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秋日和(UK BD/Region B)


英語題: Late Autumn (1960)
上映時間: 2:08:34
1960年11月13日 国内劇場初公開
公式サイト: N/A

ゴウ先生総合評価: A
  画質(1.33:1): A-/B+
  音質(Linear PCM 2.0/モノラル): B+
  英語学習用教材度: C-
日本を代表する巨匠小津安二郎監督・脚本によるユーモアとペーソスにあふれた人間ドラマ。共同脚本は、野田高梧

主演は、原節子、司葉子。共演は、佐分利信、中村伸郎、北竜二、岡田茉莉子、佐田啓二、沢村貞子、三宅邦子、渡辺文雄、岩下志麻、笠智衆。

『晩春』(1949)のBlu-ray DiscをAmazon.co.ukに注文するときに、併せて購入したBDです。11.94ポンドで売られていました(今日は、12.20ポンドでした)。

本当は、紀子三部作の『麦秋』(1951)のBDを注文したかったのですが、日本への配送をしていないということで、泣く泣く断念して、本作を購入したというわけです。どうにかして、『麦秋』のBDを何としても手に入れないといけません。

イギリスでBD化されている小津作品を挙げておきましょう。次の10本です。

 一人息子 (1936)
 父ありき (1942)
 晩春 (1949)
 麦秋 (1951)
 東京物語 (1953)
 彼岸花 (1958)
 お早よう (1959)
 浮草 (1959)
 秋日和 (1960)
 秋刀魚の味 (1962)

小津と原というと、黒澤明と三船敏郎、マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロと比肩するほどの組み合わせだと言われていますが、意外と原は小津映画に出ていません。

上のリストで言えば、太字にした4作にしか原は出ていないのです。BD化されていない『晩春』以降の小津監督作品は、その他5作品あるのですが、原が出ているのは太字の2本だけです。

 宗方姉妹 (1950)
 お茶漬の味 (1952)
 早春 (1956)
 東京暮色 (1957)
 小早川家の秋 (1961)

というわけで、小津は『晩春』から遺作となった『秋刀魚の味』まで13本監督しているのに、原は半分に満たない6本しか出演していません。それでも、小津安二郎とくれば原節子と大方の映画ファンが応えるのですから、よほど紀子三部作のインパクトが大きかったか、わかります。

本作は、『東京暮色』から3年ぶりの顔合わせ。しかも、小津はそれまで娘役しか振ってこなかった原に、24歳の娘の母親役を演じさせています。きっと原も戸惑ったことでしょう。引退への序奏が聞こえてくるようです(1962年11月3日公開の東宝映画『忠臣蔵 花の巻 雪の巻』(1962)の大石りく役で引退)。

あらすじをまとめておきましょう。舞台は、1960年前後の東京です。

三輪秋子(原節子)は、未亡人。大手町の会社(トーコー商事)でOLをしている24歳の娘アヤ子(司葉子)と都内の2Kのアパートでふたり暮らしをしています。

秋子が亡夫の七回忌を行うに当って、亡夫の親友たちが集まります。間宮宗一(佐分利信)、田口秀三(中村伸郎)、平山精一郎(北竜二)です。その場で話題になったのが、アヤ子の結婚でした。

田口が、東大建築科出身で大林組で働いている29歳の男を紹介しようと言い出します。ですが、いざ当ってみたら、本人はすでに結婚が決まっていました。そこで、間宮が三和商事という自分の会社の部下である早大政経出身の後藤庄太郎(佐田啓二)を紹介しようとします。

ところが、アヤ子は結婚したくないと言います。結婚したらひとりきりになる母秋子のことが心配だと言うのです。

そこで、間宮と田口は、秋子を妻を亡くして5年になる平山と再婚させることで、アヤ子を結婚させようとします。アヤ子は間宮から母が再婚するという話を聞いて、最愛の母が再婚することに我慢がならず、秋子と喧嘩になります。

そのことを知った会社の同僚でアヤ子の親友である佐々木百合子(岡田茉莉子)が、起こります。間宮たちが秋子母娘をからかっていると、平山、田口、そして間宮の職場に乗り込んで行くのです。

百合子のおかげで、誤解が解けたアヤ子は後藤と結婚することにします。秋子は、結婚式の前にアヤ子とふたり日光・伊香保をめぐる旅行に出かけます。

伊香保にある亡夫の兄三輪周吉(笠智衆)が経営する俵屋旅館に泊まった夜、秋子はアヤ子に再婚の意思はないと伝えます。自分のことは心配しないで、幸せになってほしいとアヤ子に説いたのです。

