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あなたへ


2012年製作
上映時間: 111 分
2012年8月25日 国内劇場初公開
公式サイト: http://www.anatae.jp/

109シネマズ木場 シアター7 C-8
2012年8月28日(火)13時15分の回

試写会レビュー: 2012.08.22 Wednesday あなたへ (試写会)

ゴウ先生総合評価:  A
  画質(1.85:1): A+
  音質(Linea PCM): A
  英語学習用教材度: N/A
高倉健主演の人間ドラマ。共演は、田中裕子、佐藤浩市、草なぎ剛、余貴美子、綾瀬はるか、三浦貴大、大滝秀治、長塚京三、原田美枝子、浅野忠信、ビートたけし。監督は、健さんと組んで20本目の降旗康男。

試写会から1週間、昨日劇場で再見してきました。

今回のテーマは、「4Kデジタル上映で見る『あなたへ』」。

この条件に当てはまる近場の劇場を探してみると、109シネマズ木場とTOHOシネマズ渋谷が該当します。ところが、渋谷のほうはかなり混んでいる様子。というわけで、少し遠いですが、木場に出かけることにしたのでした。

予告編が始まってから入場すると、後方の席はほとんど埋まっています。60歳以上の団塊の世代。全体では、5割以上の入り。予約していた席とは違いますが、前後左右にひとがいない前から3列目中央の席に座ることにしました。

予告編では、初めて見たトム・フーバー監督の『レ・ミゼラブル』に大感激。フォンティーヌ役のアン・ハサウェイが“I Dreamed a Dream”を唄っていて、見とれてしまいました。絵も音も最高。12月28日の公開が待ち遠しい限りです。

もうひとつ注目したのが、周防正行監督、草刈民代主演、役所広司 浅野忠信 大沢たかお競演の『終の信託』。これまた初見の予告編でしたが、久々の周防作品でもありますし、劇場で見たくなりました。ただし、予告編の編集は、もう少しスタイリッシュであってほしかった。ほとんど内容を語りつくしているようで、無粋です。

さて、『あなたへ』。

1週間で2回です。『アメイジング・スパイダーマン』や『ダークナイト ライジング』ですら、短期間で2回見たら途中だれてしまいました。本作もそうなるかと心配していたのですが、まったくの杞憂。途中、時計を見ることもなく、映画に没入できました。傑作の所以です。

今回気づいたのは、倉島英二(高倉健)の鋭敏さと学習力の高さです。

決して出逢いが多い人生を歩んできたとは思えない英二なのですが、少ない出逢いで知り合ったひとからものすごく多くのことを学べています。

こう言っては何ですが、これまでの健さんが演じてきた役は、かなり鈍感な男が多かったものです。たとえば『駅 STATION』。主人公三上英次は、妻に浮気されたり、オリンピックのコーチを外されたりするのに、最後まで気づくことはありませんでした。

ところが、本作の英二はかなり俊敏な洞察力と行動力をもっています。

宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」を唄うしがない童謡歌手井手洋子(田中裕子)こそ自分を幸せにしてくれる女性だと思ったら、じっとチャンスをうかがい、平成7年度富山刑務所矯正展にやってきた洋子に声をかけ、そのまま富山からかなり離れた兵庫県の竹田城で開かれる天空の音楽会まで追いかけ、プロポーズをするのです。健さんファンであればあるほど、その機敏さに驚くはずです。

そんな賢い英二ですから、生前何も言っていなかったのに死後散骨してほしいという希望があったことには相当なショックを受けたはずです。どうして洋子の本心に気づけなかったのか、と

しかも、NPO法人の笹岡紀子(根岸季衣)から渡された絵葉書には、長崎県平戸の薄香にある灯台とともに、あの「すずめ」が描かれていたのです。

鋭敏な英二は、洋子の内縁の夫であった富山刑務所の受刑者がすずめの餌付けを独房で行っていたことを思い出します。服役中に急死した男は、洋子からもらったすずめが描かれた絵葉書を大切に持っていました。それを知っているのは、遺品整理をしたのが、他ならぬ英二だったからです。

