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『東京物語』日程推理編:なぜ平山とみは死んだのか 

小津安二郎監督・脚本の『東京物語』(1953)は、大好きな作品です。BFI製英盤Blu-ray Discを買うだけでは飽き足らず、クライテリオン製米盤BDももっています。何度見直しても、新たな発見を与えてくれるからです。

本作の凄みは、個人的には、小津作品の中でももっとも優れたリアリズム映画であるという事実に立脚すると考えています。平山とみが死んだ、あるいは殺された現実的理由を描くことによって、いまに通ずる日本の家族問題をえぐり出しているのですから。

今日6月30日は、奇しくも、平山周吉・とみ夫妻が東京へ旅立つ日です。その旅程を追いながら、この映画を見直すと、とみが死なねばならない物理的条件が見えてきます。その旅を再確認してみましょう。

今日は、日程推理編です。
『東京物語』のあらすじを、映画の中の発言その他から推理した日取りでまとめると、こんな具合になります。

++++++++++

6月30日(金)旅行初日

 平山周吉(笠智衆)とその妻とみ(東山千栄子)、東京旅行に出発。
 目的は、東京に住む医者の長男平山幸一(山村聡)・美容師の長女
 金子志げ(杉村春子)・次男未亡人で商事会社に勤めている平山紀子
 (原節子)に会うため。

7月1日(土)旅行2日目

 東京駅到着。
 東京駅からタクシーで東武伊勢崎線堀切駅の近くにある幸一の家に。
 上記の3人と幸一の妻文子(三宅邦子)に歓待される。
 だが、幸一の息子ふたりは生意気で、祖父母になつかない。

7月2日(日)旅行3日目

 幸一が東京を案内してくれるというので、周吉・とみは準備をしていた。
 だが、幸一に急の往診依頼が入り、予定はキャンセル。
 孫を連れてとみは荒川の土手で遊ぶが、寂しさに襲われる。


 その日のうちに、周吉・とみは志げのうらら美容を経営する自宅に移動。

7月3日(月)旅行4日目

 一日中、周吉・とみは志げの家にこもる。
 とみは志げから頼まれた和裁をする。


 周吉は物干し台で外をながめていた。
 外出は、志げの夫庫造(中村伸郎)と銭湯に行っただけ。

7月4日(火)旅行5日目

 志げから頼まれた紀子が、仕事を休んで周吉・とみを東京観光に。
 その後、渋谷方面にある紀子のアパートにふたりを案内する。
 周吉・とみは、夜遅く志げの家に戻る。

7月5日(水)旅行6日目

 志げの家に一泊すると、周吉・とみは熱海に体よく追い出される。
 熱海では、泊まった旅館の客がうるさく、よく眠れない。
 とみは、いびきをかいていた。

7月6日(木)旅行7日目

 朝の散歩でとみがめまいを起こして座り込む。


 周吉・とみは、一泊だけで東京の志げの家へ戻ることにする。
 だが、予定より早く帰ってきた両親を、志げは快く思わない。
 仕方なく、周吉・とみは志げの家を出ることにし、上野で時間をつぶす。


 とみは紀子のアパートに泊めてもらう。
 周吉は昔の知り合いのところに泊めてもらおうとする。
 だが、周吉の願いはかなわず、泥酔して深夜すぎ志げの家に帰る。

7月7日(金)旅行8日目

 居場所がなくなった周吉・とみは、尾道へ帰ることにする。
 午後9時発の広島行き普通急行・安芸の3等車に乗る。

7月8日(土)旅行9日目

 とみが車中で具合が悪くなる。
 大阪に着いて、三男の平山敬三(大坂志郎)のアパートに厄介になる。

7月9日(日)旅行10日目

 とみの容態は改善したものの、用心のため、大阪でもう一泊。

7月10日(月)旅行11日目

 昼過ぎ、二女京子(香川京子)が待つ尾道の実家に帰郷。

ーーーーーーーーーー

7月11日(火)

 周吉、礼状を幸一に出す。

7月13日(木)

 突然とみが倒れ、京子が東京の子供たちに危篤の電報を打つ。

7月14日(金)

 幸一・志げ・紀子が東京から駆けつける。
 とみの容態は、改善せず、こん睡状態が続く。


7月15日(土)

 未明3時15分に、とみ死去。
 敬三が遅れてかけつける。

ーーーーーーーーーー

7月16日(日)

