CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
英語で「日本国憲法」を読んでみる―The Constitution of Japan
英語で「日本国憲法」を読んでみる―The Constitution of Japan (JUGEMレビュー »)
別冊宝島編集部
英語で憲法を読んでみれば、戦勝国アメリカから押し付けられたことが手に取るように分かります。50年以上、修正されていない憲法。時代にそぐわない内容。それでも、憲法改正、不要ですか?
★★★★★
RECOMMEND
駅 STATION [DVD]
駅 STATION [DVD] (JUGEMレビュー »)

高倉健を知りたければ、まずこの一本。「渋さ」の意味が分かります。★★★★★
<< 『アメリカン・レポーター』は、やっぱり(独盤)BDで観たい | main | ザ・コンサルタント >>
沈黙 -サイレンス-

 

原題:Silence (2016)
上映時間: 162分
2017年1月21日 国内劇場初公開
公式サイト:http://chinmoku.jp/

109シネマズ木場 シアター1 H-13(→F12)
2017年1月31日(火)15時20分の回

ゴウ先生総合評価: A
  画質(2.39:1/デジタル): A+/A
  音質(Linea PCM): A
  英語学習用教材度: B-/C+

 

アカデミー監督賞に通算8度ノミネートされ、『ディパーテッド』(2006)で受賞した巨匠マーティン・スコセッシ監督・製作・脚本による、遠藤周作の史実に基づいた歴史小説『沈黙』を映画化した人間ドラマ。

 

沈黙 (新潮文庫)
遠藤 周作
新潮社

 

共同脚本は、『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(1993)でアカデミー脚色賞、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)で同脚本賞にノミネートされた、『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(1995)『五線譜のラブレター DE-LOVELY』(2004)のジェイ・コックス

 

主演は、『ハクソー・リッジ(原題)』(2016)でアカデミー主演男優賞にノミネートされている『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(2012・2014)のアンドリュー・ガーフィールド

 

準主演は、アダム・ドライヴァー窪塚洋介浅野忠信リーアム・ニーソン

 

その他、イッセー尾形、笈田ヨシ、塚本晋也、キアラン・ハインズ、小松菜奈、加瀬亮が共演。

 

☆待望の一作、ネイティブ4K上映で観る

 

マーティン・スコセッシが敬虔なカトリック信者であることは、昔からよく知られたことです。1988年にはイエス・キリストの生涯を描いた『最後の誘惑』を完成させてもいます。

 

最後の誘惑 [Blu-ray]
ジェネオン・ユニバーサル

 

その後、『沈黙』を映画化するというニュースが飛び込み、ワクワクしながら、その完成を待っていたら、四半世紀も経ってしまいました。それが、やっと完成したとなれば、観ないわけにはいきません。

 

ところが、映画の評判がいまひとつ高まりません。一部の映画評では絶賛されているものの、映画賞での活躍がないのです。作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞といった主要部門でのノミネート・受賞が少なく、アカデミー賞では撮影賞にノミネートされているだけです。

 

思い入れが強いと、マーティン・スコセッシともあろう巨匠でも、その想いが空回りするのかと考え、嫌な気分になったのですが、観たい気持ちは抑えられません。公開2週目に入り、1週目の混雑は緩和されただろうとにらんで、劇場選びに入ったのでした。

 

劇場選択のポイントは、ズバリ、画質です。

 

本作は、ロドリゴ・プリエトがアカデミー撮影賞にノミネートされているほど、絵が美しいと評判の映画です。調べてみると、DIファイルが4Kになっています。これならば、絶対に4Kプロジェクターを置いている劇場で観ないといけません。そうすれば、ネイティブ4K上映を楽しめます。

 

そしたらば、109シネマズ木場が、やってくれているではないですか。しかも、今日2月1日のファーストデーに客が集中しているようで、都合がつく昨日の15時20分の回はガラガラです。ならばと、勇躍、木場に向かったのでした。

 

当初、購入したのは前から8列目中央やや上手よりのエグゼクティブ・シートでした。ここは通常2500円するのですが、ポイントカード会員なら、火曜日は1300円で利用できます。

 