死ぬまで洋子がその内縁の夫を忘れられなかったのかと英二は失望します。自室で絵葉書をじっと見入る健さんの悲痛なまなざしが、見る者の心を揺さぶります。

キャンピング・カーに改造したバンで薄香をめざす途中、立ち寄った竹田城で、天空の音楽会のときのことを思い出します。洋子は、「忘れるために、あのひとのことを聞いてくれませんか」と英二に頼んだのです。

おそらく、聞きたくはなかったはずですが、英二は洋子の話をしっかりと聴いてあげたことでしょう。そのうえで、結婚を申し込んだはずなのです。自分の愛で「あのひとのこと」を忘れさせられると思って。しかし、洋子は忘れていませんでした。薄香に着くまで、英二はそのことに関して心を整理しきれずに苦しんでいます。

ところが、旅の途中で杉野輝夫(ビートたけし)、田宮裕司(草なぎ剛)、南原慎一(佐藤浩市)と出会ったことから、自らを変革したのです。その結果、薄香で出会った食堂の女主人濱崎多恵子(余貴美子)や大浦吾郎(大滝秀治)の言葉からすべてを察知し、無事散骨を終えるとともに、自らの残された人生を歩む勇気を得ます。

これまでの健さんが演じた主人公は、他人のアドバイスなど聞くことは一度もありませんでした。自分が信じた道をただひた走る。それが、健さんだったのです。ところが、本作は違います。台風が薄香を襲った夜、濱崎奈緒子(綾瀬はるか)から「こげんときはひとの言うことを聞くもんです」と言われると、素直に濱崎食堂に厄介になるのですから。

こうして変化を遂げた健さんが演じる英二は、いままでの生き方すら変えようとします。帰る場所がある「旅」から帰る場所のない「放浪」に変わろうとしているのです。

エンディングでテロップとして流れる種田山頭火の俳句「このみちや いくたりゆきし われはけふゆく」をバックに健さんが歩いていくことがそれを物語っています。

しかも、最後にカメラが捕らえるのは関門大橋。「旅」から「放浪」に切り替えた英二の生き方を象徴しています。

思えば、生きることが実に複雑になりました。

40年前の任侠映画なら、健さんがひとりで歩いていくのは、義理をはたすための殴りこみと決まっていたものです。「唐獅子牡丹」が流れて、長ドスをもった着流しの健さんが敵地に乗り込み、大暴れをする。そして、多くの場合、健さんは死ぬか、警察に捕まります。

しかし、英二にはその選択肢はありません。しっかりと生きていかなければならないのです。たとえ「放浪」であったとしても。東日本大震災の被災者の皆さんへの強いメッセージすら、感じます。しかも、何も語らずに。

また、見たくなってしまいました。

++++++++++

画質(1.85:1): A+

撮影は、『僕の彼女はサイボーグ』(2008)、『重力ピエロ』(2009)の林淳一郎。機材は、アリカムST、アリカムLT 35mmフィルム・カメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(2K)。

驚きの高画質。

先週の試写会でのフィルム上映も艶やかで滑らかで、極上の画質でしたが、今回はそれに極限の解像度がつきました。4Kプロジェクターを使ったSony Digital Cinema方式、恐るべしです。

冒頭アイロンをかける健さんが着ているのは、一見無地のように見えるのですが、実際はストライプが入ったボタンダウン。その生地の織目までも見えます。(ゆえに、今回は試写会では見えなかったデータを必死にメモしたほどです。)

オリジナル・データも4Kである4Kネイティブ上映ではないと思いますが、その解像度の凄さは、逆にここまで35mmフィルム・カメラは写していたのかと、その優秀さを痛感させられたほどです。

しかも、うれしいのはフィルム・グレインが丁寧に大量に残されていること。それでいて荒々しい絵にならず、彫りは深く、フィルム上映そのもの。輪郭が太ることも、強調されすぎてエッジが立つこともありません。試写会よりも、印象ははるかに上です。

