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ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

 

原題:Genius (2015) 
上映時間:104分
2016年10月7日 国内劇場初公開
公式サイト:http://best-seller.jp/

角川シネマ新宿 シネマ1 C-12
2016年11月16日(水)15時20分の回

ゴウ先生総合評価: B
  画質(2.39:1/Digital): A‐
  音質(Linea PCM): A/A-
  英語学習用教材度: C+

 

コリン・ファースジュード・ロウ主演により、A・スコット・バーグ(製作総指揮)のノンフィクション『名編集者パーキンズ』を映画化した伝記ドラマ。

 

文庫 名編集者パーキンズ 上 (草思社文庫)
A.スコット バーグ
草思社

 

文庫 名編集者パーキンズ 下 (草思社文庫)
A.スコット バーグ
草思社

 

Max Perkins: Editor of Genius
Scribner UK

 

準主演は、ニコール・キッドマンローラ・リニー

 

その他、ガイ・ピアース、ドミニク・ウェスト、ヴァネッサ・カービーが共演。

 

監督・製作は、本作が監督デビューとなる演劇演出家のマイケル・グランデージ

 

脚本・共同製作は、『グラディエーター』(2000)『アビエイター』(2004)『ヒュー後の不思議な発明』(2011)でアカデミー脚本・脚色賞にノミネートされた、『エニイ・ギブン・サンデー』(1999)『ラスト サムライ』(2003)『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)『007 スカイフォール』(2012)『007 スペクター』(2015)のジョン・ローガン

 

☆日比谷をあきらめ、新宿をめざす

 

ジュード・ロウが20世紀初頭の米文学を代表する小説家トーマス・ウルフ(1900年10月3日ー1938年9月15日)を、コリン・ファースがウルフを発掘した敏腕編集者マックスウェル・‟マックス”・パーキンズ(1884年9月20日ー1947年6月17日)を演じた伝記ドラマです。

 

英米文学に関心のある映画ファンなら、絶対に観たいと思います。ゆえに、TOHOシネマズシャンテで4Kプロジェクター上映されていますので、そこで観ようと思っていました。

 

ところが、なかなか都合があいません。人気のない映画ですから、いますぐにも公開打ち切りになりそうです。

 

こんなときには、海外盤Blu-ray-Discを探すのですが、本作はアメリカでもイギリスでも発売されていないのです。嗚呼。

 

そんなときに、角川シネマ新宿シネマ1で本作が上映されているのを知り、これは好都合だと判断したのでした。というのも、この映画館は水曜日だと男性でも1100円で入場できますし、定員300名のシネマ1は2Kプロジェクターしか置いていませんが(おそらくクリスティ製)、画質も悪くないのです。

 

というわけで、仕事がひと段落着いた昨日の午後、自転車で新宿へ向かったのでした。

 

入りは、2割弱。ガラガラもよいところです。しかし、大好きな4列目に先客がいます。仕方がないので、3列目中央の席を確保しました。ところが、この4列目の60前後のオヤジが、うるさいの何の。咀嚼音に、ゲップに、いびき。そして、こちらの席を蹴るありさま。よほど注意しようかと思ったのですが、ぐっと我慢。スクリーンに集中することにしたのでした。

 

☆あらすじ

 

主な舞台は、1929年から1938年までのニューヨーク・シティとバーモント州ウィンザー。

 

1929年、ニューヨーク。ある日、有名出版社スクリブナーの敏腕編集者マックスウェル・‟マックス”・パーキンズ(コリン・ファース)のもとに、出版社をたらい回しにされた『O Lost』(失われし者)というタイトルをもつ小説の原稿が持ち込まれます。

 

作者は、無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)でした。原稿を読んだパーキンズはその才能にほれこみ出版を約束します。ただし、条件は、膨大な原稿の大幅な削除です。抵抗するトマスと激論を重ねながら、パーキンズは編集作業に取り組んでいきます。

 

その作業を毎日朝から深夜まで行うため、夫と子供を捨ててウルフに走った舞台デザイナーのアリーン・バーンスタイン(ニコール・キッドマン)は、ウルフから見捨てられたと思い、パーキンズに食ってかかります。

 