 とみの葬儀。
 その日のうちに、幸一・志げは帰京、敬三も帰阪。

7月18日(火)もしくは19日(水)

 紀子、周吉から再婚を勧められる。
 紀子、とみの形見の懐中時計をもらって、帰京。 

++++++++++

推理の根拠は、以下のとおりです。

☆日付の基準

周吉・とみが尾道に帰郷したのが「10日」であるというのは、1時間28分すぎの周吉からの手紙をもらった幸一の発言でわかります。

ただし、月がわかりません。ですが、服装から季節が夏だとわかりますし、紀子が帰京の日に小学校の教員である京子に「夏休みになったら、京子さん、東京にいらっしゃいよ」(1時間58分すぎ)というセリフがあることから、いまは夏休み前の7月だとわかります。

ゆえに、「10日」は7月10日であり、そこから逆算すると、出発日は6月30日だということになります。

☆曜日の特定

曜日に関していえば、3日目に幸一が東京を案内しようとした日が「日曜日」だと幸一が発言するので(18分すぎ)、その日を換算すると、周吉・とみは金曜日の6月30日に出発し、月曜日の7月10日に帰宅したこととなります。

☆尾道に帰ってからの足取り

問題は、尾道に帰ってからです。はっきりとした日程がわからないのです。

手がかりは、周吉が幸一に出した手紙です。さすがに、疲れているでしょうから、昼過ぎに帰宅して、その当日に書いてその日のうちに出すというのは考えにくい話です。たぶん、翌11日に書いて出したのではないでしょうか。

それが正しいとして、当時の郵便事情を考えると、普通便なら翌々日に着くのが関の山でしょう。そうなれば、13日(木)にとみは危篤となり、15日(土)未明(3時15分)に亡くなったことになります。

☆紀子の帰郷日

紀子の帰京日は微妙です。

配偶者の母が死んだことを考えると、現在の慣例では忌引き休暇は3日が相当といわれています。ただし、尾道は遠いので、その前後に1日ずつ与えてもらうとして、5日がよいところです。

しかし、危篤のときから駆けつけているところを見ると、事前に忌引き休暇を申請できたとは思えず、有給休暇をとったと考えるほうが自然でしょう。

そうすると、14日(金)を有給休暇で、15日(土)から19日(水)か20日(木)までを忌引き休暇を使ったことになり、尾道を発ったのは18日(火)か19日(水)となります。

ただし、それ以降ということは、たとえ有給が取れてもありえないと思うのです。その日に京子が普通どおりの算数(割り算)の授業をしているからです(2時間6分すぎ)。もし、20日までいたら、当時も20日が終業式だったでしょうから、授業が行われることはないからです。

以上のことから、18日か19日に東京へ帰っていったと考えるのが妥当だと推理するわけです。

☆この映画は、1953年の設定ではない

なお、この映画は昭和28(1953)年に公開されていますが、この日取りは1953年には相当しません。1953年の6月30日は水曜日なのです。

☆とみの死因は?

68歳の平山とみの死因は、幸一も主治医もはっきりといいません。ゆえに、次の症状から推測する必要があります。

 熱海でいびきをかいていた。
 熱海でめまいを起こした。
 東京から尾道に帰る汽車の中で気分を悪くした。
 意識不明になってからもいびきをかき続けた。

さらに、往診に来た主治医が投薬で血圧は下がったのだが、意識不明が取れないという発言をしていますので(1時間39分すぎ)、とみはかなりの高血圧であったと思われます。

以上の点からすると、素人診断でも、「脳溢血(脳出血)」だとわかります。

68歳の高血圧の肥満女性が、暑い7月に寝台ではなく3等車の硬い椅子に座って尾道・東京間、東京・熱海間を往復し、周囲の子供たちと孫に気を使っていたら、これはいまでも脳溢血になってもおかしくありません。リアルです。

小津の作劇がいかに現実に即したものか、その緻密さに舌を巻いてしまいます。

(次回、機会を見つけて、東京での移動の過酷さを考えてみたいと思います。)

++++++++++

なお、今回調べるために使用したのは、上のクライテリオン製US盤と下のBFI製UK盤BD・DVDです。


一長一短あって微妙なところですが、一本だけといわれたら、US盤を推奨させていただきます。
| 小津安二郎 | 13:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
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