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きっと ここが帰る場所


原題: This Must Be the Place (2011)
上映時間: 119 分
2012年6月30日 国内劇場初公開
公式サイト: http://www.kittokoko.com/

ヒューマントラストシネマ有楽町 シアター1 B-14
2012年7月4日(水)13時45分の回

ゴウ先生総合評価:  A-/B+
  画質(2.39:1/デジタル): A/A-
  音質(Linear PCM): A-
  英語学習用教材度: C
ショーン・ペン主演による人間喜劇。共演は、フランシス・マクドーマンド、ジャド・ハーシュ、イヴ・ヒューソン、ケリー・コンドン、デヴィッド・バーン。

監督は、『イル・ディーヴォ』で2008年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したパオロ・ソレンティーノ。原案・脚本も兼務。

先週見た予告編が印象的で、見たくなった作品。幸い、天気もよかったので(というか、ものすごく暑かったですが)、運動がてら、電車賃節約も兼ねて、自転車で遠出することにしました。

入りは、7割弱。1000円で見られるサービス・デイのせいか、よく入っています。でも、どう見てもいちばん多いのは、毎日1000円で見られるシニア組。混雑するサービス・デイを外してもらえないものかと思いながら、前から2列目中央やや上手寄りの席を確保しました。

予告編の注目は、『エージェント・マロリー』。これはすでに取り寄せたUK盤Blu-ray Discで見ていますが、予告編の10倍は面白い。ハード・アクション映画ファン、必見です。

さらに、初めて見たフランシス・フォード・コッポラの最新ゴシック・ミステリー『ヴァージニア』の予告編も、なかなかでした。亡霊役のエル・ファニングが、可愛いったらありゃしません。見らねば。

さて、本編。舞台は、現代のアイルランドとアメリカ。

シャイアン(ショーン・ペン)は、「ミック・ジャガーが共演した」こともあるという元有名ゴシック・ロック・スター。いまは引退し、ニューヨーク出身のユダヤ系アメリカ人でありながら、妻のジェーン(フランシス・マクドーマンド)とふたり、アイルランドのダブリンにある広大な邸宅に住んでいます。

どんなに依頼されても二度と人前で唄わないと決めているシャイアンの日常は、退屈かつ抑うつ的なもの。ゴシック・ロッカーとしてのメイキャップをして黒ずくめの服に身をまとい、街をうろつくのがせいぜい。

その他することと言えば、結婚して35年いまも変わらぬ激しい夫婦生活を営み、株取引をし、熱狂的なファンであるゴシック・ロック少女のメアリー(イヴ・ヒューソン)とカフェで不味いコーヒーを飲み、自分の暗い(depressing)歌のせいで自殺したファンの墓を毎週詣で、自分のファンである息子が家出して息子の帰りを待ちわびるメアリーの母(オルウェン・フエレ)を訪ねることぐらい。

そんなシャイアンに、突然アメリカから電話が入ります。30年間会っていなかった父親が危篤だというのです。飛行機嫌いのシャイアンは、船でニューヨークに行くことにします。ですが、着いたときにはすでに父は死んでいました。

ショックを受けたシャイアンは、アウシュビッツに収容されていた父が死ぬ直前までアロイス・ランゲ(ハインツ・リーフェン)というナチのSS隊員を捕まえようとしていたことを知り、心が動きます。

1500人以上の元ナチ隊員を捕まえたというモーデカイ・ミドラー(ジャド・ハーシュ)の協力を仰いで、シャイアンはランゲを見つけるために車でアメリカ横断の旅に出かけるのでした……。

はっきり言って、ショーン・ペンの名演がすべて。脚本も演出もそれほど悪くないのですが、中だるみします。正直、119分は辛い。あと15分ほど刈り込めば、もっと面白くなったはずで、映画として見ると、惜しいところです。それでも、不思議な魅力があって、低い評価ができません。

