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晩春(UK BD/Region B)


英語題: Late Spring (1949)
上映時間: 1:47:58
1949年9月13日 国内劇場初公開
公式サイト: N/A

ゴウ先生総合評価: A+
  画質(1.33:1/モノクロ): B/B-
  音質(Linear PCM 2.0/モノラル): B-
  英語学習用教材度: C
日本を代表する巨匠小津安二郎監督・脚本による、広津和郎の『父と娘』を原作とした人間ドラマ。『麦秋』(1951)、『東京物語』(1953)に先立つ紀子三部作の第一作目。共同脚本は、野田高梧

主演は、笠智衆、原節子。共演は、杉村春子、月丘夢路、三宅邦子、青木放屁、宇佐美淳、高橋豊子。

小津が、原と初めて組んだ記念碑的作品です。次の2冊の本を読んだら、無性に見直したくなってしまい、イギリスからBlu-ray Discを取り寄せてしまいました。


原節子 わたしを語る (朝日文庫)
貴田 庄
朝日新聞出版


原節子 あるがままに生きて (朝日文庫)
貴田 庄
朝日新聞出版

小津監督・脚本の『一人息子』(1936)まで入っていて、Amazon.co.ukで12.87ポンドしかしなかったので、買い時だと決断したわけです(今日は、12.78ポンドでした)。

『秋日和』(1960)と一緒に先週の月曜日7月29日に注文したら、昨日8月2日に着いたので、仕事を終えてからすぐに見たのでした。

舞台は、昭和24年の北鎌倉。

大学教授の曾宮周吉(笠智衆)は妻を亡くし、一人娘の紀子(原節子)と北鎌倉の家にふたりで暮らしています。

周吉の気がかりは、27歳になっても嫁に行かない娘のことです。東京に住む妹の田口まさ(杉村春子)に縁談の紹介をしてもらいます。

しかし、紀子は、父親とふたりで暮らすいまの生活がよいと、結婚しようとしません。自分が結婚すると、周吉がひとりになって可哀想だと言うのです。

そこで、周吉は三輪秋子(三宅邦子)と再婚するから心配しなくてよいとウソをつきます。すると、紀子は嫌々ながら結婚することを決断するのでした……。

いやあ、切ない。父と娘の細やかな情愛を緊張感あふれる映像で描き出した、紛うことなき傑作です。緻密な脚本と計算され尽くした演出の凄みが、さりげない父と娘の姿をドラマチックに見せます。

設定で唸るのは、紀子が27歳まで結婚できなかった理由が、戦中戦後の苦労で罹患した病気(たぶん肺結核?)にあることです。紀子はペニシリンのおかげで回復したのでしょうが、毎月東京の病院まで検査に行き、まさの夫である田口勝義(青木放屁)から「太ったね」と言われて喜ぶ状態なのです。

こうなれば、周囲から結婚しろと言われても、すんなりとうなずく気になれないのもわかります。周吉と紀子の関係は近親相姦すれすれの愛情とよく揶揄されますが、実際は病弱な娘を気づかう父親の想いと娘のこれからの人生への不安が表れているのです。

この父娘が抱える将来へのぼんやりとした不安は、昭和24年の段階の日本が置かれた状況と無縁ではないでしょう。

紀子が周吉の弟子である服部昌一(宇佐美淳)と茅ヶ崎までサイクリングに出かけたとき、戦時中に刈り取られてなくなってしまった松林跡の道(いまの国道134号線)を走る途中の標識は、すべてローマ字です。コカコーラの看板も立っています。

あの当時、間違いなく日本は独立国ではなく、“Occupied Japan”として連合国に占領されていたのです。小津は、その過酷な事実をさりげなく、映像に収めています。

その現実と能鑑賞シーンや京都の雅さを対比させて、現在の悲惨な状況と過去の日本の伝統美を見せ、紀子に日本人の不安を代弁させているのです。卓越した発想です。

俳優たちも、秀逸。

小津から細かい指導を受けなくて不安だったと後に口にしている(上掲の本を参照)公開当時29歳の原節子ですが、きちんとストーリー展開を理解した演技をしていると評価します。凄みを感じさせるのは、口角を上げたこぼれるような笑顔と怒りの表情の落差が大きく、静的な小津流画面の中で、原の存在がぐっと光るのです。

しかも、コミカルな演技も素晴らしい。開始43分前後で田口まさの息子ぶーちゃんとのやりとりで見せる「ゴムのり」と「ブー」のやりとりが最高です。あの顔には、よほどの朴念仁でないと惚れるでしょう。深刻なシーンが多い作品の中で見せてくれる見事なコメディエンヌぶりです。

