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マネー・ショート 華麗なる大逆転

原題:The Biug Short (2015) 
上映時間:130分
2016年3月4日 国内劇場初公開
公式サイト:http://www.moneyshort.jp/

TOHOシネマズ日本橋 スクリーン6 B-12
2016年3月29日(火)18時30分の回

ゴウ先生総合評価: A/A-
  画質(2.39:1/Digital): A
  音質(Linea PCM): A+
  英語学習用教材度: C
クリスチャン・ベイル、スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット(製作も兼務)主演によりリーマン・ショックを描いた金融ドラマ。

共演は、マリサ・トメイ、メリッサ・レオ、ルディ・アイゼンゾップ、ケイシー・グローヴズ、アデペロ・オデュイエ、レイフ・スポール、ハミッシュ・リンクレイター、ジェレミー・ストロング、ジョン・マガロ、フィン・ウィットロック、デイヴ・デイヴィス、カレン・ギラン、マーゴット・ロビー、セレーナ・ゴメス。

監督・脚本は、ウィル・フェレル主演コメディ『俺たちニュースキャスター』(2004)『タラデガ・ナイト オーバルの狼』(2006)『俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-』(2008)『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』(2010)『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』(2013)を監督・脚本してきたアダム・マッケイ

共同脚本は、『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』(2003)『ザ・インタープリター』(2005)『ラブ&ドラッグ』(2010)のチャールズ・ランドルフ

原作は、『しあわせの隠れ場所』(2009)『マネーボール』(2011)の原作者マイケル・ルイスの『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』。



アカデミー賞では、脚色賞を受賞。その他、作品賞・助演男優賞(クリスチャン・ベイル)・監督賞・編集賞にノミネート。

☆アカデミー作品賞候補作6作目の視聴

スポットライト 世紀のスクープ』と『ルーム』をアメリカから取り寄せた米盤Blu-ray Discで観たため、アカデミー作品賞候補作を都合5作観たことになります。

上述2本の評価は、これから書くレビューで明らかにすることにして、これまで評価した候補作3本の順位を示すと、次のようになります。

 第3位 オデッセイ A

この結果、未見の作品は、次の3本となりました。

 マネー・ショート 華麗なる大逆転(公開中)
 レヴェナント:蘇えりし者(2016年4月22日公開)
 ブルックリン(2016年7月公開)

そこで、現在公開中の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を観に出かけることにしたのでした。原作も読んでいますし、準備万端です。

問題は、劇場選びでした。

先週まで大好きなTOHOシネマズ新宿や同日本橋では、きめの粗い、決して高画質とはいえない巨大スクリーン(TCX)への2Kプロジェクター上映しか行われておらず、腐っていました。

ところが、先週末から新宿も日本橋も、小ぶりのスクリーンでの4K上映に替わり、やっと出かける気になったのです。

残念ながら、新宿は入りがよくないのか、急に117席しかないスクリーン6になったため、かなりの混雑を見せています。他方、日本橋は上映回数が3回しかありませんが、213席もあるスクリーン6を使っているため、意外と空いています。

こうなれば、混雑した映画館が何より嫌いな貧乏英語塾長、日本橋行き、決定です。都合のついた昨日、日本橋まで出かけたのでした。

TOHOシネマズデイですし、夕方の回ですから、仕事帰りの人が押し寄せるかと思ったら、そんなことはありません。本作が好まれていないのか、金曜日のファーストデイを狙っているのか、4割弱の入りです。

他の観客を視野に入れたくない貧乏英語塾長、最前2列にだれも座っていないことを確認して、前から2列目中央の席を確保したのでした。

☆あらすじ

舞台は、2005年から2008年にかけてのウォールストリート。

ヘヴィメタルをこよなく愛する左目義眼の金融トレーダー、マイケル・バーリ(クリスチャン・ベイル)は、格付けの高い不動産抵当証券に信用力が低いはずのサブプライム・ローンが組み込まれていることに気づき、破綻は時間の問題だと見抜きます。

ところが、好景気に沸くウォールストリートには、彼の予測に真剣に耳を傾ける者など一人もいません。そこでマイケルは、「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」という金融取引で、バブル崩壊の際に巨額の保険金が入る契約をゴールドマンサックス、ドイツ銀行といった大手投資銀行と結びます。

同じ頃、ドイツ銀行で働くジャレッド・ベネット(ライアン・ゴズリング)は、モルガン・スタンレー傘下のヘッジファンドのマネージャーであるマーク・バウム(スティーヴ・カレル)にCDSを売り込み、調査の結果サブプライム・ローンの破たんを見抜いたマークは、それを買い込みます。

引退した伝説のアナリスト、ベン・リカート(ブラッド・ピット)もまたバブル崩壊の足音を敏感に察知し、若い個人投資家ふたりとともに、4人は4人なりの独自のやり方でウォールストリートを出し抜く行動を開始するのでした……。

☆偽善者たちの勝利は、ほろ苦い

皮肉で精密な脚本・モンタージュを多用した演出・観客の不快感を誘う俳優の顔の大写しなど、ち密な計算で作り上げられた本作、大いに気に入りました。アカデミー作品賞候補作にふさわしい重厚感をもっていると評価します。

