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公文協巡業 中央コース 松竹大歌舞伎 近松座公演


調布市グリーンホール 大ホール S席 1階2列11番 (5000円)
2012年7月31日(火)2:00-4:50
公式サイト: http://www.kabuki-bito.jp/theaters/jyungyou/2012/07/post_36.html

演目と時間:     
  お目見得 ご挨拶  2:00-2:09
  夕霧名残の正月   2:19-2:46
  曽根崎心中     3:08-4:50

ゴウ先生総合評価: A-/B+
坂田藤十郎丈が主宰する近松座の巡業公演に行ってきました。

6月30日に始まった巡業も、昨日が最終日。調布市グリーンホールが会場です。山手線・京王線を乗り継いで、高田馬場から30分弱。南口を出ると、すぐのところに会場はありました。

調布駅で降りたのは、初めて。ものすごい暑さです。駅舎の屋根がトタン板のようなもので、窓がなくて熱気がこもるせいなのでしょう。京王電鉄はどうにかしないと。外のほうがよほど涼しく感じるくらい。とはいえ、都心よりも強烈に感じる直射日光には、驚かされました。

初めての場所なので余裕をもって早めにと思ったら、開場の1時半前に到着。こんなところにいたら干からびます。しかたないので、近くのローソンに行って、水分補給です。

今回の席は、1階2列目。しかも、いちばん下手よりの席。なので、花道の演技が間近で見られます。実際、後述しますが、『夕霧名残の正月』で藤十郎丈が出てくるときは、それだけで大感激。よい席を確保できました。

入りは、8割程度。なかなかの盛況です。本格的歌舞伎公演が手軽に楽しめるのですから、当然のことでしょう。

それでは、演目と主な配役を記録しておきましょう。

一、お目見得 御挨拶(ごあいさつ)
                  坂田 藤十郎

二、夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ)
           藤屋伊左衛門  坂田 藤十郎
            太鼓持亀吉  中村 亀 鶴
             禿かなめ  中村 虎之介
             扇屋夕霧  中村 扇 雀

三、曽根崎心中(そねざきしんじゅう)
           平野屋徳兵衛  中村 翫 雀
            天満屋お初  中村 壱太郎
           天満屋惣兵衛  中村 寿治郎
          平野屋久右衛門  嵐  橘三郎
            油屋九平次  中村 亀 鶴

定刻になって緞帳が上がると、藤十郎丈の『お目見得 ご挨拶』が始まります。

鬘をかぶって、裃を着た立役の正装姿。舞台中央に正座して、お辞儀をしています。顔を上げて、8分ほどの話。基本的には、上方歌舞伎の興隆をめざす近松座の主旨の説明です。

ほとんど既知の内容ですが、藤十郎丈の若々しい元気さに驚嘆。とても今年81歳になるひとだとは思えません。滑舌も悪くないし、口調もしっかりしている。見事な節制ぶりです。脱帽。

挨拶が終わると、10分間の休憩。それが明けると、いちばん期待していた『夕霧名残の正月』です。

延宝6(1678)年、大坂新町の廓に実際にいた傾城夕霧が死亡。それを悼んで、一ヵ月後に初代坂田藤十郎が初演したのが、本作。ただし、残念ながら、その初演の台本は残っておらず、当代藤十郎丈の監修のもと松岡亮が書いたものを藤十郎丈自身が平成17(2004)年の藤十郎襲名公演で復活した舞踊劇です。

時は、桜満開の春。夕霧が死んで四十九日を過ぎた頃。場所は、さびしい松原。

紙衣姿の藤屋伊左衛門(坂田 藤十郎)が、その松原にある夕霧の塚に現れます。伊左衛門は、もともと大坂の豪商藤家の若旦那。ところが、扇屋夕霧と恋仲になり、放蕩を重ねた結果、家を勘当になってしまい、いまでは落ちぶれた生活。廓に通うこともままなりません。せめて死に目に会えなかった夕霧の供養に、と塚まで歩いてきたのです。

塚に来ると、伊左衛門は夕霧からもらった手紙を供えます。とたんに、辺りの雰囲気が変わり、伊左衛門は気を失います。

すると、夕霧(中村扇雀 )が現れ、伊左衛門を起こします。そして、かつてのように廓遊びが始まります。

夕霧は、太鼓持の亀吉(中村亀鶴)、禿(かむろ)のかなめ(中村虎之介)、仲居のおつる(中村雁乃助)を呼ぶと、三人は現れ桜の下で踊ります。伊左衛門と夕霧も、最後の正月の思い出話をして、踊りだします。