とにもかくにも、ペンの名演です。まずは、最新チラシのこの顔を見てください。



不気味で、おかしくて、それでいて哀しい。そんなシャイアンの人間像が、この顔に表れているのが分かっていただけるでしょうか。凄いことです。人間のもつ多面性を、ペンは見事に表現します。

おかげで、前半のダブリンにいる部分は、シャイアンのもつ妙なおかしさ(行動も話し方もスロー)が全面に出て、十分に笑えます。アメリカに移ってからも、そのユニークな存在から目を離すことができません。あえてカテゴライズすれば、「重喜劇」と言いたくなる趣きです。

さらに、シャイアンのキャラクターを印象づけるのが、監督が決めたのか、ペンが決めたのか、ダブリンにいるときのショッピング・カートとアメリカ横断中のホイールつきキャリー・バッグ。シャイアンがこれらのものを絶対に手放さない風情は、まるで毛布を手放さないライナスのようです。

これだけ精神的に不安定で、積極的に何かをするということがなかったうつ的傾向の強いシャイアンが、父親の望みをかなえてあげようと決断したときから、変わりだします。しかも、父親の遺志が、よりによって現代ユダヤ人のトラウマである元ナチ探しであるというのにも、唖然。前半の穏やかでゆるいコメディ・タッチの雰囲気が、一転緊張感のあるサスペンスに突入します。

それでも、シャイアンのキャラクターは急には変わらず、やっていることは過激になっていくのに、どこかゆったりとした雰囲気。

そして、ニューメキシコ、ユタと巡って、シャイアンは雪の平原に立つトレーラーの中に住む年老いたアロイス・ランゲを見つけます。当然、見る側はランゲをどうするのかと思うのですが、これも予期せぬ処置。それが、脚本がそうなっているからという予定調和を感じさせず、あの瞬間シャイアンだったらそうするであろうという流れ。

どうしてこういうことができるのでしょう。監督の巧みさか、ペンの入魂か。

しかも、ここで映画は終わるのかと思ったら、もうひとひねり。最後、ダブリンに戻ったシャイアンは、メイキャップをせずに、髪の毛も切って、普通の服を着た、われわれが知るあのショーン・ペンの姿で現れて、微笑むのです。

その瞬間、やられたと思ってしまいました。

シャイアンは、責任感が非常に強い男です。さもなければ、自分のファンが死んだからといって墓石を作ってあげることもしないだろうし、ファンが家出したからといってその母親を見舞うこともしません。まして、父親が死んだからといって、元ナチを探しにいくことなど思いもよらないことでしょう。

それと同じ意味で、自分が作り上げたゴシック・ロック・スターのイメージを守り通すために、引退して長い年月が経っても、常にそのような格好をしていたのです。それが、父親の願いをかなえてあげたことで、肩の荷が下りたのでしょう。ゴシック・ロッカーから本当の自分になったのです。

しかし、このひねりは当たり前すぎ。当たり前でないのは、われわれがイメージするショーン・ペンが現れたインパクトです。どう見ても、素顔のペンのほうが化粧姿のシャイアンよりもはるかに怖いのです。何が本当のシャイアンなのか。シャイアンはどうあるべきなのか。ダブリンに帰ってきたのは、本当に帰る場所だったからなのか。

複雑な余韻を残しながら映画は終わり、しばし考え込みます。シャイアンはどうあれ、自分は化粧しているのか、素顔のままなのか、と。そして、帰る場所はどこなのか、と。

佳作です。

++++++++++

画質(2.39:1/デジタル): A/A-

撮影は、『愛の果てへの旅』(2004)、『イル・ディーヴォ』(2008)で、パオロ・ソレンティーノと組んでいる、『トスカーナの贋作』(2010)のルカ・ビガッツィ。

機材は、アリカムLT、アリフレックス535 35mmフィルム・カメラを使用。マスター・フォーマットは、DI(2K)。

前から2列目を選んだのは、左右前後に他の客がいなかったから。ですがそこからだと、スクリーンまで3メートル強。シネスコの場合、幅が7.6メートルもありますから、とてもすべてを視野に収めることはできません。

