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ラ・マンチャの男

帝国劇場 B席 2階I列目5番 4000円
2015年10月21日(木)6:05‐8:28
 6:05‐8:19 本編(休憩なし)
 8:19‐8:28 カーテンコール

ゴウ先生総合評価: A+
帝国劇場で、『ラ・マンチャの男』を観てきました。

歌舞伎の当代松本幸四郎にはいささか失望を隠せない貧乏英語塾長ですが、本作の幸四郎はまったくの別ものです。大感激をいたしました。

これほど幸四郎に感激したのは、1982年に池袋サンシャイン劇場で観た『アマデウス』以来のことです(当時は、市川染五郎)。ミュージカル・スターとしてのオーラを幸四郎に感じてしまったのでした。

☆リベンジ観劇

実は、2年前の8月に本作が帝劇で上演された時も、そのチケットを当時高校3年の娘の分と併せて、買っていました。8月21日6時からの公演のものです。

ところが、そのチケットを買ってから、わが敬愛する、いまは亡き高倉健さん主演の『あなたへ』(2012)のその日同時刻に東京国際フォーラムで開かれる試写会に当たったという通知がきました。仕方なく、本作のチケットを娘の友達に譲って、試写会に出かけたのです。

その試写会には、健さん本人が、降旗康男監督と田中裕子・北野武・綾瀬はるか・草なぎ剛・長塚京三の出演者とともに現れ、憧れの健さんを間近で見ることができました。したがって、本作を観られなかったことを悔やむことはありませんでした。

とはいえ、幸四郎の代表作を観ずして、高麗屋嫌いといっても話になりません。次のチャンスは逃すまいと思っていたのでした。

そしたらば、尊敬する演劇評論家のひとりである上村以和於先生が、今回の幸四郎がこれまでのベストと書かれているではないですか。なおのこと観劇欲求が高まります。

そこで、先週、席を探したのです。すると、昨日の公演のB席の下手最前列通路側の席が空いているではないですか。ラッキーとばかり、購入してしまいました。

☆古いが、反響のよい帝国劇場

席からは、B席とはいえ、舞台は過不足なく見えます。1966年9月に落成した建物は古めかしく歴史を感じさせるものですが、その重厚な雰囲気は悪くないですし、座席間のフットスペースも歌舞伎座よりもゆったりとしています。これで、4000円。安いものです。

さらに、音の響きがよいのにも、びっくりです。PAで増幅しているのではないかと思うくらいに、セリフや音楽(少人数編成のオーケストラは舞台上手奥)がバンバンに響きます。1897人入る帝劇が、1963年に完成した1330人定員の日生劇場よりも、響きの点では上のような気がします。おそらく左右の木製の反響板が効果的なのでしょう。

ただし、壁が近い下手に座ったため、オケの金管が演奏をフォルテにすると、それが反響板に反射して、左側から襲いかかってきます。吸音とのバランスが悪いのです。時代の制約かもしれません。修正しないのは、予算の問題でしょうか。ともあれ、そういう反射音が嫌な人は、中央の席を確保すべきです。

☆主な配役

  セルバンテス/ドン・キホーテ: 松本幸四郎
           アルドンザ: 霧矢大夢

            サンチョ: 駒田 一
           アントニア: ラフルアー宮澤エマ
              神父: 石鍋多加史
             家政婦: 荒井洸子
              床屋: 祖父江進
            カラスコ: 宮川 浩
             牢名主: 上條恒彦

☆上演記録

『ドン・キホーテ』(1605)を書いたミゲル・デ・セルバンテス(1547‐1616)が1597年に投獄されたときに『ドン・キホーテ』の着想を得たという話をヒントに、1965年にブロードウェイで初演されたミュージカルです。

脚本は、デイル・ワッサーマン。音楽は、ミッチ・リイ。

日本では、幸四郎(当時、市川染五郎)により、1969年4月4日、帝国劇場にて初演。本公演が始まるまでの上演回数は、1207回に及びます。

☆あらすじ

舞台は、16世紀末のスペイン、セビリアの牢獄。

セビリアの牢獄に、教会を侮辱した罪で、ミゲル・デ・セルバンテス(松本幸四郎)が、従僕(駒田一)とともに投獄されます。新入りであるふたりをいじめる囚人達で牢内は大騒ぎです。

すると、それを聞きつけた牢名主(上條恒彦)が、リンチまがいの裁判をやろうといい出します。収拾を図るセルバンテスは即興劇の形で申し開きをしようとし、囚人全員を配役した即興劇をやることになるのでした。

その即興劇では、セルバンテスは田舎ラ・マンチャの老人アロンソ・キハーナ(幸四郎)を演じます。そのキハーナは、本の読み過ぎでとんでもない妄想を思いつきます。何と、何世紀も前に姿を消した遍歴の騎士ドン・キホーテ(幸四郎)となって、悪を滅ぼさんがために世界に飛び出したのです。

