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東京物語(UK BD/Region B)


英語題: Tokyo Story (1953)
上映時間: 2:15:53
1953年11月3日 国内劇場初公開
公式サイト: N/A

ゴウ先生総合評価: A+
  画質(1.33:1/モノクロ): B
  音質(Linear PCM 2.0/モノラル): B-
  英語学習用教材度: C
小津安二郎監督による人間ドラマ。主演は、笠智衆、東山千栄子、原節子。共演は、杉村春子、山村聡、大坂志郎、三宅邦子、香川京子、東野英治郎、中村伸郎。

言わずと知れた大傑作。1988年から1994年までアメリカのアイオワ大学(The University of Iowa)の大学院に留学していたときに、何度も見て涙した思い出の作品です。

当時、すでに小津や黒澤明の多くの作品がアメリカでもVHS化されていて、地元のIowa City Public Libraryでは無料で貸し出していました。ゆえに、貧乏な留学生夫婦は毎週のように借り出して、どれだけ心の飢えと寂しさを満たしてもらっていました。本作や『七人の侍』(1954)を通じて、遠い祖国を想い偲んだのです。

帰国して1年ぐらい経った頃でしょうか。見直すことにしました。ですが、見始めると、笠智衆演じる平山周吉が自分のように思えて見るのが辛くなり、最後まで見ることはできませんでした。それから、20年近く、敬して遠ざけていたのでした。

ところが、昨年リージョン・コードを気にせずにBlu-ray Discを見られるOppo BDP-93を購入したら、イギリスで発売されている本作のBDが気になってきました。時が経って、年取ってきて、少しは余裕ができたのでしょう。日本でもアメリカでもBDはまだ発売されていませんし、値段もたったの9.79ポンド。これは買わねばと取り寄せたのでした。

見てみたら、記憶の中にあるVHSの映像と音とはまったくの別もの。あまりの鮮明さに大感激です。錯覚ではないかと思って、同梱されていたDVDも見てみました。すると、確かに、そのPAL方式のDVDも相当なもの。輪郭は太らず、解像度も相当。おそらくNTSC方式の国内DVDよりも高画質なはずです。

これはBDに匹敵するのではないかと思って、BDに戻したら、それは誤り。BDの絵の味わい深いこと。これは戻れません。

おかげで、見始めたら、映画に引き込まれてあっという間に見通してしまいました。歳を取って心の傷も少しは癒えて、この傑作と対峙することができるようになったということでしょう。20年ぶりに、目をウルウルさせながら見通したのでした。技術の進歩とわが老化に拍手です。

時は、大東亜戦争の痛手から立ち直りかけた昭和28(1953)年。

広島・尾道に住む平山周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)の老夫婦が、子供たちに会うために、上京してきます。最初、堀切で町医者をしている長男の幸一(山村聡)の家に厄介になります。

ところが、幸一や近くで美容院を経営する長女の志げ(杉村春子)は、言葉では歓迎するようなことを言いますが、決してそうではありません。居場所さえもなくしかけたときに、戦死した二男の嫁である紀子(原節子)だけが、ふたりをやさしく世話するのでした……。

細かいことを論じ出したら取りとめもなくなりそうなので、今日はほんのちょっとだけ感想を書かせてもらいます。

とにかく、戦後日本の家族観が変わるさまを、周吉ととみの尾道から東京への旅(ロード・ムービー!)を通して残酷に描く姿勢は、いまでも新鮮。小津の凄みが分かります。

白眉は、杉村春子と山村聡のデーモニッシュな演技。悪気はないくせに、両親を疎んじる姿があまりに強烈。しかも、ホットとクールという組み合わせが絶妙。カチッと決められた小津の演出プランが見事に成功しています。このふたりがいるからこそ、両親の哀れさが募り、それを助ける紀子の優しさが心に染み入るのです。

もちろん、笠智衆と東山千栄子も、言いようのないすばらしい演技を見せてくれます。撮影当時49歳の笠が70歳過ぎの周吉を見事に演じ、人情の機微と年老いる哀れさを静かに表現しているのです(ただし、今回BDで見直すと老けたようにしてはいますが、首筋などに若さが残っているのが分かります)。笠よりも14歳年上の東山の演技も絶品。尾道弁といい、あの丸みを帯びた体つきといい、何ともいえない暖かさがにじみ出て、心が癒されます。

そして、伝説の原節子。撮影当時33歳の女ざかり。その美しさは、匂い立つようです。とみを自分のアパートに泊めてあげるときに見せる浴衣姿がセクシーそのもの(本BD所収の解説ブックレットの表紙にその写真が使われています)。心がときめきます。