ですが、本作の場合、動きが少ないので、不快感はなし。それよりも、左右前後に他の観客がいなくて集中力を邪魔されることがない利点が大きいものでした。

この小屋で初めてのデジタル上映。プロジェクターは、公式サイトでは「クリスティ社製」となっています。おそらくCP2200系の2Kプロジェクターではないかと推測します。

35mmフィルムで撮影された素材をデジタル変換したものですが、グレインはたっぷり。木綿のテクスチュアです。おかげで、解像度は決して低くはないのですが、細部が多少甘く感じます。

さらに、スクリーンに近いので、画素まで見えるところがいささかグロテスク。前日に『アメイジング・スパイダーマン』の驚異的高画質を見ているだけに、その差にたじろぎます。とはいえ、彫りも深く、フラットにならない映像は、嫌いなものではありません。

発色は、ニュートラル。色数も多く、華やか。色乗りは、悪くありません。肌の質感もリアル。暗部情報は、まずまず。もう少し黒が粘ればパーフェクトという感じです。

音質(Linear PCM): A-
  
フロント重視の音響設計。必要なときには、後方からかなりの音圧が聞こえてきますが、そういう場面は少なめ。ですが、後方からの音圧が高まると、サラウンド感が急増します。

ノイズフロアも低く、澄み切った音。楽器の音は悪くありません。デヴィッド・バーンが唄うときのヴァイオリン(フィドルと言ったほうがよいかもしれませんが)の音が硬く聞こえますが、たぶんそれが原音なのでしょう。

問題は、セリフ。抜けが悪く、雑味が乗り、音が膨らみます。おかげで、やや聴きづらくなります。先週見た『星の旅人たち』では感じなかったことですから、本作のせいでしょう。惜しいところ。超低音成分は、控えめです。

英語学習用教材度: C

字幕翻訳は、石田泰子。

セリフは、多め。俗語・卑語は、F-wordを含め、かなり使われます(アメリカでは、一般劇場非公開のため、レーティングされていません)。テクストとして使うには注意が必要です。字幕は分かりやすく、信頼に足ります。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

☆原題は、This Must Be the Place。もちろん、トーキング・ヘッズの1984年の大ヒット作から取られたタイトル。直訳すれば、「ここが、その場所に違いない」。ですが、邦題が正解でしょう。美しい訳だと高く評価します。

☆トーキング・ヘッズのリーダーのデヴィッド・バーン本人が出て、この歌をいまの自分のバンドで唄ってくれます。感激です。

フランシス・マクドーマンドの笑顔のすばらしいこと。怒ると怖いですが(『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』!)、笑うと本当に魅力的。シャイアンが絶対的信頼を寄せる理由が分かります。

ジャド・ハーシュの登場が、うれしい限り。TVでの活躍が多い名脇役ですが、この異様な風体には味があります。

☆メアリー役のイヴ・ヒューソンは、U2のボノの娘。本当にあんなに身体中にタトゥーを入れているのかと思って、写真を探したら、そんなことはありませんでした。1991年7月7日生まれ。もうすぐ21歳になります。素顔は、ものすごい美人です。

☆2500万ユーロ(2800万ドル)の製作費で、これまでのところ世界で1077万ドルの売り上げ。大幅な赤字です。残念。

☆フランス、ドイツではすでにBlu-ray Discが発売中ですが、アメリカではまだ発売されていません。詳細は、不明です。

☆都内では、HTC有楽町の他、シネマライズと吉祥寺バウスシアターで上映しています。3館とも1000円で見られるサービス・デイがいっぱい用意してあります。活用してください。

++++++++++

見終わった直後はそうでもなかったのですが、しばらくするとじわじわと感動がわきあがってきました。ショーン・ペンはもちろん、パオロ・ソレンティーノもただ者ではありません。映画ファンなら、見て損はないはず。サービス・デイを利用するとお得です。オススメします!
| 外国映画(カ行) | 12:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
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