発色は、試写会と同じく、ニュートラル。その中にほんのりと暖色めくのはキセノン・ランプを使ったプロジェクターのせいでしょう。男優の肌が日焼けしているのもリアルなら、綾瀬はるかの若々しい肌もリアルです。

暗部情報も、豊潤。階調は滑らかで、黒はどこまでも沈みます。夜の薄香港でひとりたたずむ健さんの後姿から海の闇が見え、奥行きが非常に深くなっています。

ビスタ・サイズですから、前から3列目で問題なし。やや見上げますが、中央の席が確保できれば、台形にゆがむこともありません。

試写会の絵を超えるのは至難の業と書きましたが、あっさりと超えてしまっていました。やっぱり映画は映画館で見ないといけません。

音質(Linear PCM): A

試写会で最大の問題だったのが、音の悪さ。しかし、劇場では何の問題もありませんでした。試写会では聞こえなかった後方からの音も、しっかりと入っています。繊細な音作りに感心しました。

派手さはありませんが、すべてのチャンネルをしっかりと使い切った音響設計。左右前後に音がきちんと定位し、見事な立体音場が出来上がっています。おかげで、包囲感・移動感はかなりのものです。

ノイズフロアが非常に低いので、左右後方から波、虫・鳥の鳴き声、雑踏などの細かい環境音がよく聞こえてきて、サラウンド・ジャンキーとしては健さんの映画がここまで進歩したかとうれしくなりました。

セリフの抜けも問題なし。試写会では常にリバーヴがかかっていたのですが、残響を抑えた映画館では明瞭・正確に音が聞き取れます。

超低音成分は控えめですが、映画全体を下支えしています。上品な作りです。

英語学習用教材度: N/A

英語学習そのものにはまったく役立ちませんが、健さんを見るだけで世界と戦う日本人の矜持を得ることができるでしょう。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

☆解像度が上がって、洋子の命日がわかりました。平成23(2011)年10月7日です。

☆洋子は53歳だったという設定ですから、1958年生まれ。薄香を出たのが13歳のときということなので、1971年に洋子の家族は平戸を後にしていることになります。高度経済成長期です。大都会に出て行ったのでしょう。

英二の旅程をわかる範囲でたどっておきましょう。

  1日目 富山から飛騨高山 車中泊
  2日目 京都経由で大阪 車中泊
  3日目 竹田城に寄ってから下関 門司にてホテル泊
  4日目 薄香到着 濱崎食堂にて宿泊
  5日目 薄香滞在 車中泊
  6日目 散骨 薄香滞在 車中泊
  7日目 薄香から門司へ

☆洋子から英二に宛てた手紙は薄香郵便局に局留めされています。保管期間は、10日間。その最終日に英二は手紙を受け取っていますから、バンをキャンピング・カーに仕上げるのに、最低6日はかかっていることになります。まあ、富山から平戸は1200km程度ですから、3日もあれば十分とみてのことなのでしょう。

☆健さんの靴は、黒のレザースニーカー。どこのメーカーのものなのでしょう。

☆濱崎食堂で綾瀬はるか演じる濱崎奈緒子に勧められて英二が注文するのは、煮魚定食。ですが、実際の健さんは子供のときのトラウマで魚は一切食べません。監督は、知ったうえでの皮肉な設定なのでしょう。ちなみに、煮魚定食は、680円でした。もちろん、濱崎食堂の売りは、皿うどん(700円)とちゃんぽん(750円)です。

☆大滝秀治演じる大浦吾郎の名セリフは、これです。散骨のときに英二に向かって言います。

  今日の海は、やさしかねえ。

++++++++++

健さんファンならずとも、映画ファンなら見るべき作品。4Kプロジェクターで上映される劇場をお選びください。109シネマズ木場は、有力候補です。強くオススメします!
| 高倉健映画 | 12:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
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