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マンチェスター・バイ・ザ・シー(US BD)

 

原題:Manchester by the Sea (2016)
上映時間:2:17:32
2017年5月13日 国内劇場初公開
公式サイト:http://www.manchesterbythesea.jp/

ゴウ先生総合評価:  A/A-
  画質(1.85:1): A
  音質(DTS-HD Master Audio 5.1): A/A-
  英語学習用教材度: A-

 

本作は、ケイシー・アフレック主演による人間ドラマ。

 

準主演は、ルーカス・ヘッジズミシェル・ウィリアムズ

 

その他、カイル・チャンドラーグレッチェン・モルC・J・ウィルソンマシュー・ブロデリックが共演。

 

監督・脚本は、『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』(2000)『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)でアカデミー脚本賞にノミネートされた、『アナライズ・ミー』(1999)『アナライズ・ユー』(2002)のケネス・ロナーガン

 

共同製作者のひとりに、マット・デイモン。製作総指揮のひとりに、ジョン・クラシンスキー

 

アカデミー賞では、主演男優賞(ケイシー・アフレック)・脚本賞を受賞し、作品賞・助演男優賞(ルーカス・ヘッジズ)・助演女優賞(ミシェル・ウィリアムズ)・監督賞にノミネート。

 

☆アカデミー作品賞候補作を米盤BDで観る

 

2016年度映画賞をにぎわした作品です。個人的には、『Fences』のデンゼル・ワシントンが取るものと信じていたアカデミー主演男優賞を、本作のケイシー・アフレックが受賞したので、その演技を絶対に確認したいとおもっていました。

 

しかし、日本での劇場公開は、5月13日です。とても、そこまで待てません。2月21日に発売された米盤Blu-ray Discが、米アマゾンで19.96ドルになったので、3月6日に注文することにしました。それが、昨日届き、早速、視聴に移ったのでした。

 

☆あらすじ

 

舞台は、現代の冬から春にかけてのマサチューセッツ州マンチェスター・バイ・ザ・シー。

 

リー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)は、いま現在、ボストンでアパートの管理人(janitor)をしています。そのもとへ、故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに住む兄ジョー・チャンドラー(カイル・チャンドラー)が心筋梗塞で危篤だという知らせが、入ります。倒れたときにジョーを病院に運び込んだ兄の親友ジョージ(C・J・ウィルソン)からの電話です。

 

理由があって絶対に帰りたくなかった故郷でしたが、兄弟仲がよかったリーはすぐに駆け付けます。病院に待っていてくれたジョージからジョーが1時間前に死んだことを聴くと、リーはまだ40代の兄と無言の再会を果たします。

 

葬式の手配に追われながら、リーは弁護士のもとを訪れてジョーの遺書を確認します。すると、ジョーの16歳の息子パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の法定後見人に、兄が自分を選任していたことを知ります。

 

兄の遺志をかなえるためには、ボストンにパトリックを連れていくか、自分がマンチェスター・バイ・ザ・シーに住む必要があります。後者は嫌なので、前者をパトリックに提案しますが、地元にたくさんの友だちを抱えるパトリックは引っ越しを拒絶します。

 

仕方なく、兄と離婚したこともあって、リーもパトリックも縁を切っていたパトリックの母親エリス(グレッチェン・モル)が、離婚の一因となったアルコール依存症を克服し、ジェフリー(マシュー・ブロデリック)という信心深い男と結婚して近くに住んでいることを知り、リーはパトリックを引き合わせてみます。しかし、経済的には問題がないようですが、心の傷を抱えた母親をおもんばかるジェフリーからパトリックを引き取ることができないとメールが届きます。

 

こうなると、マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってくることしかないのですが、リーは頑なに拒みます。パトリックがまだ幼いころに自分のミスで火事を起こし、幼い3人の子供を亡くし、妻ランディ(ミシェル・ウィリアムズ)とも離婚してしまった悲しい思い出が大量に詰まった町だからです。しかも、いまでも忘れられないランディは、いまもマンチェスター・バイ・ザ・シーに住んでいます。

 

そんなとき、リーはランディと再会してしまうのでした……。

 

☆‟sorry”と‟f-word”が詰まった重たい秀作

 

自分の火の不始末で子供3人を焼死させてしまい、自暴自棄になって故郷を捨てた主人公の心情を、兄の死甥の法定後見人を押さえつけられるという現在のトラウマから過去のトラウマをフラッシュバックで思い出す構成になっている映画です。

 

アカデミー脚本賞を取るほどの斬新さや工夫に満ちているわけではないように感じられるのですが、登場人物たちの心情描写を丁寧に描く、さりげないセリフ回しに巧さを感じます。

 