アヤ子と後藤との結婚式を無事終えた夜、秋子はひとりでアパートにいます。そこへ、銀座で二次会をすませた百合子が訪ねてきます。その百合子も帰ると、秋子は布団の上に正座してもの思いにふけるのでした……。

構造的にいえば、『晩春』の父娘関係が、母娘関係に置き換わっただけ。笠智衆の役が原節子、原の役が司葉子、三宅邦子の役が北竜二、杉村春子の役が佐分利信と中村伸郎というわけです。しかし、残念ながら、『晩春』ほどの感慨には及びません。とはいえ、無視できない完成度の高さです。

撮影当時40歳の原に40歳半ばの寡婦の役を演じさせているのですが、その美しさと艶かしさが、『晩春』の純朴さと対照的存在になっています。

この結果、小津は、秋子という美しい未亡人をめぐる男3人の悪気のない陰謀を作り出します。これをどう解釈するかで、本作への評価が変わってきます。

個人的には、『晩春』のほうが好きではありますが、本作の意匠こそ小津の凄みであると評価します。ここで、小津が示そうとしたのは、結婚にまつわって起きるさまざまな「違和感」であり、それが見事に成功しているからです。

まずもって、40歳になったばかりの原に、実年齢よりも5歳は上の子持ちの未亡人を演じさせただけで違和感が募ります。秋子は20歳で三輪と結婚して、24歳のアヤ子を産んでいるのですから、45歳以上という計算です。

他の監督の下で母親役を演じてきたとはいえ、こんなに大きな娘の母親役は初めて。原に「永遠の処女」の偶像を見つけ出すファンには、大きな驚きです。

しかも、その原が間宮・田口・平山の3人によいように弄ばれるような設定を作り出すのですから、なおのこと小津一流のサディズムに違和感が高まります。

原の出番がきわめて少ないのも、ファンをイライラさせます。調べていませんが、おそらく128分の上映時間のうち、40分も登場場面はないはずです。司葉子、佐分利信のふたりがいちばん出番が多く、その次に、中村伸郎、北竜二。そのあとにやっと原が出てくるような映画です。映画の後半では、岡田茉莉子に食われている感もあります。

ファンとしては原の出番が少ないのは許せないことなのですが、その違和感が秋子の不安定な存在感と相まって、一定の効果をあげているのは認めざるを得ません。秋子の心情を簡単に把握できないからです。

そのうえで、秋子に長く伸ばした爪に銀色のマニキュアを塗らせたのには、参ります。いつも地味な着物姿でいる45歳(以上)の未亡人に、そのイメージとはまったく違う派手なネイル・ファッションをさせる。小津流のローアングルから映されるとき、その爪の異様さが強く目立ちます。

おそらく、あの爪に秋子の内面にある「老い」への抵抗とアヤ子(の爪も伸びて、透明のマニキュアが塗られています)とのライバル心が見え隠れします。小津が考えたか、原が考えたか、凄い着想です。

陰謀3人組を佐分利と中村に仕切らせて、北を狂言回しにしたのも、すばらしいキャスティングです。小津映画の特徴である抑揚の少ない台詞回しを佐分利にさせることで、ギャングのボスのように佐分利が見得てしかたありません。狡猾さがにじみ出る中村は、この場合ボスの右腕というところでしょうか。

岡田茉莉子の勝気なコメディエンヌぶりも、たまりません。陰謀3人組に蹂躙される三輪母娘をひとりで助け出すのですから、溜飲が下がることおびただしい限り。小津は、きちんと落としどころを考えています。

小津の遊び心というか、潜在的創作意識として表れているのが、登場人物のネーミングです。

今回秋子の義理の兄という形で登場する笠智衆は、本作でも「周吉」という名前を与えられています。これは、『晩春』、『東京物語』、『東京暮色』、『彼岸花』の役名と同じなのです。

「間宮」は『晩春』の笠・原の姓ですし、「平山」は『東京物語』の笠・原の姓。ある種の輪廻が、小津作品では起きています。

つまりは、間宮も平山も、『晩春』や『東京物語』の笠のように、常に原を見守る存在だと最初から小津は種明かしをしているというわけです。

最後に、1960年という戦後15年後の東京を捉えた絵も、本作のテーマを浮き彫りにさせています。冒頭の完成したばかりの東京タワーや復興の進む銀座の風景が、古都鎌倉を舞台にした『晩春』とはまったく違い、時代の流れに翻弄される母娘を見せてくれるのです。

その意味で、病弱だった紀子が健康でハイキングにも出かけ中年男の陰謀に翻弄されながらも自分を見失わなかったアヤ子に変わったのも、時代の変化に応じた小津解釈なのかもしれません。