まずもって、常識を疑う4人の変人奇人が、主流派と異なる行動をして勝利を収める設定にニヤリです。これって、アダム・マッケイ監督・脚本の『俺たちニュースキャスター』シリーズ(2004・2013)とまったく同じ構図ではないですか。

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まじめな映画を作るふりをして、さすがアダム・マッケイ、しっかりとウォールストリートを笑い飛ばそうという腹です。

実際、『俺たちニュースキャスター』シリーズで、低能お天気キャスターを演じたスティーヴ・カレルに倫理観に厳しくて、ありとあらゆるものに怒り続けるファンド・マネージャー、マークを演じさせるのも、正しく渋い判断です。

そのマークが債権格付けが不当であるとS&Pにクレームを入れる場面、対応したベテラン女性アナリスト(メリッサ・レオ!)から、あんただって金儲けを考えているだけではないかとマークを「偽善者(hypocrite)」呼ばわりするようにもっていくあたり、「儲ける奴も、損する奴も、金融マンはみんな偽善者」という本作のテーマが透けて見えます。

実際、最後、いまCDSを売れば10億ドルの収益になり、マーク自身の手取りも2億ドルになるから、いま売らせてくれと部下から迫られたとき、マークは「これを売ったら、がりがり亡者の投資銀行と同じになる」と躊躇しるのですが、苦悩の表情を浮かべながらも、結局はマークはCDSを売らせます。このあたり、マークの偽善者ぶりをしっかりと見せつけて「それにしても2億ドルの儲けとはどうなっているんだ」と観客を憤慨させつつも、映画として客観的に見る観客にはホッとさせてしまう点にも、アダム・マッケイは映画を知っています。

つまり、アメリカ経済が破綻すればするほど、この主要キャスト4人が成功するという皮肉なストーリー展開なのに、クリスチャン・ベイル、ブラッド・ピットという「正義の味方」俳優を配しているがゆえに、スティーヴ・カレルとライアン・ゴズリングがいくら茶化しても、4人を応援したくなってしまう点に、映画作りのうまさを感じるのです。

全米の異常な金儲け主義者たちを、損した悪人だろうが、儲けた偽善者だろうが、からかいのめした本作は、どう見ても素直には映画化できないと思われた複雑な原作をうまく換骨奪胎し、緊迫感にあふれた見事な作品に仕上げており、深く感心させられました。アカデミー脚色賞受賞は、伊達ではありません。

その意味で、ウォールストリート憎しで突っ走ったマイケル・ムーアの『キャピタリズム マネーは踊る』(2009)やアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞した『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』(2010)よりもはるかに人間の経済活動の本質を抉り出しているように思えます。


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となれば、ファンとしては、どうしてウィル・フェレルを起用してくれなかったのか、文句をいいたくなってしまいます。個人的にはライアン・ゴズリングが演じたジャレッド役ならフェレルでも文句なしというか、そちらのほうがより映画に厚みが出た気がします。

フェレルには『主人公は僕だった』(2006)『Everything Must Go』(2010:日本未公開)というシリアス映画の佳作もあり、全体の雰囲気を十分に演じられたことでしょう。フェレルを使いこなせていたら、本作にはA評価の価値がありました。

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ともあれ、周囲の反対を押し切ることで、各自10億ドル以上の収益をあげた変人たちの姿には、「ヒーロー」の称号はふさわしくなくとも、自らの理論への強固な「信者」(つまり、あわせて「儲」)であることは間違いない事実です。そして、恐ろしいことに、それをめざすのも近代資本主義の立派な道のひとつなのかもと思ってしまうのでした。

++++++++++

アカデミー作品賞候補作個人的順位

 第3位 オデッセイ A
 第4位 マネー・ショート 華麗なる大逆転 A/A-

 レヴェナント:蘇えりし者(未見)
 ブルックリン(未見)

 ルーム(評価保留中)
 スポットライト 世紀のスクープ(評価保留中)

++++++++++

画質(2.39:1/デジタル): A

撮影は、『ハート・ロッカー』(2008)でアカデミー撮影賞にノミネートされた、『ユナイテッド93』(2006)『麦の穂をゆらす風』 (2006)『エリックを探して』(2009)『グリーン・ゾーン』(2010)『英雄の証明』(2011)『ハードラッシュ』(2012)『キャプテン・フィリップス』(2013)『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(2013)バリー・アクロイド

機材は、アリカムLT 35mmフィルム・カメラ、キャノンEOS C500 HDカメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(2K)。

スクリーン6は、幅13.6m×縦5.7mのカーヴド・スクリーンが張られており、前から2列目ではとても一度にすべてを視野に入れることはできません。

しかも、テレビその他の映像(footage)などを織り交ぜたモンタージュとわざとブロウアップさせて肌理を粗くした俳優の大写しの顔が多用されますから、いかにかぶりつき大好きな貧乏英語塾長でも、前から2列目で見ていると、神経が逆なでされ、前半はもっと後ろに座っていればよかったと後悔してしまいました。

