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ノクターナル・アニマルズ(UK BD / Region Free)


原題:Nocturnal Animals (2016) 
上映時間:1:56:32
2017年秋 国内劇場初公開
公式サイト:http://www.nocturnalanimals.jp/

ゴウ先生総合評価: A-
  画質(2.40:1): A
  音質(DTS-HD Master Audio 5.1): A+/A
  英語学習用教材度: A

 

カリスマ・ファッションデザイナーである、『シングルマン』(2009)のトム・フォードの監督・製作・脚本により、オースティン・ライトのベストセラー小説『ミステリ原稿』を映画化したスリラー。

 

ミステリ原稿 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1647)
オースティン・ライト
早川書房

 

Nocturnal Animals: Film tie-in originally published as Tony and Susan (English Edition)
Atlantic Books

 

主演は、『ジューンバッグ』(2005)『ダウト 〜あるカトリック学校で〜』(2008)『ザ・ファイター』(2010)『ザ・マスター』(2012)でアカデミー助演女優賞に、『アメリカン・ハッスル』(2013)で同主演女優賞にノミネートされた、主演作『メッセージ』(2016)が同作品賞にノミネートされているエイミー・アダムス

 

共同主演は、『ブロークバック・マウンテン』(2005)でアカデミー助演男優賞にノミネートされた、『プリズナーズ』(2013)『ナイトクローラー』(2014)『サウスポー』(2015)『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(2015)『ライフ』(2017)と話題作への出演が続くジェイク・ギレンホール

 

準主演は、マイケル・シャノンアーロン・テイラー=ジョンソン

 

その他、アイラ・フィッシャーアーミー・ハマーエリー・バンバーアンドレア・ライズブローマイケル・シーンジェナ・マローンローラ・リニーが共演。

 

アカデミー賞では、マイケル・シャノンが助演男優賞にノミネート。ゴールデン・グローブ賞では、アーロン・テイラー=ジョンソンが助演男優賞を受賞し、トム・フォードが監督・脚本賞にノミネート。

 

☆英盤BDで観る

 

エイミー・アダムスの大ファンです。出演作は、全部見ています。しかも、ローラ・リニー、アンドレア・ライズブローという大好きな女優やジェイク・ギレンホール、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン、マイケル・シーンといういまの米英映画界を引っ張る男優が出ています。それをトム・フォードが監督するというのですから、これほど魅力的な作品もなかなかありません。

 

実際、興行的にはイマイチで、アカデミー作品賞ノミネートも逃しましたが、評論家からの受けは、かなりよいものでした。Rotten Tomatoesでは、73%の支持率で、10点満点中7点。Metacriticでは、100点満点中67点という具合です。

 

これは観らねばと3月に英盤Blu-ray Discを取り寄せていました。日本での公開が始まりましたので、この機会にレビューをアップロードさせていただきます。

 

☆あらすじ

 

舞台は、現代の米ロサンゼルス(LA)、テキサス州。

 

スーザン・モロー(エイミー・アダムス)は、LAで画廊ギャラリー・モローを経営し、アート・ディーラーとして成功を収めたやり手の女性です。しかし、夫ハットン・モロー(アーミー・ハマー)との結婚生活は冷え切り、ひとり娘も家から離れていて、満たされない日々を送っています。

 

そんなスーザンのもとに、ある日、20年前に離婚した元夫エドワード・シェフィールド(ジェイク・ギレンホール)から本人が書いた小説『夜の獣たち(Nocturnal Animals)』の原稿が送られてきます。作品がスーザンに捧げられていることに違和感を覚えつつ、スーザンはすぐに読み始めます。

 

そこに描かれていたのは、テキサス州を車で移動中の父親トニー(ジェイク・ギレンホール)、母親ローラ(アイラ・フィッシャー)、娘インディア(エリー・バンバー)のヘイスティングス家が、レイ・マーカス(アーロン・テイラー=ジョンソン)をリーダーとする3人の男たちの襲撃に遭い、妻と娘がレイプされて殺され、トニーが刑事ボビー・アンディーズ(マイケル・シャノン)と共に犯人たちを追い詰めていくという壮絶な復讐の物語でした。

 

そのあまりに暴力的な内容と完成度の高さに衝撃を受けるとともに、エドワードへのおもいが募り、スーザンはLAに滞在しているというエドワードと会う約束をするのでした……。

 

☆巧みな復讐劇は、見応えあり

 

脚本・演出・俳優・映像・音楽・衣装デザイン・編集が見事に相まった完成度の高い作品です。一度見始めたら、目が離せません。若干不満は残りますが、良作といえましょう。

 

何といっても、エドワードの復讐への執念に圧倒されます。20年前にエドワードをいとも簡単に捨ててハットンに走ったスーザンはLAで大成功をおさめ、これまた実業家として大成功を収めたハットンと豪華な生活を送っています。それに対して、エドワードはテキサス大学があるオースティンで独身のまましがない高校教師をしているのです。その格差は大きく、エドワードがスーザンに対する憎しみを抱え続けていたとしても不思議ではありません。

