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中村吉右衛門の著作を読む


初代中村吉右衛門を追善する『秀山祭九月大歌舞伎』が、新橋演舞場で行われています。先日は、夜の部を見てきました。今度の月曜日には、昼の部へ行ってきます。そこで、当代中村吉右衛門丈の本を4冊読み直して、気合を入れることにしました。紹介しましょう。
読んだのは、出版順に、次の4冊です。簡単な感想を添えさせてもらいます。


物語り
中村 吉右衛門
マガジンハウス
 
1996年3月21日発行
220頁
伊達なつめ聞き書き

肩の凝らない芸談集。吉右衛門丈の人となりをしのばせながら、歌舞伎に対する愛情を感じることができます。ポストイットを貼りながら、読みました。

その中から面白かったのが、舞台でとちったら出演者全員に蕎麦を配るという「とちり蕎麦」の風習の所以です。何と、とちる前に蕎麦を配ったのは、女性に声をかけられたときだとか(p.44)。

さすがに吉右衛門丈に声をかける女性はほとんどいませんが、成田屋、成駒屋、澤瀉屋の舞台では女性の黄色い声が飛ぶこともしばしば。昔なら、蕎麦を毎日配らなければいけないということでしょうか。

それはそれとしても、山川静夫さんも書いてらっしゃるように、女性のかけ声は遠慮してもらいたいと思っているのですが、古すぎますでしょうか。

吉右衛門丈は、踊りが好きだとか(p.66)。さもあらん。今年の1月の演舞場での『連獅子』は、実に感動的でした。舞踊の会では踊っていますが、ぜひ本興行でもどんどん舞踊を見せてください。期待しています。

初代吉右衛門について触れている箇所で(pp.207ff.)、初代は努力型だと言われているが、実際は後ろ盾もなく劇界のトップに立ったのだから、天才なのだと語ります。そして、その特異性について語ります。なるほどとうなずくところです。

ですが、かつて存在した九代目市川團十郎、五代目尾上菊五郎を最高だという「團菊ジジイ」にかかると、初代はまったく九代目を踏襲していない「緞帳(小芝居)役者」になってしまいます。面白いものです。

ともあれ、当代はそんなことはおくびにも出しませんが、芸においてすでに初代を上回り、草葉の陰の團菊ジジイたちをギャフンと言わせているのではないかと思うのです。努力型なのか天才なのかはさておいて。当代と同時代に生きて、こんな幸せなことはありません。


中村吉右衛門の歌舞伎ワールド (小学館フォトカルチャー)

小学館

1998年12月20発行
監修 中村吉右衛門
文・構成 おくだ健太郎
127頁

吉右衛門丈のレパートリー20作を紹介するガイドブック。写真は全て丈が実際に演じた舞台からのもの。イヤホンガイドでおなじみのおくだ健太郎氏の文章は、あの闊達な話しぶり同様、わかりやすく、吉右衛門入門というよりも歌舞伎入門としても絶好です。

解せないのは、『菅原伝授手習鑑』が省かれていること。ゆえに、今月見られる『寺子屋』の紹介もありません。いくら何でも、これだけの名作を省くのはいかがなものでしょう。

さらに、今月上演されている『時今也桔梗旗揚』も触れられていないのも、残念。
『河内山』はさすがに解説されています。

不満はありますが、本作のページをめくりながら、まだ見ていない吉右衛門丈の舞台を想像するのはオツなものです。


吉右衛門のパレット
中村 吉右衛門,阿川 佐和子,稲越 功一
新潮社

2000年12月20日発行
157頁

稲越功一氏の写真が彩りを添えている吉右衛門丈と阿川佐和子さんの対談集。歌舞伎を中心に趣味や家族のことがユーモラスに語られます。

さすが天才インタビュアー阿川さん、吉右衛門丈の隠れた部分をぐいぐい引っ張り出してくれます。笑いながら、あっという間に読んでしまいます。

驚かされるのは、吉右衛門丈が顔に劣等感を持っているということ。もっと鼻が高い二枚目だったらよかったのにとことあるごとに口にするのです。市川海老蔵のような顔立ちがほしかったのでしょうか。小生などこれほどすばらしい男の顔はそうそうないと思っているのに。吉右衛門丈は理想が高すぎます。

写真では、対談のときの吉右衛門丈を写した写真が素敵です(p.15)。舞台のために、珍しく髭を生やしています。それにしても、1996年の『物語り』ではまだ黒髪が目立ったのに、この時点では髪も髭も真っ白。歌舞伎役者も大変です。


播磨屋画がたり
中村 吉右衛門
毎日新聞社

2004年8月1日発行
130頁

毎日新聞・サンデー毎日に連載されたものをまとめて、吉右衛門丈の絵が添えられた6章37編のエッセイ集。

まずは、魅力的な吉右衛門丈の絵に目が奪われます。素人とは思えない上手さはもちろん、味があります。気に入ったものを売ってもらえたらうれしいのにと思うほどです。

エッセイの題材は、歌舞伎がほとんどで、それに生い立ちや家族のことが絡みます。ゆえに、目新しさは多くありませんが、鋭い視点がユーモラスな筆致でまとめられているために、どんどん読んでしまいます。

おかしいのは、第三章から吉右衛門丈は恐妻家なのか、知佐夫人からいつも叱られているようなフレーズが文章の最後につけているのです。たとえば、「あなた何をぶつくさ言っているの!」(p.56)という具合に。愛妻家の証明なのでしょう。夫人は、丈の公演中はいつもロビーに立ってご贔屓への挨拶をされておられる賢夫人なのですから。

それにしても、家族を大切にする吉右衛門丈です。自宅では、「とうたん」と4人の娘さんから呼ばれているとか。ほほえましい限り。その温かさが舞台にもにじみ出ている気がします。

いやあ、楽しい読書タイムでした。吉右衛門丈の舞台が見られなくて鬱々しているのをやわらげてくれた本です。ファンなら、必読でしょう。もちろん、別のところで紹介した次の最新書も併せて。ああ、月曜日が楽しみです。


二代目 聞き書き 中村吉右衛門
小玉 祥子
毎日新聞社

| 推薦図書 | 08:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
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