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娘と私

1962年 東京映画製作
上映時間:123分
1962年4月1日 国内劇場初公開
公式サイト:http://www.laputa-jp.com/laputa/program/showa_family/

ラピュタ阿佐ヶ谷 B-5
2015年11月10日(火)4時20分の回

ゴウ先生総合評価: B+
  画質(2.39:1/モノクロ): A
  音質(モノラル): A-/B+
  英語学習用教材度: F 
獅子文六の自伝的同名小説を映画化した家族ドラマ。


出演は、山村聰、星由里子、原節子、杉村春子、フランソワーズ・モレシャン、古今亭今輔、小沢栄太郎。

監督は、『わが青春に悔なし』(1946)『生きる』(1952)『七人の侍』(1954)などで演出助手をした、『悪の紋章』(1964)『激動の昭和史 軍閥』(1970)の堀川弘通。

脚本は、『悪の紋章』(1964)『赤毛』(1969)『サンダカン八番娼館 望郷』(1974)『漂流』(1981)の広沢栄。

☆原節子の実質的引退映画

原節子出演映画は全部観たいと思っています。

すると、ありがたいことに、阿佐ヶ谷ラピュタが「昭和家庭日乗 わたしのかぞく」と題した特集上映において、上映順で書くと、本作、『小早川家の秋』(1961)『山の音』(1954)『美しき母』(1955)と出演作4本を上映してくれることになりました。そのために、またもや阿佐ヶ谷通いを始めてしまった貧乏英語塾長です。

本作は、原さん最後の出演映画である『忠臣蔵 花の巻 雪の巻』(1962年11月3日公開)の一本前に当たる作品です。しかし、『忠臣蔵』では、大石内蔵助の妻りくをカメオ出演のように演じただけですから、本作が実質的引退映画だといえます。

しかし、ヒットしたわけでも、評価が高かったわけでもないために、本作がDVD化されることもなく、こうして名画座が上映してくれることを待つしかありません。ゆえに、焦った貧乏英語塾長、ラピュタでの上映最終日に、何とか都合をつけて出かけたのでした。

☆あらすじ

舞台は、大正から戦後にかけての東京と愛媛県宇和島。

作家の岩谷士郎(山村聰)が、娘・麻理(星由里子)の結婚式の会場に入っていくと、そこで娘と歩んだ人生を回想するのでした。

大正14年12月13日、麻里は横浜の聖ヨハネ病院で生まれます。パリ留学中に結婚したフランス人のエレーヌ(フランソワーズ・モレシャン)との間に生まれた一人娘です。

しかし、岩谷の仕事はなかなか安定せず、病に倒れたエレーヌは、日本の風土が会わないと判断し、フランスへと帰ってしまいます。

岩谷は、伯母の北川きよ(杉村春子)の家に間借りし、麻里(小橋玲子)をカトリックの学校白薔薇学園に入学させ、寄宿舎に入れます。しかし、エレーヌが回復することはなく、フランスからエレーヌが死んだという便りが届きます。

そんなとき、寄宿舎から麻里が肺炎で重体だという報せが入ります。岩谷と麻里の学校の女子修道院長であるフランス人のリシェール校長(キャラン・ドロワ)の献身的な介護のおかげで、奇跡的に麻里は一命を取り留めます。

岩谷の仕事が軌道に乗り出した頃、きよが再婚話を持ち込んできます。気の進まぬ岩谷でしたが、千鶴子(原節子)と見合いをすると、千鶴子を気に入ってしまい、再婚することにします。

雑司ヶ谷に家を構えると、千鶴子は麻里を我が子のように愛し、岩谷に献身的に尽くします。仲のよい夫婦でしたが、岩谷の子供が生みたいという千鶴子の願いを岩谷が頑として聞き入れないために、ふたりの間に亀裂が生じます。

しかし、千鶴子が実家に帰った折り、医者に診てもらうと、子供が生めない体であるとわかったことで、千鶴子は吹っ切れ、その分の愛情を麻里に注ぐことにします。

麻里が女学校に入った頃、大東亜戦争が始まります。戦局が悪化すると、岩谷は四国の宇和島にある千鶴子の実家に疎開します。戦争が終わっても、岩谷は食糧事情の悪い東京へ戻る気になれず、宇和島に棲みつきます。麻里だけが、先に上京してフランス語を勉強します。

しばらくすると、岩谷夫妻も東京に出ることにします。岩谷は作家として名声を得るまでになりますが、大磯に家を建てようとしたときに、最愛の妻・千鶴子は脳血栓であっけなく急逝してしまいます。

そして娘麻里も外務省の鍋島(山崎努)と結婚し、母の祖国フランスへ赴任する夫とともに、日本から旅立っていくのでした……。

☆実際の主役は、山村聰

『娘と私』というタイトルの映画です。「娘」を演じる星由里子がトップ・ビリングなのは、当然かもしれません。しかし、星の出番は後半70分ほど。実質的な主役は、最初から最後まで出ずっぱりの「私」こと岩谷士郎役の山村聰です。

わが愛しの原節子さんにしても、後妻の役ですから、開始20分以上たって登場したうえで、早死にするため、途中で消えてしまいます。

どうして山村をビリングのトップにしなかったのかと訝りますが、それだけ山村では観客を集められないと会社側が判断したのでしょう。

実際、星は1961年から始まった『若大将』シリーズのヒロインで人気が出てきており、それにすがろうとしたのだと思います。それでも、思ったほど売り上げが伸びなかったようですが、実際は山村が主役ですから、仕方ありません。

