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9月文楽公演 第二部『妹背山婦女庭訓』

国立劇場小劇場 1等席 12列33番(6700円)
2015年9月7日(月)4:00-8:01
公式サイト:http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2015/9139.html

演目と時間:妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
 井戸替の段 4:00〜4:28
 杉酒屋の段 4:28〜4:53
 道行恋苧環 5:03〜5:31 
 鱶七上使の段 6:01〜6:50
 姫戻りの段 6:50〜7:03
 金殿の段 7:03〜7:43
 入鹿誅伐の段 7:46〜8:01

ゴウ先生総合評価: A
昨日、9月文楽公演の第二部を見てきました。

第二部は、五段構成の『妹背山婦女庭訓』の四段目を通し上演するものです。国立劇場では昭和44(1969)年2月公演以来のこととか。

歌舞伎では『御殿』を見取り上演することが多くて、貧乏英語塾長もそれしか見たことがありませんでしたから、大いに期待していたのでした。

入りは、意外と少な目。空席がかなり目立ちます。全体で8割強というところでしょうか。

貧乏英語塾長は、5月に見たときに下手の前から3列目で見ていたら、床にも遠いし、字幕も見にくかったので、今回は上手の12列目にしました。上手の字幕表示こそ見えませんが、大夫と三味線が間近で聴ける上に、舞台全体を見るのも、下手の字幕表示を見るのも楽でした。これからは、このあたりの席を確保するようにします。

さて、『妹背山婦女庭訓』は、明和8(1771)年1月に大坂竹本座で初演された人形浄瑠璃(同年、歌舞伎化)。『奥州安達原』『本朝廿四孝』『新版歌祭文』『伊賀越道中双六』の近松半二(1725‐1783)を立作者とした合作です。

モチーフは、大化の改新。蘇我入鹿が日ごとに権力を増していくことを苦々しく思う天智天皇の部下藤原鎌足が入鹿を駆逐せんとする王朝ものです。四段目の構成は次のようになっています。

 井戸替の段
 杉酒屋の段

 道行恋苧環 

 鱶七上使の段 
 姫戻りの段 
 金殿の段 

 入鹿誅伐の段

歌舞伎で『御殿』と呼ばれてよく上演されるのは、丸本では「鱶七上使の段」「姫戻りの段」「金殿の段」を合わせたもの。

そこでは、ヒロインお三輪が、恋する求馬(歌舞伎では「求女」)を追って入鹿の御殿に入り込んだら、求馬は入鹿の妹の橘姫と結婚すると聞くし、官女からいじめられてしまうはで、嫉妬に燃え上がり、その嫉妬のパワーを入鹿征伐に利用したい鱶七に殺される顛末が描かれます。

確かに『御殿』はドラマチックな展開の舞台ですから、面白いのではありますが、お三輪の物語としてみると、その前段を知らないとお三輪の意図がよく見えず、いまひとつお三輪に共感できません。のこのこ御殿に現れるのが、バカみたいに見えるのです。その意味で、今回、その前段を見ることができて、しっかりと腑に落ち、お三輪に共感することができるようになりました。

井戸替の段」を見ると、お三輪が奈良の三輪にある杉酒屋という酒屋の一人娘で、その近所に住む烏帽子折職人の求馬と恋仲であることがわかります。おりしも、時は七夕。苧環(おだまき)によってお三輪と求馬は愛を誓います。

しかし、この求馬、実は鎌足の息子の藤原淡海で、お三輪をカムフラージュにしていたのです。そのことは「杉酒屋の段」で橘姫が求馬を追いかけて酒屋にやってくることでばれてしまいます。そこで生じた三角関係、求馬が大好きなお三輪は、求馬をなじり、橘姫と求馬を奪い合います。

その場を出て行った橘姫を、お三輪と求馬が追いかけていくのが「道行恋苧環」です。求馬が苧環の赤い糸を橘姫につけ、お三輪は求馬に苧環の白い糸をつけて、追いかけるのです。