パーキンズの妻ルイーズ・パーキンズ(ローラ・リニー)も、自分と5人の娘よりも仕事を優先する夫に不満を隠せません。

 

それでも、ふたりは編集作業に没頭し、タイトルを『天使よ故郷を見よ』(Look Homeward, Angel)に変えて、出版にこぎつけます。この処女作は評判を呼び、瞬く間にベストセラーとなるのでした……。

 

☆名優を限界まで使いこなせない脚本・演出が憎い

 

それなりに観てしまう映画です。しかし、それは俳優の力です。残念ながら、脚本と演出は凡庸というしかありません。

 

有名小説家の誕生と成長を描く本作、伝記ドラマですから、展開はすでにわかっています。29歳でパーキンズに出会ったウルフは、37歳で死んでしまうのです。さらに、有名売れっ子作家になったウルフが恩義のあるパーキンズを裏切るのも、よくある話です。

 

したがって、どういう切り口でパーキンズとウルフの関係を描くかに映画の成功はかかっています。その意味で、コリン・ファースとジュード・ロウという名優に期待したのですが、彼らの責任ではないとはいえ、いまひとつ不完全燃焼でした。

 

そもそも、パーキンズがウルフの小説のどこにほれ込んだのかがわかりません。オフィスであろうが、自宅であろうが、レストランであろうが、帽子をかぶっているパーキンズが、ウルフに劣らず変人であることはわかります。しかし、変人同士だからほれ込んだというのでは、あまりにお粗末。もう少し描きこんでくれないと困ります。

 

さらに、変人とはいえ、パーキンズが家族を愛していたのは間違いなさそう。そのあたりの夫・父親としてのパーキンズを描いてくれないのも、妻をローラ・リニーという名女優が演じているだけにもの足りません。

 

ニコール・キッドマンが演じたアリーンは、本当はウルフより18歳年上。つまり、パーキンズより年上です。しかし、キッドマン(1967年6月20日生まれ)がジュード・ロウ(1972年12月29日生まれ)より5歳年上とはいえ、コリン・ファース(1960年9月10日生まれ)やローラ・リニー(1964年2月5日生まれ)より年上には、当然ながら、見えません。

 

確かにキッドマンは魅力ある女性ですが、この場合はミスキャストです。美しく若々しいままで出演させたキッドマンのために、ウルフの異常性も、アリーンからウルフが逃げようとしたのも、アリーンがウルフに干渉しすぎるとはいえ、理解できなくなっています。

 

というわけで、名優4人の存在感の高さをひとつのまとまった映画に昇華させることができる脚本・演出になっていないのです。傑作ができそうな題材と俳優陣なのに、残念です。

 

ガイ・ピアースのF・スコット・フィッツジェラルド、ドミニク・ウェストのアーネスト・ヘミングウェイも、パーキンズがいかに優秀で優しく、ウルフが恩知らずな無礼者であるかを強調するために登場するだけなのも、もったいない話。もうちょっと賢い起用法もあったろうにと考えてしまいます。

 

アダム・コークのジャズっぽい音楽は、ほとんど記憶に残りません。

 

『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)でアカデミー編集賞を受賞した、『宇宙人ポール』(2010)『レ・ミゼラブル』(2012)『カムバック!』(2014)『フランス組曲』(2014)『マクベス』(2015)の名手クリス・ディケンズの編集は、かなりがんばっていて、余計な贅肉をそぎ落としてテンポを高めているものの、脚本・演出のキズは補えません。

 

画質・音質も、イマイチ。この辺も、辛口評価につながりました。特に、映像。もっと美しい絵で観たいものでした。

 

返す返すも、惜しまれる一作です。

 

++++++++++

 

画質(2.39:1/デジタル): A-

 

撮影は、『レイヤー・ケーキ』(2004)『ハンニバル・ライジング』(2007)『スターダスト』(2007)『ブローン・アパート』(2008)『キック・アス』(2010)『ペイド・バック』(2010)『ザ・ライト -エクソシストの真実-』(2011)『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(2011)『タイタンの逆襲』(2012)『セブン・サイコパス』(2012)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)『リピーテッド』(2014)『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)のベン・デイヴィス

 