 

その復讐への執念が、スーザンのあだ名であった“nocturnal animal”を複数形にした小説に結実します。それをスーザンに送りつけた時点で、エドワードは自分なりの復讐を終えたといえます。しかも、皮肉なことに、結婚していたときに書いていた小説はつまらないものだったのに比べて、今回の小説の出来はスーザンを圧倒するものでした。

 

この結果、スーザンはエドワードに会いたいというメールを書き、待ち合わせ場所を決めます。しかし、そこにエドワードは来ません。もはや小説を書き上げた時点で、エドワードの中のスーザンは消えてしまっていたのです。

 

この展開は、エイミー・アダムスの好演により、見事な効果を挙げています。

 

初恋の相手であるエドワードと結婚すると母親アン・サットン(ローラ・リニー)に告げると、アンが「エドワードは弱くて貧乏だから自分と似ているスーザンは耐えきれない。だから結婚してはいけない」と諭しても、結婚してオースティンへと行きます。しかし、あっという間に破局。結局は、母親の予想通り、スーザンはアンと同じだったのです。

 

ところが、因果応報というべきか、スーザンもハットンから捨てられかけています。そんなときにエドワードにすがりたいとおもっても、エドワードはすでに心が離れています。

 

その様を明らかにする待ち合わせのレストランで平然とウイスキーを飲み続けるスーザンを演じるアダムスに息を呑みます。エドワードが来ないことでショックを受けて、泣き崩れるかとおもったら、そうではないのです。アダムスは淡々とウイスキーのお代わりをし続けます。

 

この結果、観る者は、エドワードの復讐は成功したのか。本当にスーザンは反省しているのか、疑わしくなってきます。小説の中でエドワードの分身であるトニーは、スーザンの分身である妻を殺されますが、現実のスーザンはたくましく生きていきそうなのです。たとえレイプされることがあったとしても。それは、まるで『エル ELLE』(2016)でイザベル・ユペールが演じたゲーム会社の女性社長のようです。その不気味なスーザンのたくましさこそが、“nocturnal animal”たる所以だとすら感じます。

 

その意味で、ジェイク・ギレンホールが気弱なエドワードと暴漢どもに襲われても妻と娘を救えなかったトニーを演じたことが、本作に漂う悲哀を増幅しています。つまり、どんなにエドワードやトニーが復讐をしようとしても、結局はトニーの最期に象徴されるように、それはハッピーエンドには終わらないのです。エドワードがスーザンを手に入れることは現実的ではありませんし、トニーが妻と娘を生き返らせることはできないからです。こうした、いくらがんばっても報われることのない男を演じさせると、ギレンホールは凄いオーラを放ちます。復讐に意味があったのかどうかが観客にわからせなくするのですから、舌を巻きます。

 

殺伐となりがちな本作の中で、ホッとさせられるのが、肺がんが身体中に転移して(metastasize)余命1年の刑事を演じたマイケル・シャノンの存在です。その温もりある刑事ぶりを見ているだけで、気持ちがなごみます。ただし、その展開があまりにストレートで悪者どもが簡単に成敗される点に不満が残るのは残念でした。

 

それでも、アーロン・テイラー=ジョンソンの堂々たる悪党ぶりは、称賛に値します。キャリア・ベストの憎々しさです。

 

スーザンの母役のローラ・リニー、スーザンの友人夫婦を演じたアンドレア・ライズブローとマイケル・シーン、スーザンの部下役のジェナ・マローンも、ひとつのシーンにしか登場しないのですが、すべて強烈な印象を残します。大した役者と演出です。

 

シングルマン』(2009)でも組んだアベル・コジェニオウスキの音楽の低音弦楽器を多用した重厚さは、記憶に残るすばらしいものでした。

 

ジョーン・ソーベルの編集も、3つの違った物語をテンポよくつないでおり、観る者を飽きさせることがありません。絶品です。


内容: A-

 

++++++++++

 

画質(2.40:1): A+/A

 

Gump TheatreにてOppo BDP-93から1080・24p信号を直接HDMIケーブルによってソニーVPL-HW30ESに送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映しています。2層50GB。コーデックは、MPEG-4 AVC。伝送レートは、2 Mbpsから42  Mbps。

 

撮影は、『つぐない』(2007)『アンナ・カレーニナ』(2012)でアカデミー撮影賞にノミネートされた、『めぐりあう時間たち』(2002)『シャーロットのおくりもの』(2006)『路上のソリスト』(2009)『アベンジャーズ』(2012)『GODZILLA ゴジラ』(2014)『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015)『PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜』(2015)『ザ・コンサルタント』(2016)のシーマス・マッガーヴェイ

機材は、パナビジョン・パナフレックス・ミレニアム・XL2 35mmフィルム・カメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(2K)。オリジナル・アスペクト比は、2.39:1。