『晩春』に劣るとはいえ、見所十分な逸品です。

内容: A

++++++++++

画質(1.33:1): A-/B+

Gump TheatreにてOppo BDP-93から1080/24p信号を直接HDMIケーブルによってソニーVPL-HW30ESに送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映して います。1層25GB。コーデックは、MPEG-4 AVC。伝送レートは、2 Mbpsから42 Mbps。平均21.99 Mbps。

撮影は、小津作品には欠かせない厚田雄春。オリジナル・アスペクト比は、1.37:1。

本作のBDは、クライテリオン・コレクションのマスター・フィルムを使ったものではなく、松竹から提供されたフィルムをもとにBFIが製作されたものです。

アグファ・カラー・フィルムを使ったカラー映像。鮮やかさが光ります。特に、特徴的な赤が鮮明です。サッポロビールの赤星がとてもよく映えます。色温度はそれほど低くないのですが、ほんのりと暖かみをもった色調です。肌の質感もかなりナチュラル。原がそれなりの年齢であることをはっきりと見て取れます。

粒状性はとても高く、フィルムルックです。彫りも深く、奥行きもあります。やや古めかしさを感じますが、それほど違和感はありません。輪郭が強調されすぎているところが時にあるのが残念です。

キズも少なく、かなり見やすくなっています。

解像度は、かなりの高さ。細部はほとんどスポイルされていません。着物の柄まできちんと確認できます。

暗部情報も、かなりのものです。黒の階調も実に滑らか。黒がよく沈みます。コントラストはやや低めで、見ごたえある陰影の深さです。

大画面の近接視聴も、問題ありません。

音質(Linear PCM 2.0/モノラル): B+

Oppo BDP-93からパイオニアVSA-LX55にHDMI接続して、サラウンドバック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネルによる再生。伝送レート は、不明。48k/24-bit。音量は、マイナス12デシベル。

『東京物語』・『晩春』のBD同様、ケースの裏面には「48K/16-bit」と表記してありますが、BDP- 93で確認してみると「48k/24-bit」でした。DVDは48K/16-bitのドルビーデジタル2.0モノラル(伝送レートは、320 kbps)ですから、その差は歴然です。

ヒスノイズがほとんど聞こえなくなり、細かい環境音がよく聞こえるようになりました。『晩春』・『東京物語』とは雲泥の差です。

音の角が丸くなることもなく、フレッシュな音が聴けます。それでいて、メタリックさもなし。とても聞きやすい音です。モノラルですが、ふくらみも出てきました。これで、もう少し楽器の音がリアルになればと思いますが、レンジが狭いせいか弦楽器の高音が詰まりがちになります。

セリフは、抜けもよく、聞きやすいものです。裏声になりがちな原節子のセリフも、すんなりと耳になじみます。発音も明瞭で、サ行がきつくなることはありません。

英語学習用教材度: C-

英語字幕つき。

ケースには、今回新しく作られた字幕となっていますが、英訳には問題があります。はっきりした誤訳は「中学3年のとき」というのを小学3年と勘違いしたらしく「nine years old」と訳したものだけでしたが、その他ニュアンスが違う字幕が多々あります。間違い探しも兼ねて、英作文練習に使うとよいでしょう。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

☆『晩春』とのつながりで言えば、原節子が11年経っても銀座に出ると「ミシンの針」を買い物に行きます。確かに、秋子のアパートには足ふみミシンが置いてあります。

☆銀座の店が出てきて、そこには「VAN」の看板が出てきます。懐かしい!

☆アヤ子と百合子が勤めるトーコー商事は、東京駅前の中央郵便局の隣のビルにあるという設定。東海道線の電車を見送るシーンもあります。その前にはチンチン電車も走っているし、鉄道ファンは嬉しくなるかもしれません。

☆撮影当時25歳の司葉子の若いこと。小津の好きな清楚さが、十分にあふれています。

岩下志麻が、間宮の働く三和商事の事務員として何度も登場します。間宮の部屋に来客を案内する役です。可愛い限りです。

☆このBDには、18ページに及ぶ解説ブックレットがついています。写真も多いし、読み応え十分です。

☆残念ながら、映像特典は一切ついていません。

☆同梱のDVDには、『母を恋はずや』(1934)が『秋日和』とともに収録されています。ただし、PAL収録です。

++++++++++

原の出番が少ないこと以外は、不満はありません。映画ファンなら、必見でしょう。海外で教養を武器にしたいと思うなら、なおのこと見ておくべきです。

BDは、Region Bなのが珠にキズ。ただし、アメリカでも日本ででも発売されていませんから、再生できるなら、購入を考えるのも立派な態度です。
| 小津安二郎 | 11:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
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