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手紙は憶えている

 

原題:Remember (2015)
上映時間:95分
2016年10月28日 国内劇場初公開
公式サイト:http://remember.asmik-ace.co.jp/


TOHOシネマズシャンテ スクリーン1 B-10
2016年9月14日(水)16時50分の回

ゴウ先生総合評価: A
  画質(1.85:1/Digital): A
  音質(Linea PCM): A/A-
  英語学習用教材度: C

 

『人生はビギナーズ』(2011)でアカデミー助演男優賞を受賞し、『終着駅 トルストイ最後の旅』(2009)で同賞にノミネートされたクリストファー・プラマー主演によるカナダ・ドイツ製作サスペンス・ドラマ。

 

準主演は、『エド・ウッド』(1994)でアカデミー助演男優賞を受賞し、『タッカー』(1988)『ウディ・アレンの 重罪と軽罪』(1989)で同賞にノミネートされた、『やさしい嘘と贈り物』(2008)のマーティン・ランドー、『ベルリン・天使の詩』(1987)『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(2004)のブルーノ・ガンツ

 

その他、ユルゲン・プロフノウ、ハインツ・リーフェン、ヘンリー・ツェーニー、ディーン・ノリスが共演。

 

監督は、『スウィート ヒアアフター』(1997)『クロエ』(2009)『デビルズ・ノット』(2013)『白い沈黙』(2014)のアトム・エゴヤン

 

脚本は、本作が脚本家デビューとなる、TVプロデューサーのベンジャミン・オーガスト

 

☆絶対に観たかった一本

 

本作は、敬愛するクリストファー・プラマーとマーティン・ランドーがナチスの残党狩りを主題にした映画に出演するというニュースを聞いた瞬間から観たかった作品です。

 

ところが、評判がいまひとつよくありません。Rotten Tomatoesでは71%の支持率で10点満点中6.4点とかなりのものなのですが、Metacriticでは100点満点中52点という有様です。そんな影響が出たのか、興行収益も世界で200万ドルも行かない低調ぶりでした。

 

このためでしょう。日本での公開もカナダより1年以上遅れ、東京ですらいま現在日比谷のTOHOシネマズシャンテでしか上映されていません(11月19日から、角川シネマ新宿での上映開始)。

 

仕方がないので、海外盤Blu-ray Discを取り寄せようと考えたのですが、後述通り、米盤しか出ておらず、これが米アマゾンでも19.99ドルもします。送料を入れると、3000円弱。とても手が出ません。

 

ですが、観たいものは、絶対に観たい。公開2週目になり、客足が落ち着いてきたシネマイレージ・デイの昨日、日比谷まで出かけることにしたのでした。

 

入りは、4割程度。後方の席はかなり埋まっています。他人の干渉が大嫌いな貧乏英語塾長、すぐ後ろの席にだれも座っていないことを確認して、最前列中央通路上手側の席を確保します。ここからだとスクリーンをかなり見上げることになりますが、ビスタ・サイズの本作ならば、かぶりつき派には問題なかろうという判断です。

 

☆あらすじ

 

舞台は、現代のアメリカとカナダ。

 

ゼヴ・グットマン(クリストファー・プラマー)は、90歳。ニューヨークの老人ホームに住んでいます。ですが、1週間前に最愛の妻に先立たれ、認知症も日々悪化し、記憶力が極めて低下している状態です。

 

そんなとき、友人のマックス・ザッカー(マーティン・ランドー)から1通の手紙を託されます。そこには、目覚めるたびに記憶を失ってしまうゼヴのために、彼が果たそうとしていたある使命が詳細に綴られていました。

 

ふたりはアウシュヴィッツ強制収容所の生存者で、ともに家族を収容所の看守オットー・ヴァリッシュに殺されていました。しかも、その犯人は身分を偽り、いまも生き延びているらしいのです。手がかりは、その看守が北米に移住後「ルディ・コランダー」と名乗っているということだけでした。

 

容疑者は4人にまで絞り込まれ、車椅子で体の自由が利かないザッカーに代わり、グットマンが手紙とかすかな記憶を頼りに、たったひとりでオハイオ州クリーブランド行きの列車で復讐の旅へ向かうことにするのでした……。

 

☆秀作

 

脚本・配役・演出・音楽、すべてが高次元。秀作と高く評価します。


まずもって、90歳のすぐにすべてを忘れてしまう認知症患者が70年前の復讐に立ち上がるという設定に拍手を送りたくなります。

 

