit bunny”を使うのが劇中では普通でした。

 

☆蓮っ葉な人妻ですが、カーネギーホール・コンサートで招待した米兵たちがフローレンスの歌の下手さをなじってひどいヤジをしたときに、‟Shame on you!”(恥を知れ)と聴衆をなだめるアグネス・スターク役のニナ・アリアンダには、泣かされました。ほうぼうの映画で観ていますが、本作で記憶に残りました。これからの活躍に期待します。

 

フローレンスが作った「ヴェルディ・クラブ」で、メリル・ストリープがワグナーの「ワルキューレの騎行」を演じるあたり、楽しい限りです。

 

フローレンスはポテトサラダが大好きだったとか。それにしても、バスタブいっぱいにポテサラを作るのには驚きました。事実なんでしょうね。

 

サンサーンスの「白鳥」2度効果的に使われて、涙を誘います。

 

イタリア人の有名指揮者、というか20世紀前半を代表する指揮者であるアルトゥーロ・トスカニーニ1867325- 1957116日)が出てきて、フローレンスに寄付をせがむあたり、興味深いシーンでした。演じたのは、ジョン・カヴァノーです。

 

1900万ドルの製作費で、これまでのところ、アメリカで2738万ドル、世界で4440万ドルの売り上げ。これなら、実質的にも黒字になりそうです。

 

☆特典は、次の映像特典です。

 

 ❝幸せな世界❞の作り方(5:02)
 ◆屮泪瀬燹Ε侫蹇璽譽鵐后」のエッセンス:歌と音楽(4:03)
 9覯擇憤畫と壮大なセット(3:45)
 っ總曚ら映画ができるまで(4:19)
 ゥ錙璽襯鼻Ε廛譽潺 インタビュー(1:59)
 μじ開シーン(4種/6:10)
 Д瓮螢襦Ε好肇蝓璽 来日インタビュー(11:53) 
 日本版予告編(1:52)
 キャスト・スタッフ プロフィール(静止画)
 プロダクションノート(静止画)

 

 

 

Blu-ray Discは、95日にイギリスで発売されています。

 

 

仕様です。残念ながら、日本語字幕・日本語吹替えはつきません。

 

 Region B
 容量: 250GB
 映像: MPEG-4 AVC/1080p/2.39:1 (29.98 Mbps)
 音声: DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz, 16-bit)(英語)
     LPCM 2.0 (48kHz, 16-bit)(英語)     
 字幕: 英語

 

特典は、なかなかの量です。

 

 Deleted Scenes
 "Ours is a Happy World"
 The Music and Songs of Florence
 Designing the Look
 From Script to Screen
 Florence Foster Jenkins World Premiere

 

今日現在、英アマゾンで149.99ポンドで販売されています。


米盤BDは、1213日発売予定です。米アマゾンで、27.99ドルで予約販売されています。

 

++++++++++

 

映画ファン、出演俳優ファン、必見。強くオススメします!

| 外国映画(マ行) | 19:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
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