そのセリフには、大量‟sorry”と‟F-word”が、大量に使われ、リーとその周辺の人びとが、悲嘆と憤怒に満ちた時間を共有していることがわかります。実際、主人公リーを始め、ほとんどの登場人物が、笑顔もなく、悲しみ怒り続けるのですから、その脚本と演出の直接性に舌を巻きます。

 

こうした骨太の脚本・演出を支えたのは、優秀な役者たちでした。

 

特に、ケイシー・アフレックの抑制された演技は、格別です。過去を忘れたいのに忘れられず、親類やかつての友人ともつきあわず、常に不愉快な表情で、酒を飲んでは感情を爆発させて喧嘩にいたるリーの寂しさと悔やみが、アフレックの身体中から立ち上っているのです。

 

さらに、怒りまみれのリーが、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻って、パトリックの面倒を見るようになると、その感情を押し殺し、映画にミステリアスな緊迫感を与えます。リーがいつ爆発するのだろうと考えながら、観てしまわざるを得ないからです。アカデミー主演男優賞も、フロックとはいえません。

 

同助演男優賞にノミネートされたルーカス・ヘッジスも、16歳の未成熟な部分を、父親が死んだ夜に、ガールフレンドとセックスをしたり、バンド練習で気を紛らわしたりするあたり、日本人の目から見ると、不謹慎とおもえるのですが、その違和感が死そのものに対する違和感と重なり、これまた映画に緊張感を与えています。

 

そして、圧巻は、これまた本作でオスカー4度目のノミネートをはたしたミシェル・ウィリアムズです。

 

開始1時間18過ぎ、ランディがリーに電話をかけて、ジョーの葬式について尋ね、自分が再婚したことを告げます。この場面は、声だけの登場ですが、場面に映るケイシー・アフレックの沈鬱な表情に対して、歯切れのよいセリフ回しが見事なコントラストを見せ、リーの悲しみがより深くさせる力が込められています。

 

さらに、開始1時間54分過ぎから4分近く続く、ランディがリーと道端で偶然に出会うシーンは、映画史上に残る対話シーンです。自分の秘めた想いを泣きながら打ち明け、リーに死んだりしないで(You can't just die)と訴えるランディの内面を、ウィリアムズが壮絶に演じます。アフレックも、予定調和になることなく、ウィリアムズの語り掛けにリアルに反応しますから、悲痛で感動的な場面が生まれているのです。

 

クラシックの名曲を使った音楽も、秀逸でした。ことに、開始54分過ぎからのリー自宅の火災シーンから警察での取り調べの場面で流れるアルビノーニのアダージョト短調には胸を締め付けられます。

 

間に挟まるマンチェスター・バイ・ザ・シーの街並みと沿海を映し出すエンプティ・シーンも、実に効果的に映画の主題を描きます。

 

こういう映画では、最後は主人公に幸せの予兆を与えて、観客に希望を与えるものですが、リーは最後まで、甥のパトリックの幸せを願いつつも、自分に対しては厳しい態度を崩さず、その期待を裏切ります。まともな家具さえ買わず、死んだ子供3人の写真を部屋に飾って、常に罪の意識とともにあろうとするのです。

 

犯した罪は、いつまでも赦されないのか。そのあまりのメランコリックな結末を好きにはなれませんが、父親の罪を直球で描いた本作がどーんと胸に堪える秀作であることは素直に認めます。

 

内容: A/A-

 

++++++++++

 

画質(1.85:1): A

 

Gump TheatreにてOppo BDP-93から1080・24p信号を直接HDMIケーブルによってソニーVPL-HW30ESに送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映しています。2層50GB。コーデックは、MPEG-4 AVC。伝送レートは、5 Mbpsから41 Mbps(平均29.97 Mbps)。

 

撮影は、『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(2011)『エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方』(2015)のジョディ・リー・ライプス

 

機材は、アリ・アレクサ・XT HDカメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(2K)。

 

解像度は現代最高レベルからするとかなり差がありますが、細部が潰れるほどではありません。彫りも深く、奥行き感も出ています。わざとグレイン状のものが出るように処理されていて、やや荒れたテクスチュアです。

 

発色は、ほぼニュートラル。ただし、色数をやや減らしているように感じられるほど、あっさりとした色乗りです。そのせいもあって、白茶けて見えるシーンが多くなっています。肌も白すぎるように感じますが、白人ばかりの登場人物ですから、違和感はほとんどありません。


暗部情報量は、問題。黒の沈み込みには限度はあって、暗い夜のシーンでは見づらさが生まれています。

 

大画面の近接視聴は、一応、問題ありません。すっきりとした画調が好ましいので、A評価としましたが、A/A-に落とすか、最後まで迷いました。

 