そうして、上の『御殿』すなわち鱶七上使の段」「姫戻りの段」「金殿の段」となり、お三輪はどうしても忘れられない求馬に逢いたくて、もはや橘姫にはかなわないと思いつつも、御殿に向かい、その結果、命を落とします。それもこれも、入鹿を失神させるために必要な「疑着の相」をもった嫉妬に燃える女の生き血を、鱶七、実は鎌足の部下金輪五郎が求めたからでした。イヤハヤ。

入鹿が奪った三種の神器のひとつである十握(とつか)の宝剣をめぐって争いが起きるのが「入鹿誅伐の段」です。お三輪の生き血をかけた笛が吹かれると、それを聞いた入鹿が気を失い、入鹿がもっていた十握の宝剣は龍になって空へ飛びあがります。その龍を捕まえて宝剣を手にした鎌足が登場し、入鹿は首を刎ねられるのですが、その首は不気味にも空中を漂います。それを求馬こと淡海が祈ると、やっとおとなしくなるという結末です。

実にスケールの大きな時代物。四段目全部を見て、義に燃えた求馬の策略も理解できましたし、その犠牲となったお三輪の哀れさもより痛切に見えてきました。

町人近松半二にしてみれば、義のために町人を犠牲にする侍への反骨精神がお三輪というヒロインを通じて描きたかったのでしょう。間違いなく、成功しています。

なお、このあと五段目では淡海はめでたく橘姫と結婚することになるというのですから、お三輪ファンとしては何とも複雑な気分になります。

大夫に関していえば、前半では「杉酒屋の段」の豊竹咲甫大夫の美声と伸びやかな声は印象的でした。ですが、もう少しお三輪の気持ちが見えるように語ってくれたらと感じてしまったのでした。

後半では、「金殿の段」を語った竹本千歳大夫が出色です。硬軟織り交ぜた語りは否が応でもクライマックスの劇性を高めます。汗を飛び散らせる熱演に、こちらも引き入れられてしまうのです。これで、もう一段おかしみが出てきたらという感じがするのですが、どんなものでしょう。

三味線では、「道行」に登場した人間国宝・鶴澤清治が貫禄です。この人のCDを持っているのですが、口惜しいことに貧乏英語塾長のオーディオ装置では(相当にお金をかけているのですが)、この太棹特有のぶ厚い音は再現できません。いい音だなあと酔いしれてしまいました。

人形遣いは、求馬の吉田玉男、橘姫の吉田和生、お三輪の桐竹勘十郎、鱶七の吉田玉也が素晴らしいものでした。とりわけ、勘十郎のお三輪は哀切極まりなく、これだけのお三輪は、歌舞伎でもなかなか見られません。対抗できるのは、坂東玉三郎ぐらいではなかろうかと思ってしまいました。

求馬の気品、橘姫の凛とした美しさ、鱶七の豪快さ、見事です。特に、玉也の鱶七を見ていたら、2011年1月に新橋演舞場で観た故・十二世市川團十郎の鱶七を思い出してしまいました。豪快で愛嬌があって、本当にすばらしい鱶七だったのです。

歌舞伎といえば、その舞台で「入鹿誅伐の段」をやるのは難しいのかもしれませんが、ここまでやると、物語に形がついて、カタルシスも感じられ、すっきりします。いつか歌舞伎でも四段目の通し上演を行ってくれたらと考えてしまいました。

文楽初体験の大学2年の娘を連れて行きましたが、前半は眠りこけていたものの、「鱶七上使の段」以降は、目を輝かせて見ていました。第二部のチケットはまだ余っているようです。関心ある方は、どうぞ。オススメします!

第一部のチケットが取れなかったので、今月はここまで。次は12月の公演を楽しみにしています。
| 文楽 | 13:11 | comments(0) | trackbacks(0) |
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