この設定が、クリストファー・ノーラン監督ガイ・ピアース主演『メメント』(2000)のパクリであるという批判が多いようですが、その批判はずれています。加齢による認知症を患っているにもかかわらず、忘れられないナチスへの恨みがあるという点が重要なのです。記憶を失う主人公というだけで本作をけなしてはいけません。

 

さらに、主人公グットマンを操るのが、これまた死期が近づいている老人ザッカーであるという点も、なかなか。しかも、この老人、グットマンがすぐに記憶をなくすという事情を知り尽くして、細かい旅程・台本を手紙に書いて渡すという周到さ。ザッカーを『スパイ大作戦』(1966〜1969)に出ていたマーティン・ランドーが演じているだけに、ファンとしてはニヤリとしてしまいます。

 

何せすぐにすべてを忘れてしまうグットマンですから、復讐の旅もスリリングです。

 

ルディ・コランダーの第一候補に会うために、ニューヨークからクリーブランドへ向かう列車の中で、居眠りをしたらすぐにすべてを忘れてしまうシーンがあります。想えば恐ろしいことをグットマンはしようとしているのに、観客としてはハラハラドキドキしながら、「がんばれ」とグットマンを励ましたくなります。このあたり、老人への同情心を高めており、脚本の巧妙さに舌を巻くしかありません。

 

配役の妙も、第一候補で明らかになります。何せいきなり『ヒトラー 〜最後の十二日間〜』(2004)でヒトラーを演じた大物ブルーノ・ガンツが登場するのです。自分は北アフリカでロンメル将軍の下で働いており、アウシュビッツにはいなかったというガンツの言葉を信じて、グットマンは引き下がるのですが、ガンツを使った以上、実はこの男が本当の元看守ではないかと最後まで思ってしまうのです。うまい手口です。
 

第二候補(ユルゲン・プロフノウ)に会いに、カナダへ入国する際も、ザッカーの指示なのでしょうが、元看守を殺すために購入した拳銃を認知症患者がどうするのだろうと観客に心配させるあたりも上手いものです。

 

しかも、第二候補が看守どころか、同性愛のためにアウシュビッツに放り込まれた人間であると知って、「申し訳ない」と泣き崩れるグットマンの姿も、結末を知ると、ゾッとします。

 

アメリカに戻って、ミズーリー州に第三候補を求めていくと、すでに目当ての人物は死んでいました。ところが、州警察官(state trooper)である息子ジョン・コランダー(ディーン・ノリス)が実はネオナチであり、グットマンはいたぶられてしまいます。ノリスの演技がすさまじくて、グットマンがお漏らしをするにいたっては、われわれはグットマンが哀れでなりません。

 

ところが、そのあとから映画の空気が変わるのです。ネタバレになるので曖昧な表現になるのですが、最後の20分は本当に見ものです。

 

そのクライマックスは、ネバダ州レイクタホへ最終候補(ハインツ・リーフェン)に会いに行く場面です。

 

実はミズーリでのグットマンの行動で、グットマンがただならぬ過去を持っているとほのめかされているのですが、最終候補の自宅でも、グットマンに対するクエスチョンマークが増えます。というのも、ピアニストであったらしいグットマンが、その自宅で暗譜でワーグナーのピアノ曲を弾くからです。

 

グットマンがピアノの名手であることは、第二候補に会いに行った老人ホームで女性が弾いている曲をユダヤ系ポーランド人作曲家モーリッツ・モシュコフスキーのものであることを当て、そのうえでユダヤ系ドイツ人フェリックス・メンデルスゾーンの曲を暗譜で弾きこなすところで明らかになっています。

 

しかし、ナチスが重宝したワーグナーの曲をユダヤ人であるグットマンが、記憶をなくしているのに暗譜で弾くという状況にはびっくりさせられてしまいます。

 

ここから衝撃的な結末がつながり、観客は度肝を抜かれるのです。アトム・エゴヤンらしい、巧みなオチに感嘆するしかありません。

 

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012)でアカデミー作曲賞を受賞したマイケル・ダナの音楽も、不気味そのもの。サスペンスを盛り上げ、強い印象を残します。

 

これだけの内容を95分にまとめた『テイク・ディス・ワルツ』(2011)のクリストファー・ドナルドソンの編集も、派手さはありませんが、見事です。

 

とにもかくにも、名優クリストファー・プラマーとマーティン・ランドーの名演にまんまとしてやられてしまった逸品です。上質なサスペンス映画を観られたことを素直に喜ぶと同時に、ナチスの犯した戦争犯罪とそれに対する恨みの深さにたじたじとせざるを得ないのでした。