ところが、予想していたことではあるのですが、スクリーンから遠く、しかも、周囲にビニール袋をいじってグシャグシャ音を立てたり、飲み食いしている不敬な輩がいます(どうしてこの映画を観るときに、そんなことをするのかなあ)。こんな状態では、集中が途切れます。開始10分後には、前から6列すべてにだれもすわっていないことを確認して、一般席の6列目中央の席に移動したのでした。

 

すると、これが大正解。かぶりつき派の貧乏英語塾長には、迫力のシネスコ・スクリーンが目の前に迫り、左右前後に人の気配を感じられず、劇場ひとり占め気分になれたのでした。

 

☆あらすじ

 

主な舞台は、17世紀、江戸時代初期の長崎。

 

日本で布教活動を行っていたイエズス会のポルトガル人神父クリストヴァン・フェレイラ(リーアム・ニーソン)が、キリシタン弾圧を進める幕府の拷問に屈して棄教(apostasy)したとの知らせがローマに届きます。

 

フェレイラの弟子である神父セバスチャン・ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とフランシス・ガルペ(アダム・ドライヴァー)は、それが信じられません。真相を確かめるべく、日本へと向かいます。途中、マカオによって、そこのイエズス会修道院長ヴァリニャーノ(キアラン・ハインズ)と面会すると、日本行きを止められます。しかし、ふたりは断固として日本に行くといいはり、ヴァリニャーノの許可をもらいます。

 

マカオでにいた日本人キチジロー(窪塚洋介)の手引きで、ふたりは長崎の隠れキリシタンの村に潜入することに成功します。村長のイチゾウ(笈田ヨシ)やモキチ(塚本晋也)といった熱心な村のキリシタンたちに匿われ、信仰を通じて彼らと心を通わせていきます。

 

しかし、隠れキリシタン討伐を統括する長崎奉行・井上筑後守(イッセー尾形)は、容赦しません。狡猾かつ冷酷な手段を駆使して隠れキリシタンをあぶり出し、転ぶことをを迫ります。この結果、ロドリゴとガルペの存在は知られ、ふたりは別々に逃げるのですが、捉えられてしまいます。

 

そして、ガルペはロドリゴの目の前で殺され、ロドリゴは通辞(浅野忠信)を通して執拗に棄教を求められるのでした……。

 

☆展開を知っているのに、魅入らせられる

 

予想は、よい意味で裏切らました。展開・結末を知っているのですが、2時間42分、一瞬たりとも飽きずに映画に没入することができました。マーティン・スコセッシと役者たちに、拍手です。これが理解できない映画賞選考委員は、ノータリンです。

 

とにかく、ピュアな映画といえましょう。映画の世界に入り込むことを妨げる不純物が一切ないのです。ただただ、信仰と現実の狭間で苦しむロドリゴとガルペ、そして隠れキリシタンの行動を偏見なしで直視できるのが快感でなりません。

 

それもこれも、俳優のほとんどが一線級の日本人俳優であり、日本語しかも長崎弁はほとんど完璧だし、台湾で撮影されたにもかかわらず、いかにも17世紀初頭の長崎のように見える土地が選ばれ、見事な日本住宅(粗末な隠れキリシタンの小屋も含め)が建てられています。ついでにいえば、台湾人が演じたであろう長崎市中のエキストラにいたるまで、きちんと着物を身につけているのには驚嘆するしかありません。

 

クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』(2006)で、途中に挿入される日本の町がいかにも作りものぽく、日本の町ではなかったことを考えると、低予算でありながら、スコセッシがリアリティを徹底的に求めてくれたことに、日本人として感謝し、シネマアディクトとして陶酔してしまいました。

 

硫黄島からの手紙 [Blu-ray]
ワーナー・ホーム・ビデオ

 

そのうえで、カメラの雄弁さが、胸を打ちます。冒頭、フェレイラの裏切りが信じられないロドリゴとガペルがマカオの院長に日本行きを訴え、その許可を得る場面。先ほどまでは水平に役者たちを捉えていたカメラが、突然真上に移動します。神の視点の映像なのです。その切り替えの鮮やかさに、人間世界と神とが不可分離であることをスコセッシは訴えているようにおもえます。

 

この手法は、のちに2度ほど使われますが、すべて疑心暗鬼になる人間の行動を神は見ているという意思が感じられる場面のことです。

 