しかし、山村と原さんとなると、『めし』(1951)『風ふたゝび』(1952)『東京物語』(1953)『山の音』(1954)『東京暮色』(1957)『智恵子抄』(1957)『ふんどし医者』(1960)で共演しており、特に『山の音』の舅と嫁、『智恵子抄』の夫婦役など、名コンビであることは間違いありません。

そのふたりが夫婦役を演じるのですから、ファンとしては、期待します。実際、ふたりの絡みは何とも味わい深いものですし、品がよいことはいうまでもありません。

ですが、上品すぎて、映画的面白みに欠けるのも事実です。実際、波乱と呼べるものが、フランス人妻の死、娘の肺炎、後妻のあっ気ない死しかなく、盛り上がりに欠けます。戦争時代のエピソードも、せいぜいフランス人校長が国外退去を命じられるぐらいしかなく、もう少し何とかならなかったかと感じてしまいます。

撮影当時41歳の原さん(1920年6月17日生まれ)は、まだまだ美しいものの、前年の『小早川家の秋』(1961)の時よりぽっちゃりとしていて、実年齢以上に老けて見えます。母親役ばかりしか来なくなったことに嫌気がさしていたのが、こういう若干緊張感に欠ける容姿に現れているのかもと同情してしまいました。

41歳の若さで原節子という大女優に老け役を要求した日本の映画界、原さんが早い引退を決めたのもやむを得ないことかもしれません。

星由里子は、可もなし不可もなし。子供時代を演じた小橋玲子に完全に食われてしまっています。

翌年の『天国と地獄』(1963)でブレイクする山崎努の出番はほんのわずかなのですが、あの特異な風貌ですから、目立ちます。外務官僚に見えないところが残念なところではあります。

++++++++++

画質(2.39:1/モノクロ): A

撮影は、わが青春に悔なし』(1946)『素晴らしき日曜日』(1947)『野良犬』(1949)『生きる』(1952)『七人の侍』(1954)『生きものの記録』(1955)『蜘蛛巣城』(1957)『天国と地獄』(1963)『赤ひげ』(1965)『デルス・ウザーラ』(1975)で黒澤と組んだ、『秀子の応援団長』(1940)『青い山脈』(1949)『続青い山脈』(1949)『小早川家の秋』(1961)の中井朝一。

堀川とは、『女殺し油地獄』(1957)『裸の大将』(1958)『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(1960)『世界詐欺物語 日本篇』(1964)『世界詐欺物語』(1964)などで組んでいます。

機材は、不明ながら、35mmフィルム・カメラを使用。TOHOスコープ。

キズはありますが、量は少なく、状態はかなりよいものです。フィルムのコマ飛びもありません。

解像度が極めて高く、フィルム上映の柔和さは残しつつ、細部までくっきりと映し出します。名匠中井朝一の最上のモノクロ映像のひとつなのではないでしょうか。

若干セピア化していますが、黒の階調も滑らかで、黒がよく沈み、見づらいシーンはありません。

音質(モノラル): A-/B+

モノラルで、ヒスノイズが乗るのですが、その澄み切った音は驚異的。並のドルビーデジタル・ステレオの音よりはるかに浸透力があります。もちろん、広がりはありませんが、直線的な音がパワフルです。

レンジも広く、高音も自然に伸びています。ヒステリックになることはなく、音楽にも寂しさを感じません。特に、パイプオルガンの低音が深々と出るのには、驚かされました。

セリフの抜けも、文句なし。曖昧模糊とすることはありません。

英語学習用教材度: F

++++++++++

気になるところをアト・ランダムに。

☆原節子さんが山村聰に向かって「あなたの子供を産みたいの」と号泣するのを見たら、『東京物語』(1954)の号泣シーンを思い出しました。原さんには、笑顔と同じくらい、涙が似合います。

☆原さんの役名は「千鶴子(ちづこ)」となっているとプレスリリースその他で書いてありますが、山村聰は獅子文六の妻の実名「静子(しずこ)」を使っています。本当はどちらの名前を採用していたのでしょう。

山村聰が山崎努とキャッチボールをするシーンがあるのですが、山村がかなり速い山崎の球をしっかりと補って、うまく投げ返しているのを見て、感心してしまいました。1910年2月24日生まれの山村は、撮影当時52歳。若々しい身のこなしです。

加藤剛(1938年2月4日‐)、長山藍子(1941年6月21日‐)、樫山文枝(1941年8月13日‐)が、麻里のフランス語を学ぶ友人としてエキストラのような感じで登場します。どうやらこの人たちのフィルモグラフィには本作への出演が含まれていないようですので、記録しておきます。

☆岩谷家を調べる刑事役で、大好きな天津敏(あまつびん、1921年2月16日‐1979年7月24日)さんが登場するのには、驚きました。インターネットで調べた情報には、そんなことはどこにも書かれていなかったからです。

敏さんは、1953年に東宝ニューフェイスに合格して映画界入りした人で、のちに東映作品で高倉健さんの敵役などの悪役として活躍します(『仮面の忍者赤影』(1967)の甲賀幻妖斉が有名)。しかし、その前には、本作を製作した、東宝の子会社である東京映画によく出ていたのです。いやあ、昔の映画は実際に見ると、多くの発見があります。

++++++++++

Blu-ray Disc化せよとまではいいませんが、せめてDVDにはしてほしいものです。次いつ見られるのだろうと考えるだけで、胸が痛みます。
| 原節子 | 14:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
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