 

現代最高のBD画質には差がありますが、フィルムルックなテクスチュアが魅力的な映像です。

 

場面によってばらつきはありますが、おおむね解像度は高く、細部に甘さはありません。彫りは深く、奥行き感も出ています。

 

発色は、場面ごとに変えられています。現在のシーンは、色温度高めでブルーが支配的で冷涼感が強め。回想シーンは、色温度は低く、オレンジ系が強まり暖色系。小説シーンは、ニュートラルで、ざらついた雰囲気となっています。

 

どのシーンも、色数は多く、色乗りはパワフル。特に、小説シーンはコッテリ感を湛えています。肌の質感は、どれもナチュラル。違和感はありません。

 

暗部情報量も、かなりのもの。小説シーンの夜間場面でも、黒がよく沈み、見づらいシーンはほとんどありません。

 

大画面の近接視聴は、まったく問題なしです。

 

音質(DTS-HD Master Audio 5.1): A

 

Oppo BDP-93からソニーVZ-555ESに、サラウンドバック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネル分をラインアウト接続して再生。伝送レートは、不明。音量は、マイナス30デシベル。

 

左右前後に音を定位させる音響設計。後方からの音数も多く、立体音場の密度はかなり濃厚です。包囲感は非常に高く、移動感もなかなかのものです。

 

ノイズ・フロアは、最低レベル。マイナス30デシベルで聴いても、まったくうるさく感じませんし、不快なメタリック成分もなしです。砂漠においては虫の鳴き声などの細かい環境音もよく聞こえてきますし、パーティー・シーンでは人々のざわめきがリアルです。

 

特筆すべきは、音楽の響きの豊潤さです。アベル・コジェニオウスキが書いたオーケストラ・スコアの弦楽器、特にベースとコントラバスの艶めかしさにしびれます。

 

セリフの抜けも、まったく文句なし。サ行も滑らか。発音も明瞭です。

 

超低音成分は、控えめ。ブーミーになることはまったくありません。

 

A+/Aにするかどうか悩んだことをいい添えておきます。

 

英語学習用教材度: A

 

英・西・独・伊語などの字幕・独・伊・西語吹替えつき。日本語字幕・日本語吹替えは、残念ながら、つきません

 

セリフ量は、大量。ただし、俗語・卑語が、大量のF-wordを含め、多用されますので(R指定)、教材として使うには注意が必要です。

 

加えて、早口のシーンが多く、相当な英語力がないとついてけません。逆にいえば、それだけリスニング能力を鍛える映画ともいえます。英語字幕が、セリフを完璧にフォローしていますから、その点では勉強しやすいのは事実です。

 

特典は、量がそれほど多くないものの、英語字幕がつきますので、悪くはありません。

 

++++++++++

 

気になるところを、アト・ランダムに。

 

☆原題は、Nocturnal Animals。直訳すれば、「夜行性動物」。公式サイトに書かれている『夜の獣たち』というタイトルは、すばらしいものです。それを邦題にすればよかったのに。

 

スーザンとエドワードが結婚に至る経緯を映画の中から拾い出し、推測を踏まえて再構成すると次のようになります。

 

 ニューヨーク州北西部の小さな町ヘイスティングスで出会う

 幼なじみで、お互いが初恋の相手

 お互いの家族もふたりのことをよく知っている

 スーザンは、エール大学を卒業後、コロンビア大学大学院へ進学

 エドワードは、テキサス大学に進学。

 コロンビア大学大学院の奨学金を得るための面接で、冬のNYCへ

 そこで偶然再会したふたりは、恋に落ちる

 エドワードは、コロンビアの奨学金が取れず、テキサス大学大学院へ進学

 スーザンはコロンビアを辞めて、結婚してオースティンへ住む

 

☆2500万ドルの製作費で、これまでのところ、アメリカで1066万ドル、海外1941万ドル、世界で3007万ドルの売り上げ。実質的には黒字になれなかったことでしょう。

 

特典は、次の3つのパートからなる計11分18秒のメイキングです。

 

 Building the Story
 The Look of Nocturnal Animals
 The Filmmaker's Eye: Tom Ford

 

映像:Aを基本に、Bが挿入

 A ビスタ・サイズ(1.78:1)のHD画質(AVC/1080・24p)
 B シネスコ・サイズ(2.40:1?)のHD画質(AVC/1080・24p)

音声:ドルビーデジタル・ステレオ

うれしいことに、英語字幕がつきます。

 

☆短いですが、トム・フォードの製作意図がよくわかるメイキングです。

 

++++++++++

 

映画ファン、出演者ファン、トム・フォード・ファン、必見。可能ならば、画質のよい4K上映館でお楽しみください。英語に問題がなければ、いまは4.50ポンドまで値下がりしている英盤BDはオススメです。

 

| 外国映画(ナ行) | 10:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
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