キホーテは、従僕のサンチョ(駒田一)を連れた旅の途中、 キホーテには城にしか見えない旅籠でアルドンザ(霧矢大夢)という女と出会います。親兄弟はおらず、売春もするあばずれ女であるにもかかわらず、キホーテにとっては「憧れの麗しき姫ドルシネア」にしか見えません。そして、この憧れの姫のために、キホーテは身を捧げる決意をします。
 
必死に愛を語るキホーテの言葉に、アルドンザの心は揺れます。しかし、そんなアルドンサに旅籠にたむろする悪どもが襲い掛かるのでした……。

☆退屈無縁の濃厚人間ドラマ

セルバンテス=キハーナ=キホーテと主人公が3役をこなす多重構造の中で、夢と希望を描くミュージカルです。コミカルな部分は、再三取り入れられていますが、あくまで主人公の愚直なまでに夢を追い求める姿を描く趣旨です。この結果、本作は重厚な人間ドラマになっており、それがすばらしい曲のせいもあって、胸に響きます。

セリフもすばらしいのです。とても翻訳劇とは思えないほど、こなれています。大好きなドン・キホーテのセリフをふたつ記しておきましょう。

 事実は、真実の敵なり。
 いまの自分を愛するなかれ。未来の自分を愛せよ。

本当に、その通りです。

衣装・舞台装置も、ここ数回はほとんど変えられず、プロダクションとしては完全に熟成されています。演出も、最近の公演は幸四郎によるものですが、完成された演出に隙はありません。

舞台装置に関していえば、シンプルですが、よくできたものです。ステージ中央に牢獄・旅籠・キハーナの家を兼ねる、客席に向かってやや傾斜した丸い舞台をこさえ、手前にその舞台から客席に降りる左右の階段、奥に引っ込む階段を作り、牢獄への入り口はステージ上方から上げ下ろしのできる階段で行います。その機構が劇中でフル活用され、観客の想像力は否が応でもかきたてられます。

しかも、先月に大阪公演をこなし、そして今月も千秋楽前になったということで、霧矢大夢を始めとして初役の役者たちも大勢いるのですが、その演技に戸惑いやつまらぬ凡ミスはありません。完璧な舞台です。おかげで、退屈とはまったく無縁の芝居ができあがっているのでした。

☆幸四郎、絶品

まずもって、幸四郎の巧さが光ります。

歌舞伎公演では、癖のあるセリフ回しをして、何といっているのかさっぱりわからないことがしょっちゅうある人ですが、今回はそんなことは一切ありません。あの美しいバリトンで、滑舌よく発せられるセリフには、その巧みな感情表現もあって、たちどころに魅了されてしまいます。

歌も、高音が伸び、加齢による弊害を感じません。日々の修練による賜物でしょう。感動的です。踊りも、達者。ちょいとばかり歌舞伎風の体のこなしですが、それが不思議とあっているのも事実です。

そして、何よりもすばらしいのは、73歳になった幸四郎の存在感です。ドン・キホーテは実年齢と同じくらいのものだと思われるのですが、本当に幸四郎=キホーテになっています。年輪がもたらす芸の成熟が、以前の舞台は知らないものの、至上の感動を呼ぶことになっているのは間違いありません。

実のところ、幸四郎は疲れていました。カーテンコールになると、ほぼ2時間以上でずっぱりですから、疲れがたまり、幸四郎の背は伸びず、猫背で動いていたのです。

ところが、本編上映中には、まったくそのそぶりを見せません。そのプロ根性には頭が下がります。しかも、調べてみたら、1969年の初演以来、休演が一度もないではありませんか。無事これ名馬を地で行く高麗屋主人、恐るべしです。

幸四郎を支える、アルドンサ役の霧矢大夢は、さすが元宝塚スター、歌と踊りは上手いし、その迫力あるあばずれぶりがニンそのもので、見事なアルドンサぶりです。最後の歌では、さすがに声帯に疲れがたまったのか、声がかすれ気味になっていましたが、それも演出に思えるほど堂々としています。

牢名主の上條恒彦も、1977年5月の日生劇場公演から演じているだけあって、文句のつけようのない演技です。何よりも、控えめな行儀のよさが光ります。

まだまだ元気な幸四郎ですから、再演はありえそうです。ひょっとすると、今回よりもさらなる高みに上ることも考えられます。それでも、今回の舞台が最上のひとつであることは絶対だと確信しました。再演の際には、また足を運ぶことになりそうです(来月の歌舞伎座の『勧進帳』はパスするにしても)。
| ミュージカル | 10:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
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