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ザ・マスター


原題: The Master (2013)
上映時間: 138分
2012年3月22日 国内劇場初公開
公式サイト: http://themastermovie.jp/

TOHOシネマズ・シャンテ スクリーン1 A-9
2013年4月1日(月)16時10分の回

ゴウ先生総合評価:  A-
  画質(1.85:1/Digital): A+
  音質(Linea PCM): A/A-
  英語学習用教材度: C
『ブギーナイツ』(1997)、『マグノリア』(1999)、『パンチドランク・ラブ』(2002)、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)のポール・トーマス・アンダーソン(PTA)監督・脚本・共同製作による宗教団体を舞台にした人間ドラマ。

主演は、ホアキン・フェニックス。共演は、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ローラ・ダーン、アンビル・チルダーズ、ジェシー・プレモンス、ラミ・マレック。

本年度のアカデミー賞で、主演男優賞(ホアキン・フェニックス)、助演男優賞(フィリップ・シーモア・ホフマン)、助演女優賞(エイミー・アダムス)にノミネートされた話題作。

5年ぶりのPTA監督作品です。『ハードエイト』(1996)は未見ですが、それ以外の作品すべてに魅了されてきた人間としては、絶対に見逃せない映画だと思っていました。

都内で上映されているのは、TOHOシネマズシャンテ、新宿バルト9、立川シネマシティの3館のみ。となれば、4Kプロジェクターを導入していることがはっきりしているシャンテでしか見たくありません。何せ本作は70mmフィルム上映も可能な65mmフィルム・カメラで撮影された極上画質を誇る映画であるからです。

というわけで、昨日のファースト・デーのサービスを使って、シャンテで見てきました。

入りは、かなりのもの。7割以上入っていたのではないでしょうか。中央通路脇を押さえようとしたら、最前列まで押し出されてしまいました。

シャンテにはしょっちゅう行っているのですが、スクリーン1となると2011年6月1日に『クロエ』(2009)を見て以来。ほぼ2年ぶりの訪問です。

プロジェクターは4Kデジタルに変わったものの、座席は昔のまま。座り心地の悪いオンボロの椅子です。1時間も座っていると、お尻が痛くなる代物ですから、バルト9のほうがずっと疲れません。ですが、仕方ありません。すべては高画質のためです。

さて、本編。舞台は、第二次世界大戦末期の太平洋ならびに戦後のアメリカ。

フレディ・クエル(ホアキン・フェニックス)はマサチューセッツ州出身の米海軍兵士。戦争末期、フレディの精神は壊れ、セックスと酒以外には考えられなくなってしまいます。

戦争が終わり、復員してきたものの、うまく社会復帰できません。従軍中に覚えた怪しいカクテルを飲み続けるアルコール依存症で、暴力事件を起こしては仕事や住む場所を変わらねばならなくなっています。

居場所がなくなったフレディは、ある夜泥酔したまま見知らぬ船に忍び込みます。「ザ・コーズ(The Cause)」という宗教団体がチャーターした船でした。その団体は、「マスター」と呼ばれるランカスター・ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)という宗教家・哲学者に率いられており、心の救済を主眼に布教と治療を行っています。

ランカスターは、フレディのオリジナル・カクテルが気に入ってしまい、フレディを同行させることにします。

しかし、フレディは、問題児。ランカスターの妻ペギー・ドッド(エイミー・アダムス)、息子ヴァル・ドッド(ジェシー・プレモンス)、娘エリザベス・ドッド(アンビル・チルダーズ)とその夫クラーク(ラミ・マレック)を始め、団体のメンバーとのいざこざを次々と引き起こしていくのでした……。

PTAらしく、too muchな映画です。途中で見るのに耐えられなくて出て行った観客が4、5人いたほどです。過去のPTA作品からこの監督の性向を知っておかないと、ついていくのは無理でしょう。

個人的には、そのtoo muchぶりが最高のプレゼントでした。やりよるPTA、と賞賛したくなった次第です。途中だれる部分もありますが、そのテンションの高さには圧倒されます。

ザ・コーズはトム・クルーズたちが信じるサイエントロジーがモデルになっていると言われていますが、そのようなカルト宗教を賛美した映画ではありません。むしろ、PTA作品らしく、そうした権威を徹底的に戯画化しています。主眼は、あくまでフレディのPTSDを描くことにあるのです。

事実、PTAの皮肉な視点は、宗教を「自慰」行為と見なしていることに表れています。

冒頭、フレディの異常な自慰行為を映すことで、それが表現されます。戦争末期、砂浜に女体を形どった砂人形を作ると、フレディは欲情し、海に向って射精するのです。

マスターであるランカスターにしても、同じです。ペギーが妊娠しているためにセックスができないと、その鬱々たる欲望を、ペギーに手伝ってもらって、洗面台で果たすのです。それは、女性信者たちがすべて全裸になって、ランカスターが唄って踊るという儀式でも表されます。

