CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< January 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
英語で「日本国憲法」を読んでみる―The Constitution of Japan
英語で「日本国憲法」を読んでみる―The Constitution of Japan (JUGEMレビュー »)
別冊宝島編集部
英語で憲法を読んでみれば、戦勝国アメリカから押し付けられたことが手に取るように分かります。50年以上、修正されていない憲法。時代にそぐわない内容。それでも、憲法改正、不要ですか?
★★★★★
RECOMMEND
駅 STATION [DVD]
駅 STATION [DVD] (JUGEMレビュー »)

高倉健を知りたければ、まずこの一本。「渋さ」の意味が分かります。★★★★★
<< 気になる英語表現(13-41):日本よ、労働市場の構造改革を急げ | main | 『あまちゃん』最終週を、薬師丸ひろ子に注目して見る >>
芸術祭十月大歌舞伎 昼の部


歌舞伎座 一幕見席(1000円+2000円+1000円)
2013年10月7日(月) 午前11時00分−午後3時10分
公式サイト:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2013/10/post_67.html

演目と時間:
  義経千本桜 序幕 鳥居前         11:00−11:40
  義経千本桜 二幕目 渡海屋・大物浦    12:10−2:09
  義経千本桜 三幕目 道行初音旅    2:28−3:11

ゴウ先生総合評価: A+
月曜日に、歌舞伎座の昼の部に行ってきました。今回は、一幕見席です。

10時30分過ぎに歌舞伎座に着くと、すでに『鳥居前』のチケットが発売されています。最後尾に並びましたが、先客が多く、立ち見確定。しかも、あと5、6人で締め切られる「148番」。危ういところでした。

エレベーターで4階に。手すりの部分はほとんど押さえられていて、残っているのは下手側花道前の部分のみです。花道上の演技を横側から見られないので好ましくないのですが、仕方ありません。

昼の部の演目と主な出演者を記録しておきましょう。

通し狂言 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

序 幕 鳥居前
          佐藤忠信実は源九郎狐    松 緑
               武蔵坊弁慶    亀三郎
                 静御前    梅 枝
                亀井六郎    歌 昇
                片岡八郎    種之助
                伊勢三郎    米 吉
                駿河次郎    隼 人
                笹目忠太    亀 寿
                 源義経    菊之助

二幕目 渡海屋
    大物浦

       渡海屋銀平実は新中納言知盛    吉右衛門
          女房お柳実は典侍の局    芝 雀
                相模五郎    又五郎
                入江丹蔵    錦之助
                亀井六郎    歌 昇
                片岡八郎    種之助
                伊勢三郎    米 吉
                駿河次郎    隼 人
               武蔵坊弁慶    歌 六
                 源義経    梅 玉

三幕目 道行初音旅
          佐藤忠信実は源九郎狐    菊五郎
                逸見藤太    團 蔵
                 静御前    藤十郎
 
まずは、原作では二段目の口に当る『鳥居前』。

戦後46回目の本興行上演です。

佐藤忠信/源九郎狐をもっとも演じているのは、12回の三世市川猿之助(猿翁)。続いて、8回の市川右近、4回の当代尾上松緑、3回の二世松緑、当代市川海老蔵となっています。

これまでの内容を振り返っておきましょう。

平家との戦いで功績のあった源義経に対して、後白川法皇から「初音の鼓」が与えられます。法皇は「鼓を打つ」ことから「兄源頼朝を討つ」ことを暗に求めていたのです。義経と頼朝の間を裂こうという陰謀です。

しかし、義経は兄との戦いを望んでいません。ゆえに、頼朝が義経の真意を尋ねるために使者を送り込んできたときも、会って真意を説明するつもりでいました。

ところが、頼朝の使者は、義経と和解する気などありません。いきなり襲ってきたのです。そのため、武蔵坊弁慶がその使者たちを殺してしまいます。兄との仲が修復できないことがわかった義経は、西国に逃げることにしたのでした。

伏見稲荷鳥居前の場

義経(尾上菊之助)が家臣の四天王たちと伏見稲荷の鳥居前にやってきます。そこへ、静御前(中村梅枝)が現れ、一緒に連れて行って欲しいと頼みます。しかし、義経は聞き入れません。

ひと足遅れて、弁慶(坂東亀三郎)がやってくると、義経はいきなり軍扇で打擲します。襲ってきた使者たちを殺したからです。危うく破門させられそうになりますが、静御前のとりなしで弁慶の同行が許されます。

一方、しつこく同道を求める静御前に対して、義経は形見として初音の鼓を渡し、これを見ては自分のことを思い出してくれと諭します。それでも静御前が納得しないので、四天王たちが静御前を梅の木に縛り付けて、義経たちはその場を去ります。

そこへ現れた頼朝方の笹目忠太(坂東亀寿)が、初音の鼓を手に入れ、静御前を引き連れて義経を追おうとします。ところが、義経の家臣である佐藤忠信(尾上松緑)が現れ、忠太とその家来たちを一蹴し、静御前を助け出します。