あざといといえばあざといのですが、それをあえてやろうとするあたりに映像作家スコセッシの矜持が見えます。

 

実際、棄教がテーマの本作においては、膨大なセリフが出てきて、動きが少ない場面が多くありません。それを単純に撮っていては、退屈なだけです。絵でテーマを訴えてこそ「映画」。それをわかっているスコセッシは、カメラによる主観客観の使い分けを露骨に強調し、大胆なズームアップを採用するのです。

 

もっとも印象的なのが、ロドリゴが「転ぶ」とき、手前に顔半分が映ってフォーカスがあっていない顔半分のフェレイラ、奥に通辞の顔が大写しになると、ドラマがクライマックスを迎えたことを感覚的に理解します。

 

そして、気になっていた映画の結末でも、このズームアップが原作とは違うスコセッシの主張を映し出すのです。その「もの」が映される時のズームアップが斜め上からなのです。真上からの神の視点ではないところから、この時点で神と人間(ロドリゴ)が融和していることが語られていると解釈しました。

 

アンドリュー・ガーフィールドは、傷つきやすい悩める若者を演じさせたら、『ソーシャル・ネットワーク』(2010)『わたしを離さないで』(2010)『アメイジング・スパイダーマン』シリーズで秀逸な演技を見せたのですが、本作でも期待を裏切りません。過剰演技になることなく、ロドリゴの内面を示してくれます。

 

アダム・ドライヴァーは、やや損な役回りですが、『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(2014)で見せた悪役が似合う面つきが、ガーフィールドと好一対でうまい配役だと感心します。

 

窪塚洋介のキチジローは、これまた素直。臭みが出る一歩手前で、ロドリゴたちを裏切るしかなかった隠れキリシタンの哀しみを全身で表しています。

 

浅野忠信は、出番こそ後半に限られていますが、通辞としての有能な役人ぶりが、そのセリフ回しと視線の動きに現れて、ロドリゴの隣で井上の話を聴く場面など、実にスリリングに感じます。

 

イッセー尾形はやややりすぎという印象ですが、この人のコミカルな中に相手をゾッとさせるシリアス感がうまく出ていて、観る者の背筋を凍らせます。「日本は、すべての根を腐らせる沼(swamp)である」という名言がこの人の口から出ると、江戸幕府の政策というよりも、それが日本古来の事実であると感じられるから不思議です。

 

塚本晋也監督も、絵になるモキチでした。笈田ヨシと並んだ風情も、いかにも実直な隠れキリシタンという感じで、違和感がありません。

 

わが敬愛するリーアム・ニーソン。この人ならば、ロドリゴとガルペから尊敬されても当然だとおもいますし、転んだあとのやるせいない表情もリアル。隠れキリシタンを救うには、こうするしかなかったというあたり、『シンドラーのリスト』(1993)を思い出してしまいました。

 

シンドラーのリスト [Blu-ray]
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

 

後述しますが、あれだけ音楽に詳しいスコセッシが、音楽をつける場面を限定し、セリフと環境音を前面に出す点にも、驚かされます。この結果、実に「静かな」映画となり、それがまた心を打つのです。環境音でオープニングとエンディングを迎えるというのは、『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)のパクリではないかと気になったのですが、本作のテーマからすれば、当然の配慮かもしれません。

 

レヴェナント:蘇えりし者 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

 

結末に登場する「もの」の意味や、ロドリゴが転ぶ真意など、繰り返し観て分析するに値する秀作の誕生です。

 

++++++++++

 

画質2.39:1/デジタル): A+/A 

 

撮影は、『ブロークバック・マウンテン』(2005レビューは、こちら!)でアカデミー撮影賞にノミネートされたロドリゴ・プリエト

 

他の主要撮影作品は、以下の通りです。

  『フリーダ』(2002レビューは、こちら!
  『25時』(2002レビューは、こちら!
  『バベル』(2006レビューは、こちら!
  『ラスト、コーション』(2007レビューは、こちら!
  『抱擁のかけら』(2009
  『消されたヘッドライン』(2009レビューは、こちら!
  『ウォール・ストリート』(2010レビューは、こちら!
  『BIUTIFUL ビューティフル』(2010レビューは、こちら!
  『恋人たちのパレード』(2011レビューは、こちら!
  『幸せへのキセキ』(2011レビューは、こちら!
  『アルゴ』(2012:レビューは、こちら!
  『ウルフ・オブ・ウォールストリート (2013:レビューは、こちら!