 

++++++++++

 

画質(2.39:1/デジタル): A+

 

撮影は、アトム・エゴヤンと『エキゾチカ』(1994)以来、『クロエ』(2009)『デビルズ・ノット』(2013)『白い沈黙』(2014)などで組み続けている、『白い刻印』(1998)『トリコロールに燃えて』(2004)『ウィッカーマン』(2006)のポール・サロッシー

機材は、アリ・アレクサ、アリ・アミラHDカメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(バイト数は不明)。

 

4Kプロジェクター上映。


解像度は高いものの、現代最高レベルには到達していません。細部がスポイルされているわけではありませんが、全体的にマイルドな画調なのです。もう一段高いくっきり感が欲しくなります。それでも、彫りは深く、奥行き感もなかなかのものです。

発色は、ニュートラル。色数は多く、鮮明です。やや茶色みが強まっているのが、フィルムルック。それでも、色乗りは、あっさりとしていて、べたつきません。肌の質感も、ナチュラルそのもの。クリストファー・プラマーとマーティン・ランドーの老人の顔がリアルです。


暗部情報も、相当。黒がよく沈み、コントラストも高く、滑らかな階調で、見えづらいシーンは一切ありません。

 

最前列で見上げましたが、ビスタであり、固定されたカメラワークであるために、何の不都合もなく楽しめました。

 

音質(Linear PCM): A/A-

 

最前列に座ったせいかもしれませんが、後方からの音数は少なく、フロント重視の音響設計に感じられます。

 

包囲感はかなりのものですが、移動感はほとんどありません。それでも、左右の広がりは大きく、スクリーンの外側から聞こえてきますから、サラウンドスピーカーの働きはかなりのものではあります。

 

ノイズフロアは、最低レベル。音量も、適切。メタリック成分も混入せず、不快にさせられることはありません。音楽も、弦楽器の細かいトレモロが団子にならず、切れ味鋭く迫ってきます。

 

セリフの抜けも、文句なし。サ行がきつくならず、発音も明瞭です。音像も膨らまず、口元に寄り添います。

 

超低音成分は、控えめ。銃弾が発せられるときに、その重みを伝える程度です。

 

英語学習用教材度: C

 

字幕翻訳は、遠藤嘉美子。

 

セリフは、多め。F-wordを含め、俗語・卑語も使われます(R指定)。特に、ユダヤ人を差別した発言が続くので、そのあたりは注意が必要です。

 

TOEIC860点ホルダーだと、日本語字幕を頼りにすれば、原文のセリフの7割以上は再現できるはずです。

 

翻訳は滑らかで不自然さがなく、信頼できます。安心して、日本語字幕を頼ってください。

 

++++++++++

 

気になるところを、アト・ランダムに。

 

☆原題は、Remember。「思い出せ」という命令形です。観終わると、いろいろな意味が含まれているのだとわかります。邦題は、かなり頑張っています。

 

☆ゼヴの最後のセリフは、‟I remember”。「すべて思い出した」と訳すべきでしょう。

 

クリストファー・プラマーは、1929年12月13日生まれの86歳。撮影時は、84歳ですが、さすが子供のころにピアニストをめざしていただけあって、巧みな演奏を聞かせてくれます。この年齢で出演待機作が2本もある現役真っ盛り。頭が下がります。

 

マーティン・ランドーは、1931年6月20日生まれの85歳。撮影時は、83歳。この人も、3本の出演作が待機しています。

 

☆1300万カナダドルの製作費で、全米118万ドル、世界で199万ドルの売り上げ。残念ながら、大幅赤字となってしまいました。

 

米盤Blu-ray Discは、2016年3月3日に発売されています。

 

 

仕様です。

 

 Region A
 容量: 2層50GB
 映像: MPEG-4 AVC/1080p/1.78:1
 音声: DTS-HD Master Audio 5.1(英語)
 字幕: 英・西語

 

特典は、まあまあの量です。

 

 Audio Commentary with Director Atom Egoyan, Producer

  Robert Lantos and Writer Benjamin August
 Performances to Remember (1080p; 16:49)
 A Tapestry of Evil: Remembering the Past (1080p; 13:47)

 

今日現在、米アマゾンで19.99ドル。ほしくなります。10ドルを切ったら、購入します。

 

++++++++++

 

映画ファン、必見。シャンテは悪くありません。強くオススメします!

 

| 外国映画(タ行) | 07:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
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