立ち戻った義経は、その様子を見て忠信に感謝します。そして、忠信に「源九郎」という自分の名前と鎧を与え、静御前を守ることを命じて、義経は出立するのでした……。

面白い。華やかだし、メリハリがあり、花形たちが生き生きとがんばっています。

まずもって、松緑丈がすばらしい。花道から出てくるところから、荒事らしい大きさが出ていて、目が点になります。セリフ回し、特に高音で声が裏返るところに問題があると思いますが、その佇まい、貫禄、動きの軽やかさ、愛嬌は見事。正しく忠信役者です。

菊之助丈の義経も、美しい若武者ぶり。この時点では、おそらく後の義経のような大きな苦悩を抱えているわけではないので、義経はある種ノーテンキです(だからこそ、頼朝の使者と話し合おうとしたのです)。その短慮ぶりが、いきなりの弁慶への打擲で現れるわけですが、その菊之助丈にはその雰囲気が出ています。自分の愛妾を木に縛り付けて、どこかへ行くというワガママぶりも、すんなり見られます。役作りがしっかりとできているからです。

弁慶役の亀三郎丈、忠太役の亀寿丈、この兄弟は何と言っても、その声のよさとセリフの通りのよさで常に魅了してくれます。今回も期待を裏切りません。おかしみも十分に出ていました。

ややもの足りなかったのが、梅枝丈。美しくはあったのですが、あの静御前ではなよなよしすぎでしょう。単に義経についていきたいだけのストーカーっぽいワガママ娘に見えてしまいます。忠太に捕まるあたりは、もっと毅然としていて欲しかったと惜しまれます。

30分の幕間です。この機会に、席を探し、上手側の最前列の席を確保します。何せ次の『碇知盛』は2時間の長丁場。立ち見は無理です。

しかし、座った席が悪かった。すぐ前の3階B席最後列にすわったオババ軍団が身を前に乗り出して見るので、舞台の半分くらいが見えません。往生しました。

注意しようかと思ったのですが、可哀想に思って、言いませんでした。でも、前のめりになるのは悪い癖。気をつけて欲しいものです

さて、原作二段目に当る『渡海屋・大物浦』。いちばんのお目当てです。

戦後51回目の本興行上演。

銀平/平知盛をもっとも演じているのは、11回の三世市川猿之助(猿翁)。続いて、5回の二世松緑、十二世市川團十郎、当代中村吉右衛門、3回の松本白鸚。

渡海屋の場

舞台は、摂津国大物浦にある船問屋の渡海屋。この渡海屋に、都落ちした義経一行が宿泊しています。西国への船出のときを待っているのです。

そこへ、北条の家来である相模五郎(中村又五郎)と入江丹蔵(中村錦之助)がやってきて、女房のお柳(中村芝雀)に義経を追うための船を用意するようにと命じます。しかし、主人の銀平は留守。お柳は申し出を断ります。

そのことに怒ったふたりがお柳につかみかかろうとしたところへ、銀平(中村吉右衛門)が帰ってきます。そして、銀平の制止も聞かず、逆上したふたりは銀平に殴りかかります。しかし、銀平から逆にやられてしまい、逃げて行きます。

銀平が義経の船を出す準備のために奥へ入ると、義経(中村梅玉)と四天王が現れます。義経は相模と入江を追い返してくれたことを銀平に感謝しますが、四天王たちは雲行きの怪しさを心配します。しかし、お柳が銀平は天気を予測する名人だから心配いらないと送り出します。

すると、奥から真っ白の鎧兜に身を包んだ銀平が現れます。実は、壇ノ浦の戦いで入水して死んだと思われていた知盛は生き延びて、源氏への復讐のタイミングを狙っていたのです。

同じく、実は、娘のお安は安徳天皇、お柳は帝の乳母典侍の局だったのです。相模五郎と入江丹蔵も知盛の部下で、義経たちを騙すために先ほどの狂言をしかけたのです。

知盛の作戦は、船に乗って安心している義経を襲うことでした。安徳帝から一献授かった知盛は、一指し舞うと亡霊姿の部下たちを連れて、義経の船に向うのでした。

典侍の局たちが装いを改めて、知盛からの知らせを待っていると、傷だらけの相模五郎が現れ、返り討ちにあったことを知らせに来ますが、すぐに知盛のもとへ戻って行きます。局たちは一同、がっかりです。

しばらくすると、入江丹蔵も現れ、味方の敗北を告げ、敵方の軍平とともに海中に身を投げます。

典侍の局は、覚悟を決めました。安徳帝とともに入水しようとしていたのです。ところが、そこへ義経の家臣たちが現れ、捕まってしまいます。

大物浦の場

全身ケガだらけの知盛が、安徳帝の行方を尋ねて大物浦にやってきます。すると、安徳帝と典侍の局を連れた義経が現れます。知盛は、義経に打ちかかっていきます。

義経は、知盛を止め、安徳帝の身は自分が守るから安心せよと諭します。しかし、知盛は、聞き入れません。まだ立ち向かおうとします。

そこで、弁慶が知盛の首に数珠をかけます。復讐をやめて、出家するようにという意味です。しかし、知盛は数珠を引きちぎり、なおも義経に立ち向かいます。

すると、安徳帝が知盛を諌めます。その言葉を聞いた典侍の局は、懐刀で自害します。

そうなれば、知盛としても義経にはむかうことはできません。安徳帝がこのような苦難に遭うのは、帝の祖父であり、自分の父である平清盛が、三悪道を極めた報いだと嘆いて、覚悟を固めます。そして、岩の上に上り、身体に碇綱を巻きつけると、巨大な碇を海に投げ込み、身を投げてしまいます。