音質(DTS-HD Master Audio 5.1): A/A-

 

Oppo BDP-93からソニーVZ-555ESに、サラウンドバック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネル分をラインアウト接続して再生。伝送レートは、不明。48kHz, 24-bit。音量は、マイナス25デシベル。

 

静かな映画です。音量的にも、デフォルトでは、通常Gump Theatreで聴いているマイナス30デシベルではものたりず、それから5デシベル音量を上げました。そうすると、室内の反響音・遠くの会話・鳥の鳴き声など細かい環境音が聞こえるようになり、実体感がぐっと増します。

 

音響設計は、フロント重視。後方に音が回るのは、音楽とアンビエント成分がメインです。そのために、立体音場の密度感は薄く感じ、包囲感も移動感も強くないのですが、それが映画の内容に合っていて、何ともいえない寂寞感を高めています。それでも、アイスホッケーの練習シーンでは、キレのある移動感と濃厚な包囲感でリアリティが高まるのですが、こういうシーンは多くありませんし、音の出所がややスクリーンとずれています。

 

ただし、音の純度の高さは、十分です。マイナス25デシベルでも、雑味を感じません。多用されるクラシックの名曲も、女性コーラスも、その音の響きが粒立ちよく耳に届き、情感を高めます。メタリックな不快感のない分厚い音です。

 

セリフの抜けは、まったく問題なし。サ行も滑らかで、ボストン訛りのケイシー・アフレックのもごもごとした発音も、聴き取りやすくなっています。

 

超低音成分は、ほとんど入っていません。火災シーンのときに多少使われるくらいです。

 

英語学習用教材度: A-

英・西語字幕つき。残念ながら、日本語字幕・日本語吹替えはつきません。

 

セリフ量は、多め。ただし、F-wordが110回登場するなど、俗語卑語が膨大で(R指定)、テクストに使うには、細心の注意が必要です。ただし、そういうひどい英語(strong language)が使われると、劇中でそれを使った人間を周囲の人間が注意しますので、不適切な表現であることが体感できるようになっています。

 

英語字幕は、99%以上、セリフを完璧にフォローしています。その意味では勉強しやすい素材ではあります。

 

特典はつくものの、それほど量が多くなく、英語字幕もつきませんので、A-が精一杯の評価です。

 

++++++++++
  
気になるところを、アト・ランダムに。

 

☆原題も、Manchester by the Sea。直訳すれば「海辺のマンチェスター」ですが、米マサチューセッツ州エセックス郡ケープアンに位置する町の名前です。単に‟Manchester”とも呼ばれています。

 

☆本作でもっとも印象的なセリフは、開始2時間5分すぎの映画の結末部分のリーがパトリックに向かって、パトリックの世話ができないと告げる場面で使われる次のものです。

 

 I can't beat it.

 

直訳すれば、「ぼくは、それから立ち去れない」。つまり、「オレは、火事のことから逃げられないんだ」という意味のセリフです。リーの辛い心情を的確に表現しています。

 

マサチューセッツの雪景色が、映画のテーマをさらに追い込みます。

 

撮影は、2015年2月から5月にかけて。実質、32日間の撮影だったとか。

 

☆850万ドルの製作費で、これまでのところ、全米4759万ドル、海外1459万ドル、計6218万ドルのスマッシュヒットを記録しています。すごい収益率です。

 

特典は、それほど多くはありません。まずは、音声特典。

 

 A Conversation with Director / Writer Kenneth Lonergan

 

音声は、ドルビーデジタル・ステレオ。残念ながら、字幕は一切つきません。沈黙の時間は多くはないのですが、その内容は、撮影の裏話を語るというよりも、映画のテーマに沿うもので、面白おかしいものではありません。

 

次に、映像特典です。


 Emotional Lives: Making Manchester by the Sea (16:00)
 Deleted Scenes (3種/5:50)

 

映像:ビスタ・サイズ(1.78:1)のHD画質(AVC/1080・24p)

音声:ドルビーデジタル・ステレオ

残念ながら、英語字幕はつきません。

 

‟Emotional Lives”は、典型的なメイキング。キャスト・スタッフのインタビューと撮影シーンで構成されています。悪くはありませんが、取り立てて高く評価できるものでもありません。

 

△‟Deleted Scenes”では、兄ジョーと元妻エリスとのこじれた関係が示唆されたものが含まれています。

 

++++++++++

 

映画ファン、ケイシー・アフレックとミシェル・ウィリアムズのファン、必見。英語に問題がなければ、米盤BDも悪くはないでしょう。ですが、絵と音はそこそこのレベルで、特典に英語字幕がつきません。ともあれ、映画そのものは、強くオススメします!

 

| 外国映画(マ行) | 11:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
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