いわば、ザ・コーズの中では、何者も交わらないのです。それぞれが独断的に信じたものをよしとするだけであり、各自が自慰行為に耽っているからです。

実際、ランカスターがフレディを連れ出して、自分が決めた目標までモーターバイクを飛ばしていくという「修業」があるのですが、これまた自分が決めたところへ自分が行けばよいだけなのであって、他者との交わりなど必要ありません。

そのザ・コーズの中で、交わっていたとすれば、ランカスターとフレディだけです。ホモでもないし、友情でもない。不思議な絆で交わっていました。

しかし、フレディには交われない絆などどうでもよく、本当に交わりたかったのです。ゆえに、バイクに乗ると、「修業」であるにもかかわらず、ランカスターたちを置き去りに、かつて将来を約束した少女がいるはずの故郷に舞い戻ってしまいます。

最後、ランカスターから来てくれと請われて赴いたイギリスでも、フレディとランカスターの絆をよろしく思わないペギーによってフレディの交わりたいという気持ちが破壊されると、ザ・コーズを去ります。そして、パブで知り合った女性と交わるのです。

これだけ全編性的なものを匂わせながら、PTAが性交そのものを描くのは2時間以上が経ってから。フレディは、ランカスターと別れて、初めて心ゆくまで交わりあうことができるようになったと強調したいからでしょう。そのときのフレディが屈託のない笑顔を見せるのには、素直に感激してしまいます。

このフレディの笑顔が、本当にフレディが戦争のトラウマから開放されたことを意味するかどうかはわかりません。しかし、結末において再び戦争末期の砂浜で安らかに目をつぶるフレディが映しだされるのを見る限り、フレディが求めていたものが「癒し」でも「よりよき生活」でもなく、「交わり」であったのだろうと考えてしまうのです。

その意味で、本作に時代的意味合いを見るとすれば、イラク・アフガニスタン戦争によって傷つきPTSDをもってしまったアメリカ人に対するPTAなりの落とし前だと言えるでしょう。その主旨に、大いに賛同します。

とはいえ、その意図を汲み取ることを容易にさせない、観客の心にやすりをかけるような、あの居心地の悪いカメラワークも、PTAらしい態度です。

その居心地の悪さは、役者の顔の大写しが頻繁に登場することに起因します。その圧迫感たるや、最前列で仰向きになりながら見ていると、半端ないものでした。

特に、ホアキン・フェニックスのやせこけてしわだらけの顔が大写しになると、30代半ばの役でありながら、それが50歳代にも見えてきます。フェニックスは撮影当時37歳なのですが、その徹底した役作りには脱帽するしかありません。

事実、フェニックスが笑うと、不気味そのものです。とても気分よく笑っているとは思えず、周囲の空気が凍りつきます。これだけの違和感を作り出せるのは、良かれ悪しかれ、フェニックスに高い技量があるからです。恐れ入ります。

大映しの恐怖が伝わってくるのは、エイミー・アダムスもそう。いま現在のアメリカ女優の中で好感度は相当に高い部類の役者なのですが、本作は別。とにかく恐怖の象徴です。実際にアダムスが妊娠しているときに撮影されたと思われるのですが、途中の儀式の場面で平然と全裸をスクリーンにさらす潔さ。真横からの撮影で、乳首や陰毛は出てきませんが、その横顔の冷たさがペギーそのものです。

フィリップ・シーモア・ホフマンの大映しには、冷たさではなく、困惑が浮かび出ます。自らが作ったザ・コーズながら、その根本教義が意外とぶれます。そのくせ、そのことを指摘されるたびに激怒してしまう小物ぶりを表すのです。特に、長年の熱烈な信者であるヘレン・サリヴァン(ローラ・ダーン)から、ランカスターの手法の変更を指摘されたときのビビリまくり方は以上そのもの。ダーンの軽蔑した視線をとがめる余裕もありません。しょぼい男が精一杯偉そうにするという役を演じさせたら、ホフマンにかなう役者はいないものだと得心したのでありました。

それにしても、本作が描くように宗教さえも傷ついた人間の心を癒せないとするならば、われわれは何に救いを求めればよいのか。PTAが突きつけた問いは、役者の大映し以上に深刻な形で、こちらの胸に刻まれます。

秀作です。アカデミー作品賞には到底受け入れられない作品ではありますが。

++++++++++

画質(1.85:1/Digital): A+

撮影は、『コッポラの胡蝶の夢』(2007:レビューは、こちら!)、『Virginia/ヴァージニア』(2011:レビューは、こちら!)のミハイ・マライメア・Jr。

機材は、パナビジョン65 HR、パナビジョン・パナフレックス・システム65スタジオ65mmフィルム・カメラをメインで、パナビジョン・パナフレックス・ミレニアムXL 35mmフィルム・カメラを補足的に使用。マスター・フォーマットは、不明。