 

機材は、アリカムLT 35mmフィルム・カメラ、アリ・アレクサ・スタジオHDカメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(4K)。


4Kプロジェクターによるネイティブ4K上映。

 

解像度は、最高レベル。細部までくっきりと彫りの深い絵を見せてくれます。奥行き感もあり、画面がすべて生き生きとしています。

 

ただし、問題がひとつ。35仍1読分とHD撮影部分の差があまりにはっきりしすぎているのです。その違和感を和らげようと、フィルム撮影部分からグレインを取ってしまっているのですが、その分、フィルムのテクスチュアが好きな人間としてはもの足りません。個人的には、35佗分がA+、HD部分がAというところです。

 

色調も、35佗分とHD部分では変わります。前者は、やや色温度が高く、青みがかっています。対して、後者は、ニュートラル。それでも、色数は多く、原色も中間色もすべてが鮮やかです。若干、火炙り処刑シーンがCG臭いのがいただけませんが、許せる範囲です。肌の質感も、ナチュラル。白人と日本人の肌の違いが鮮明です。

 

暗部情報量は、極上。黒の沈みこみは、底を知らないほど。階調も滑らかで、コントラストも高く、夜間シーンはいくつもあるのですが、見づらさはまったくありません。

 

前から5列目は、シネスコ・スクリーンが楽にすべてを視野に収められ、かぶりつき派なら、もう1、2列前でも大丈夫です。

 

音質(Linea PCM): A

 

上述した通り、余計な劇伴を省いた静かな作品です。

 

音の出所はスクリーンと正確にマッチしていますが、派手さのない音響設計です。音量も大きくなく、耳を澄まさないといけません。こんな映画を観るときにビニール袋をグシャグシャいわせるのは、重罪です。

 

包囲感も移動感も穏やかですが、その静けさを聴く映画ですから文句はありません。とはいえ、穴吊り拷問を受けて5人のキリシタンが呻く音のおぞましさには背筋に冷たいものが走りました。ともあれ、外部から雑音が忍び込んでくるTOHOシネマズ新宿のような劇場で観る映画でないことは事実です。

 

音の純度は、最高。澄み切った音が、細かい虫・鳥の鳴き声、波音、風音を聴かせます。それでいって、ヒステリックな音はなく、あくまで分厚い音です。

 

セリフの抜けは、一級品。名優たちの息吹まで、正確に伝わります。音像が肥大することもなく、口元に寄り添います。

 

超低音成分は、控えめ。ときおり、ズシンと響いてきますが、わずか。上品な限りです。

 

英語学習用教材度: B-/C+

 

翻訳は、松浦美奈。

 

セリフは、大量。しかし、俗語・卑語はまったく登場せず、テクストとして安心して使えます。R指定になっているのは、処刑・拷問シーンが含まれているからです。

 

しかも、日本人の英語は聴き取りやすいですし、TOEIC800点ホルダーなら、8割以上はセリフの英語を再現できるはずです。

 

そのうえ、日本語字幕が、松浦さんですから(冒頭に、松浦さんの名前を見つけたときには、ガッツポーズです)、無理なひねりもなく、すんなりと理解できます。

 

勉強になるテクストです。

 

++++++++++

 

気になるところを、アト・ランダムに。

 

原題も、Silence。日本語の「ちんもく」と同じくらい、響きのよい英単語です。

 

☆4000万ドルの製作費で、これまでのところアメリカで647万ドル、世界で1230万ドルの売り上げ。残念ながら、黒字になるのは難しそうです。

 

アメリカでも、Blu-ray Discの発売日は未定です。

 

++++++++++

 

映画ファン、英語勉強家、必見。マーティン・スコセッシの執念を、観て聴いてください。とにかく、絵と音のよい劇場でどうぞ。109シネマズ木場スクリーン1は、安心して推奨できます。強くオススメします!

 

| 外国映画(タ行) | 13:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.indec.jp/trackback/1063334
トラックバック