しかし、いつしか夕霧は姿を消し、伊左衛門は気を失います。我に返った伊左衛門は、夕霧からの手紙をいつまでも見つめているのでした……。

舞台下手脇の10メートルもない短い通路が花道に拵えられているのですが、揚幕を出てくる藤十郎丈の風情豊かなこと。紫に近い青の着物を着て、憔悴している姿は、伊左衛門そのものです。夕霧を思う悲しみを全身にたたえたその姿を見た瞬間、熱いものがこみ上げてきました。

2メートルも離れていない席から見える藤十郎丈は、実に若々しく、その何とも言えない柔らかい身のこなしには、陶然とする美しさがあります。

舞台に上がってからの存在感もピカイチ。舞台を大きく睥睨している印象です。踊り始めても、余韻が漂います。身体のしなりが見事な曲線美を作り出し、長唄にほんのわずか遅れる動きが一種異様なリズム感なのです。それでいて、半開きの口には愛嬌がにじみ出ています。文句なしの美しさです。

対する扇雀丈も、いつもの美しさ。しかも、亡霊としての夕霧を表しているのでしょう、どこかわざとぎこちない。それが何とも言えない幽玄さを作り上げています。

面白かったのは、扇雀 丈の長男虎之介丈が踊り始める場面。上手側に座って藤十郎丈と扇雀 丈が舞台中央の虎之介丈の踊りを見ているという設定なのですが、扇雀 丈の目が鋭いのなんの。愛息の出来が気になって仕方ないのでしょう。歌舞伎のもつ家族芸のおもしろみの一端がのぞけました。

亀鶴丈は、そつなくまとめます。軽快な太鼓持ちはニンそのもの。きつめの顔ですが、憎めない役柄のほうが、不自然さを感じません。

とにかく、藤十郎丈の存在に大満足。わずか27分程度の短い舞踊劇でしたが、これをみられただけで、元は取れたと思えたのでした。

20分ほどの休憩を置いて、『曽根崎心中』。

元禄16(1703)年5月に大坂竹本座で初演された近松門左衛門の人形浄瑠璃が原作。それを宇野信夫が脚色して昭和28(1953)年8月に新橋演舞場で復活上演したのが、本作の台本です。

 あらすじをまとめてみましょう。

第一場 生玉神社境内の場

元禄時代のある年の4月初め。大坂北新地の天満屋の遊女お初(中村 壱太郎)は、数えの19(満18)歳。客から大坂生玉神社に連れてこられたお初は、ひとり茶店で休んでいます。

想うのは、数え25(満24)歳の平野屋の手代・徳兵衛(中村翫雀)のことばかり。お初は、最近徳兵衛が会いに来てくれないので、寂しく思っているのです。

徳兵衛が会いに行けなかったのは、平野屋の主人で伯父である久右衛門(嵐橘三郎)が、徳兵衛を跡取りにしようと内儀の姪と結婚させようとしていたことに原因があります。

強欲な徳兵衛の継母がすでに支度金二貫目を受け取ってしまい、金を返さないとお初と夫婦になれません。そこで、徳兵衛は田舎に帰って、やっとの思いで継母から支度金を取り返してきたのです。

大坂に戻ってきた徳兵衛は、生玉神社でお初に久しぶりに会うのですが、顔色が冴えません。主人の久右衛門が進める縁談を断って、信用の町・大坂で生きていけるのか不安なのです。お初は大丈夫だと励まし、早くその支度金を久右衛門に返すように勧めます。

ところが、徳兵衛はそのお金を友人の油屋九平次(中村亀鶴)に貸してしまっていました。偶然会った九平次にそれを返してくれと言いますが、お初に横恋慕している九平次は、 ちょっとしたいたずら心から返そうとしません。

それどころか、徳兵衛が見せた証文を偽の証文だと言い張り、徳兵衛を打ちたたき、怪我を負わせます。しかも、周囲の人びとに無実を訴えても、徳兵衛はあざけられるばかり。徳兵衛は、失意の中その場を立ち去っていくのでした。

第二場 北新地天満屋の場

その夜のことです。天満屋まで広がった徳兵衛の悪い噂を聞いて、お初は泣き崩れます。そこへ、久右衛門がやってきて、徳兵衛をたぶらかしたとお初をなじります。

一方、徳兵衛は傷心状態のままお初に会いたくて、天満屋に来ています。それを見つけたお初は徳兵衛を裲襠(うちかけ)に隠して中に引き入れ、縁の下にかくまいます。

そこへ九平次が仲間を連れて現れ、徳兵衛の悪口を散々に言い放ちます。それを聞いていた徳兵衛は縁の下から飛び出そうとします。ですが、お初は足でそれを押しとどめ、徳兵衛は悔しさにお初の足にしがみついて声も立てずに泣くのでした。