ほどよい粒状性をもちながら、細部まで描き出す高解像度。輪郭を強調することはないのに、シャープでクリアな絵になっています。

さすが65mmフィルム・カメラで撮影された映像としか言いようがありません。何でも65mmフィルム・カメラで全編撮影されたのは、ケネス・ブラナー監督・脚本・主演の『ハムレット』(1996)以来のことだとか。この試みは、高く評価できます。

しかも、ソニーの4KプロジェクターSRX-R320による上映ですから、フィルムルックさを誇りながらも、とても緻密な絵を見せてくれます。現代最高のフィルム画質だと申し上げるべきでしょう。それゆえ、最前列で役者の巨大な顔を見せられても、耐えることもできました。

発色は、ほぼニュートラル。色数も多く、鮮明。華やかな色あいという表現は当りませんが、そのフレッシュさは心に刺さります。肌の質感も、言うことなし。陽に焼けたホアキン・フェニックスの顔と異常なほど白いフィリップ・シーモア・ホフマンの顔が同時に並ぶと寒気がするほどです。

暗部情報も、これ以上ないもの。黒はどこまでも沈み、階調は滑らか。惜しむらくは、シャンテの場合サウンド・ホールが大きいスクリーンを使っているので、その穴が最前列では目立ちます。それでも、4Kプロジェクターの緻密さのおかげで、それほど気になりませんでした。

最前列ですから、かなりの角度で見上げることになり、映像は台形に歪みます。しかし、シネスコ・サイズでなく、手持ちカメラの使用がほとんどないので、全体を把握することはそれほど難しくはありません。

音質(Linear PCM): A/A-

透明度は高いのですが、音量がそれほど大きくないせいもあって、最前列だと後方からの音がほとんど聞こえてこず、フロントからしか音が出ていないように感じてしまいます。

そのフロントからの音も、この劇場のくせでしょうか、左右の広がりが限定的。もっと広大な広がりがあってほしいものです

それでも、サラウンド・パワーは高め。途中何度か派手に5.1チャンネルを使い切る場面があるのですが、そのときにはかなりの包囲感と移動感を味わえます。

セリフの抜けは、文句なし。サ行のきつさやメタリックな響きがない、明瞭な発音です。

超低音成分は、かなり使われていると思うのですが、軽快で上品。もう少しドシンと来てもよいかと思うほどです。

英語学習用教材度: C

翻訳は、松浦美奈。

セリフ量は多いのですが、俗語・卑語が大量なので(R指定)、テクストとして使うには注意が必要です。それでも松浦さんの翻訳ですから、不自然さはほとんどなく、安心して字幕に頼ることができます。それにしても、「チ○ポ」のような訳語を使わねばならない場面が大量に存在しますから、翻訳者も困ったことでありましょう。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

原題も、The Master。「尊師」じゃダメだったのですかねえ。麻原彰晃を思い出させて、かなりのインパクトだと思うのですが。

☆映像として美しいと思ったのは、フレディが畑を全力で逃げ出す場面。10秒ぐらい映るのですが、あの逃亡の必死さが本作のテーマを見事に表しています。

フレディがまばたきぜずに質問に答えるシーンは、最高の緊迫感。ホアキン・フェニックスが流す涙が心に突き刺さりました。

ジョニー・グリーンウッドの不協和音を多用した音楽が前半多用され、ただでさえ気持ち悪い映像をさらに気持ち悪くしています。すごい迫力です。

☆3200万ドルの製作費で、いままでのところアメリカで1638万ドル、海外で1188万ドル、計2826万ドルの売り上げ。黒字になるのは、厳しそうです。仕方ないことでしょう。

米国盤BDは、すでに発売されています。



仕様は、次の通りです。

  容量: 2層50GB
  映像: 1080p/1.85:1/MPEG-4 AVC (24.72 Mbps)
  音声: DTS-HD Master 5.1(英語)(48kHz, 24-bit)
  字幕: 英・西語

特典は、次の内容です。

    "Back Beyond": Outtakes, Additional Scenes; Music by Johnny Greenwood (1080p; 1.85:1; 19:59)
    Teasers/Trailers (1080p; 1.85:1; 16:56)
    "Unguided Message": 8 Minute Short; Behind the Scenes (480i; 1.85:1, non-enhanced; 7:59)
    "Let There Be Light" (1946): John Huston's landmark documentary about WWII veterans (480i; 1.33:1; 58:06)

Amazon.comでは今日現在23.48ドル(定価39.99ドル)。すぐに見返すのは、体力不足。値下がりするまで、待ちます。

++++++++++

重たい作品。見る人を選ぶ映画です。ですが、映画ファンを自認する方なら、見ておくべき作品でもあります。限定的に、オススメします!

+++++当ブログでレビューしているPTA作品+++++

『ブギーナイツ』(1997)
『マグノリア』(1999)
『パンチドランク・ラブ』(2002)
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)

+++++お知らせ+++++

4月1日に留学・英語学習に特化した中ブログ『夢と希望の英語塾』を創刊しました。どうぞお立ち寄りください。

http://go-sensei.indec.jp/
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