大好きなシーンは、とみが死んだ翌朝二男の敬三(大坂志郎)が大阪から尾道の実家に帰ってきたことを近くの神社にいる周吉に知らせに行く場面。下駄を履いて軽く走る姿をカメラが後ろから捉えるのですが、その軽やかさにドキッとさせられます。

もちろん、「私(わたくし)、ずるいんです」と泣き出す有名な場面も好きですが、原の美しさは、伸びやかな肢体をすべて映した上記のような場面にこそ現れるのだと思うのです。さすが「恋人」小津は、原がいちばん美しく見えるように映す方法を熟知しています。

ともあれ、小津と野田高梧が書き上げた脚本は、緻密そのもの。テーマも、いささかも古びていません。BDで見直して、稀代の名作であることを、再確認した次第です。

内容: A+

++++++++++

画質(1.33:1/モノクロ): B

Gump TheatreにてOppo BDP-93から1080/24p信号を直接HDMIケーブルによってソニーVPL-HW30ESに送り込み、120インチ・ワイド・スクリーンに映して います。2層50GB。コーデックは、MPEG-4 AVC。伝送レートは、19 Mbpsから40 Mbps。

撮影は、小津作品には欠かせない厚田雄春。オリジナル・アスペクト比は、1.37:1。

クライテリオン・コレクションのマスター・テープをトランスファーしたBD。かなり修復されたようですが、それでも相当数のキズが残っています。とはいえ、作品への没入を妨げるようなことはなく、十分に鑑賞に堪えうるレベルです。

グレインがほどよく残され、フィルムルック。フラットになりすぎることもなく、彫りの深さがあり、奥行き感も十分。

驚くは、解像度の高さ。オリジナル・フィルムに映された情報はすべて映し出されていえるのではないかと思うほど。一例を挙げれば、幸一の家の近くの駅が「堀切」であるというのも、志げが使う団扇についている写真が高峰秀子のものだとも、はっきり分かります。

モノクロ映画の命である黒の階調も実に滑らか。黒がよく沈み、粘ります。その結果、陰影に深い味わいが生まれています。この絵を見たら、モノクロ映画で十分ではないかと思うほどです。

大画面の近接視聴も問題なし。重厚な質感で、DVDを圧倒しています。

音質(Linear PCM 2.0/モノラル): B-

Oppo BDP-93からパイオニアVSA-LX55にHDMI接続して、サラウンドバック・スピーカー2本を付け加えた7.1チャンネルによる再生。伝送レート は、不明。音量は、マイナス12デシベル。

ケースの裏面に書いてある仕様書には「48K/16-bit」と表記してありますが、BDP-93で確認してみると「48k/24-bit」でした。伝送レートは、おそらく1.5 Mbpsの固定レートではないかと推察します。DVDは48K/16-bitのドルビーデジタル2.0モノラル(伝送レートは、192 kbps)ですから、これまた比肩できない音のよさです。

全編にわたって、ヒスノイズがかなり残っているのですが、その周波数帯域がDVDと違うのか、BDだとそれほど耳障りに感じません。細かい環境音も聞こえてきて、時代感が伝わります。

セリフに関して言えば、やや高音が詰まりますが、意外とレンジは広め。抜けと発声の明瞭度も悪くなく、直線的に向かってくるのが、心地よい限りです。

英語学習用教材度: C

英語字幕つき。英作文練習に使うのも、一興です。昔話をさせてもらうと、アメリカでVHSを見ていたときに、あまりに音が悪いので、英語字幕を出して発話内容を確認したものでした。隔世の感があります。

++++++++++

気になるところを、アト・ランダムに。

☆紀子のセリフで好きなのが、これ。アパートでとみが歳を取ったら独り身はさびしいからと再婚を勧めるのをやんわり断るセリフです。

  いいんです。わたし、歳取らないことに決めてますから。

それを聞いてとみは寝床で泣くのですが、見ているこちらも目頭が熱くなります。原さんは、お元気なのでしょうか。このセリフが本当であることを祈念します。

☆このBDには、22ページに及ぶ解説ブックレットがついています。読み応え十分です。

☆残念ながら、映像特典は一切ありません。

☆本BDを見たら、イギリスで出ている小津作品のBDは全部買いたくなりました。手をこまねいている松竹の体たらくに付き合っていたら、いつになるか分かりませんから。

++++++++++

本作は、日本の誇り。映画ファンのみならず、国際的に活躍したいと思うひとは、一度は見ておくべき作品です。そうすれば、日本人であることの喜びに打ち震えるはず。強力にオススメします!一緒に見られれば、いちばんよいのですが。
| 小津安二郎 | 09:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
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