機材は、アリ・アレクサ・XT・プラスHDカメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(2K)。

 

2Kプロジェクターによる上映。
 

シャンテに行くべきだったというのが率直な感想です。

 

2K映像は、ぼけていて細部があいまいになっています。最新アレクサで撮影されたものですから、4Kプロジェクター上映ならば、もっと鮮明であろうと思うのです。彫りが浅く、奥行きもいまひとつ。場面によっては、DVDをアップコンバートしたような絵に見えます。

 

ただし、フィルムルックな画調なので、4Kバージョンでも軟調な画調になっている可能性はあります。それに、続いて同じアレクサを使って撮影された『奇蹟がくれた数式』(2015)を同じ劇場で観たのですが、それは鮮明な映像でしたから、これは劇場のせいというよりも、オリジナル画質のせいかもしれません。

 

色温度は、やや高め。色数も減らしたよう。あっさりとした色調です。くすんでいて、いただけません。肌の質感にも、違和感を覚えます。

 

暗部情報量も、不足気味。夜のシーンには見づらさが生まれています。

 

DVD画質の平均評価であるA-/B+に落とそうか、最後まで迷った次第です。

 

3列目からのシネスコ・スクリーン視聴は、いっぺんにすべてを視野に収めることはできません。しかし、カメラが固定されている場合がほとんどですし、カーヴド・スクリーンが採用されているせいもあって、かぶりつき派なので、ほとんど問題を感じませんでした。

 

音質(Linear PCM): A/A-
  

絵に比べると、音はなかなかのものです。

 

フロント重視ではあるのですが、音楽が鳴り出すと、立体音場の密度が上がり、包囲感は高まりますし、左右の移動感も、地味ではありますが、感じとれます。

 

問題は、この劇場。ヒスノイズが静音部で聞こえてくるのです。そんな状態なので、厚手の音なのですが、どうしても雑味を感じ、興趣を殺がれます。ただし、不快な金属成分が混入することはなく、耳にやさしい音ではあります。音楽は、ほとんど印象に残りませんが、団子になることはありません。

 

セリフの抜けは、申し分なし。音像も膨張することなく、セリフが俳優の口元に寄り添います。

 

超低音成分は、控えめ。記者が動き出すあたりに多少使われるものの、ほとんど記憶に残りません。

 

英語学習用教材度: C+

 

字幕翻訳は、寺尾次郎。

 

セリフ量は、かなりのもの。俗語・卑語は多少使われますが、F-wordは皆無で、その使用は限定的です(PG-13指定)。安心して、テクストに使えます。

 

ただし、字幕翻訳は、凝りすぎの感があり、不自然さを覚える訳がかなり混じっています。

 

++++++++++

 

気になるところを、アト・ランダムに。
 

☆原題は、Genius。つまり、「天才」です。邦題は、「ベストセラー」というのに違和感を覚えます。「天才ウルフと名編集者パーキンズ」とでもしておけばよかったのです。

 

☆愛するローラ・リニー、5人の娘の母親らしく、体重を増やしてふくよかさと落ち着きを見せていました。ですが、その美しさは隠せようもありません。低調な画質ですし、出番も多くないのですが、じっと見入ってしまいました。

 

☆そのローラ・リニー、12月9日全米公開のトム・フォード監督・脚本、エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホール主演、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン、アーミー・ハマー共演のスリラー『Noctrunal Animals』に出演しています。この映画、日本公開は未定ですが、ぜひとも観たい豪華キャストです。

 

☆500万ドルの製作費で、全米1912万ドル、世界で2480万ドルの売り上げ。この内容だと、仕方ない結果かもしれません。ただし、製作費がこれだけ安いので、実質的にも、黒字にはなったようです。

 

Blu-ray Discは、上述どおり、アメリカでも発売予定がありません。残念。

 

++++++++++

 

出演俳優のファンの方なら、それなりの満足は得られます。さらに、映画としては問題がありますが、トーマス・ウルフとマックス・パーキンズの入門にもなりえます。英語勉強家なら、観て損はないでしょう。できれば、4Kプロジェクター設置館でどうぞ。

 

| 外国映画(ハ行) | 12:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
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