笠智衆(公開当時、45歳)も、淡々としつつも、最後の有名なリンゴ剥きの場面へとつながる熱さを内側に秘めているのがはっきりとわかる愛情の細やかさが見えます。地味ですが、名演です。

さりげなさから言えば、杉村春子(公開当時、40歳)は格別。『東京物語』のときのインパクトはありませんが、あくまでナチュラル。嫌みゼロでありながら、紀子に対して強いプレッシャーをかけていく姿がたまりません。

長さも手ごろ。個人的には、実によいテンポに思えます。ローアングルのカメラの雄弁さと併せて、飽きることがありません。

父と娘の縁談話だけで、これだけの映画が作れた小津安二郎。BDによる映像と音声の大幅改善のせいもあって、本作が小津作品の頂点に立つと評価する人が多いのに、大いにうなずいてしまうのでした。

内容: A+

++++++++++

画質(1.33:1/モノクロ): B/B-

Gump TheatreにてOppo BDP-93から1080/24p信号を直接HDMIケーブルによってソニーVPL-HW30ESに送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映して います。2層50GB。コーデックは、MPEG-4 AVC。伝送レートは、2 Mbpsから41 Mbps。平均26.49 Mbps。

撮影は、小津作品には欠かせない厚田雄春。オリジナル・アスペクト比は、1.37:1。

以前レビューした『東京物語』のBD同様、クライテリオン・コレクションのマスター・テープをもとにBFIが製作したBDです。

かなり修復されたようですが、相当数のキズが残っています。縦に走る白い傷がはっきりと目立ちます。それでも、鑑賞を邪魔することはなく、同梱のDVDとは比べようもない高画質です。

グレインがかなり残されていて、実にフィルムルック。彫りは深く、奥行きも十分です。輪郭が強調されすぎることもありません。実に自然な風合いです。

解像度も十分に高く、細部の見通しの高さは最高です。原節子のまつげの長さと美しさがくっきりと見て取れます。

黒の階調も実に滑らか。黒がよく沈みます。コントラストも十分で、見ごたえある陰影の深さです。

大画面の近接視聴も、まったく問題ありません。

音質(Linear PCM 2.0/モノラル): B-

Oppo BDP-93からパイオニアVSA-LX55にHDMI接続して、サラウンドバック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネルによる再生。伝送レート は、不明。48k/24-bit。音量は、マイナス12デシベル。

これまた、『東京物語』のBD同様、ケースの裏面には「48K/16-bit」と表記してありますが、BDP- 93で確認してみると「48k/24-bit」でした。DVDは48K/16-bitのドルビーデジタル2.0モノラル(伝送レートは、320 kbps)ですから、その差は歴然です。

全編にわたって、ヒスノイズがかなり残っていますが、それほど耳障りではありません。音の角が丸くなることもなく、フレッシュな音が聴けます。それでいて、メタリックさはなく、厚手の音です。

セリフに関して言えば、レンジはかなり広く、高音の詰まりはそれほど気になりません。抜けも悪くなく、発音も明瞭。サ行がきつくなることもありません。

英語学習用教材度: C

英語字幕つき。ケースには、今回新しく作られた字幕となっています。ぜひ、英作文練習に使ってください。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

小津と野田の脚本の魅力は、軽妙なセリフの飛ばしあいにもあります。特に好きなのが、紀子とその親友でバツイチの北川アヤ(公開当時27歳の月岡夢路)のやりとり。冴えています。

☆紀子の結婚相手の熊太郎(田口まさは、「クーちゃん」と呼ぶ気でいます)は、ゲーリー・クーパー似だとか。登場しないのが、残念です。

曾宮家は、昭和24年とは思えない優雅な暮らしぶり。それに対する反感が公開当時あったというのもよくわかります。でも、こういう生活をしている人がいたということに、どこかほっとさせられるのも事実です。

昭和24年当時の北鎌倉駅・鎌倉駅・鶴岡八幡宮・湘南・江ノ島・銀座の風景が見られるだけでも、貴重な映画です。

☆このBDには、22ページに及ぶ解説ブックレットがついています。写真も多いし、読み応え十分です。

☆残念ながら、映像特典は一切ついていません。

++++++++++

映画ファン必見であるのはもちろん、海外の知識人と対等に渡り合いたいならば、絶対に見逃せない逸品。UK盤BDは、かなりの完成度です。繰り返し見るに、十分に堪えます。Region Bであるのが、唯一の欠点です。オススメします!
| 小津安二郎 | 11:07 | comments(0) | trackbacks(0) |
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