壮絶な最後を見届けた義経は、安徳帝を連れてその場を立ち去ります。最後に残った弁慶が、知盛の死を悼んで法螺貝を吹き、その場を離れるのでした……。

これは、絶品。吉右衛門劇団に梅玉丈が客演している形ですが、すべての俳優が光り輝いています。2時間の長丁場をしっかりと楽しめました。

驚くのは、台本の緻密さ。死んだはずの知盛、安徳帝、典侍の局が生きていたという設定さえ飲み込めば、ストーリーは丁寧な因果律で作られ、平家の滅亡に当っての知盛の哀しみと頼朝から追われる義経の悲劇がパラレルに展開して、濃厚な人間ドラマを見せてくれます。

しかも、話の展開が上手い。主役は銀平として1回、知盛として2回登場するのですが、それぞれの場の役目が異なっており、見る側にさまざまな面白さを与えてくれます。

まず、花道から渡海屋に帰っていく場面では、どうみてもその姿は侠客のそれ。そのあとに相模五郎と入江丹蔵をあっという間に手玉を取る場面の気持ちよさ。見事な世話物として楽しめます。

次に、実は銀平は平知盛であったとわかる場面の神々しさ。死装束としての白の鎧兜に身を包むのですが、それがアイヌの服のようであるだけに、玉砕の覚悟が明白になります。

最後、ボロボロになって大物浦に現れる知盛からは、男の意地と無念さがほとばしり出ます。見物としては身構え、目頭を熱くするしかありません。

しかし、こんなことを考えられるのも、吉右衛門丈の銀平/知盛が実にリアルでわかりやすく語りかけてくれるからです。

その線の太さ、ほとばしる熱情、類まれなるセリフ回し、舞台を睥睨するその存在の大きさ。すべてが知盛そのものに思え、ただただ最後まで見惚れるだけでした。当代髄一の知盛役者であるというのは間違いない評価です。

対する梅玉丈も、立派。『鳥居前』ではまだ屈託のなかった義経が、成熟している様がしっかりと見て取れます。これは、もちろん、菊之助丈から変わったからそう感じたのではなく、梅玉丈が知盛に投げかける憂いに満ちた態度がそう思わせるのです。父親の三悪道の犠牲になる知盛。同じく、兄から裏切られた義経。その口惜しさが、梅玉丈の演技からにじみ出ています。

芝雀丈は、典侍の局が初役だとか。しかし、そうは思えぬ安定感。義経に対し、銀平の天気予報はよく当るとのろける場面の長ゼリフの面白さは格別。義経に対して一歩も引かない女主人のハラに典侍の局としての敵愾心があったからだと後から思えます。実に凛とした乳母です。

又五郎丈と錦之助丈も、期待通り。滑稽味も十分ならば、負け戦になってから登場する場面の切実さも格別。芝居全体が、引き締まります。

20分の幕間のあと、『道行初音旅』。(前のめりオババを嫌って、上手の席に移動します。)

戦後138回目の本興行上演というもの凄さ。

佐藤忠信/源九郎狐をもっとも演じているのは、32回の三世市川猿之助(猿翁)。続いて、15回の二世松緑、9回の当代菊五郎。

舞台は、満開の桜が咲き誇る吉野山。

義経を追ってやってきた静御前(坂田藤十郎)ですが、一緒にやってきた忠信(尾上菊五郎)が見えません。そこで、鼓を叩く と、忠信が現れ、ふたりは旅の憂さを晴らすように、踊りだします。そこへ、鎌倉方の逸見藤太(市川團蔵)が捕手たちと現れて静御前を捕まえようとしますが、忠信が蹴散らします。そして、ふたりはさらに吉野山の奥へと入っていくのでした……。

何ともゆったりとした大人の芸。屋島の合戦の様子をあてぶりで菊五郎丈が踊る場面に多少激しさはありますが、それでも悠揚迫らぬ動きにただただ見とれます。

藤十郎丈も、若さ十分。やや膝の屈伸が上手く行かないかのように思えましたが、それが欠点にならないところが、凄いところです。

逸見藤太と言えば、もはやこのひとと言いたくなる團蔵丈も、おかしさ抜群。期待にこたえてくれました。

というわけで、感銘度を記すと、次のようになります。

  鳥居前     A
  渡海屋・大物浦 A++
  道行初音旅   A/A-

『碇知盛』は、もう一度見たいと思ってしまいました。機会を作ります。
| 歌舞伎 | 14:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.indec.jp/trackback/1061846
トラックバック