ところが、そのうちに、その不快感こそがアダム・マッケイの目論見だとわかってくると、気持ちにゆとりが生まれ、スクリーンの中に入り込んでしまったような感覚を楽しめ、一種独特の快感を味わえるようになったのでした。まあ、どなたにも勧められる席ではありませんが。

というわけで、ブロウアップ映像は、大粒のグレインがノイズのようにスクリーンをうごめきますので、画質として評価すれば、A-/B+まで下がります。モンタージュの中のTV映像はB以下の画質です。

しかし、35mmフィルム撮影の通常シーンは、グレイニーではありますが、細部までくっきりと描き出しており、4Kプロジェクターの恩恵もあって、見ごたえ十分。A+評価してやぶさかではありません。解像度は高く、彫りも深く、奥行き感も出ています。

発色は、ニュートラル。色数は多いのですが、鮮明さは抑えられている印象があります。それでも、肌の質感は、ナチュラル。熱烈なファンとしては、マリサ・トメイの大写しがその老けぶりを露骨に映し出すのには、ショックを受けてしまいましたが。

暗部情報も、十分。黒はよく沈み、コントラストも高いために、滑らかな階調を誇り、見えづらいシーンはまったくありません。

音質(Linear PCM): A+
  
左右前後に音を定位させ、音楽や環境音が後方に回されて、濃厚な立体音場を作り上げています。劇伴音楽が流れると、狂喜乱舞といいたくなる包囲感の濃密さに圧倒されます。しかも、使用回数は少ないものの、鮮烈な移動感を味合わせてくれる場面もあり、その自在な音響設計には感心しました。

ノイズフロアは、最低。音量も、十分に迫力のあるもの。それでいて、メタリック成分が混入することはなく、耳になじみやすい音です。

セリフの抜けも発音も、申し分なし。きれいな発音をする俳優ばかりですから、心地よくセリフが響きます。

超低音成分は、全体的に少ないものの、クリスチャン・ベイルによってバスドラムがたたかれると、ズシンときます。それでも、固く引き締まっていて、ブーミーにはなりません。

英語学習用教材度: C

字幕翻訳は、栗原とみ子。

セリフは、大量。俗語・卑語が、82回登場のF-wordを含め、頻繁に使われます(R指定)。ゆえに、テクストとして使うには細心の注意が必要です。

金融映画ですから、その専門用語も飛び出しますが、途中で説明が入りますから、多少の経済知識があれば、戸惑うことはないはずです。むしろ、勉強になるでしょう。

英語勉強家で、金融方面にある程度詳しいTOEIC860点ホルダーならば、日本語字幕を頼りにすれば、原文のセリフの7割以上は再現できることでしょう。ただし、早口の俳優が多いので、本物のリスニング能力を問われます。

栗原さんの字幕翻訳は、いくつか納得できないものもあったものの、全体的には問題ないものだと評価します。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

☆原題は、The Big Short。「大いなる空売り」という意味です。邦題の「マネー・ショート」は、ある意味、意味不明。副題も「華麗なる」なのかどうか疑問。配給元の東和ピクチャーズのセンスを疑います。

☆2800万ドルの製作費で、アメリカで7015万ドル、海外で6200万ドル、計1億3215万ドルのメガヒット。すばらしい収益率です。

☆アメリカでは、2016年3月15日にBlu-ray Discが発売されています。


仕様です。残念ながら、日本語字幕・日本語吹替えはついていません。

 Region A
 容量: 2層50GB 
 映像: 1080p/2.40:1/MPEG-4 AVC
 音声: DTS: X(英語)
     DTS-HD Master Audio 7.1 (48kHz, 24-bit)(英語)
     DTS Headphone:X(英語)
     Dolby Digital 5.1 (640 kbps)(仏・西・ポルトガル語)
 字幕: 英・仏・西・ポルトガル語

特典は、かなり充実しています。映像は、すべて2K(1080p)です。

 In the Tranches: Casting (15:51)
 The Big Leap: Adam McKay (11:31)
 Unlikely Heroes: The Characters of The Big Short (11:28)
 The House of Cards: The Rise of the Fall (14:01)
 Getting Real: Recreating an Era (11:13)
 Deleted Scenes: 
  Vennett's Call/The Real Danny Moses - Extended (0:49)
  Florida Visit (0:55)
  Burry Homelife (0:54)
  Burry Aspergers (2:59)
  Danny Heart Attack (0:50)

米アマゾンで、今日現在、22.99ドル。10ドルを切ったら、購入を考えます。

++++++++++

金融問題に関心のない映画ファンの知人は「まったく面白くない」と評価し、わが高校2年の息子は爆睡しました。ゆえに、観る人を選ぶ映画であることは間違いありません。

しかし、金融に関心があって、原作を面白いと思った人は、ぜひとも観るべきです。さらに、映画製作者をめざす人にも、本作は刺激的なはず。少なくとも貧乏英語塾長は、大いに気に入りました。強くオススメします!

画質・音質の良い劇場でどうぞ。TOHOシネマズ日本橋スクリーン6は、安心して推奨できます。
| 外国映画(マ行) | 11:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
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