徳兵衛とお初は、このままでは大坂では生きていけないと思い、ふたりで死ぬことを誓い、真夜中に天満屋を抜け出ます。

そ こへ、油屋の手代が現れ、九平次のウソがばれ、役所が九平次を探していることを告げます。それを聞いた久右衛門は怒りのあまり甥を陥れた九平次を張り倒し ます。そして、久右衛門は天満屋にきたのは、金を用立てて縁談を無事に破談にし、好きあっているお初と添い遂げさせてやろうとするためだと語ります。

しかし、天満屋にふたりの姿はなく、あるのは書置きだけ。久右衛門は「徳兵衛、死ぬなよ!」と暗闇に向かって叫ぶのでした。

第三場 曽根崎の森の場

暗い曽根崎の森の中に、お初と手を取り合いながらやってきた徳兵衛は、主人・久右衛門の恩義を裏切ることをしてしまったことを後悔しながら、お初と抱き合って死出の旅路に向かうのでした……。

昨年11月に国立劇場で藤十郎丈のお初、翫雀丈の徳兵衛で見ている作品です。ゆえに、どうしても比べてしまいます。結論から言えば、当然といえば当然でしょうが、壱太郎丈のお初は、藤十郎丈から比べると、相当に見劣りするもの。これからの精進を期待するとしか言いようがありません。

両者の差がどこにあるのかと言えば、素人の勝手な判断では、何と言ってもその存在感が違いすぎます。藤十郎丈が苦界に身を埋めた遊女の哀しみを全身で表していたのに、壱太郎丈の場合はまるで処女の18歳。もっと柔らかく「女」を演じてくれないと、徳兵衛の苦しさを分かってくれる女性のように思えません。

すばらしかったのは、翫雀丈。国立劇場の時には「大人」に見えたものですが、本作では大人になりきれない「若造」の雰囲気がたっぷり。ひとりであれこれ悩まずに、久右衛門に相談していれば何の問題もないのにそれをできなかった徳兵衛は、ひとりよがりの若者そのもの。その雰囲気を、翫雀丈は見事に再現していました。

最初に編み笠をかぶって花道から登場する場面の不安感。いくら九平次がウソを言っていると言っても理解してもらえずに味わう無力感。そんな不条理な世間への怒りと寂しさを抱えた徳兵衛の苦悩が手に取るように分かります。すばらしい徳兵衛でした。

久右衛門役の嵐橘三郎丈も、立派。口跡ははっきりしていて、セリフの通りはよいし、九平次への怒りと徳兵衛への想いがよく伝わりました。

面白かったのが、天満屋の下女おたまを演じた中村扇乃丞丈。声は、女性そのものの美声だし、滑稽なしぐさが、深刻一辺倒になりがちな本作に風通しのよさを与え、すばらしいコミック・リリーフになっていました。

九平次の亀鶴丈、天満屋忽兵衛の中村寿治郎丈は、ひと通り。大好きな中村芝のぶ丈がほんんのちょっとしか出なかったのが、残念でした。

すばらしかったのは、浄瑠璃の竹本六太夫。声はいいし、音程も正確。そして、何より滑舌がよくて、歌詞がよく分かります。竹本谷太夫と並んでも、引け目なし。聞きほれてしまいました。注目の太夫です。

残念だったのは、最後の第三場でお初と徳兵衛が心中しようとするクライマックスを迎えようとしたときに、ふたつのイライラが起きたこと。

ひとつは、信じられないことに場内で携帯電話のベルが鳴ったのです!その瞬間、頭に血が登りました。見物は常に注意すべきですが、劇場側も新橋演舞場などのようにホールの中は圏外にするように対策を講じておいてもらいたいものでした。

もうひとつは、松竹側のミス。この公演が最終ということで、第三場が始まったころから、舞台裏では大道具の片づけをやっているのです。その音がうるさくてうるさくて。せっかくのクライマックスがどんどん盛り下がりました。第二場まではまずまずと思っていたのが、とんだつや消しです。改善を要求します。

というわけで、全体の感銘度を表すと、次の評価です。

  夕霧名残の正月  A+
  曽根崎心中    B

芝居は、出演者のみならずスタッフや見物も含めた総合芸術。その意味で、今回の公演は最後の最後で躓きがあって、気分を害してしまいました。非常に残念です。

とはいえ、歌舞伎はやっぱり楽しい。8月のチケットはまだ入手できていないのですが、どうにかしないといけません。
| 歌舞伎 | 12:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
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